私は、１ヶ月で、パートをクビになりました
そのパート先は、近所のイトーヨーカドー。
１階の食堂で働くことにしたんですよ。
飲食店で働くのは初めてだったんです。
初日、緊張しながら出勤した途端…。
店長が、私をジロッと見て…
「仕事中は結婚指輪を外してね」
どうやら、食品衛生上のルールになっていたようでした。
でも、面接の時、その説明はなかったんです
私は心の中で、「いきなり、そんなこと言われても…」って、思いました
でも、店長の命令なので、外すしかなくて…。
すぐ、指輪を外そうとしたんですよ。
「外れない！」
私は、結婚した時より、かなり太ってしまったんですよ
それで指が太くなって、指輪が外れなくなったんです
指輪をどんなに引っ張っても、びくともしなくて…
店長はずっと、その様子を見つめてました
「今日は掃除だけしてね」
「ここで働きたいなら、早めに指輪を外して」
その日、私は、ほうきを持ってウロウロするだけでした
他のパートさんは、バタバタしてるのに…
私は、「このままだと、すぐパートを辞めさせられるかも」って、思ったんです。
家に帰ると、義母に指輪の外し方を聞きました。
「指に石鹸を付けて、指輪を回す」
「少し指を曲げて、指輪を動かす」
私は、何度もやってみました。
指が真っ赤になって血がにじむくらい…
どうやっても、外れませんでした。
すると、義母が「指輪を切るしかない」って言うんですよ。
私はイラッとして、「切ります」と、勢いで言ってしまったんです。
でも、時間が経つと冷静になってきました。
「切るなんて、もったいない」
「でも、パートを辞めたくない」
私は決められないまま、パートを続けました。
１ヶ月後、店長に「指輪が外れないなら、辞めてください」と言われました
私は、どうしても指輪を切る決心がつかなかったんです。
それで、あっけなくクビになりました
がっかりはしましたよ。
でも、ホッとした気持ちもありました。
「指輪を切らなくてよかった」って…。
その頃、主人の経営していた会社は赤字続きでした
そのことで、主人や義母と、言い争いをするようになったんです。
私は、家族と距離を置きたくて、パートに出ることにしたんですよ。
ただ、パート先から「結婚指輪を外せ」と言われるなんて、思ってもみませんでした
そして、指輪を切るしかないと思った時、突然、指輪を買った時のことを思い出したんです
たぶん、その頃も、主人の会社の経営状態は良くなかったと思うんですよ。
それでも、私に結婚指輪を買ってくれたんです…
私は急に、結婚指輪が大切なものに思えてきました。
世界でたった一つの指輪ですからね。
そして、主人や義母と、ちゃんと話し合おうと思ったんです。
今日は、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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