「日曜、
みんなでショッピングセンター
行ってみようか?」
わたしがそう口にしたのは、
たまたま数日間、
体調が比較的安定していたとき
のことでした。
朝もそこまでつらくなかったし、
夜もまあまあ眠れた。
顔のほてりや異常な汗も、
ここ数日は
少し落ち着いていたんです。
「こんな日が続くなら、
ちょっと家族でお出かけしても
大丈夫かも…」
そう思って、
久しぶりに家族に予定を
提案してみました。
それを聞いた娘たちは、
目を輝かせて
「やったー!楽しみ〜!」って、
本当に嬉しそうな声を
あげてくれたんです。
その笑顔を見た瞬間、
わたしの胸の中にも
ふわっとあたたかいものが
広がって、
「またこういう時間を取り戻したいな」
「わたしだって、家族と笑い合いたい」
そんな気持ちがじんわり
湧いてきました。
「明日は久しぶりに、
お気に入りのワンピースを着よう」
「早めに寝て、ちゃんと朝起きて、
お弁当も作って…」
小さなことだけれど、
そんな準備を考えること自体が
とても久しぶりで、
わたしの心は
どこかワクワクしていたのです。
でも——
約束の当日。
朝起きた瞬間から、
なにかがおかしかったんです。
目覚ましが鳴っても、
体が動かない。
頭が重く、
胸のあたりがざわざわして、
意味もなく涙が出そうになる。
起きなきゃ。
支度しなきゃ。
でも、体も気持ちも、
まるで命令を拒否するように
ベッドにしがみついて
動いてくれませんでした。
夫と娘たちの声が
リビングから聞こえるのに、
わたしには
それすら遠く感じられて…
やっとの思いで声を絞り出して、
「ごめん、今日は無理かも…」と
布団の中から言いました。
すると、しばらくして夫が静かに
寝室に入ってきて、
「体調悪いんだよね、
伝えておくね」と
優しく声をかけてくれました。
その後、
娘たちの「え〜!行きたかったのに!」
「ママと約束したのに…」
という声が、
リビングから聞こえてきました。
胸がギュッと締めつけられるような
気持ちでした。
あんなに楽しみに
してくれていたのに、
わたしはまた、裏切ってしまった。
喜ばせてあげたかったのに、
叶えてあげられなかった。
布団の中で、涙が止まりませんでした。
体が動かないことも
つらかったけど、
それ以上に、家族の期待を
裏切ってしまったことが苦しくて、
罪悪感でいっぱいでした。
「なんでわたしだけ…」
「どうしてこんなにも
心と体が一致しないの…」
自分を責めても、
どうにもならないのは
分かっていたけれど…
頭の中では
「母親失格」「妻失格」
という言葉がぐるぐると
回っていました。
こういうことって、
誰にも相談できないんですよね。
友達に話せば
「体調悪い日もあるよね」
と言われるかもしれないけれど、
それは「たまに」だから
言えること。
更年期のつらさは、
「たまに」じゃない。
「ずっと」なんです。
良くなったと思った次の日に、
また突然悪化する。
それがいつ終わるのかも
わからない。
このままずっと続くのかも
しれないという不安と
隣り合わせで生きている。
そして、
まわりにはなかなか
理解してもらえない。
それが更年期のしんどさ
なのだと、この時ほど
強く思ったことはありません。
「自分のことくらい
自分でどうにかしないと」
「誰も責めたくない。
でも、わたしだって限界なんだよ…」
そんな気持ちを抱えたまま、
ひとり布団の中で、
静かに涙を流していました。
だけど——
この出来事が、
実はわたしにとって大きな
「転機」にもなったんです。
「家族との時間を、
また笑顔で過ごしたい」
「行けなかった約束を、
次こそは叶えたい」
その気持ちが、
わたしの中にしっかりと
芽生えてくれたからです。
体調を整えたい。
ただラクになりたいだけじゃない。
わたしには
「守りたい日常」が
あるんだって、気づけたから。
だからこそ、この日を境に
「もっと根本から体を
整える方法を探したい」と
強く思うようになったのです。
