バイオマス発電を活用して事業を行いたいが、どんなものがあり
収益性があるのか知りたい方向けに、身近なものに例えながら解説します。
バイオマスとは、
生物資源(bio)の量(mass)を表します。
再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものと定義します。
バイオマス発電は、
生ゴミや植物や汚泥などの生物由来の廃棄物を原料にして
過程では、そのまま燃焼(直接燃焼)、ガス化させて燃焼(熱化学的変換)、発酵させて出たガスを燃焼(生物化学的変換)させ
タービンやスターリングエンジン、ディーゼルエンジンなどで発電させます。
原料に合わせたプロセスが重要で、単一原料で単一サイズが最良ですが
現実は混載が多く課題が山積みです。
とはいえ、バイオマス発電は原料がリサイクル品や副産物が多いため
SDGsの電源として期待が高く、再生可能エネルギーの一つとなっています。
バック・トゥ・ザ・フューチャー2のデロリアンがタイムスリップに必要なエネルギーを生ゴミから取り出していました。
バイオマス発電の私のイメージです。
雷に関して書いたブログでデロリアンについて解説しました。
こんにちは、成功電気の今井です。
愛知県北名古屋市で住宅の電気設計を20年ほど続けています。
主に住宅の蓄電池、太陽光発電、V2Hやスマートホームの
設計施工を500件以上実施しています。
もくじ
原料の量と種類に合わせたプロセス
木質ガス化発電とは
バイオガス発電(メタン発酵)とは
ボイラー発電とは
地域、事業に合わせて選択する
電気の消費方法(売ったり使ったり)
まとめ
関係法令について
先日バイオマス発電についての相談をいただきました。
コージェネレーションとするか
原料受入時に売上げにでき、発電した電気を自家消費できるか
原料の量と種類に合わせたプロセス
ボイラー、木質ガス化、バイオガスなどがあり
使用する原料に合わせた発電方法を選択する必要があります。
原料(廃棄物など)→燃料(ペレット・ガスなど)→電気
の過程を経ていきます。
バイオマス発電は年間8000時間稼働させて採算を合わせるケースが多い為
ざっくり効率いいタイプで40KWの発電設備なら一日1トン前後の原料が必要となります。
例えば
ボイラータービン発電は10000KW以上で発電効率が良くなります。
東南アジアで大量に廃棄されるパーム殻(PKS)を使用することで安定した物量の仕入れが可能となります。
また、ボイラータイプでは
ボトミングサイクル バイナリーサイクル発電では小規模でも発電効率が悪化しにくく
混載に強く、IHIやコベルコなどが開発しています。
木質ガス化の場合、ヨーロッパメーカーが強く、間伐材をチップ又はペレットにして発電します。
間伐材は搬送コストがかかるため半径50km程度の収集の
小規模でも発電効率が下がりにくいこの発電を導入するケースが多いです。
バイオガスは、臭いの問題や副産物の問題により事業性が難しい発電です。
焼酎のカスや、コメ殻などで研究が進んでいます。
木質ガス化発電とは
間伐材などの幹や枝を乾燥させ蒸し焼きにすると、可燃性ガスとチャー(黒い灰みたいなもの)とタール
が発生します。
この可燃性ガスを発電機の燃料にして発電する方法です。
STE(スターリングエンジン)、ディーゼルエンジン発電機などを使用します。
燃料はチップ、ペレット→剪定枝や間伐材 6cm程度の太さ以上
葉や草はNGです。
原材料の品質が悪いとタールがガス化設備に付着し、運転を頻繁に停止し清掃が必要となり
最悪発電できなくなります。
副産物のチャーは、近年肥料としての研究が進んできています。
山間部で林業が確立している地域に最適な発電方法となります。
50KW前後からガス化炉と発電設備が一体となったコンテナが数千万円からあります。
固定買取単価は、間伐材40円、剪定枝など24円
バイオガス発電(メタン発酵)とは
バイオガス発電についてはメタン発酵発電とも言います。
牛のげっぷに含まれるメタンガスが温室効果ガスとして有名ですが
草などを発酵させるとメタンガスが発生します。
メタンガスは可燃性なので、濃度を高めれば燃料として使用することが可能となります。
原料は、草や木材、生ゴミなどを利用可能です。
ただ嫌気性(臭い)なので、人が住んでいる地域ではハードルが高い発電方法です。
湿式と乾式とあり
湿式は仕分け不要、乾式は醗酵に適した単一材料の調達が必要
廃棄物としての受入コストが高く、コジェネが可能となっています。
副産物として出る発酵物は処理に困る物質ですが、堆肥とすることは可能です。
メタンガス発電設備は50KW前後で数千万円程度
発酵設備が高価で1億円は超えてきます。
