登山経験ゼロ、運動経験ゼロ、都内在住の30代独身・事務系OLのあなたが富士山に登頂するには? -4ページ目

登山経験ゼロ、運動経験ゼロ、都内在住の30代独身・事務系OLのあなたが富士山に登頂するには?

特に刺激のない毎日を送り、休みの日も家でゴロゴロ。
気づけばもう、一週間が過ぎていた・・・。

そんな日常から一歩抜け出し、日本人なら一度は登りたい富士山にチャレンジ!
ほんの少しの勇気と、ある程度のコツさえ知っていれば富士山は登れます!

前回 は、


重い高山病にかかってしまった中高年の男性がいる


との連絡を受け、現場に駆けつけた、


というところまでお話をしました。



7合目半ばの現場には、


男性が意識のない状態で横たわっていました。


「これは早く運ばなければ大変なことになる」


私たちにも緊張が走ります。



1人は持ってきた酸素ボンベを口にあてがい、


残りの4人でタンカを持ちます。



高山病にかかってしまった場合、最も有効なのは、


一刻も早く高度を下げること


です。



たったそれだけの事で、


ウソのようにケロッと治ってしまう人がほとんどなのです。



とはいえ、この男性のように、


あまりにも重症化してしまった場合は、


どうなるか全くわかりません。



男性に酸素を吸わせながら、


夜間で混雑する富士山の登山道を大急ぎで下っていきます。



富士山は、


山頂でご来光を見るのを目的に登る人が非常に多く、


昼間よりも夜間の方が混雑します。


夏の富士山は日本で唯一、眠らない山なのです。



男性の奥さんも、


とても心配そうにすぐ後をついてきていました。



そして、


30分ほど下った頃でしょうか。


男性が意識を取り戻したのです



「ああ、良かった・・・」



とはいえ、


まだまだ話ができる状態ではなく、全く予断の許さない状況。


引き続き、急いで男性を下まで運んでいきます。



すると、男性の容態はさらに良くなったようで、


泣きながらお礼を言い始めたのです。


「ありがとうございます・・・。ありがとうございます・・・。」


そばにいた男性の奥さんも、泣きながらお礼を言っていました。



実は、この仕事をやる前は、


遭難者救助の仕事があるなんて、

全く聞かされていなかったのです


ところが、


常駐する6合目の安全指導センターに到着し、最初の救助要請が来た時、


なぜか当たり前のように救助活動をやることになっていました。



・昼間の巡回登山


・1日の報告書の作成


・センター内の掃除


・関係者10人分の食事の用意と後片付け


・登山者数のカウント調査(早朝と夜に1時間ずつ)


など、これら一連の仕事をこなすだけでも十分に大変でした。



そのうえ、


これら全部の仕事よりもきつい遭難者救助を行うことに、


私は少なからず不満を抱いていました


体には常に疲れがが残っていて、


毎日がギリギリの状態だったのです。



でも、この男性をタンカで運び、


涙で顔をクシャクシャにしながらお礼を言われた時、


「俺はなんてくだらないことを考えていたんだろう。この人を助けることができたんだから、それでいいじゃないか」


こんな仕事は聞いていないとか、


そんなことはどうでもよくなったのです。



人の命を助ける仕事に関わることができる


ただそれだけですごく貴重な経験をさせてもらっている



この時以来、素直にそう思えるようになりました。



その後は、男性を無事に6合目まで下ろし


男性は車で病院へと運ばれていきました。



このように、


高山病というのは、重症化すると命に関わることもあります



もしかかってしまったら、すぐに高度を下げること



これに尽きますが、


そうなってしまったら登頂することはできません。


富士山に登頂するためには、


いかに未然に高山病を防ぐか



これが非常に大切なのです。



次回 は、


高山病の症状について


です。




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前回 は、


富士登山=高山病との闘い


だというお話をしました。



私はかつて富士山レンジャーとして、


富士山6合目の安全指導センター(標高2400m付近)


