太田弦&九響、亀井聖矢:ショパン;ピアノ協奏曲第1番, ショスタコ; 第5番他 (定期演奏会) | Wunderbar ! なまいにち

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まだまだひよっこですがクラシック大好きです。知識は浅いがいいたか放題・・・!?

2024. 4. 11 (木)   19 : 00 ~  福岡シンフォニーホールにて

 

<第420回 定期演奏会>

~太田弦 x 亀井聖矢 若き才能の共鳴~

 

ショスタコーヴィチ:祝典序曲 イ長調 Op.96

 

ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11

(ソリストアンコール)

ショパン:ポロネーズ 第6番 イ長調 Op.53「英雄ポロネーズ」

 

ショスタコーヴィチ:交響曲 第5番 ニ短調 Op.47「革命」

 

 

ピアノ:亀井聖矢

指揮:太田弦

九州交響楽団

(コンサートマスター:扇谷泰朋)

 

 

 

やっと今月中に書けたあせる 4月11日に行ったコンサートの話です。

 

いよいよ新シーズンがスタート。今年からは今年30歳になられる太田弦氏が九響の首席指揮者に就任された。また、ミュージック・アドバイザー(今まではそんなポジションはなし)に「マロ」こと篠崎史紀氏が就任、新体制となった。

おふたりの記事があったので載せておきます下差し

 

 

で、しょっぱなの定期演奏会は2日公演! 残念ながら2日目は平日の昼公演だったので、私は参加できなかった汗(新年度始まってすぐの平日昼とか仕事休めませんことよイヒ

 

行ったら、開演10分前に太田さんのプレトークがあった。これからは定演の時は指揮者に?プレトークを毎回してもらう、と仰っていたけどデュトワもするのかしら?指差し 高関さんを見習ってのことかもしれないけど個人的には別にプレトークなくてもいいんですけどね(←あまのじゃく)

とはいえ、途中からは今日のソリストの亀井さんも出てこられた。亀井さんの出演は太田さんのたっての希望だったそうだ。亀井さんはショパンに取り組む難しさや太田さんが年上とは思えないwことなどお話されていた。

この日は亀井人気もあってか、満席ではないがいつもの定演よりはだいぶ客席も埋まっていた。

 

以下曲については月刊誌「九響」内の高坂葉月氏の解説も一部参考、引用している部分もあります。

 

 

最初はシーズン幕開けにふさわしい、ショスタコーヴィチ (1906-75)「祝典序曲」

ショスタコーヴィチの生涯については彼の命日の8月9日に書いたことがあります下差し

 

 

メモ 元々は1947年に10月革命30周年の記念演奏会に向け作曲されたが、当時はなぜか演奏されなかった。7年後の1954年11月に10月革命37周年記念演奏会に際してボリショイ劇場管の指揮者から突然声がかかり、ショスタコーヴィチはわずか3日間で先の楽譜から指揮譜とパート譜が書き上げられ初演 (1954年11月6日 ボリショイ劇場) に至った。 スターリンの死の翌年に完成されたことから、スターリン体制からの解放を密かに祝って作曲されたのではないかと訝る説もある。

金管楽器による三連符のファンファーレで始まる冒頭は、自身が作曲した、こどものためのピアノ曲集より「誕生日」の冒頭を思わせる。

 また、この曲はショスタコーヴィチが指揮を振った唯一の楽曲だそう(1962年11月 ゴーリキー・フィルハーモニー管弦楽団)。ショスタコーヴィチは、序奏のファンファーレに続く主部の速度について「速ければ速いほどいい」と度々語っていたという。1980年にはモスクワ・オリンピックでも演奏された。

 

この曲を生で聴くのは2度目。前回は2019年11月にインバル&都響で聴いた。

この時は金管のバンダ隊がP席の最後列に並んで吹いていた(サントリーホール)が、この日は

舞台上手の後ろにずらっと並んで吹いていた。下差し

 

これは開演前の写真ですが、舞台上手後方の横一列に椅子が並んでる所です

 

