特急「北斗」の概要
◆基本情報◆
- 運行区間:函館~札幌
- 所要時間:3時間40分(函館~札幌)
- 運行本数:11往復
- 使用車両:キハ261系
- 座席種類:指定席、グリーン席
- 車内設備:コンセント有り(グリーン席のみ)、Wi-Fi無し
- 車内販売:無し
特急「北斗」は函館から札幌を函館本線、室蘭本線、千歳線を経由して結ぶ列車です。
かつては函館、札幌、旭川と北海道の3大都市を結ぶ特急列車として運行されており、北海道を象徴する花形特急列車と言えます。
列車名は北斗七星に由来します。
特急「北斗」の停車駅と路線図
特急「北斗」は運行本数が多い割に停車駅はある程度統一されています。
早朝深夜帯の列車は観光需要の多い大沼公園、登別、白老を通過します。
特急「北斗」の路線図。函館から長万部までは函館本線、長万部から苫小牧までは室蘭本線、苫小牧から札幌までは千歳線を走行します。
特急「北斗」の使用車両
・キハ261系1000番台
特急「北斗」ではキハ261系1000番台が使用されています。
特急「北斗」はJR北海道を代表する花形特急であることから、JR北海道発足直後に新型車両の開発が行われ、振り子式車体傾斜装置を備えたキハ281系が投入されました。
当初は「スーパー北斗」として運行され、函館から札幌を最短3時間で結ぶスーパー特急として活躍していました。
↑特急「スーパー北斗」として投入されたキハ261系(AIで生成したイメージ画像)
その後「北斗には」北海道新幹線開業に伴う輸送力増強のため、ハイスペック特急型気動車であるキハ285系を投入する予定でしたが、石勝線での火災事故を機に高速運転から安全性やメンテナンスコスト削減を優先する方針に転換したため、特急「とかち」や「おおぞら」で使用されていた、既存車両であるキハ261系1000番台が2016年から「北斗」での運行を開始しました。
キハ261系には空気ばね式の車体傾斜装置が搭載されていましたが、2015年から増備された車両には搭載が見送られました。
代わりに通勤型車両並の加速力を有しており、キハ281系やキハ283系といった振り子式車両にも引けを取らない走りっぷりを実現しています。
特急「北斗」にはキハ183系も使用されていましたが、老朽化が進行していたためこれもキハ261系1000番台で置き換えられ、更にキハ281系も置き換えたことにより、2022年から特急「北斗」は全列車がキハ261系1000番台で運行されています。
特急「北斗」の車内とお勧め座席
・キハ261系1000番台(北斗)
・普通車
キハ261系1000番台は約10年にわたって製造されたため、車両によって座席の形状や内装が異なります。
こちらは普通車の様子で、キハ261系1000番台は2009年ごろに一部の普通車両の座席がグレードアップされ、可動式枕やドリンクホルダー、チケットホルダーが搭載された少し豪華な座席に変更されましたが。
その後の増備車はグレードアップ座席が普通座席の標準設備となり、2009年以前に製造された車両の普通座席もすべてこの座席に更新されました。
普通座席としてはかなり快適で、長時間の乗車も苦になりませんがコンセントは設置されていないので注意が必要です。
・グリーン車
グリーン車は初期から中期に製造された車両と、後期に製造された車両で内装が大きく異なります。
こちらは2006年から2016年まで製造された初期・中期車のグリーン車の様子。
2+1列の配置で、座席は革張りとなっています。
床はカーペット敷きで、横幅とシートピッチともに広くグリーン車の座席としては申し分ありません。
テーブルは手すり収納式となっています。
最大の特徴は座席が革張りとなっている点で、高級感がありますが滑りやすく、冬は冷えて寒いという意見もあり、最近は劣化が進んでいるためか、テープで補修している箇所も見受けられます。
コンセントは当初設置されていませんでしたが、のちに2口コンセントが窓際に設置されました。
こちらは2018年から製造された車両のグリーン車の様子。
座席幅やシートピッチは変更ありませんが、最大の特徴はモケットが布張りになっている点で、長時間乗車するならこっちの方が座り心地が良いかなと思います。
テーブルは背面式に変更されたほか、レッグレストも追加されコンセントはひじ掛け部分に標準搭載されました。
どちらの車両にあたるかは運次第ですが、特急「北斗」は普通指定席が混雑する一方、グリーン席は繁忙期でなければ利用客が少なくゆったりと過ごすことができるため、グリーン券を課金する価値は十分あると思います。
またグリーン車に乗れば確実にコンセントは確保できるため、個人的に「北斗」のグリーン車はかなりお勧めできます。
特急「北斗」・の景色と見所紹介(函館~札幌)
