ほたるいかの書きつけ -5ページ目

善意

 以前の記事で、雑誌『an・an』の記事中、献血ルームで占いを行っていることについて批判したところ、色々と反論というのか批判をいただきました。他のブログでも話題にしてもらっていてなんかコメントせんとと思いつつ、連休後半からなんだか忙しくてなにもしていないのですが(申し訳ないです)、簡単ではありますが私が批判したことの意味をもう少し掘り下げてみたいと思います。

 以前の記事でいただいた批判コメントは、要するに「献血ルームの苦労を思えば占い程度に目くじら立てるな」ということになろうかと思います。あるいは「献血に協力してくれる人を集めるのに大変な苦労をしているのに足を引っ張る気か」という感じでしょうか。違ってたら言ってください。

 さて、では、この問題、以下の問題とどう違うのでしょうか。
  1. パーティーの場を盛り上げるためのネタの一つとして血液型性格判断を出すぐらい目くじら立てるな。場を盛り下げる気か。
  2. 市民の環境への興味関心を盛り上げる活動の一環としてEM団子を川にまいたぐらいでなんで批判されなきゃならんのだ。環境なんかどうでもいいっていうのか?
  3. 子どもが落ち着かない、親や教師に対する言葉遣いも悪い。このままでは社会に出たときうまくやっていけるのか。人との関係を構築し、正しい言葉遣いを教える便法として『水からの伝言』を教材にして何が悪い。大事なのは結晶の形が実際どうなるかより、子どもたちが正しい言葉遣いができるようになることだ。
  4. 知りあいから勧められたこの○○水、飲み続けたら健康になったんですよ。だから、いま入院している姪っ子にぜひとも飲んではやく病気を治してもらいたくってね、いまから持っていくとこなんですよ。え?そんなの意味がない?なに言ってんだ、うちの姪がどうなってもいいっていうのか?
まあ他にも色々例は考えつきますが、このくらいで。どれも現実に起こりそうでしょ?

 読めばわかると思いますが、無論、これらにはそれぞれ論理の飛躍が含まれています。どういう飛躍かは違いますが。しかし、「こっちは必死に頑張ってんだ」というあたりは共通するわけです。そういう「善意」の問題は、ニセ科学の蔓延の問題を考えていると、必ず出てきます。蔓延の driving force の大きなものの一つ、というわけです。

 しかし、あなたも私も同じ社会に生きているわけです。とすれば、他人事では済まないわけですね。

 このブログで取り上げるトピックの主要なものの一つが、『水からの伝言』(水伝)です。左側のサイドバーにもいくつかリンクを貼っていますのでご覧いただけると嬉しいです。水伝が大きく批判されるきっかけになったのは、教育現場での使用(特に道徳教育)でした。共通していると思われるのは、水伝そのものについてはあまり深く考えず、水伝を使った教育効果を考えての使用です。上でも書きましたが、荒れる子どもたちをどう教育しようか、と悩んだ挙句に飛びついた、と(無論、色んな先生がいますから、単に「いい話」と思って紹介しただけの人もいるとは思いますが)。少なくとも私が直接話をしたことのある「水伝」を広めてしまった先生は、情熱的な大変いい先生で、こんな先生に教わりたかった、自分の子どもはこんな先生に教わって欲しいなあ、と素直に思えるような方でしたよ。真剣に子どもと向き合おうという意思が強く伝わってきました。でも、それでも「水伝」を使っちゃいけないんですよ。使うべきではない(その理由はここではいちいち書きません。サイドバーのエントリ群を参照してください)。

 献血してくれる人を集めるのに必死である、というのはわかります。ヴィゼータさんや謙さんの「いらだち」もよくわかります。私だって、占いを目玉にした献血ルームの人々の「善意」はわかるつもりです。でもね、我々いい年こいた大人は、善意をたてに批判をかわしているようではダメなんですよ。

 たとえば占いじゃなくて、献血してくれた人には毎週水曜日に「ナントカ還元水」飲み放題!だったらどう思います?(ネタが古いのは御愛嬌、ってことで)タダなんだから別にいいじゃん、と思いますか?「ナントカ還元水じゃ人は来ないよ」とかいう話ではないですよ。それだったら、単に人口に膾炙しているかどうかだけの違いですから。

 オカルトやニセ科学について発言している心理学関係の方の文章を読んでいると、ある一つのニセ科学やオカルトを肯定的に捉えている人は、他のものにも肯定的である、という話が出てきます。あるいは血液型性格判断についても、「別に本気じゃないよ、そんなことはわかってる。話のネタとしてやってるだけだから、いちいち言わんでも大丈夫」という人の方が、他人をステレオタイプに合わせて理解する傾向が高い、などという話もあります。