この日は先の小泉さんの定演、東京公演と同じく弦は16型で扇谷さんと西本さんのダブルコンマスだった。九響の力の入れ具合がうかがえるな~にやり

金管はもちろん、全体的にも勢いのある演奏でとても素晴らしかった。

16型でも、ちっちゃい身体でも、指揮棒を持たない太田さんは時に飛び跳ねるかのような全身を使った振り。 両足を指揮台にどっしり踏みかまえるとその二本足は微動だにしない小泉さんの指揮とはとても対照的よね~と思いつつ観ていた。

 

 

2曲目はショパン (1810-49)ピアノ協奏曲第1番。ソリストは亀井聖矢さん。私は初聴き。

ショパンの生涯についても過去に書いたことがあります下差し

 

 

今まで書いてなかったこの作品に関する豆知識を高坂葉月氏の曲解説から書いておきます。

 

メモ ショパンはこの作品を名刺代わりにパリでの活動を開始したが、カルクブレンナーは眼前でこの曲を弾いたショパンに魅了され、指導を申し出たり演奏会企画を通してショパンのパリデビューを支援したといわれる。指導は実現はしなかったものの、ショパンはこの作品をカルクブレンナーに献呈した。

 ショパンの協奏曲についてはオーケストレーションの「薄さ」がよく指摘されてきた。ベルリオーズは『すべての関心がピアノに向けられており、オーケストラは感情表現に乏しく、実際のところ不要』とまで言ったとされる。しかしショパンが書いた当時の協奏曲は、現代のようにソロとトゥッティが対等に協奏するのが唯一の形というわけでもなく、ショパン自身もワルシャワでは室内楽版で練習していたそう。

 

で、実際の演奏について。

結論からバッサリ言ってしまうと、亀井さんのこのショパコン1番は・・う~ん、私の好みではなかったです。あくまで亀井さんのピアノが、というより彼の弾いたこの作品の演奏が、という意味です。

以下はあくまで私の個人的感想、主観ですのでご容赦ください(反論多々あると思いますがあくまでド素人の個人の勝手な感想です)。

 

亀井さん自身もまだ試行錯誤してらっしゃるのでは、と思った。

ラフマやプロコのように技巧を前面に、という作品ではないからこそその人のテクニックに頼らない部分、本質が試されるのかもしれない(モーツァルトのピアノ協奏曲が一番難しいのでは、と私が勝手に思ってるように)。 だからこそちょこちょこと出てくるワクワクさせるようなスケールや旋律、跳ねるようなリズムの場面で本領発揮かなと思っていたが、期待していたほど指も回っていなかったし粒立ちもいまひとつ、リズム (例えば第3楽章出だしとか)にも完全に乗れていないような気がした。

 

この曲、最近では3月にはアヴデーエワで、昨年秋にはブルース・リウで聴いているが、アヴデーエワはやや荒かったがw ブルース・リウと比べてもやっぱり全然違う気がしてしまった。

同じ九響でいえば辻井伸行さんの演奏なんかは私のベスト1,2を争うくらい素晴らしかった。

 

アンコールで弾いた「英雄ポロネーズ」も然り。なんかね、しっくりこなかった・・・

同曲はたとえば昨年藤田真央さんで聴いたが、曲の構成、両手のバランス、一音一音に至るまでが全然違う気がしてしまった(比べることはよくないと思いますが)。

 

ただ前述したように今はまだ試行錯誤の時期なんだろうと思う。

たとえば反田さんもショパコンに出場する2年ほど前に聴いたショパンのリサイタルや、この協奏曲1番は反田節ばっかりでじぇんじぇんしっくりこなかったものw それが彼のショパンもどんどん変わっていって、コンクールに出場したときの彼のショパンはとても説得力があって素晴らしかった。 なので私はむしろ亀井さんの今後ののびしろにすごく期待できるな!と思った。

 

九響はとてもよかった。第2楽章のピアノとの掛け合いのフルート、オーボエ、ファゴットなどがピカイチだった。 ただちょこちょこあるホルンソロがやや強すぎた感も・・(太田さんの指示なのかな)