2021年固定買取単価が39円
ボイラー発電とは
産業革命の立役者として登場したボイラー
機関車や蒸気船など、以前は車にも利用していたそうです。
大型化することで効率が高くなり採算性が良くなります。
パーム殻などをボイラーで燃焼させ、蒸気でタービンを回します。
10000KWで数十億円規模
固定買取単価は農産物の副産物で24円
その他、小型バイナリー発電を利用する方法もあり
代替えフロンの問題で国内メーカーの販売は止まっていますが
一部海外メーカーがバイオマスを利用した小型バイナリー発電設備を販売しています。
20~50KWクラスからあり、数千万円~の投資が必要です。
固定買取単価は建設業産廃13円、一般廃棄物17円など
地域、事業に合わせて選択する
どこからスタートしているか
1,地方自治体
2,森林組合、林業
3,産業廃棄物処理業者
4,食品取扱業者
5,再エネ業者
6,設計士、施工業者
7,温泉やスーパー銭湯、ゴルフ場
8,老人ホームや病院
9,園芸農家など
ボイラーとしては発電はおまけだったりします。
その他の方法として
エタノールを作り販売する方法もあります。
費用対効果→どの発電システムを選択するべきか、どこに相談するべきか
好ましいのは、各業者が連携して行うことでより大きいメリットが期待できます。
電気の消費方法(売ったり使ったり)
全量売電として、固定買取制度を活用する方法以外に
1,自家消費(敷地内設置、自営線設置)によるPPAの活用
差分計量による他発電との組み合わせ
2,自己託送
などパターンに合わせた消費方法があります。
2022年度より50KW以上の固定買取制度では
既存のFITによる売電方法以外に
FIPプレミアム単価による売電方法も始まります。
まとめ
発電出力KW当たりの初期コスト100万円/KWとし、太陽光発電30万円/KWとした場合
バイオマス発電年間8000hとして、太陽光発電(1100KWh/年)と比較すると
バイオマス発電 年間100万円÷8000KWh=125円/KWh
太陽光発電 年間30万円÷1100KWh=272円/KWh
バイオマス発電の発電機は4~5年で更新が必要となり、原料も必要となりますので単純に比較は難しいですが
安定した発電が可能なため、BCP対策として優れています。
国内に原料があり、原発や石油と比べても原料の安定した供給を期待できます。
とはいえ
バイオマスの原料は、石油で例えれば原油となり
ガソリンや灯油、重油などに精製します。
しっかりと精製された燃料でないとエンジンやボイラーの故障の原因となるのは
石油機械もバイオマス発電も同様です。
特にバイオマス発電は年間8000時間稼働とほぼ24時間動かし続ける設備のため
念には念を入れ、確実なプランを立てることが必要です。
バックトゥーザフューチャー2のデロリアンに投入している量では大した出力が出せないため
「あれは、ひょっとすると核融合炉による発電かもしれない」などと妄想している今日この頃でした。
関連情報リンク
現行の電気保安制度について
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/140805siryou04.pdf
木質ペレット 規格 EN plus A1
FIPについて
機械の納期
スターリングエンジン
ピストンエンジン
公道を跨ぐ、熱導菅及び自営線の敷設実績
剪枝(更新) 約5年に一度、樹高50cm程度の高さまで刈り落とす中切り
file:///C:/Users/chanm/Downloads/%E5%B0%8F%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E6%9C%A8%E8%B3%AA%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%9E%E3%82%B9%E7%99%BA%E9%9B%BB%E5%88%A9%E7%94%A8%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF.pdf
小規模木質バイオマス発電利用導入ガイドブック
"PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうち、
(6)公共施設の設備制御による地域内再エネ活用モデル構築事業"
"地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入
推進事業"
木質産業廃棄物バイオマス発電による事業性評価
PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