 日本赤十字社法を根拠とする日赤には占いで人を集めようというようなことは、私はして欲しくはないんです。うちも一応は日赤の「社員」ですしね。社員っていっても寄付金納めたら自動的になる、ってアレですけど。今年もその季節ですね。今月はうちがうちの団地の担当なので、集めて自治会に持っていかなきゃいけないんですが。ってどうでもいいですね。

 もちろん占いで人が死ぬわけじゃありませんから、今すぐやめろ、とにかくやめろ、などと言うつもりはありません。内部で話しあって、うまいこと占いから離れたところに軟着陸してくれれば、というところです。しかし、やっていることそれ自体は、批判されて然るべきことだと思いますし、献血する人を集めるために頑張ってるのに、ということとはまた別のことでもあると思います。そこは分けて考えるべきでしょう。

 なお、driving force の一つとして「善意」を取り上げましたが、もちろんニセ科学の蔓延にはもう一つ重要な driving force があります。「金」です。ナントカ還元水もそうですが、占いだってある部分ではそうですね。それこそ細木数子だとかに連続的につながっていくわけですし。今回は、その部分は(献血ルームの話なので)取り上げていませんが、関係はあるということはおさえておいた方がいいでしょう。

 時間が取れなくて乱文になってしまいましてすみません。頑張っているんだから、ということだけでなく、こういう観点からも見てほしいなと思います。

『an・an』血液型特集その2

 すっかりとらこさんに水をあけられてしまった(こことかこことかこことかこことか)し、a-geminiさんにもコピーまで示されちゃったので、落穂拾いをば。あ、a-geminiさんが紹介されている藤田紘一郎の「理論」ですが、あれって竹内久美子と何が違うん?ともう一度言うておく。

 さてさて。「AB型男子」の攻略法がp.53に書いてあるのだが、右下にイラスト入りでこうしましょう的な例が。
彼の知的な会話に「おもしろい」の相づちを。
(以下イラストに添えられた手書き文字)
「新タワー東京スカイツリーは634メートル 『武蔵(634)』って覚えればいいんだよ。
「おもしろ~いドキドキ

…って読者ナメとんのかあっ!!これのどこが「知的」じゃあっ!!「知的」かどうかはおいといてこれのどこがおもろいんじゃあっ!!

 次。韓国の話。「BLOOD×韓流」。p.78-79。韓国でも血液型性格判断が根付いてしまったのはよく知られるところ。ただし日本のブームが輸出されたのが原因。つまり、日本の恥を海外にまで持っていってしまった、と。韓国の皆さんすみませんすみません。m(_ _)m
 さて、民族が違えば血液型分布も当然違う。韓国は若干B型の比率が日本人より高い。で。
A型が一番多いのに…。韓国はB型天国!?
「留学中に"韓国はB型が多いんだよ"と聞いて、すごく納得しました。私の中では韓国=B型のイメージ。そのぐらいB型の性格が色濃く出ている国だと思います」(川原さん)
(以下略)

「川原さん」てのは、川原みなみさん(知らんかった。すまん)のことで、「サッカー好きが高じて韓国にハマり、2年留学。韓流スターのイベントやコンサートの司会のほか、韓国サッカーの著書も。」ということだそうだ。
 で、じゃあどれくらいB型が多いの?ということになるのだが、表が出ていて(これがまた藤田紘一郎の本が引用元になっている)、日本のBが22%なのに対し、韓国では27%。たった5ポイントの差。一番多いのはどちらもAで、日本が38%で韓国が33%。こちらも5ポイント。ちなみにごく大雑把に言うと、日本はA:O:B:AB=4:3:2:1だが韓国だと3:3:3:1である。100人の集団を作ったら、日本だったら22人がBだが韓国では27人がBだ、と。その5人の差で100人の集団の特徴が変わるのであれば、B以外は空気のような存在ってことにならんか?
 このあたり、量的な把握をせずに、二分法的に多い少ないという言葉を使っているような感じがする。
 国際社会において「名誉ある地位」を占めたいと思うのであれば、血液型性格判断を生み出した我が国において、まずは血液型性格判断を無力化せねばならないと思う(とちょっと強引に憲法記念日に結びつけてみる)。