・函館~新函館北斗【函館から約20分で新幹線アクセス駅へ】
今でこそ道内第3の都市となっている函館ですが、かつては北海道の玄関口として栄華を極め、道内一の都市であった時代もありました。
函館駅は青函連絡船で本州の青森と結ばれていたため、貨物も旅客も必ず函館を経由する必要があり、かつて北海道内で運行されていた優等列車は基本的に函館が起点となっていました。
函館駅には青函連絡船からの荷物の積み下ろしや、車両の留置のため非常に広大な土地が広がっており、函館が北海道の鉄道の起点だったことを現在に伝えています。
函館駅構内には函館運転所が併設されており、JR北海道と道南いさりび鉄道の車両の保守点検などが行われています。
函館駅を過ぎると、特急「北斗」は倉庫街の中を走ります。
北海道の玄関口かつ、道内有数の遠洋漁業の拠点だった函館は道内屈指の港町であり、道内や道外からの荷物や、水産物が集まる物流の拠点でした。
今は苫小牧が道内一の港町として発展し、遠洋漁業も衰退したため函館の地位は少し落ちた気もしますが、それでもこの倉庫街を見ると函館がまだまだ物流の拠点として活躍していることが伺えます。
次の駅である五稜郭は函館市内有数の観光地である五稜郭からは離れていますが、北海道の貨物列車にとって非常に重要な駅となっています。
五稜郭から分岐している道南いさりび鉄道線(旧江差線)は青函トンネルへと線路が繋がっており、青函トンネル内を走れる電気機関車と、北海道内で使用されているディーゼル機関車との付け替えが行われています。
駅構内には北海道内で使用されているDF200形(RED BEAR)が大量に留置されており、その光景は圧巻です。
五稜郭駅を過ぎると、函館市の郊外を進み進行方向の右側には住宅街が広がっている一方、左側には農地が広がっており対照的な風景を見ることができます。
七飯から大沼にかけて、函館本線は二手にルートが分かれます。
一方は新函館北斗や仁山を経由する従来からのルートで、もう一方は1966年に建設された藤城支線と呼ばれるルートで、高架線で本線をオーバークロスして東側に向かいます。
藤城支線は本線の急こう配を緩和するために作られた下り列車専用の路線で、途中駅は設置されていません。
かつて特急「北斗」は全て藤城支線を経由していましたが、新函館北斗で新幹線と接続する必要が生じた為特急「北斗」は全て本線を経由するようになり、現在藤城支線を通る列車は貨物列車と1日3本程度の普通列車のみです。
列車は北海道新幹線の車両基地の脇を通り、高架線と並走し新函館北斗に到着します。
・新函館北斗~森【車窓の主役は駒ヶ岳!道南屈指の絶景ポイント】
現在は北海道新幹線の暫定的な終着駅かつ、在来線との乗換駅となっている新函館北斗は元々「渡島大野」という駅名で、これから控える仁山峠を越えるための拠点として整備されました。
そのため広大な敷地を有しており、その広大な土地を活用して現在の新幹線駅が開業しました。
新函館北斗からは仁山峠と呼ばれる峠を越えるため、カーブを描きながら距離を稼ぎ急こう配を登っていきます。
特急「北斗」に使用されているキハ261系は非常にパワーの強い気動車ですが、さすがにこの区間ではあまりスピードを出せないようです。
峠を登ったところにある仁山は坂の途上にあり一度停車すると発車が困難となるため、助走をつけて発車するための引き込み線が設けられた日本でもかなり珍しいスイッチバック駅でした。
仁山は2026年に駅として廃止され、現在は信号所として現存しています。
仁山までは内地とそこまで変わらない雰囲気の景色が続きますが、トンネルを抜けて七飯で分かれた藤城支線と合流すると、北海道らしい光景を見ることができます。
函館本線は小沼の湖畔に沿って走りますが、その奥には道南のシンボル的な山である駒ケ岳を望むことができます。
函館を出発して最初の絶景であり、大都市函館から30分ほどでこのような大自然の光景が広がるのは、北海道ならではの光景と言えます。
↑冬場には全面凍結した小沼と雪を被った駒ケ岳が見えます。
大沼では再び二手にルートが分かれ、一方は大沼公園、駒ヶ岳を経由する従来のルートで、もう一方は鹿部や渡島砂原を経由する砂原支線と呼ばれるルートです。
この砂原支線も藤城支線同様、急こう配を緩和するために後から建設された路線で、下りの貨物列車は砂原支線を経由する一方、特急「北斗」は上下列車とも観光地である大沼公園を経由する本線を走行します。
これらが函館本線の名物「8の字ルート」ですが、特急「北斗」はどちらも旧ルートを採用しています。
道南随一の景勝地である大沼公園の玄関口である大沼公園駅を出発すると、小沼と大沼の境を橋で越えます。
