指宿枕崎線の概要

・基本情報

指宿枕崎線 路線情報 JR九州
指宿枕崎線は鹿児島県の鹿児島中央から、枕崎を結ぶ路線です。
JR最南端を走る路線として知られており、錦江湾に桜島や開聞岳などを眺められる風光明媚な路線である一方、鹿児島市近郊を走る通勤通学路線としても活躍しています。
指宿枕崎線キハ40系気動車
キハ47系は国鉄時代に大量製造された一般型気動車で、キハ40系は両運転台、キハ47系は片運転台で両開きの乗降扉となっています。
指宿枕崎線では全区間にわたって使用されており、山川以南まで乗り入れる列車は基本的にこの車両が使用されています。

・キハ47系8000・9000番台(「指宿のたまて箱」用車両)

指宿のたまて箱 観光特急列車
キハ47系8000・9000番台は観光特急「指宿のたまて箱」用の車両として改造されたもので、2011年から運用を開始しました。
水戸岡鋭治氏監修のもと、外装内装共に徹底的に改造されており、屋根の部分にはたまて箱の煙を演出するためミスト噴射器が設置されています。
 
指宿枕崎線を走行する際の乗り心地を改善するため、 足回りには特急列車用の「空気ばね(エアサス)台車」へと履き替える大改造が施されています。
元々のキハ47系はゴツゴツとした金属ばね特有の揺れがありましたが、空気のクッションと縦揺れを抑える「上下動ダンパ」を新設したことで、カーブやアップダウンの多い路線ながら、観光特急にふさわしい静かで滑らかな乗り心地を実現しています。

・キハ200系

指宿枕崎線 キハ200系「菜の花」とキハ47系
キハ200系は1991年にデビューした一般型気動車で、当初は篠栗線と筑豊本線に投入され「赤い快速」として活躍していました。
パワフルなエンジンと変速機で電車並みの走行性能を実現し、車内には転換クロスシートを採用するなど、JR九州の非電化路線サービス向上に大きく貢献しました。
 
指宿枕崎線に使用されている車両は菜の花をイメージした黄色の塗装となっており、快速「なのはな」にも使用されています。
ラッシュ輸送にも対応できるようロングシート車両も投入されており、鹿児島中央から山川での運用で活躍しています。

指宿枕崎線の景色と見所の紹介

今回は指宿までは特急「指宿のたまて箱」、指宿からは枕崎までは普通列車に乗車しました。

・観光特急「指宿のたまて箱」の紹介

指宿のたまて箱列車と観光特急

特急「指宿のたまて箱」は2011年、九州新幹線開業に併せて運行を開始した指宿枕崎線用の観光特急列車です。

それまで指宿枕崎線では指定席車両を連結した特別快速「なのはなDX」が運行されていましたが、より本格的な観光列車としてデビューしました。

指宿市が浦島太郎伝説ゆかりの地であることから、浦島太郎をモチーフにたデザインとなっており、車体の半分が黒と白という塗り分けも浦島太郎が宝箱を空ける前後の髪の色を表しているようです。

指宿のたまて箱車内、木製カウンター席と窓からの景色指宿のたまて箱車両内部の座席とテーブル

車内の様子。水戸岡デザインらしく、木材を基調とした内装となっています。

座席は海側にカウンター席、山側にクロスシートが設置されいる他、車端部にはボックス席が設置されており3名以上で利用が可能です。

指宿のたまて箱 車内 和風ソファと本棚

フリースペースとして本棚とソファが設置されており、乗客であればだれでも利用可能です。

・鹿児島中央~指宿【錦江湾と桜島の絶景を見ながらリゾート地「指宿」へ】

鹿児島中央を出発した列車は、鹿児島車両センターの横を進みます。この車両基地は鹿児島県、宮崎県で使用されている車両を管理しており、構内には415系の廃車体や宮崎でしか見られない幻の国鉄型車両、713系を見ることができました。
九州でも末端のエリアであるためか国鉄型車両の置き換えがあまり進んでいないようで、キハ40・47系もまだまだ健在のようです。
指宿枕崎線の列車たち
鹿児島中央から谷山辺りまでは、鹿児島市の市街地を走ります。指宿枕崎線は本土最南端を走るローカル線というイメージがつきがちですが、喜入までは鹿児島市近郊を走る通勤通学路線となっており、ラッシュ時間帯には大都市圏の路線にも負けないほどの混雑ぶりに見舞われます。
鹿児島市は中心部から南へと市街地化が進んだため、指宿枕崎線沿線は鹿児島市でも一際人口の多い地域を走っています。
 
また谷山までは鹿児島市電谷山線が並走しており、本数と駅が少ない指宿枕崎線の代替交通として活躍しています。
JRの在来線と専用軌道の市内電車が並走する光景は広島や高知でも見られ、2つの鉄道路線が並走するほど鹿児島市が大きな地方都市であることが伺えます。
指宿枕崎線、踏切とマンションの街並み
指宿枕崎線は高架線を登ると、谷山を通過します。谷山は川内や国分などの主要駅を差し置いて、県内で2番目の利用客数を誇る駅です。
駅周辺には多くのマンションが建ち並んでおり、人口の多さが伺えます。
指宿枕崎線沿いの街並みと黄色いバス
五位野を通過したあたりから、指宿枕崎線は錦江湾に沿って走ります。
奥に見える陸地は大隅半島で、薩摩半島と共に鹿児島県を形成する非常に大きな半島です。
錦江湾は沿岸に大都市が存在する日本最南端の湾であるため、鹿児島県や沖縄県の各諸島部を結ぶフェリーや、海外からの貨物船等が行き来する海上交通の要衝となっており、車窓からも多くの船が行き来している様子が見えます。
錦江湾と桜島の絶景、指宿枕崎線
この辺りの車窓の最大の見所は、錦江湾越しに見える桜島でしょう。
薩摩半島と大隅半島に挟まれ、鹿児島県の多くの場所から見える桜島はまさに県のシンボルと言えます。
錦江湾と桜島、絶景の指宿枕崎線
中名を通過するとENEOS喜入基地が見えます。今話題になっている石油貯蔵庫の一つで、敷地面積は世界最大級、日本全体の石油消費量3週間分を備蓄できる巨大貯蔵庫で、日本で唯一の中東からのタンカーが直接乗り入れる中継基地ともなっています。
指宿枕崎線沿いのヤシの木と建物
指宿市内に入ると、沿線には南国雰囲気が漂うようになります。
この辺りの景色の見所は、本土から少し離れた所にある知林ヶ島で、3月~10月の干潮の時間になると砂州が現れ、本土から歩いて渡ることができます。
南国の海とヤシの木、指宿枕崎線 指宿枕崎線の青い海と遠くの山々
特急「指宿のたまて箱」は鹿児島中央から指宿まで約45kmの道のりを、ノンストップで走り約50分程で結びます。平均の速度は約50km/hで、ローカル線の特急列車としては結構なスピードで走っています。
指宿枕崎線は乗り心地が非常に悪いことで知られていますが、「指宿のたまて箱」に使用されているキハ47系には特殊な台車とサスペンションが搭載されているため、乗り心地はかなり改善されています。

・指宿~枕崎【開聞岳を望みながらJR最南端の地を目指す】

指宿からは枕崎行きの普通列車に乗り換えます。枕崎まで行く列車は全てキハ40・47系が使用されているので、とても旅情が感じられます。
指宿枕崎線 キハ47系車内 観光列車
指宿枕崎線は日本一揺れる路線と言われていますが、その評判は伊達ではなくそこそこのスピードを出す指宿から山川ではとんでもない揺れに襲われます。
「指宿のたまて箱」に使用されているキハ47系には特殊なサスペンションが搭載されているため、ある程度揺れを防止していますが、普通のキハ47系にはそんな豪華な設備は搭載されていないので、ダイレクトに揺れが体に響きます。
特に車端部が一番揺れるので、揺れを体感したい場合は車端部のボックス席を狙うといいでしょう。
 
指宿の市街地を抜けると、山川湾に沿って進みます。
山川は天然の良港を有する港町で、カンパチなどの養殖がおこなわれている他、大隅半島の根占までを結ぶフェリーが就航しています。
指宿枕崎線、錦江湾と桜島を望む景色
山川駅は1960年までは終着駅で、現在も折り返し列車が設定されている主要駅となっています。
JR最南端の有人駅としても知られており、2016年に一旦無人化されましたが、現在は指宿市による簡易委託駅として再度有人化され、現在もその称号を維持しています。
 