に常駐していました。


センターを拠点に毎日富士山に登り、


安全登山指導をしながら、


登山道やトイレの美化活動を行うのが主な仕事です。



また、


登山者がケガをしたり、


高山病にかかって動けなくなったりした場合には、


その救助活動もします。


こういった遭難事故は夜間に発生することがほとんどで、


1日中富士山を歩き倒した後に出動


ということになるわけです。



私が重度の高山病患者に遭遇したのはそんな時です。



夜間、安全指導センターの電話が鳴り、


7合目半ば付近に動けなくなった登山者あり


との情報が。


タンカや救急道具を担ぎ、


大急ぎで現場に駆けつけてみると・・・


そこには、


動けなくなった中高年の男性が横たわっていました。


どうやら意識はなく、


重い高山病にかかっている様子で、


見るからに危険な状態。



「早く病院に行かないと大変なことになる」



すぐそばには男性の奥さんと思われる方がいて、


すがるような目線をこちらに向けていました。



すみません・・・、夜遅くなってしまいましたので、


続きは次回 にします。




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前回までは、


カミナリ 落石 の話をしました。


今回は、高山病についてです。

富士山は、


方法を間違えなければ、誰にでも登れる山


です。


しかし、


絶対に甘くみてはいけません。


富士山は、


日本では断トツに高い山(標高3776m)


なのです。


日本第2位の標高を誇る南アルプス・北岳(きただけ)でさえ、


標高は3193mです。



そこで問題となるのが、高山病です。


富士山の登頂に失敗する最も大きな理由は、


間違いなく高山病だと断言できます。



富士山に登るということは、


いかに高山病にかからないようにするか


なのです。



高山病にかかってからでは遅いのです。


ひとたび高山病にかかってしまえば、


登れば登るほど症状は悪化しますので


登頂は断念するしかありません。



では、


もし高山病にかかってしまったらどうするのか?


私がかつて富士山レンジャーをしていた時、


重大な高山病にかかった登山者の方がいました。



次回 は、その時のお話です。




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前回 は、


8月下旬以降の方がカミナリには遭遇しにくい


というお話をしました。


今回は、落石です。



実は、落石の起こりやすい時期があります。


それは、


雪解け直後の6月~7月です。


この時期は、


コース上に不安定な状態の「浮石」が数多く残っていて、


比較的落石が起こりやすいのです。



事実、近年でいえば、


2009年に5合目に止めてあった車に、巨大な落石が防護ネットを破って直撃し、


中にいた男性が一人亡くなる


という事故が起きたのが、7月13日



その1年前、富士山を下山中に私は、


上から人の背丈ほどもある巨大な落石に遭遇しました。



これが7月21日



実際はこの規模の落石というのは、


めったに起こりません。


しかし、


少しでも危険を避けたいという方には、


浮石が落ちきって安定するまで、


7月中は登らない


という選択もあると思います。



前回お話したカミナリと同様に、


落石を避けるという面からも、


8月下旬~9月初旬というのは良い時期なのです。



続き は次回です。




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関東甲信地方が平年よりかなり早く梅雨明けしました。


いよいよ夏山シーズンの到来ですね!


それでは前回 の続きです。



8月下旬~9月初旬は、なぜカミナリの危険が少なくなるのでしょうか?