車内からも大沼を望むことができますが、背景に駒ヶ岳が見えてこその大沼なので、真の大沼の美しさを体感するにはしっかりと立ち寄りましょう。
↑大沼公園から見た大沼と駒ヶ岳
大沼や小沼など「沼」があるように、この辺りは湿原が広がっています。
内地の湿原は大部分が農地や宅地に開発され、人里離れた秘境の地にしか残っていませんが、北海道では至る所に湿原があり列車の車内からも普通に見ることができます。
駒ケ岳駅を通過すると函館本線の線路は右へ左へ、のたうち回るように敷かれています。
この辺りは駒ヶ岳の噴火の影響でかなり複雑な地形をしており、線路も地形になるべく逆らわないように敷いた結果、カーブが連続する区間となりました。
この区間では駒ヶ岳にすると左側に見えると思ったら右側に見えたり、さっきまでと形が違って見えたりと、移り変わる景色を楽しむことができます。
駒ヶ岳が見えなくなり、砂原支線と合流するといかめしで有名な森に到着します。
森は北海道で初めて天皇陛下が上陸した土地で、駅に到着する手前では天皇陛下上陸の記念碑を見ることができます。
・森~長万部【内浦湾の西側を走行!天気が良ければ羊蹄山も見える!】
森からは東室蘭までひたすら内浦湾に沿って進みます。
内浦湾は噴火湾とも呼ばれており、北海道の印象的なシルエットを形成する非常に大きな内海で、森から東室蘭まで直線距離なら約45kmほどのところを、特急「北斗」は同区間を約140kmもの距離を走り続けて結んでいます。
森を発車すると対岸の胆振地方の山々が見え、特に一番目立つ山は蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山でしょう。
日本全国にある○○富士の中で最も富士山に近いのがこの山で、北海道を代表する山の一つと言えるでしょう。
約82kmほど離れた倶知安辺りにある羊蹄山が、はるか遠く離れた森から見えるとは驚きです。
森から落部あたりは海岸のギリギリまで山が迫るような厳しい地形となっており、函館本線は海岸線スレスレを走行しますが、特急「北斗」はそんな厳しい地形をお構いなしに、猛スピードで爆走します。
八雲を出発すると羊蹄山も見えなくなり、比較的土地も広くなります。
山側には田んぼや小麦畑が広がっている一方、海側には何もない原野と国道5号線だけが並走するという北海道らしい光景を見ることができます。
瀬棚線が分岐していた国縫の手前辺りから、建設中の北海道新幹線の高架線と並走します。
北海道新幹線は新函館北斗を出発すると、日本最長の陸上トンネルになる予定である渡島トンネルを抜け、この辺りでようやく地上に出ます。
北海道新幹線が札幌まで開業すれば、新函館北斗から札幌は約1時間程度で結ばれる予定ですが、現状開業予定は2038年度末と試算されているため、当面の間は特急「北斗」が活躍しそうです。
また北海道新幹線が開業すると、特急「北斗」は廃止もしくは、函館から長万部間での運行が廃止になるのはほぼ確実で、普通列車の利用客が殆どいない同区間は貨物専用線として存続する予定となっていますが、現在も協議が続いておりまだ確定事項ではありません。
・長万部~東室蘭【内浦湾の東側を走行!山側に目を向ければ有珠山、昭和新山が見える】
長万部は札幌へ向かう線路が二手に分かれる主要駅で、倶知安や小樽を経由する山線ルートと、室蘭や苫小牧、千歳を経由する海線ルートに分かれます。
特急「北斗」は遠回りながら線形が良いためスピードが出しやすく、沿線人口も多い海線ルートを採用しているため、長万部から室蘭本線を走行します。
長万部を出発してしばらくは海岸線に沿って進みますが、静狩から礼文にかけては海岸沿いに線路を敷けないほど山が海岸線に迫っているため、室蘭本線は山の中に長いトンネルを掘って進むことになります。
トンネルを抜けて一瞬だけ外に出ると、小幌を通過します。
日本一の秘境駅として知られており、両端をトンネルに挟まれ駅周辺には何も無く、外部から通じる道も無いという凄まじい立地の駅で、一時期は廃止が検討されましたが地元自治体の支援により現在も営業しています。
礼文を過ぎると再び海岸沿いを走るようになり、右奥には2時間ほど前まで近くを走っていた駒ヶ岳、左手前には室蘭半島、左奥には襟裳岬が見えます。
この辺りは室蘭本線で最も海に近づく区間で、特に北船岡駅は海のすぐ間近にある絶景駅として有名です。
長和を通過したあたりから、有珠山と昭和新山が見えます。
有珠山は道内でも屈指の活火山で、非常に短いサイクルで大規模な噴火を繰り返しており、特に2000年の噴火は室蘭本線を2カ月ほど不通にさせるなど、道内の物流に大きな影響を与えました。
昭和新山は昭和の時代に何もない所から火山活動によって突如出現した山で、元々私有地であったことから、現在も個人が所有する珍しい火山となっています。