全長約1kmの山川トンネルを抜けると、進行方向の左側に代わった形の山が見えます。
竹山という山ですが、スヌーピーが寝そべっているように見えることから「スヌーピー山」とも呼ばれています。
麓ではソラマメが栽培されており、温暖な気候を活かした日本一早出しのソラマメとして知られています。
ハウス栽培と特徴的な山並み
列車はいよいよ「JR日本最南端の駅」である西大山駅に到着します。
近年西大山駅は観光地として鉄道マニア以外の人にも知られていますが、本数が少なすぎるので大半の人は車で訪れているのが現状です。指宿枕崎線の列車は2分間だけ当駅に停車して、記念碑などを撮影するための時間を設けるサービスを行っています。
西大山駅、開聞岳と指宿枕崎線
西大山からは少し北上する形で、終点の枕崎を目指します。
西大山辺りからは「薩摩富士」の異名を持つ、開聞岳を見ることができます。
薩摩半島南部のシンボルであるこの山は、古くは海を行き交う船乗りたちの目印となり、戦時中には特攻隊員たちが本土に最後の別れを告げた「見送りの山」でもありました。
周辺には一面のソラマメ、サツマイモ畑が広がっており、日本の最果てを感じられる光景が広がっています。
開聞岳とビニールハウス、農作物の風景 開聞岳と菜の花畑の風景
入野辺りからは東シナ海に沿って進みますが、指宿枕崎線は海から微妙に離れた所を走るので、海はたまに遠くに見える程度です。
また指宿枕崎線沿線は気温が温暖なせいか、列車の高さを越えるような草木が生い茂っており、窓を開けていると車内に手を引っ込めていても、草木が手にあたることがよくあります。
これだけ草木が生い茂っていると眺望性も悪く、車体も傷ついてしまうため指宿以南に観光列車を走らせることは難しいようです。
指宿枕崎線の南国集落と海
天気が良ければ東シナ海に浮かぶ薩摩硫黄島を、指宿枕崎線の車内から見ることができます。
薩摩硫黄島には現在も活発な噴火活動を続ける硫黄岳があり、本土からも噴煙が上がっている様子が見えます。
指宿枕崎線の風景、農地と海
白沢を過ぎると、水産加工関連の工場や倉庫が見えます。
枕崎といえばカツオの水揚げが有名で、特に鰹節は日本一の生産量を誇ります。
枕崎の工場と畑
終点の枕崎に近づくと、枕崎市の市街地が見えてきます。
指宿以降これといって大きな街が沿線に無かったため、この光景を見ると枕崎市が意外にも大きな街であることが実感できます。
指宿枕崎線の沿線風景、青い空と海
終点の枕崎はJR最南端の始発・終着駅として知られています。最南端の駅であることは勿論のこと、指宿から乗車しても結構時間がかかるので、降り立った時の達成感はここでしか味わえない独特のものがあります。
JR枕崎駅、本土最南端の終着駅 枕崎駅に停車する指宿枕崎線(JR最南端)

JR路線で運行されている、愛称が付いている快速列車をリストアップしてみました。

快速列車なので乗車券以外の料金は不要で乗ることができますが、愛称が付いているだけで少し特別感を感じることができます。

ここでは定期運行されている列車に限り紹介していますが、運行状況は年々異なりますので、乗車前には時刻表などで確認してください。

ホームライナーは快速列車の一部ではありますが、快速として案内されていないためここでは省略します。

 

 

JR北海道

◆快速「なよろ」

・運行区間:旭川~名寄(宗谷本線)
・1日の運行本数:4往復
・全区間の所要時間:約1時間20分
・表定速度:64.4km/h
・使用車両:H100系
 
1985年に運行を開始した列車で、当時は愛称が付いていない快速列車でしたが、1年後に各列車に愛称が付けられるようになります。
1990年に臨時快速に「なよろ」の愛称が付けられましたが、後に全列車が「なよろ」に統一されました。
2号のみ音威子府発着となっていますが、音威子府から名寄は各駅停車となります。
 

◆快速「きたみ」

・運行区間:旭川~網走(宗谷本線、石北本線)
・1日の運行本数:1往復
・全区間の所要時間:約4時間強~4時間30分
・表定速度:57.7km/h
・使用車両:H100系
 
主に石北本線で運行されている快速列車です。
元々は高速バスに対抗するため「特別快速」の種別が採用されており、自動販売機を設置したり新聞や雑誌のサービスを提供していました。
2025年のダイヤ改正で特急「大雪」が特別快速に格下げされたため、「きたみ」は運行区間が網走まで延長され快速に格下げされました。

◆特別快速「大雪」

・運行区間:旭川~網走(宗谷本線、石北本線)
・1日の運行本数:2往復
・全区間の所要時間:約4時間弱
・表定速度:62.8km/h
・使用車両:H100系
 
2025年のダイヤ改正で、特急「大雪」を格下げした形で登場しました。
使用車両は普通列車に使用されているH100系で、長時間の乗車を考慮し座席の改善が行われ、片側の2人掛けボックスシートが4人掛けに増設され、クッションや背ズリも改善されています。
JR北海道 H100系 快速「なよろ」
↑特別快速「大雪」などに使用されているH100系

◆快速「はなさき」・「ノサップ」

・運行区間:釧路~根室(根室本線)
・1日の運行本数:1往復
・全区間の所要時間:約2時間
・表定速度:61km/h
・使用車両:キハ54系
 
根室本線の釧路から根室の通称「花咲線」を走る快速列車です。
1989年に同区間で運行されていた急行「ノサップ」を快速に格下げする形で運行を開始しました。
2025年のダイヤ改正で早朝の下り「はなさき」が廃止されたため、「はなさき」は上り列車が1本、「ノサップ」は下り列車が1本のみ運行されています。
「はなさき」は根室から厚岸までは姉別以外の駅に停車し、厚岸からは釧路までノンストップで走ります。
「ノサップ」は釧路から厚床まで尾幌、門静、姉別以外の駅に停車し、厚床から根室までは落石以外の駅を通過します。
JR北海道 キハ54系「ルパン三世」ラッピング列車

◆特別快速、快速、区間快速「エアポート」

・運行区間:新千歳空港~札幌・小樽(千歳線、函館本線)
・1時間当たりの運行本数:6本
・全区間の所要時間:約1時間30分(特別快速の場合)
・表定速度:84.7km/h(特別快速)
・使用車両:721系、733系
 
1988年に新千歳空港の開港を機に運行を開始した「空港ライナー」を起源としており、小樽発着の列車は「マリンライナー」と呼ばれていました。
札幌近郊圏と新千歳空港を結ぶ重要な列車で、10分間隔で運行されています。
特別快速は札幌から新千歳空港までを35分程で結んでおり、南千歳から新札幌までノンストップで運行され、特急「すずらん」よりも停車駅が少ないです。
全列車にuシートが連結されており、指定席料金で利用することができます。
H100系特別快速「大雪」画像
 

◆快速「はこだてライナー」

・運行区間:新函館北斗~函館(函館本線)
・1日の運行本数:16往復
・全区間の所要時間:20分
・表定速度:71.6km/h
・使用車両:733系1000番台
 
北海道新幹線の駅が開業し新たな函館の玄関口となった新函館北斗と、函館を結ぶ列車として2016年から運行を開始しました。
この際新函館北斗と函館間は電化され、733系1000番台が使用されています。
新函館北斗から五稜郭までノンストップで走る列車が快速となっており、所要時間はおよそ20分です。

函館ライナー車両 B-1002

JR東日本

◆快速「しもきた」

・運行区間:八戸~大湊(青い森鉄道線、大湊線)
・1日の運行本数:1往復
・全区間の所要時間:約1時間40分
・表定速度:68.6km/h
・使用車両:キハ100系
 
八戸から野辺地までは青い森鉄道線、野辺地から大湊までは大湊線を走る列車です。

「しもきた」という愛称は盛岡から大鰐を結ぶ急行列車に使用されており、大湊線では快速「うそり」が運行されていました。

1993年にキハ100系投入により「うそり」が「しもきた」に改称されました。

 

◆快速「リアス」

・運行区間:盛岡~宮古(山田線)
・1日の運行本数:1.5往復
・全区間の所要時間:約2時間20分
・表定速度:44km/h
・使用車両:キハ100系
 
岩手県の県庁所在地である盛岡から、三陸地方の中心都市である宮古を結ぶ、山田線で運行される列車です。

山田線では急行「陸中」、「五葉」、「そとやま」、「リアス」などの優等列車が運行されていました。

これらの急行列車の運行形態はあまりにも複雑なので詳細は省きますが、これらの急行を廃止し、特別快速して運行を開始したのが「リアス」です。

 

H100系「なよろ」気動車

◆快速「はまゆり」

・運行区間:盛岡~釜石(東北本線、釜石線)
・1日の運行本数:3往復
・全区間の所要時間:約2時間30分
・表定速度:54.1km/h
・使用車両:HB-E220系
 
岩手県の盛岡から、三陸地方の釜石を結ぶ釜石線で運行されている列車です。

2002年まで運行されていた急行「陸中」を快速に格下げした列車で、2026年のダイヤ改正でまではキハ110系3両編成が使用されており、うち2両はキハ110系0番台が使用されていました。

 