カミナリが発生する大きな原因の一つは、


真夏の高温です。


通常、


暖かい空気は上にたまり、冷たい空気は下にたまります。


住宅で考えてみても、


1階の方が寒くて、2階の方が暖かいのはこのためです。



真夏、もともとの高温に加えて、


日光で暖められた地上の空気は、上に向かいます。


これが上昇気流となり、上空の冷たい空気に冷やされることで、


水蒸気、つまりができるわけです。



高温であればあるほど上昇気流は強くなり、


雲がどんどん分厚くなっていき、積乱雲となります。


こうなると、


カミナリが非常に発生しやすい状況になるわけです。



7月の梅雨明け後から8月のお盆のあたりまでは、


猛暑になりやすいため、カミナリが発生する確率が高いです。


8月下旬以降ともなれば、

気温は少しづつ下がっていく傾向になりますので、


カミナリの発生は比較的少なくなる


というわけです。



富士山は6合目から上には木がなく、


カミナリの標的となるものが人間くらいしかありません


カミナリが不意に近づいてきた時、


すぐそばに避難できる小屋がなければ、かなりの恐怖です。



私が富士山レンジャーをやっていた時にも、


カミナリはたびたび発生し、しばしば停滞を余儀なくされました。


山頂で男性がカミナリにうたれて亡くなったこともありました。



ただ、富士山では、


日本アルプスと比べると、


カミナリの発生は少ない方です。



真夏の日本アルプスでは、


毎日カミナリが発生するといっても過言ではありませんが、


富士山では感覚的には3日~4日に1度、という印象です。


それほど過剰に心配する必要はありません。



ただ、


私のように、カミナリがどうしても苦手(笑)


という方は、8月下旬~9月初旬頃に登ることをオススメします。



長くなりましたので、続き は次回です。


落石の話です。




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前回 は、


個人的に考える富士山のベストシーズンは、8月下旬~9月初旬


というお話をしました。


その理由は、


・ある程度混雑を避けられる


・カミナリに遭遇する危険が少なくなる


・落石の危険が比較的少なくなる



などです。



ただし、若干のデメリットもあります。


・いくつかの山小屋は閉鎖するため、緊急避難できる場所が減る


・下界より一足先に秋の空気に入れ替わるため、寒さがいくらか増す



ですが、


これらのデメリットよりもメリットの方が大きいと私は考えます。



次回 は、


なぜカミナリや落石の危険が少なくなるのか?


についてお話しします。




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まず、


富士山は10月~6月までは絶対に登ってはいけません



6月・10月でさえ冬山


11月~5月は超冬山です



山開きは7月1日なのですが、


雪かきをして無理やり登山道を開通させる


といったことが行われます。


ですので、


山開き前の6月は登山道に雪が残っているのが普通です。



そして、


富士山の初冠雪の平年日は9月下旬です。


初冠雪とは、簡単に言えば、


麓から見て雪が積もっているのが確認できた時


です。


10月にもなれば、雪がどんどん積もっていきます。



たまに、


12月や1月にスニーカーなどの軽装で富士山に登り、

滑落するなどして遭難する人がいますが


はっきりいってこれは自殺行為



アイゼン(靴底につける鉄の爪)ピッケル(バランス保持などに使う特殊な杖のようなもの)がなければ、


ベテランの冬山登山者でも滑落します。


冬の富士山では、


体ごと吹き飛ばされるくらいの突風が吹きます。


そして、バランスを崩して転ぼうものなら、


ほとんど氷と化した雪の斜面を一直線に滑落することになる


のです。


もちろん、ほとんどの方が命を落とします。



よって、


登山シーズンは、7月~9月中旬頃まで。


ですが、個人的には、


例年7月20日前後の梅雨明けまでは、天候が安定しないのであまりオススメしません。



かといって、


一般的には登山適期とされる、梅雨明け後からお盆まではどうかというと・・・


登山者が殺到しすぎて


まるで週末の新宿並みの大混雑になります(特に週末と祝日)。



私が考えるベストシーズンは、


8月下旬から9月初旬です。


これは、混雑ぶりがマシになるというだけではなく、


他のリスクもある程度避けることができるからです。



続き は次回です。




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登山経験なし・運動経験なしのあなたでも、


富士山に登頂することは不可能ではありません。


もちろん、今年の夏にも間に合います。



これから少しずつ、


富士山登頂のための極意をお伝えしていきますので、


念願の富士山登頂まで一緒に頑張っていきましょう!




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