 血液型特集については以上。あとはとらこさんに期待。(^^)
 総じて、今年の特集はつまらなかった(というと語弊があるか)。血液型と星座の組み合わせ、ということで、ある意味オーソドックスなパターンであると言えるだろうか。ネタ切れなのか、藤田紘一郎という「使える」学者が出てきたから、オーソドックスに攻めようということなのか。

 面白いのは、特集の後の広告記事のページ。雑誌の表題は「血液型で、恋は決まる!」だが、p.88にはデカデカと
モテてる人はみんな知ってた!
恋は"髪型で決まる"という真実。

血液型で決まるんじゃないのかよ!!
 このページはmod's hairの広告なのだけど、記事の体裁を取っているので、「武蔵って覚えればいいんだよ」を知的を思ってしまうような人々には記事との区別はつかんかもしれん。この矛盾を感じ取ってくれればいいのだけど。

 もう一つ面白いのは、雑誌の後ろのほうの占い特集だ。今回気付いたのは、「波動修正」なるものをウリにする人が多い、ということ。たとえば、
ネオン先生の占術
想念伝達・波動修正・霊聴・霊感・霊視・未来透視・水晶透視・チャネリング・夢判断・オーラ・前世・故人&守護霊メッセージ・動物交信・方位方角・魂入れ

みたいな。この人だけじゃない。記事の体裁を取っている(FREIAという広告代理店が取っているページ?)3ページ中6人の占い師が出ているのだが、うち3人が波動修正を使う(「使う」ってのもアレだけど)。もっと後ろの露骨に広告のページをざっと見ても、波動修正とかパワー波動とかの文字が見える。何百万もする「波動アストレア」とか買わなくても波動がわかって修正まで出来ちゃうんだから、江本勝の商売は上がったりだね!…とはいかないんだろうな、たぶん。
 あとは「復活愛」って文字もそこかしこに見えるんですが…なんか病んでるなあ。(^^;;

 騙される人には申し訳ないけど、こういうところから世相が窺えて面白い。

 ちなみに、「占い師募集」で検索をかけると面白い。「占い師募集 未経験」も面白い。占い師が時給いくらとか知っちゃったら重みもなんもなくなるような気もするけれども。
 

『an・an』血液型特集:献血ルームで占いとは…

 さきほど『an・an』の血液型特集号「血液型で、恋は決まる!」(No.1706, 4/28-5/5合併特大号)を買ってきて、とりあえず最初からざーっと見ていたのですが、途中で唖然として手が止まった。血液型NEWS、ってことで、p.69から10ページほどにわたって色々トリビア的なことが書いてある。ちなみにここに登場するのは、「マギーさん」(ってなんだそりゃ)という「占術研究家、心理テストクリエイター」(ってだからなんなんだよそれ)と、あの藤田紘一郎氏である。

 いろいろ言いたいことがあるのだが、唖然としたこと二つ。一つは「結構あります。びっくり!血液型人事。」(p.70)で、血液型を人事に使っている話を報告している。なんの批判もなしに。藤田氏は、以前このエントリ で書いた、童門冬二氏が東京都の人事を血液型に基いて行っていたという報告についてコメントしている。淡々と。いいも悪いもなし。記事を読んだフツーの読者は「へー」という感じだろう。自分の身にふりかかるかもしれない、ということを想像できる人はどれくらいいるだろうか。

 もう一つは、「最新献血事情」ということで、「ハチ公前献血ルーム」の簡単な訪問記が載せられているのだが、その最後に、「事前予約しておけば占いまでやってもらえて」って書いてある。ええええっ!?と思ってウェブページ を見たら、たしかにこんなことが書いてある。
水曜日は占いの日

ハチ公前ルームでは水曜日に占いを実施しています!

毎月第2週はおなじみ川島先生の「手相占い」☆
当日は、先着18名様です(1人あたり約10~15分)

毎月第1、3、4週の月3回実施しているのが、北原サビアン先生の「タロット占い」★
当日は、先着10名様です(1人あたり約30分)

どちらも受付時間は13:00~17:00です。
※献血にご協力いただいた方に限らせていただきます。場合により長時間お待ちいただくことがございます。予めご了承ください。

これからは「水曜日はハチ公前Rで占い」を合言葉に渋谷に足を運んでくださいネ!
…献血ルームでこんなことやってていいのかよ!!
 この訪問記のすぐ下には、「ここもオススメ!」ということで二つ献血ルームが書いてあるのだが、片方の「吉祥寺TACHYON」(名前もなんだかなあという感じだが)では「占いやカイロプラクティック、指圧のサービスもあり!」と書いてあって、実際ウェブページ を見ると、占いやってるのがわかる(「イベント日程表」をクリックすると、「渋谷の母の手相占い」だの「占い喫茶『蓮』の占い」だの書いてある)。