キハ110系0番台は急行「陸中」用に投入されたもので、リクライニングシートを備えており、3両編成中1両はは指定席として販売されていました。かつて東北地方のローカル線で数多の数走っていた、急行の面影を今に伝える貴重な列車でしたが、2026年のダイヤ改正で使用車両がロングシート車両のHB-E220系に置き換えられたため、急行の面影を感じることは少し難しくなりました。

H100系電車、快速「なよろ」で使用

 

 

◆快速「最上川」

・運行区間:酒田・余目~新庄(羽越本線、陸羽西線)
・1日の運行本数:1往復
・全区間の所要時間:約40分(上り列車)
・表定速度:70.5km/h
・使用車両:HB-E220系
 
山形県の庄内地方と、最上地方を結ぶ陸羽西線で運行されている列車です。

その前身は仙台・米沢から酒田を結んでいた急行「月山」にまで遡ることができ、快速に格下げされた後は無名称だった時代もありましたが、1999年に山形新幹線が新庄まで延伸された際に、「最上川」の愛称が与えられ現在に至ります。

 

ローカル線というイメージが強い陸羽西線ですが、当時は山形県で一番重要な路線として、超高規格路線として建設されたこともあり、ローカル線を走る快速列車としては異常な俊足ぶりを誇ります。

快速「なよろ」H100系気動車

 

 

◆快速「あいづ」

・運行区間:郡山~会津若松(磐越西線)
・1日の運行本数:3往復
・全区間の所要時間:約1時間
・表定速度:60.5km/h
・使用車両:E721系
 

郡山から会津若松の間では様々な優等列車が運行されていましたが、2015年に快速「あいづライナー」が運行を終了すると定期運行を行う速達列車は一時途絶えました。

その後2020年にE721系を使用する形で、快速「あいづ」が運行を開始しました。

4両編成で運行されていますが、郡山方面の先頭車の一部はリクライニングシートが設置されており、指定席として販売されています。

JR北海道 H100系気動車

 

◆快速「ラビット」

・運行区間:東京~宇都宮(宇都宮線)
・1日の運行本数:下り4本
・全区間の所要時間:約1時間30分
・使用車両:E231系、E233系
 
宇都宮線内のみで運行されている快速列車です。元々は上野から宇都宮・黒磯を結んでいた新特急「なすの」を快速列車に格下げしたもので、「ラビット」という名称は快速の英語表記である「Rapid」をもじったダジャレが由来です。
湘南新宿ラインを直通して逗子から発着する列車はただの快速として運行されています。
2024年のダイヤ改正で上り列車は全て廃止され、下り列車4本のみが運行されています。
 

◆快速「アーバン」

・運行区間:東京~高崎(高崎線)
・1日の運行本数:下り4本
・全区間の所要時間:約1時間40分
・使用車両:E231系、E233系
 
特急「あかぎ」や特別快速が停車する北本を通過する代わりに、熊谷から先は各駅に停車します。
「ラビット」同様2024年に上り列車は全て廃車されました。
東海道本線で運行されていた快速「アクティ」が廃止された現在「アーバン」や「ラビット」が廃止されるのも時間の問題かもしれません。
JR東日本 快速「ラビット」 E231系

 

JR東海

快速「みすず」

・運行区間:飯田~松本・長野(飯田線、中央本線、篠ノ井線)
・1日の運行本数:1往復
・全区間の所要時間:約4時間10分(飯田→長野)
・表定速度:40.3km/h
・使用車両:211系
 
飯田線の飯田から辰野、辰野からは中央本線に入り岡谷を経由して、塩尻から篠ノ井線に入り長野へ向かう列車です。
飯田から長野を結んでいた急行「天竜」が前身にあたり、1986年に「天竜」を急行「かもしか」と快速「みすず」に分離する形で誕生しました。
飯田、松本、長野といった県内の主要都市を結ぶ列車ですが、快速運転を行うのは飯田線内かつ停車駅も非常に多く、車両も普通の近郊型車両であるため乗り通す需要はほぼ皆無と思われます。
かつては313系1700番台が使用されていましたが、現在は長野車両センターの211系が使用されています。
もはや普通列車と大差ない状態になっていますが、現在も愛称付き快速列車として運行を続けています。
快速「エアポート」車両 H100系
 

◆快速「みえ」

・運行区間:名古屋~伊勢市・鳥羽(関西本線、伊勢鉄道、紀勢本線、参宮線)

・1日の運行本数:13往復

・全区間の所要時間:約2時間(名古屋~鳥羽)

・表定速度:71.3km/h

・使用車両:キハ75系

 

近鉄特急への対抗馬として、JR東海によって設定された快速列車です。

近鉄特急に比べ設備やスピードは劣りますが、近鉄急行よりは速く、安さと新幹線との接続で近鉄特急との差別化を図っています。

伊勢市や鳥羽への観光輸送は勿論のこと、三重県の各主要都市間輸送も担っています。

1993年から投入されたキハ75系は電車並みの走行性能を有している高性能気動車で、快速「みえ」のスピードアップに大きく貢献し、気動車を使った快速列車としては日本一の速さを誇ります。

快速みえ キハ75系気動車

 

JR西日本

 

◆快速「ことぶき」

・運行区間:岡山~津山(津山線)

・1日の運行本数:下り8本、上り7本

・全区間の所要時間:約1時間10分

・表定速度:52.5km/h

・使用車両:キハ40系

 

岡山と県北の津山を結ぶ、津山線で運行されている快速列車です。

1997年に津山線、因美線を経由して岡山と鳥取を結んでいた急行「砂丘」の代替列車として、急行「つやま」と共に運行を開始しました。

急行「つやま」は日本最後の定期昼行急行列車として活躍しましたが、晩年は「ことぶき」と停車駅が殆ど変わらなかったり、一般型車両であるキハ40系が使用されるなど「ことぶき」と実態が殆ど変わらなかったため、2009年限りで「ことぶき」に統一されました。

H100系快速「なよろ」車両

 

 

◆快速「安芸路ライナー」・「通勤ライナー」

・運行区間:糸崎・三原・広~広島・梅林・五日市・大野浦・岩国(呉線、可部線・山陽本線)

・1日の運行本数:下り13本、上り24本(平日)

・全区間の所要時間:約50分(広~広島)

・表定速度:47.4km/h

・使用車両:227系

 

呉線と山陽本線、可部線など広島シティネットワーク内で運行されてい快速列車です。

1996年のダイヤ改正で快速運転が開始され、1999年に愛称が使用されるようになりました。

朝の下り列車は「通勤ライナー」として運行されています。

発着駅のバリエーションが非常に多く、備後地方の三原から県境を越えた岩国まで運用範囲はかなり広いです。

快速「広島」行き、Red Wing車両

 

◆快速「みよしライナー」

・運行区間:広島~三次

・1日の運行本数:下り4本、上り3本(平日)

・全区間の所要時間:約1時間20分

・表定速度:51km/h

・使用車両:キハ40系

 

広島から三次、庄原などを経由して新見を結ぶ芸備線のうち、広島から三次まで運行されている快速列車です。

2007年まで運行されていた急行「みよし」の後継列車として運行されています。

 

今や日本一の赤字ローカル線として知られる芸備線ですが、かつては陰陽連絡線の主要ルートとして急行「ちどり」、「たいしゃく」といった優等列車が運行されており、「みよしライナー」は芸備線で運行されていた優等列車の名残と言えます。

JR赤帯の普通列車H100系

 

◆快速「とっとりライナー」

・運行区間:鳥取~米子(山陰本線)

・1日の運行本数:1往復

・全区間の所要時間:約1時間40分

・表定速度:54km/h

・使用車両:キハ121系・キハ126系

 

鳥取県の2大都市である鳥取と、米子を結ぶ快速列車です。

「とっとりライナー」が走る区間は、鳥取県の公的資金投入により線路がガチガチに補強されており、高速運転が可能となっている居るため、一般型気動車でありながら高性能気動車でもあるキハ121系・キハ126系が高速でぶっ放す走りっぷりは乗っていて爽快です。

 

1985年に運行を開始した快速「わかとりライナー」を起源としており、鳥取と米子の区間では様々な快速列車、急行列車が運行されていましたが、1994年に運行区間が鳥取から米子に統一され、その際登場したのが「とっとりライナー」です。

 

最盛期には1日8往復運行されていましたが、2022年のダイヤ改正で1日1往復、土休日は上り列車のみの運行までに数を減らされています。

同年には米子から益田を結ぶ快速「アクアライナー」が廃止されており、その先行きが不安視されています。

出雲市行き快速列車

 

◆快速「マリンライナー」

・運行区間:岡山~高松(宇野線、本四備讃線、予讃線)

・1日の運行本数:下り38本、上り35本

・全区間の所要時間:約1時間

・表定速度:82.8km/h

・使用車両:5000系、223系

 

本州と四国を結ぶ、瀬戸大橋の開業と同時に運行を開始した快速列車です。

JR西日本とJR四国の共同で運行されており、車両は2階建てグリーン車を連結したJR四国の5000系とJR西日本の223系が使用されています。

 