 

亀井さんは2月にお父様を亡くしていらしたとか。(ツイッターで知りました)

お父様は40代でらしたそうで、この年齢で親との別れを経験しなければならなかった亀井さんがどんなにお辛かったか・・ まだまだ父親に甘えたい、悩みを聞いてほしいご年齢でしょうに。 なんでも前向きな亀井さん、どうぞこれからも益々ご活躍されますように。

 

これは2日目の演奏終了後の様子

 

 

 

後半はショスタコーヴィチ (1906-75)交響曲第5番

私が聴いたこの曲の実演のベスト1は2019年3月にこれまたインバル&都響で聴いた(このときはアクロス福岡)もの。フェドセーエフ&TSOもよかった。

音源ではなんといってもムラヴィンスキー&レンフィル。中でも来日時の大阪公演でのものはそりゃあすごいにやり

 

この曲は最終楽章がとても盛り上がるのでそれを楽しみに聴く方も多いだろうと思うが(私も最初はそうだった)、私がこの作品の中で最も注目するのはなんといっても第3楽章(⇒ネクラなんでね・・イヒ)。

 

この日の演奏は太田さんの若さあふれるエネルギッシュなもので勢いもあり、最終楽章なんかもめっちゃよかった。 ただ、うおー、すごい!とは思ったものの、インバルさんの時のように涙がポロポロ出るような琴線に触れるような演奏ではなかったかも。

 

第2楽章の”整然さ”と”狂気”、”アイロニー”がないまぜになったような空気感、第3楽章のまさに”陰鬱さ”、”悲痛さ”、”諦観” すすり泣くような弦・・そういう域に達するまであともう一歩、というところだったかなぁ(あくまで主観です!たびたびえらそーですみません)。

この作品が書かれる背景、ショスタコの置かれていた状況、などなどを鑑みると、太田さんのこの日の5番は、優等生的演奏、すっきり、さっぱりしていて、そういう裏の”血を吐くようなドロドロしたもの”がまだまだ足りない気がした。

 

ただ1点、第3楽章の大村さんのフルート・ソロ、これがめちゃめちゃ素晴らしかったキラキラキラキラ その際のさざ波のような弦も相俟ってこの時だけ思わず流涙・・えーん

大村さん、聴く毎にどんどんすごくなる。本当に素晴らしかった。

 

2日目はもっと修正するんだろうな~と思っていたら、2日目の演奏はとても素晴らしかったそうです。ブロ友のチャーリーさまが曲解説ととともに詳しく書いてらっしゃるのでリンクさせていただきます (いつもありがとうございます)下差し

 

 

ショスタコ好きとしては、今後もどんどん採り上げていただきたいです。

以前やったものも含めて、全曲チクルスやってほしいな~~ぶちゅー

 

今日はあれこれ小うるさく書いてしまいましたがあせる ついでにもう一つ。

 

太田さん、カーテンコールの際、毎回最後に腕時計時計を見る仕草をして、楽譜を閉じて、「はい、これでおしまいね  (ニッコリ)」というジェスチャーをされるが、あれやめていただきたいです。あの仕草、私だいっきらいですねん。 お師匠さんの高関さんの真似なんでしょうけど、あれいらんちゅうねんぶー 

私らは別にアンコールを要求して延々と拍手してるわけではないです。 

それに九響の場合は、タイミングを見計らってコンマスの合図で団員さんたち全員が客席に向かってお辞儀をしてくださいます。 別に指揮者が時計をみる仕草しなくたってちゃあんと終わりますよ指差し 一生懸命拍手をしている我々に水をさされるように思えて毎回がっかりします。

このジェスチャーし続けるたびに私もしつこく書くと思いますw

 

 

you tubeで今回の公演の様子、太田さんへの取材などが動画にアップされています。

地元の九州朝日放送で放映されたものです。

 

来月は下野さんの定演。シェーンベルクの凝った選曲あり、楽しみです。