崎守辺りからは、室蘭の工業地帯の付近を走行します。
天然の良港である室蘭湾の沿岸部にはコンビナートや重化学工場が多数建設されており、特に製鉄業は室蘭の発展の礎を築きました。
空知炭田からの石炭や鉄鉱石などが鉄道によって室蘭に集まり、製鉄してそのまま輸出できることから、室蘭は鉄の街として栄華を極めました。
近年は工業都市、港湾都市として苫小牧が台頭して事により、室蘭の地位は昔比べ低下しましたが、「北斗」からの車窓を見れば、室蘭がまだ工業都市として健在であることが伺えます。
・東室蘭~南千歳【北海道の工業力と大自然を一挙に堪能】
東室蘭は室蘭中心部へ向かう室蘭支線が分岐している他、当駅から南側は電化されています。
隣駅の鷲別を通過すると、旧鷲別機関区の跡を見ることができます。
物流の拠点であった室蘭を支えた道内最大級の機関区で、多数の機関車が所属していましたが、2014年に廃止され現在は広大な施設と空地が残っています。
白老を過ぎると約28.7kmに及ぶ日本最長の直線区間に差し掛かり、樽前山が見えるようになります。
三重式火山と呼ばれる世界的にも珍しい山で、火口の中にさらに火山があるような独特の形をしており、現在も活発な火山活動が行われているため、溶岩ドームから噴煙が上がっている姿を見ることができます。
その麓には競走馬の牧場が広がっており、車内からも馬が放牧されている様子を見ることができます。
王子製紙の工場が見えてくると、苫小牧に到着します。
苫小牧市は近年になって工業都市、港町として発展した都市で、現在では北海道で4番目に人口が多い都市となっています。
苫小牧市の発展の源となったのが王子製紙の工場で、王子製紙無しに今の苫小牧は無かったと言っても過言ではありません。
苫小牧の市街地は広範囲に広がっていますが、室蘭本線と千歳線が分岐する沼ノ端を過ぎると急に市街地が途切れ、ウトナイ湖を中心とした湿原が広がるようになります。
この急激な景色の移り変わりも、北海道らしさを感じられるポイントです。
・南千歳~札幌【発展目覚ましい千歳線沿線から北の大都市札幌へ】
南千歳は千歳空港のアクセス駅として開業しましたが、新千歳空港開港後は道南、道東への乗り換えの拠点となっています。
人口約10万人弱の千歳市の中心駅である千歳周辺には多くのビルが建ち並んでおり、これまで見てきた都市の中では最も都会的に感じます。
千歳、恵庭、北広島といった千歳線沿線の都市は、札幌のベッドタウンとして目覚ましい発展を遂げており、その象徴とも言えるのが北広島市に建設されたFビレッジです。
北海道日本ハムファイターズの本拠地であるエスコンフィールドを核にした商業・エンタメ施設で、将来的には北海道医療大学の移転、駅の新設が予定されています。
Fビレッジを過ぎると千歳線は先ほどまでの都会的な雰囲気から一変し、原生林の中を走ります。
今の千歳線は高規格な高架線を走っていますが、昔は森の中を突き進み大谷地や東札幌を経由するルートで線路が敷かれていました。
この原生林を抜けると、急に200万人の人口を誇る札幌市の市街地が広がり、新札幌に到着します。
新札幌は千歳線の新線切り替えや、地下鉄東西線の乗り入れによって目覚ましい発展を遂げたエリアで、札幌の副都心として開発されました。
札幌の中心地でなくてもこれだけの大都会が広がる辺り、札幌が日本で5本の指に入る大都市であることが伺えます。
豊平川を越えて、札幌市の中心部に入ると、終点札幌に到着します。
総評
車窓 :★★★★★
スピード感:★★★★
お勧め度 :★★★★★
北海道には数多くの魅力的な特急列車がありますが、「初めての道内特急旅」なら迷わず特急「北斗」をおすすめします。
その理由は、函館〜札幌という北海道屈指の主要ルートを駆け抜けながら、「北海道の大自然」と「経済の成り立ち」を同時に体感できるからです。
4時間の車窓に広がるのは、単なる景色ではなく「北海道という大地がどう作られ、どう動いてきたか」という壮大なドラマそのもの。
北の大地を訪れる際は、ぜひ特急「北斗」のシートに腰掛けて、この大動脈の旅を楽しんでみてください!





























































































































































































































































