「マリンライナー」は最高速度130km/hを誇る高速列車で、岡山と高松の距離を一気に縮め大規模な流動を生み出した一方、高松の都市機能が岡山に吸い取られるストロー現象も発生しました。

瀬戸内地域の経済に大きな影響を及ぼした「マリンライナー」は、通勤・通学需要が大変多く終日混雑しており、瀬戸大橋からの車窓をゆっくり眺めたいのであれば指定席かグリーン車に課金することを強くお勧めします。

快速マリンライナーの車両

 

JR四国

◆快速「サンポート」・「サンポート南風リレー」

・運行区間:高松~多度津・観音寺・伊予西条・松山・琴平(予讃線・土讃線)

・1日の運行本数:下り15本、上り13本

・全区間の所要時間:約4時間30分(高松~松山)

・表定速度:59.4km/h(高松~多度津)

・使用車両:6000系、7000系、7200系

 

高松駅周辺の再開発されたエリアである、サンポートが愛称の由来となっており、南風リレー号は名前の通り多度津で特急「南風」との接続を行います。

快速列車ではありますが快速運転を行うのは高松から坂出の区間のみで、他の区間では各駅に停車します。

高松から松山まで約200km近い距離を走破する列車もありますが、7000系と7200系は車内にトイレが無いため、乗り通す際には注意が必要です。

快速サンポートJR四国電車

 

JR九州

◆快速・区間快速「シーサイドライナー」

・運行区間:長崎~竹松・早岐・佐世保(佐世保線、大村線、長崎本線)

・1日の運行本数:下り14本、上り15本

・全区間の所要時間:約2時間(長崎~佐世保)

・表定速度:46km/h

・使用車両:YC1系

 

長崎と佐世保を結ぶ快速列車は1986年に設定され、1989年から「シーサイドライナー」の愛称が与えられました。

快速と区間快速が運行されており、区間快速は佐世保から新大村まで各駅に停車します。

 

1999年には一部の列車が特急に格上げされ「シーボルト」として運行を開始しましたが、すぐ廃止されました。

途中大村線というローカル線を通りますが、長崎県内の2大都市を結び途中には一大観光地であるハウステンボスもあるため、長崎県内でもかなり重要な列車と言えます。

YC1系気動車 快速シーサイドライナー

 

 

 

◆快速「日南マリーン号」

・運行区間:志布志~南宮崎(日南線)

・1日の運行本数:上り1本

・全区間の所要時間:約2時間15分

・表定速度:39.5km/h

・使用車両:キハ40系

 

南宮崎から志布志を結ぶ日南線を走破する列車です。

かつて志布志から大隅線に直通していた快速「佐多」が前身となっており、快速運転を行うのは田吉から飫肥の間です。

現在志布志出発の最終列車として運行されており、車内から景色を楽しむことはできません。

 

◆快速「なのはな」

・運行区間:鹿児島中央~指宿・山川(指宿枕崎線)

・1日の運行本数:下り4本、上り3本

・全区間の所要時間:約1時間

・表定速度:45.7km/h

・使用車両:キハ200系

 

鹿児島中央から枕崎を結ぶ指宿枕崎線で運行されており、1992年に快速「いぶすき」を置き換える形で運行を開始しました。

快速「いぶすき」は1往復が枕崎まで乗り入れていましたが、「なのはな」に置き換えられたことにより山川から枕崎で運行される快速列車は廃止されました。

 

2004年から指定席車両を連結した特別快速「なのはなDX」が運行されましたが、「なのはなDX」は2011年にに運行を開始した観光列車「指宿のたまて箱」に置き換えられました。

 

指定席車両として使用されていたキハ220形1102は指宿枕崎線運用から外されたあと、肥薩線等で使用されていましたが2020年の集中豪雨にて、人吉駅構内で浸水被害に遭ったため多機能検測車「BIG EYE」に改造されました。

快速「なのはな」キハ200系車両

 

 

 

特急「九州横断特急」の概要

特急「九州横断特急」は熊本から豊肥本線、日豊本線を経由して大分・別府を結ぶ列車です。

豊肥本線を走る特急列車は「あそ」として運行されていましたが、2004年に九州新幹線が部分開業した際に、熊本から人吉を結ぶ急行「くまがわ」を再編する形で、別府から熊本・人吉を結ぶ特急「九州横断特急」が登場しました。

その後2016年に人吉まで乗り入れる優等列車の運用が無くなったため、「九州横断特急」は熊本を発着する列車として現在に至ります。

 

 

 

特急「九州横断特急」の停車駅

九州横断特急の停車駅図

特急「九州横断特急」は現在1日3往復運行されており、2号のみ別府を始発駅としています。

停車駅は全列車共通となってます。豊肥本線では臨時観光列車として「あそぼーい!」や「かわせみやませみ」が運行されていますが、宮地以西へ乗り入れなくなったため、豊肥本線を全線乗り通す唯一の優等列車となっています。

 

 

特急「九州横断特急」の使用車両

九州横断特急キハ185系気動車

特急「九州横断特急」には、キハ185系1000番台が使用されています。

キハ185系は国鉄末期に製造された特急型気動車で、現在日本で唯一定期運行されている国鉄型特急車両となっています。

元々は民営化前から経営が厳しくなることが予想されていたJR四国のために国鉄が製造した車両ですが、JR四国が2000系を開発し主力車両として投入したため余剰が発生しました。そこでJR九州が買い取り、非電化急行列車の特急格上げのために改造されたのがキハ185系1000番台です。

特急「九州横断特急」では2両編成のワンマン運転で運行されており、全席が普通席となっています。

 

 

特急「九州横断特急」の車内の様子

九州横断特急の指定席と自由席

特急「九州横断特急」は2両編成の内、1両が指定席、1両が自由席となっています。

熊本からは肥後大津などへのビジネス需要、阿蘇方面への観光需要が多いため多少混雑するかもしれませんが、大分から乗る場合はそこまで混むことはないと思います。

お勧めの座席は、景色の見所が多いCD側がお勧めです。

九州横断特急の車内、木材使用の温かみある内装九州横断特急の車内座席

車内の様子。国鉄型車両ですがJR九州により徹底的に改造されており、非常に綺麗な内装となっています。

荷物棚やシートの手すり、窓枠には木材が使用されており、JR九州らしい温かみのある内装となっています。

リクライニングシート自体は国鉄時代からの古い物で、シートの間に手すりが設置されていません。

九州横断特急の車内デッキ

デッキの様子。壁は黒い壁紙で纏められており、床にも木材が貼られています。

 

特急「九州横断特急」の景色と見所の紹介(大分~熊本)

・大分~豊後竹田

大分を出発した列車はしばらく日豊本線と並走し、大分川を渡ると西へ進みます。

河川と街並み、鉄骨の橋梁

しばらくは大分市の市街地、住宅地が続きますが、中判田を越えると大野川の渓谷を走り、周囲の景色が開けると三重町に到着します。

三重町がある豊後大野市は人口3万人ほどの街で、阿蘇の火山活動によって生まれた渓谷や名瀑が多数存在しています。

豊肥本線沿いの渓谷と緑豊かな山々九州横断特急、豊後竹田の町並み

三重町を出発してトンネルを抜けると、豊肥本線最初の景色の見所である「岩戸の景観」を通過します。

「岩戸の景観」は岩戸と呼ばれる断崖絶壁から列車が飛び出し、そのまま川を渡る光景が繰り広げられます。

この断崖絶壁も阿蘇の火山活動によるもので、冷えて固まった溶岩が川に浸食された結果、このような崖が形成されたようです。

九州横断特急:大野川渓谷の景観

再び山の中を突き進みながらしばらく進むと、豊後竹田に到着します。

豊後竹田がある竹田市は岡城の城下町として発展した街で、城下町の風情を今も残しており小京都とも呼ばれています。

岡城は滝廉太郎が作曲した「荒城の月」のモデルになった城で、駅到着時のメロディーとして採用されています。

駅の裏手には「落門の滝」と呼ばれる滝があり、ホームからも眺めることができます。

田園風景と住宅地、通信塔が見える風景

・豊後竹田~宮地【九州鉄道最高地点へ向けて登山開始】

ここまでいくつも山を越えてきた豊肥本線ですが、ここまでの山越えは前振りに過ぎません。

豊後竹田から先は阿蘇の外輪山を越えるため、今までとは比較にならないほどの急こう配を登る必要があり、「九州横断特急」に使用されているキハ185系はJR九州によって高性能なエンジンと変速機に換装されており、阿蘇の山越えに対応しています。

九州横断特急 豊肥本線 車窓の風景

豊後竹田から200mほどの標高を登ると、豊後荻に到着します。

豊後荻の標高は500mほどで、駅周辺からは高原の雰囲気が感じられます。

更に坂を登り続け、熊本県との県境を越えると波野に到着します。

波野の標高は754mで、九州の鉄道駅では最も高い所にある駅です。ここまでくると周囲の雰囲気は完全に高原で、駅周辺では冷涼な気候を活かした蕎麦やキャベツの栽培が行われています。