 なあ、こんなんでいいのかよ、日本赤十字社。率先してオカルト広めているとは…。

 『an・an』については、また後日、続報をお届けしたいと思います。あまりに唖然としたので、とりあえず。
 昨年の『an・an』
 一昨年の『an・an』

イナゴのタルト

久々にスキンを変えてみました。3段組にして、広告を右側に(これは仕様で一番上にせざるを得ない)持っていき、「最近のコメント」が左側トップに固定されるようにしました。3段組だと横幅が狭くなるので、CSSをいじって(CSSをいじれるスキンはあまり用意されてないんですよねえ、amebloだと)、エントリの幅を広げています。なにか不都合が見つかりましたらお知らせいただけると有り難いです。

 さてさて、2日ほど前のこと。
 帰り道、とあるカフェの前を通りかかったのですが、店の前に出されていた黒いボード(本日のおすすめとかが書いてあるやつ)がちらと目に入りまして。そこになんと、「イナゴのタルト」とあったんですよ!!うげ、一体どんなんだ、と一瞬にして想像は膨らみ…やっぱ佃煮の味なんかなあ、一匹だけちょこんとのっかってるのか、タルトの中にぎっしりとイナゴが詰まっているのか、グロテスクやけど結構うまいんかなあ、とか考えながらボードをよく見たところ。「イチゴのタルト」でした。(^^;;
 「チ」の横棒二本が近付き過ぎてて「ナ」に見えたのでした。疲れているんだなあ、これは。「だなあ」じゃなくて疲れてるんですが。

 こういうときは、なんというか昔好きだった罪のない曲(^^)を聴きたくなるもんで。今回ふと頭の中に流れてきたのが、PINK SAPPHIRE の「From Me To You」という曲。たしか進研ゼミかなんかのCMにも使われてたと思うのだけど、あのCMも良かったなあ、という印象が残っています。

 私の記憶だと、当時、PINK SAPPHIRE はほとんどプリプリ(PRINCESS PRINCESSね)の二番煎じ的な扱いをされていて、ちょっと可哀想でしたね。曲を聴くとわかるのだけど、楽曲はポップなんだけど、アレンジは結構ハードで、ギターがなかなかいい感じなのです。大ヒットした「P.S. I Love You」のイントロのリフなんかも結構カッコイイと思う。
 ついでに言うと、プリプリ、「M」は良かったんだけど、そこで当たって以降はポップ過ぎてイマイチ馴染めなかった(「ダイヤモンド」とか)。まあ好みなんですが。

 というわけで「From Me to You」をYouTubeで探したのだけど…ない! なんでもあると噂のYouTubeにないとは、幻だったのか!?いやいやCD持ってるし。というわけで、いかに不遇であったかがわかりますな。ニコ動にあったので貼っておきます。amazonでも出てこないしなあ…。
 YouTubeには他のPINK SAPPHIREの曲は幾つかあって、ライブの様子も載っています。スタジオライブを見ると、みんな結構カッコエエ。(^^)

 現在でも通用するのではと一人密かに思っているのですが、復活は無理にしても、もう少し知られるようにならないかなあ。

普天間基地と海兵隊

 沖縄・普天間基地の「移設」が色々と取り沙汰されておりますが。以下の事実について知っている人は一体どれくらいいるんだろう。

普天間基地はアメリカの海兵隊の基地であり、
アメリカの海兵隊は3つの軍からなっており、(*)
そのうちの2つは米本土の西海岸と東海岸が本拠地であり、
残りの1つの本拠地が日本であり、
海兵隊は海外遠征専門部隊で俗に「殴り込み部隊」とも呼ばれ、
どこかの「防衛」が任務になっているわけではない。
(*)第1海兵遠征軍(米西海岸)と第3海兵遠征軍(日本)は「太平洋海兵隊」として指揮される。

というわけで、海兵隊の存在は日本にとっての「抑止力」ではなく、別に日本にいる必然性もない。

 在日米軍の存在についての意見はいろいろとあろうが、海兵隊については、事実を知れば、多くの人が日本にいる必要はないと思うのではないかと思うのだがどうだろうか。
 というわけで、普天間基地を「移設」してわざわざ最新鋭の基地を日本国内に作らせるのではなく、ここは日本からの「撤去」ということで頑張ってほしいと思う。