私の父は、５７歳の時、ＡＬＳ(筋萎縮性側索硬化症)で亡くなりました。
ＡＬＳは、体を動かす筋肉や呼吸に必要な筋肉が、痩せ細って使えなくなる病気。
ただ、知力や視力、聴力などの感覚は衰えません。
そして、完治する薬は見つかってないんです。
父は、主治医から注意されたんですよ。
「もっと、歩くようにしてください」
詳しくは、前回の記事に書きましたので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
前回の記事
⇒父と会うのが辛かった訳
父はプールで水中歩行をした後、「ラーメンが食べたい」と言い出しました
私は思わず、聞き返したんです
「えっ！大丈夫？」って。
その頃、父は、上手く食事が飲み込めず、よく咳き込んでました。
それで、喉に詰まらせてしまうかもしれなくて…。
父がラーメンをすするのは、無理だと思いました。
ただ、父が「食べたい」と言うのは、久々だったんです。
それに、食べる量が、どんどん減ってました。
「父が食べたいものは、何でも食べてもらおう」
私は、少しでも、父の病気の進行を遅らせたかったんです。
なので、ラーメン店へ行くことにしました
店内は、ラーメンのいい匂い
父が食べたいのは、味噌ラーメン
父と私は空腹すぎて、会話も途切れがち。
ラーメンが運ばれてきて、夢中で食べ始めました
「美味い！」
思わず、顔を見合わせてニッコリ
最初、父は美味しそうに食べてました。
でも、３口目からむせるようになったんです
私はすぐ、「大丈夫？」って聞きましたよ。
父は笑って頷いてました。
私は、父が心配で、自分のラーメンを食べることに集中できなかったんです
父は半分食べると、箸を置きました。
元気な頃の父は、大食漢だったんです。
私は「もしかしたら、全部食べられる？」って、期待してました
でも、半分だけ…
私は、がっかりしました
でも、父は、食べたいものを食べて、満足したようでした。
実は、「父と、ラーメン店に行けるのは今日が最後」と思ってたんですよ。
ところが、次も、「ラーメン食べよう」って言ってくれたんです。
それまで、私は、父と２人で外食をしたことがありませんでした。
なので、嬉しくて嬉しくて…
それから、父と私は、一緒にラーメンを食べるのが楽しみになりました
水中歩行した後のラーメンは、最高に美味しかったです
それに、美味しいものを食べながらだと、今まで話せなかったことも話せました。
それで、ますます、父と仲良くなれたんです
でも、父と外食へ行けたのは、そのラーメン店が最後になりました。
父と食べた味噌ラーメンの味は、今でも忘れられません
今日は、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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