緑の畑と木々、空の風景波野駅、九州最高地点の駅

波野を出発すると豊肥本線は全長約2.3kmの坂之上トンネルを潜り、阿蘇の外輪山を一気に下っていきます。

直接下ることはできないため、一旦外輪山の淵をなぞるように進み、頃合いの良い所で大きなカーブを描きながら外輪山を下っていきます。

ほんの一瞬ではありますが阿蘇のカルデラに広がる街並みを見下ろすことができ、他の九州の路線では見ることのできないダイナミックな景色を堪能できます。

九州横断特急、車窓からの絶景

坂を下り終えカルデラの中に入ると、阿蘇五岳の一つでギザギザとした山頂が特徴的な根子岳が見えます。

九州横断特急、長閑な田園風景とビニールハウス

宮地から赤水辺りまでは阿蘇のカルデラの中を走り、進行方向の左側には阿蘇の山々が見えます。

カルデラは噴火した際にマグマだまりのマグマが流出し、支えきれなくなった山の上部が崩壊してできた窪地で、阿蘇程の規模を持つカルデラは世界的に見てもそうありません。さらにそのカルデラの中に街が形成され、普通に人が住んでいるところは世界的に見ても類がありません。

 

さらにカルデラの中には根子岳や中山などを始めとした阿蘇五岳が聳えており、巨大なカルデラの中にさらに火山があるという世界的に見ても大変珍しい光景を見ることができます。

阿蘇のカルデラと田園風景阿蘇のカルデラと山々、田園風景

カルデラ内の線路は平坦かつ真っすぐ敷かれているため、「九州横断特急」も久しぶりに特急らしいスピードで走り抜けます。

宮地駅が阿蘇の市街地の中心であるならば、阿蘇駅は阿蘇観光の拠点となる駅で、この日も多くの観光客が乗り込んできました。

 

阿蘇のカルデラの中に入った豊肥本線は、熊本に向けて外輪山の外へ出る必要がありますが、阿蘇の外輪山の西側にはまるで突破口の如く深い谷が形成されているため、豊肥本線もこの谷筋に沿って進んでいきます。

赤水を通過すると、列車は黒川が溶岩の土地を削ってできた深い谷に沿って進みます。

この谷には数鹿流ヶ滝や白糸の滝など滝が多く点在しており、車内からも滝を見ることができます。

渓谷と川、緑豊かな森の風景九州横断特急、渓谷と断崖絶壁の景観

そんな谷筋の景色の中でひときわ目を引くのが、2016年に発生した熊本地震で崩壊し、現在は震災遺産として保存されている旧阿蘇大橋跡です。

元々は深い谷を越えるための橋でしたが、地震により斜面が崩壊してしまい、谷に架かっていた橋に土砂が直撃して崩壊したようです。

阿蘇周辺は熊本地震で甚大な被害を受けており、豊肥本線も沿線の斜面が崩壊するなどの被害を受け、全線復旧まで4年以上もの年月を要しました。

阿蘇の山々を背景にした緑豊かな風景

熊本地震の復興事業では崩壊した阿蘇大橋に代わり、新阿蘇大橋が架けられその立派な姿は車内からも見ることができます。今後同じような地震が起きても崩壊しないよう、最新の土木技術が惜しみなく投入されており、阿蘇の復興のシンボルとして佇んでいます。

新阿蘇大橋と山間の田園風景

新阿蘇大橋が見えた後に進行方向の左側前方を見ると、阿蘇の外輪山が途切れ奥に熊本平野が広がっている光景が見えます。

これもまた豊肥本線らしいダイナミックな車窓で、九州でここまでの景色が見えるのは他にありません。

田園風景と山々が広がる車窓

豊肥本線はここから200mの高低差を下りますが、鉄道は一気に坂を上り下りすることはできません。

そのため立野の手前では、日本でも珍しい三段式スイッチバックが現役で行われています。

一番上の段で列車は一旦停車し、進行方向を変えて2段目の線路を駆け下ります。

豊肥本線 立野駅の三段式スイッチバック立野スイッチバックと豊肥本線、棚田の空撮

2段目の線路を進むと立野駅のホームがあり、列車はここに停車します。立野からは阿蘇山の南側へ向かう南阿蘇鉄道が分岐しており、当初は高千穂を経由して延岡まで線路を伸ばす予定でしたが、現在は阿蘇の外輪山の中にある高森が終点となっています。

立野周辺は熊本地震で甚大な被害を受けており、豊肥本線沿線の斜面はガチガチに補強されています。南阿蘇鉄道も同じく甚大な被害を受けて、地震発生から7年後の2023年に全線復旧を果たしました。

立野駅に停車中の赤色ディーゼルカー

立野で再び進行方向を変えて、列車は熊本平野に向け白川が作った谷に沿って進みます。

崖と川に挟まれたわずかにスペースには棚田が造成されており、これもまた美しい光景です。

九州横断特急 沿線風景 畑と山並み棚田と山並み広がる車窓

・肥後大津~熊本【発展目覚ましい熊本市郊外を進む】

肥後大津は熊本都市圏の東端に位置する駅で、当駅から西側は電化されており列車本数も一気に増えます。

肥後大津は熊本空港への最寄り駅であるため、阿蘇から乗り込んできた多くの観光客はここで降りていきました。

駅は菊池郡大津町にありますが、駅周辺は町の駅とは思えないほど商業施設やマンション等が充実しており、熊本市郊外の発展ぶりが伺えます。

「九州横断特急」の駅前風景

菊池郡は熊本県屈指の工業地帯となっており、大津町には本田技研工業熊本製作所、菊陽町には世界的半導体メーカーTSMCの子会社の工場があり、巨大な雇用を生み出しています。

そのため豊肥本線の肥後大津から熊本の区間の利用客は年々増加しており、豊肥本線はラッシュ時になると上下列車とも大混雑に見舞われます。

豊肥本線は全線が単線かつ、交換可能駅設備も少ないためこれ以上の増発ができず、駅の設備的に列車の両数を増やすことも不可能な状況となっています。

肥後大津から分岐して熊本空港へ向かう空港アクセス線の建設も計画されているため、JR九州と沿線自治体は豊肥本線の輸送力増強の方針を示しています。

 

普通列車は大混雑している肥後大津以西の豊肥本線ですが、「九州横断特急」はあまり人が乗っていなかったので、ラッシュ時でもゆったりと移動できます。

平成を通過すると、白川を渡って熊本駅へ向かいます。熊本市の中心街は川の左岸側に広がっており、多くのビルが建ち並んでいる光景が見られます。

熊本市郊外の川と街並み

白川を越えると、高架線を登って熊本駅に到着します。

熊本駅周辺は市の中心地から外れているためか、マンションが多く建設されている一方、目立った商業施設は少ない印象を受けます。

肥後大津駅周辺の市街地と交通量

 

 

 

 

総評

・スピード感:★★★

・車窓   :★★★★★

・お勧め度 :★★★★

「九州横断特急」の魅力は何と言っても、九州とは思えない程のダイナミックな車窓でしょう。

阿蘇のカルデラに広がる街並みや、外輪山から熊本盆地に続く谷筋など、九州島内の他の列車ではまず見ることのできない車窓ばかりを見ることができます。

西日本でここまで登山列車の雰囲気を味わえる列車はなかなかないので、一度乗ってみることをお勧めします。

 

  鹿児島中央駅

鹿児島県鹿児島市の代表駅です。

鹿児島市は鹿児島県の県庁所在地で、約60万人の人口を誇る九州第4位の都市です。

市のシンボルである桜島は絶賛活動中の活火山であり、世界的にも珍しい活動中の活火山の至近距離に形成された大都市となっています。

鹿児島中央駅は鹿児島県随一のターミナル駅で、鹿児島県内で運行されている大半の列車が乗り入れています。

元々鹿児島県の中心駅は鹿児島駅で、かつては「西鹿児島駅」と呼ばれていましたが、鹿児島駅周辺の土地が手狭だったため、戦後復旧に際し当駅周辺の開発が行われ、九州新幹線が開業した際に現在の駅名に改称されました。

 

乗り入れ路線

・鹿児島本線

・日豊本線

・指宿枕崎線

・九州新幹線

 

