『an・an』血液型特集号(8.12/19合併号) | ほたるいかの書きつけ

『an・an』血液型特集号(8.12/19合併号)

 前エントリでも少し触れたが、『an・an』の血液型特集号が現在発売中である。ピンクの表紙。そこら中に平積みになっていたり、コンビニでも目立つところにあったりするので、お気付きの方も多いだろう。…とここまで書いて雑誌のウェブにリンクを張ろうと『an・an』のウェブページを見たら、次の号が発売ですね。欲しい方(?)は急いで。
 で、最近は便利になったもので、中身の一部まで公開してくれちゃっている。ちょっと見てみて欲しい。
  →こちら
…頭が痛くなるだろう。ちなみに第二特集は「方位術」である。なんというか「やっちゃった」感で一杯なのだが、これだけ売れているのだから「なるほど」と思って買う人々が大勢いるということなのだろう。ヤレヤレである。

 表紙のド真ん中には「その知識 更新してますか? 血液型の真実」と書いてあるのだが、「真実」なんかこれっぽっちも書いちゃいねえ…という口調になるほど噴飯モノである。

 なお、昨年度も同様の特集号を出していた。それについては昨年のエントリを参照されたい(『an・an』の血液型特集:ダメだこりゃ )。血液型と前世を組み合わせたトンデモ話を展開している。

 さて、血液型特集の冒頭(p.22)は、「脳タイプ」の判定テストである。前回も紹介したように、今年の特集では、血液型と「脳タイプ」を組み合わせていることが特徴である。どんなことを書いているか、少し引用しよう。
2つの脳タイプ判定テストで、血液型診断がより緻密に。
 人間の心身の健康を保つために、重要な役割を担っている血液と脳。「血液型が性格や行動パターンに大きな影響を及ぼしているのと同じく、脳の思考タイプも個人の考え方や適性に様々な作用をもたらします。今回は、右脳タイプか左脳タイプか、そして男脳タイプか女脳タイプかを判定する2種類のテストを血液型と組み合わせ、本来の自分に備わっている性質や"脳力"を導き出します」(「G・ダビデ研究所」オフィリア・麗さん)
 どんな「脳力」が自分に備わっているのかも、P.24からの脳内イラストでチェックして。「◯◯力」の文字のサイズが大きいほど、その力が他のタイプに比べて秀でていることを示唆。
「小さな文字で表されているのは、脳の奥底に潜んでいて発達しきれていない脳力。その開発法も解説するので、ブレインエクササイズに励んで。脳と脳が共鳴し合う運命的なパートナー"ブレインメイト"の育て方を把握すれば、理想的な恋愛が手に入るのも間近」
…どうしたらいいのだ。"ブレインメイト"の育て方なんて把握しちゃったら、「理想的な恋愛」を手に入れる前になんかモノスゴイ学術的な賞とか手に入れられちゃいそうだが。
 さてさて、「脳」である。典型的なステレオタイプ的「右脳・左脳」論と、わかったようなエエカゲンな「男脳・女脳」論の組合せだ。それぞれどういう特徴付けがなされているかを見ておく。これは「判定テスト」の結果の説明の文章である。なお、詳しい文章は省略して、見出しだけにする。
右脳タイプ: イメージ力高い、ひらめき派。
左脳タイプ: 頭の回転が速い、思考派。
男脳タイプ: 主体性に富み、冒険心も旺盛。
女脳タイプ: 環境に柔軟に溶け込む感性が。
…なんというか、かんというか。女性誌がこんなこと言ってていいのか、という気がするのだが…ジェンダーって聞いたことある?とか編集部には訊いてみたい。

 次のページからは、血液型と、脳タイプの左右・男女別に分析がなされる。たとえば、p.24,25には見開きでA型の場合の「あなたの気質」が、p.26,27には「脳タイプで判明する恋愛傾向と相性」が載っている。各血液型について、右脳×男脳、右脳×女脳、左脳×男脳、左脳×女脳、という具合に4種類づつ。さらに相性については、それぞれに対して「彼」の血液型で分類されている(「彼」の脳タイプはどうでもいいらしい)。こりゃ読むのも大変だ。自分が当てはまるところ以外を読む人はほとんどいないだろう。
 ちなみに個別の脳タイプの話に行く前に、各血液型の総評が色々と書いてあるのだが、A型のものは、冒頭がこうである。
 村での定住生活を営む農耕民族がルーツとされるA型は、…」
出た~、「農耕民族」!!イキナリ「農耕民族」とか言っちゃうあたり、底が割れますね。
 ちなみに「農耕民族」でググると、「他のキーワード」に「農耕民族 A型」なんてのも出てくるので、どうもA型=農耕民族、という設定は、結構あるらしい。困ったものである。
 どうでもいいツッコミというか嘆きなのだが、p.25の解説文の背後のイラストに、なぜか「E=Mc2」と書いてある。勘弁してくれ。