鹿児島中央駅前、観覧車のあるアミュプラザ
桜島口。JR九州が展開する駅併設の商業施設「アミュプラザ鹿児島」等を併設した巨大な橋上駅舎です。

鹿児島中央駅、アミュプラザ、バス停

桜島口駅前。九州新幹線以降の鹿児島中央駅と駅周辺の開発は著しく、本来の中心地である天文館を凌ぐほどの商業地となっています。

鹿児島中央駅前、アミュプラザとヤシの木

西口。こちらはビッグカメラを中心とした商業施設が展開されています。

鹿児島中央駅前、ヤシの木とビル群

西口駅前。ヤシの木が植えられており、南国ムードが強く漂っています。

鹿児島中央駅 コンコース 賑わう様子

コンコース。多くの飲食店や売店が入居しており非常に賑やかです。

鹿児島中央駅のコンコース、切符売り場

切符売り場。新幹線自由席券売機では東京までの切符を買うことができ、近距離切符券売機で買える最も高額な切符を買うことができます。

鹿児島中央駅 在来線改札口の様子

在来線改札口。

鹿児島中央駅に停車中の黒い特急列車鹿児島中央駅のレトロな在来線ホームと列車

在来線ホームは3面6線。近代的な駅舎とは対照的にホームの雰囲気は割とレトロです。

鹿児島中央駅新幹線改札口と自動改札機

新幹線改札口。

鹿児島中央駅 新幹線ホーム 桜島口

新幹線ホームは2面4線。

鹿児島中央駅の線路と高層ビル

新幹線最南端の車止め。

 

訪問日:2026/05/14

 

  枕崎駅

鹿児島県枕崎市の代表駅です。

枕崎市は薩摩半島の南西部に位置する都市で、全国有数のカツオの水揚げ量を誇り、鰹節の製造が盛んに行われています。

枕崎は指宿枕崎線の終着駅で、JR最南端の始発・終着駅として広く知られています。

元々は鹿児島交通南薩線の駅として開業したため、駅の敷地も鹿児島交通が管理しており指宿枕崎線は間借りするような形で乗り入れていました。

 

乗り入れ路線

・指宿枕崎線

 

枕崎駅、本土最南端の始発終着駅、モニュメント

駅全景。「本土最南端の始発・終着駅」を示すキロポスト風のモニュメントが設置されています。

枕崎駅全景、本土最南端のモニュメント

駅前。駅前広場には鹿児島県内の路線図が描かれています。

枕崎駅・JR指宿枕崎線、最南端の駅

駅入り口。駅移転時はこのゲートしか設置されていませんでした。

枕崎駅、JR指宿枕崎線、本土最南端

本土最南端の車止め。

枕崎駅、本土最南端の始発・終着駅

駅舎。駅移転時に駅舎が解体され一時期駅舎が無い時期が続きましたが、枕崎市により駅舎が建てられました。

枕崎駅待合室、本土最南端の駅

駅舎内。待合室になっています。

山幸彦像 枕崎駅内

駅舎内に設置されている山幸彦の銅像。枕崎市が山幸彦と所縁がある土地という事で設置されています。

枕崎駅、指宿枕崎線、本土最南端の始発・終着駅

ホームは1面1線。簡易的なホームが設置されています。

枕崎駅と稚内駅、南と北の駅モニュメント

稚内が日本最北端の始発・終着駅ということで、枕崎市は稚内市と友好都市関係にあるそうです。

枕崎駅全景、車、青空

駅の奥に広がる更地とスーパー。昔は鹿児島交通南薩線の枕崎駅がこの辺りにあり、指宿枕崎線もここに乗り入れていました。

南薩線が廃止になった後も鹿児島交通が駅舎を管理していましたが、駅の移転に伴い駅舎は解体されました。

 

訪問日:2026/05/13

 

  指宿駅

鹿児島県指宿市の代表駅です。

指宿市はかつて新婚旅行の聖地とされていたリゾート地で、特に豊富な湯量を用いた温泉や砂蒸し風呂が有名です。

指宿駅は指宿枕崎線の運行の拠点となる駅で、鹿児島中央方面からの列車の多くは当駅か隣の山川で折り返します。

観光列車である特急「指宿のたまて箱号」も当駅を発着駅としています。

 

乗り入れ路線

・指宿枕崎線

 

指宿駅前:指宿温泉の門と花壇

駅舎。2階建ての大きなコンクリート駅舎です。

観光地の玄関口であるため、駅周辺は華やかに彩られています。

指宿駅前の竜宮城風門と花壇

駅前。浦島太郎伝説に肖り、竜宮城風の門が設置されています。

指宿駅待合室、温泉観光地らしい内装

待合室。観光案内所が設置されている他、売店も営業しています。

指宿駅の切符売り場と改札口

切符売り場と改札口。みどりの窓口が営業しています。

指宿駅ホーム、指宿市観光の玄関口

ホームは2面3線。ホームは跨線橋で連絡しています。

 

訪問日:2026/05/13

 

 

  熊本駅

熊本県熊本市の代表駅です。

熊本市は熊本県の県庁所在地であり、天下の名城として名高い熊本城の城下町として発展しました。

人口は約70万人で九州で3番目の規模を誇り、政令指定都市にも指定されています。

熊本駅は熊本県の代表駅ですが、市の中心部から大きく外れた場所に位置し、長らく開発から取り残されていました。

九州新幹線全線開業に併せ大規模な再開発が行われ、以前に比べれば目覚ましい発展を遂げたものの、川と山に挟まれた地形的な制約から、市の中心部を越えるような発展は見込めません。

 

乗り入れ路線

・鹿児島本線

・豊肥本線

・三角線

・九州新幹線

 

熊本駅前広場、アミュプラザくまもととビル群

白川口。「武者返し」の異名を持つ熊本城の石垣をモチーフにしたデザインの高架駅です。

2018年に全面高架化されました。

熊本駅前広場とビル群

白川口駅前。新幹線の開業に伴う再開発により、多くのタワーマンションやビジネスホテル等が建っています。

それでも70万人の都市の代表駅にしては落ち着いている気もしますが、これ以上の開発の必要もないかもしれません。

市の中心部へは路面電車やバスでアクセス可能です。

熊本駅アミュプラザと広場

JR九州の駅ではお馴染みの駅併設の商業施設である「アミュプラザ」。

「アミュプラザくまもと」は熊本市の新たな大型商業施設として、多くの買い物客で賑わっています。

熊本駅の近代的な外観と駐車場

新幹線口。九州新幹線の開業により整備されました。

熊本駅白川口、高層マンションと山並み

新幹線口前。マンション等はありますがすぐ近くまで山が迫っており、これ以上の開発の余地は見込めません。

熊本駅白川口、アミュプラザくまもと入口

高架下コンコース。真っ黒な外観とは対照的に、白を基調としたシンプルかつ洗練されたデザインです。

熊本駅の切符売り場と券売機

切符売り場。みどりの窓口も営業しています。

熊本駅 在来線乗り場、ICカード不可案内

在来線改札口。県内の在来線改札口に唯一設置されている自動改札機です。

利用客数は大分駅よりも少なく、改札口は割と小規模です。

熊本駅の赤色電車と駅ホーム熊本駅のプラットフォーム、人々が歩いています

在来線ホームは2面6線。2番線と5番線が行き止まり式となっています。

地上駅時代は0A、0B番線という特殊な乗り場がありました。

熊本駅の改札口と案内表示

新幹線改札口。

FamilyMartと土産物店のある熊本駅構内

新幹線改札内コンコース。コンビニやお土産屋が営業しています。

熊本駅 白川口ホーム 高架化された駅構内

新幹線ホームは2面4線。

 

訪問日:2026/05/12

 

 

特急「新宿さざなみ」の概要

◆基本情報◆

  • 運行区間:新宿~館山
  • 所要時間:2時間10分
  • 運行本数:2~3往復
  • 使用車両:E257系500番台
  • 座席種類:指定席
  • 車内設備:コンセント有り、Wi-Fi無し
  • 車内販売:無し

特急「新宿さざなみ」は新宿から中央本線、総武本線、外房線、内房線を経由して館山までを結ぶ列車です。

定期列車として運行されている特急「さざなみ」」は君津発着となっている一方、特急「新宿さざなみ」は土休日を中心に運行される臨時列車で、館山まで運行されるため都心と南房総を結ぶ唯一の特急列車となっています。

 

 

 

特急「新宿さざなみ」の停車駅

新宿さざなみ停車駅路線図

特急「新宿さざなみ」は1日2~3往復運行されており、停車駅は全列車共通となっています。

特急「さざなみ」が東京から京葉線を経由して蘇我から内房線に入線するのに対し、「新宿さざなみ」は御茶ノ水辺りから総武緩行線に転線し、錦糸町手前から総武快速線乗り入れて、千葉から外房線、内房線に入線します。

 

また「さざなみ」は上り列車が朝方、下り列車が夕方のみに運行されるライナー特急として運行されているのに対し、「新宿さざなみ」は観光需要に対応するため下り列車は午前中、上り列車は夕方に運行されています。

 

 

特急「新宿さざなみ」の使用車両

特急新宿さざなみ E257系500番台

特急「新宿さざなみ」にはE257系500番台が使用されています。

E257系はJR東日本が2002年から投入した汎用型特急車両で、中央線特急用には0番台、房総特急用には500番台がそれぞれ投入されました。

500番台は両端の先頭車が貫通扉車となっており、基本編成は5両と短めに設定されている他、グリーン車が連結されていないモノクロス編成となっています。

 

E257系500番台は千葉地区の殆どの特急列車に投入されましたが、すでに東京湾アクアラインの開通で千葉地区の特急列車は廃止や減便・減車が行われるなど衰退傾向にあったため、余剰となった車両は他地域での波動運用に使用されている他、5500番台に改造された編成もあります。

 

 

特急「新宿さざなみ」の車内とお勧め座席

新宿~館山を結ぶ特急「新宿さざなみ」の座席配置

「新宿さざなみ」は全席指定席となっているため、えきねっとか指定券券売機などで予約する必要があります。
お勧めの座席は東京湾が見える AB席側です。

新宿さざなみ E257系500番台 車内新宿さざなみ E257系500番台の座席

普通車の様子。リクライニングシートの構造は同時期に製造されたE653系にほぼ同じですが、クッションは若干薄いように感じます。クッションが硬いという評価を受けがちですが、個人的にはそこまで気にならず、むしろ最近の車両のシートの雰囲気に近いという気がしました。
シートピッチは広めに確保されており、2時間程度の乗車であれば十分快適に過ごせます。

 

特急「新宿さざなみ」の景色と見所の紹介(新宿~館山)

・新宿~錦糸町【都心のど真ん中の車窓を特急列車から堪能】

新宿駅の7番線から出発した「新宿さざなみ」は新宿の高層ビル群を眺めながら、代々木で山手線と別れ東京の都心を東へ進みます。
首都高速4号新宿線と並走し千駄ヶ谷を通過すると、明治神宮の外苑を沿うように進み車窓からは国立競技場が見えます。
特急新宿さざなみの車窓、近代的な建物と緑
信濃町を通過すると御所トンネルで赤坂離宮の敷地の地下を通過し、四ツ谷を過ぎると江戸城の外堀に沿って進みます。
中央線が山手線の内側に線路を通せたのは外堀の敷地を転用できたからであり、この辺りの景色は注目したいところです。
新宿さざなみ、都心のビル群と水辺の景色
飯田橋駅の南側には広い鉄道用地が広がっていますが、ここにはかつて「飯田町」と呼ばれる貨物駅があり、主に周辺にある出版社や印刷所で使用する紙を運搬する拠点として、1999年まで使用されていました。
現在跡地は保線車両の置き場や、ガーデンエアタワーとして再開発されています。
特急新宿さざなみ E257系500番台
御茶ノ水手前で「新宿さざなみ」は中央快速線から総武緩行線に転線してから、御茶ノ水を通過します。
御茶ノ水周辺は駿河台と呼ばれており、江戸時代にこの台地を人工的に掘って作られたのが現在流れている神田川です。
あまりにも深く掘られているため、地下鉄丸ノ内線も御茶ノ水周辺だけ地上に顔を出します。
新宿さざなみ、橋と緑の風景
総武緩行線は中央快速線の上り線を立体交差するため、急な坂を登ってから神田川橋梁で神田川と中央快速線を越えます。
車窓からは昌平橋と、かつて万世橋駅があったレンガ造りの中央線の高架橋、さらには神田郵便局などを始めとした高層ビル群など、東京の都心の光景を高い所から見下ろすことができ、東京都内でも屈指の絶景区間と言えるでしょう。
新宿さざなみ、都心ビル群と鉄道風景 特急新宿さざなみ E257系500番台
神田川を越えて繁華街が見えると、秋葉原を通過します。
今ではサブカルの街というイメージが強い秋葉原ですが、昔はヨドバシカメラがある所に船着き場があり、鉄道で運ばれた荷物を船に積み替えるための物流の一大拠点となっていました。
秋葉原駅のホームを通過しているときに鉄橋を渡る音がしますが、この鉄橋の下には神田川から分岐する水路が流れていました。
秋葉原の街並みとBOOKOFFの看板
秋葉原を通過すると国道4号線と、その上を通る首都高速1号上野線を越えます。
道路を中心に整然とした街並みが広がっていますが、これは関東大震災からの復興の際に建設されたもので、現在の東京の大半の街並みは関東大震災からの復興の際に、一から再設計されました。
新宿さざなみ、都心走行中の車窓風景
浅草橋を通過すると隅田川を越えて、都心の外側へ向かいます。
総武線は隅田川が障害となり開業からしばらくは両国が終点となっていましたが、関東大震災の復興事業の一環で総武本線隅田川橋梁が建設され、悲願の都心へ乗り入れを果たしました。
復興事業では総武線の鉄橋以外にも多くの道路橋が建設され、永代橋や蔵前橋、言問橋などが知られています。

隅田川沿いのビル群とスカイツリー

隅田川を渡ると両国を通過します。今でこそ各駅停車しか停車しない小駅というイメージがある両国駅ですが、隅田川橋梁が架かるまでは総武線の終点であり、千葉方面へ向かう全ての列車が発着するターミナル駅でした。

上野駅にも負けずとも劣らない優美な駅舎が残っているのは、かつて両国が東京有数のターミナル駅であったことを伝えています。

両国駅と駐車場、都市の風景

かつての両国駅の敷地は非常に広大で、両国国技館や江戸東京博物館がある場所も昔は両国駅の一部でした。

総武本線が1932年に都心への乗り入れを果たし、1972年には東京トンネルの開通により東京駅地下ホームへの乗り入れを果たした後も、しばらくは両国駅発着の千葉方面へ向かう優等列車が運行されていたようですが、現在は1本も運行されていません。

しかし現在のホームから1段下がったところに、両国駅がターミナル駅だった頃からあるホームが団体列車用ホームとして残っており、現在も団体列車等がたまに使用することがあるようです。

新宿さざなみ、E257系500番台、駅ホーム

両国駅の団体ホームを通過すると、総武快速線の線路が地上に顔を出し錦糸町に到着します。

線路と駅のプラットフォーム

・錦糸町~千葉【総武快速線を猛スピードで疾走】

錦糸町は東京都の東部を代表する繁華街で、周辺の駅と比べてもその賑わいには格段の差が感じられます。

東京スカイツリーとビル群、線路の風景

錦糸町からは総武快速線の線路を走ります。これまでは総武緩行線を走る各駅停車に遠慮するように走っていましたが、総武快速線内は速い列車しか走っていないため、特急「新宿さざなみ」もようやく特急列車らしい走りっぷりを見せてくれます。

 

平井駅を通過する際には進行方向の右側に非電化の線路が見えますが、これは越中島貨物線と呼ばれるもので、都内では珍しい現役の非電化路線です。

現在は東京レールセンターからレールを運ぶ工事列車が主に使用しています。

E257系500番台と都市景観

平井を通過すると荒川と中川を越えて、江戸川区に入ります。

荒川と中川の間には堤防があり、その堤防を環状2号線が通っているのが特徴です。

総武線 鉄橋と高層ビル群

荒川と中川を越えると新小岩に到着します。新小岩は快速も停車する主要駅で、駅周辺には区内屈指の繁華街が広がっています。

小岩を通過すると大きなカーブを描いて、江戸川を渡ると千葉県に入ります。

千葉県に入って最初に停車する駅が船橋です。駅がある船橋市は約65万人の人口を誇る大都市で、駅周辺には錦糸町にも負けず劣らずな繫華街が形成されています。

 

船橋や津田沼辺りはあまり千葉という実感が湧きませんが、幕張手前にある幕張車両センターを見ると房総特急で使用されているE257系500番台や、千葉県内のローカル線区で活躍する209系やE131系など、主に千葉県で活躍する車両が停まっているのが見えるため、千葉に来たなという実感が湧きます。

E257系500番台車両と産業用コンテナ

稲毛を通過すると留置線のような施設が見えますが、これは黒砂信号場と呼ばれる施設で、元々は千葉気動車区と呼ばれる巨大な車両基地がありました。

千葉県は1970年代くらいまで大半の区間が非電化のままで、気動車王国と呼べる状態でしたが電化が進み、総武本線の線路も高架化されたため廃止されました。

現在は千葉で折り返す列車が使用したり、臨時列車や回送列車が時間調整のために留置するために使用しています。

線路と防音壁、遠景にビル群

・千葉~君津【本格的に千葉県エリアに突入!都心ではあまり見えない車両も見物】

千葉駅は千葉県を代表する巨大ターミナル駅で、千葉県内を走る大半の列車が乗り入れます。南に向かって二股に線路が分岐する複雑な配線が特徴で、行き先や列車ごとに特定の番線に発着しないランダム発着が行われています。

 

1963年までの千葉駅は現在の位置よりも東側にあり、線路も西に向かって二股に分岐していたため、東京から房総地区へ向かう場合はスイッチバックが必要でしたが、戦災からの復旧時に大移転工事が行われ現在の形に落ち着いています。

千葉駅周辺の鉄道路線図

 

1963年までの千葉駅周辺地図

 