 こんなのが延々つづくわけであるが(各血液型で4ページであるから16ページも!!)、その後に、「今をときめく」女性4人の「血液型心理テスト」の回答が載せられている。それを見て、それぞれの女性の血液型を当ててください、というのである。いわゆる「血液型当てっこ」だ。4人の女性とは、木下優樹菜、水川あさみ、吉高由里子、福原愛である。愛ちゃん、こんなことしてちゃいけないよ!!
 ちなみに上述のアンアンのウェブサイトにはFROM EDITORSというコーナーがあって、そこでは木下優樹菜の血液型を当てられた人は編集部にはいなかった、という正直な告白が載っている。つまり、役には立たん、ちゅうこっちゃな。

 4人の女性の次は、4人の男性である。「注目男子の本音トークつき。血液型が導く、恋愛&婚カツ必勝法。」だってよ。で、A, B, O, ABの男子が登場である。◯型男子の攻略法、てなコラムもあって、それぞれ「年下の◯型くん」「同い年の◯型くん」「年上の◯型くん」ごとに対策が書かれている。このコラムを書くにあたって話を伺ったのが、矢作美和、勝木友香という人々。前者は編集プロダクションの代表(血液型に関する著書もあるそうだ)、後者は放送作家。
 続いて「結婚への近道はここに! 女性の血液型別・正しい婚活のススメ。」だってよ。ここは一気にザックリと、血液型ごとに述べられているにすぎない。ここも矢作・勝木の両氏のコメントが。

 …このペースで紹介してたら終わらんな。(^^;;
 グループの行動とかも面白そうなんだが、そこは飛ばして、「血液型別ムーンセラピー」もツッコミどころ満載なのだがスキップして(ここはもう本当にどの血液型についても誰にでも当てはまることしか書いていない。そして、それぞれに適切とされるグッズが価格入りで紹介されている。アイピローとかリラックスのためのCDとか。で、満月の日、とか、新月の日、とか、その中間の日、とかで色々「アドバイス」がなされている)、色々スキップして、これだけ紹介しておこう。
 誤解と偏見を吹き飛ばす!? ブラッドハラスメント対抗術。
…どの口が言うかああああっ!!! と叫びたいところであるが、その中身は噴飯モノである。サブタイトルはこうである
"◯型っぽい"とか、"ぽくない"とか。相手に悪気はないとわかっていても、言われてちょっとムッとした経験、ありませんか?そんな"ブラハラ"を招く原因と、各血液型の間で生じやすい軋轢を解明。血液型を"かく乱"する技も伝授!
…こんなことやってるオマエがブラハラなんだよッ!! (担当は「マギーさん」)
 たとえばA型の人がO型から言われる言葉が「ほら、またくだらないこと言ってる」。いや、言われる内容は別にそれだけじゃないだろう。でも、この一言で代表させられちゃっている。で、その解説が、
太っ腹なO型にとって、A型の気配りは細かすぎていくら聞かされても「ワケわかんない」のが本音。妄想好きのありえない話と、呆れて一周したがるO型なので、ポイントを絞って伝えることが大切です。
ってなあ。「またくだらないこと言ってる」って言われる時は、そりゃ関係なさそうなことをグダグダしゃべってる時だろうから、別にA型やO型でなくても「ポイント絞ってしゃべれよ」と思うだろうが。
 下欄には、「あえて振る舞う、血液型かく乱術」と題して、血液型を演出する方法が載っている。たとえば、
みんなが盛り上がってる席でも、突然「帰るから」と言い、本当に帰る。
これはAB型演出術なのだそうだ。ってAB型に失礼だろうが!!しかも、その解説が、
空気を読みつつも、「オーストリア在住の親戚から連絡が入るから」など、もっともらしい理由をつけるのがAB型流。悪びれずに「ホント残念」と言い残して立ち去って。
ってこれのどこがもっともらしいんだよっ!!!
 まあ万事こんな調子なのです。ブラハラ対策と言ってはいるが、こりゃブラハラ被害者に対する二次加害だよ。

 さて、あと最後にもう一つ特集が残っているのだが、それはまた次回。なんせABO FANさんも関わっている特集だから、もう少し丁寧に紹介してあげないと可哀そうだろう。(^^)

 もっと後ろには江原啓之のコラムがあったり(動物が霊的に云々とまたエエカゲンな話を書き散らしとる)、色々ツッコミたいところは多いのですが。広告もスゴイしなあ。

 というわけで、とりあえずここまで。
 他にも色々紹介したい本(マジメなやつ)とかいろいろあるんですが、なんか今年の夏は忙しくて。お盆休みもロクになかったしなあ。年々どんどん忙しくなってる気がする。やれやれ。

続きはコチラ(「『an・an』御提案のブラハラ対策」)