千葉駅からは外房線に入ります。千葉駅周辺は県庁所在地千葉市の中心地だけあり、多くのビルが建ち並んでおり非常に賑やかな雰囲気が感じられます。
駅構内の様子と高架線
京成千葉線と並走しながら千葉市の市街地を抜け、臨海地域の工場群が見えると蘇我に到着します。
蘇我は京葉臨海地域を通って東京へ向かう京葉線の起点であるため、千葉市内では千葉駅に次ぐ乗換の拠点駅となっています。
 
定期運行されている特急「さざなみ」と「わかしお」は東京から京葉線を経由しているため、千葉を経由せず蘇我から内房線に乗り入れます。
元々特急「さざなみ」と「わかしお」総武本線経由で運行されていましたが、総武本線の線路容量がひっ迫したため京葉線ルートに改められました。「新宿さざなみ」は昔ながらの房総特急のルートに近い形で運行されており、ここだけでもこの列車に乗る意義があると感じられます。
 
蘇我は京葉臨海工業地帯の各地に線路を伸ばす京葉臨海鉄道の起点となっており、構内には貨車が停まってる光景をよく見られます。
タンク列車が並ぶ風景
蘇我は木更津や館山等を経由して安房鴨川へ向かう内房線と、茂原や勝浦等を経由して安房鴨川へ向かう外房線が分岐する駅で両線を乗り継げば房総半島を一周することができます。
昔は両国を出発し外房線と内房線を経由し、房総半島を一周して再び両国に戻る循環急行なる列車が運行されていました。
 
内房線は東京湾アクアラインの開業や、海水浴客の減少に伴う沿線観光地の衰退などが原因で、現在定期運行されている優等列車はライナー特急と化した特急「さざなみ」のみですが、線路自体は本線並みの規格で整備されており、「新宿さざなみ」は最高速度120km/hほどで疾走します。
 
沿線に戸建て住宅が目立つようになると五井に到着します。五井は京葉工業地帯の中核を担う市原市の中心駅である一方、房総半島の奥地へ向かう小港鉄道が分岐しており、昭和時代から時が止まっているかのようなノスタルジーな雰囲気が漂っています。
 
五井を過ぎると海側の方向に巨大コンビナートの煙突や鉄塔が見えます。市原市は県内一の製造品出荷額を誇る工業都市で、特に重化学工業が盛んであり石油精製工場の煙突から火が上がっている様子も伺えます。
広がる田畑と住宅地、ソーラーパネル 特急新宿さざなみ、送電鉄塔と緑の景色
袖ヶ浦を過ぎると沿線には田畑が目立つようになり、東京湾アクアラインの高架を潜ります。
東京湾アクアラインは千葉県の木更津市と神奈川県川崎市を結ぶ自動車道路で、東京から房総半島(特に内房地域)への距離を大幅に縮小し、人流や物流に革命をもたらしました。
東京から房総半島への移動手段が自家用車や高速バスにシフトした一方、大打撃を受けたのが内房線を走る特急「さざなみ」で、アクアラインを経由する高速バスはJR東日本にしてみれば非常に手強い競合相手となっていますが、JR東日本の子会社であるJRバス関東は新宿・東京からアクアラインを経由して内房地域へ向かう高速バスを走らせているため、完全な競合相手という訳ではないようです。
水田と高架道路、遠景の町並み
アクアラインの下を通ってしばらくすると、内房線屈指の主要駅である木更津に到着します。
木更津市は昔から内房地域の中心都市として機能してきましたが、アクアライン開業後は内房地域の商業・経済の中心地という役割が更に強くなりました。
しかし木更津市内で多くの買い物客で賑わっているのは東京湾アクアラインのICに近い金田地区であり、駅周辺の寂れた市街地を見ると、木更津市市内における鉄道の存在感の低さが感じられます。
 
木更津からは房総半島の奥地へ向かう久留里線が分岐しており、久留里線で使用されている気動車の姿が見えます。
久留里線は千葉県内のJR線で唯一非電化のまま残っており、昔ながらの千葉県の鉄道の光景を見ることができます。
E257系500番台車両、車庫と線路
木更津を出発すると、ちょっとした山越えをしたのち君津に停車します。

・君津~館山【内房線屈指の絶景ポイント!天気が良ければ東京湾越しに富士山も】

君津は木更津と並ぶ内房線内の主要駅で、特急「さざなみ」や東京方面から直通する快速列車は当駅を終着駅としており、当駅から先は209系やE131系が活躍するローカル線区間となります。
内房線は当駅から先は単線となりますが、特急「さざなみ」はそこまで速度を落とすことなく猛スピードで突っ走っていきます。
 
上総湊を通過すると、いよいよ特急「新宿さざなみ」の車窓のハイライトである東京湾が見えるようになります。
天気が良ければ対岸の三浦半島や、さらにその奥に富士山が見えるため非常に見ごたえのある景色を楽しめるでしょう。
港に停泊する多くの漁船とヨット 東京湾越しの富士山と内房線の絶景
東京湾沿いを進むと浜金谷に到着します。浜金谷は鋸山ロープウェイの乗り場や、東京湾フェリーターミナルの最寄り駅となっており、富津市の一大観光拠点となっています。
タイミングがよければ、フェリーターミナルから発着する東京湾フェリーの船を見ることができるでしょう。
海沿いの建物と船、緑の草地
浜金谷を出発すると、進行方向の左前方に鋸山が見えます。鋸山は江戸時代に石材を切り出していた関係で、山の形が四角くなっているのが特徴で、切り立った崖の先端から下を覗き込む『地獄覗き』は、まさに内房エリア屈指のスリルと絶景を楽しめるスポットです。
館山駅付近の山と線路の風景
トンネルで鋸山の下を潜ると、リゾート開発がされた東京湾沿岸を進んでいき保田、岩井、冨浦に停車していきます。
房総半島の南部は基本山がちな地形となっているため、海沿いを走る区間よりも山の中を分け入って走る区間が多くなります。
平久里川を越えて、館山市の中心部に入ると終点館山に到着します。
内房線、東京湾越しの富士山と橋 特急「新宿さざなみ」E257系500番台

 

 

 

総評

車窓   :★★★★

スピード感:★★★★

お勧め度 :★★★★

景色がよくてスピードも速く、思った以上に楽しめた列車でした。

先述した通り特急「新宿さざなみ」は両国から総武本線を経由する、伝統的な房総特急の運行ルートに近い形で運行されているので、その点だけでも十分楽しめました。

スピードに関しては錦糸町を出発してからの勢いがすごく、房総半島に入ってもそこまでスピードを落とさずに突き進んでいるのが印象的でした。

内房線は景色が良いだけに、毎日特急列車が走らなくなってしまったのは残念ですが、休日であれば特急列車で東京から館山まで直行できるチャンスが残っているので、タイミングが合う機会には乗車することをお勧めします。

 

 

  那古船形駅

千葉県館山市にある駅です。

駅周辺には那古寺や崖観音で有名な大福寺などの門前町として発展した那古と、港町として発展した船形の間にあることから「那古船形」と名づけられました。

 

乗り入れ路線

・内房線

 

那古船形駅の年季を感じる木造駅舎

駅舎。今でも古い木造駅舎が残る房総地区において、ひときわ年季を感じさせる駅舎です。

車寄せのホーロー看板が非常にいい味を出しています。

那古船形駅の待合室にあるベンチ

駅舎内。ベンチが設置されています。

那古船形駅の案内表示とインターホン

切符売り場。無人化されており自動券売機も設置されていません。

那古船形駅の古い木造駅舎と改札口

改札口。

那古船形駅のホームと線路那古船形駅のホームと線路敷き

ホームは1面1線。元々は島式ホームでしたが、2019年に棒線化されました。

 

訪問日:2026/04/29

 

  浜金谷駅

千葉県富津市にある駅です。

駅の近くには鋸山ロープウェイの乗り場や、久里浜港との間を結ぶ東京湾フェリーのフェリーターミナルがあるなど富津市の観光の拠点となっている駅です。

 

乗り入れ路線

・内房線

 

浜金谷駅:千葉県富津市の観光拠点

駅舎。平屋建ての木造駅舎です。

現在でも房総半島ではよく見られる水色の瓦葺の駅舎です。

浜金谷駅の待合室と鋸山案内

駅舎内。鋸山についての案内パネルが設置されています。

浜金谷駅の券売機と改札口

切符売り場。近距離切符用の券売機が設置されています。

2023年まで窓口が営業していたようですが、現在は封鎖されています。

浜金谷駅のICカード改札機と時刻表

改札口。駅員が在中しているようですが、無人の時間帯も多いようです。

入出場兼用のICカード用改札機が設置されています。

浜金谷駅のホームに停車中の列車

ホームは1面2線。駅舎とホームは屋根の無い跨線橋が設置されています。

浜金谷駅と鋸山の緑豊かな山並み

駅から見た鋸山。

 

訪問日:2026/04/29