https://www.env.go.jp/guide/budget/r04/r04juten-sesakushu/1-1_03.pdf
原料について
チップかペレットか、
木質ペレット 規格 EN plus A1
地域活用要件について
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/065_01_00.pdf
資源エネルギー庁 FIT(FIP)廃棄物・その他のバイオマス 17円 20年
FIPとすることで、プレミアム単価となる
一般社団法人バイオマス発電事業者協会
一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会
「雑草」がエネルギー源に!? 名城大が発電
農学部、理工学部、都市情報学部、人間学部の教員が参画
持続可能イノベーション社会創成センター代表の大場正春
固定買取価格39円(メタン発酵ガス)
北海道音威子府村 バイオガス発電・熱利用(ソバ茎葉、遊休地雑草、生ごみ等)、堆肥化(家畜排せつ物)、飼料・敷料化(牧草、河川敷雑 草)
京都府京都市 バイオガス(生ごみ、下水汚泥)、固体燃料化(林地残材、剪定枝等)、液体燃料化(生ごみ、紙ごみ)、BDF(廃食用油)
北海道幌延町 バイオガス発電、熱利用、液肥化、敷料化(家畜ふん尿)、固形燃料化(剪定枝、使用済み紙おむつ)
福岡県朝倉市 バイオガス発電(食品廃棄物)、木質バイオマスの市内需要創出、堆肥化(刈草等)
三重県南伊勢町 バイオガス発電、熱利用(下水汚泥、食品廃棄物、資源作物)、固形燃料化(食品廃棄物、草木系廃棄物、紙ごみ、も み殻、害獣、資源作物)、耕作放棄地における資源作物の栽培
関係法令について
発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十一号)
第八章 ガス化炉設備
(離隔距離)
第五十五条 ガス化炉設備(管及びその附属設備を除く。以下この条及び次条において同じ。)は、その外面と発電所の境界線(境界線が海、河川、湖沼等に接する場合は、当該海、河川、湖沼等の外縁)との間に、ガスの漏洩又は火災等による危害を防止するために、保安上必要な距離を有するものでなければならない。
2 ガス化炉設備は、その外面から住居の用に供する建築物、学校その他別に告示する物件との間に、ガスの漏洩又は火災等による危害を防止するために、別に告示する距離を有するものでなければならない。
(保安区画)
第五十六条 ガス化炉設備は、ガスの漏洩又は火災等による危害を防止するために、設備の種類及び規模に応じ、保安上適切な区画に区分して設置し、かつ、設備相互の間には保安上必要な距離を有するものでなければならない。
(ガス化炉設備の材料)
第五十七条 ガス化炉設備(ポンプ及びガス圧縮機を除く。次条において同じ。)に属する容器及び管の耐圧部分に使用する材料は、最高使用温度において材料に及ぼす化学的影響及び物理的影響に対し、安全な化学的成分及び機械的強度を有するものでなければならない。
(ガス化炉設備の構造)
第五十八条 ガス化炉設備の耐圧部分の構造は、最高使用圧力又は最高使用温度において発生する最大の応力に対し安全なものでなければならない。この場合において、耐圧部分に生ずる応力は当該部分に使用する材料の許容応力を超えてはならない。
(安全弁)
第五十九条 ガス化炉設備であって過圧が生ずるおそれのあるものにあっては、その圧力を逃がすために適当な安全弁を設けなければならない。この場合において、当該安全弁は、その作動時に、安全弁から吹き出されるガスによる危害及びガス化炉設備の過熱が生じないように施設しなければならない。
(給水装置)
第六十条 ガス化炉設備に属する容器(水等の熱媒体を加熱して蒸気を発生させるもの又は水により熱的保護を行っているものに限る。以下この条、次条及び第六十二条において同じ。)には、ガス発生量が最大状態である時の連続運転時において、熱的損傷が生ずることのないよう水を供給できる給水装置を設けなければならない。
2 設備の異常等により、前項の給水流量が著しく低下した際に、急速に燃料の送入を遮断してもなお容器に損傷を与えるような熱が残存する場合にあっては、当該容器には、当該損傷が生ずることのないよう予備の給水装置を設けなければならない。
(蒸気及び給水の遮断)
第六十一条 ガス化炉設備に属する容器の蒸気出口(安全弁からの蒸気出口及び再熱器からの蒸気出口を除く。)は、蒸気の流出を遮断できる構造でなければならない。ただし、他の容器若しくはボイラーと結合された容器以外の容器から発生する蒸気が供給される設備の入口で蒸気の流路を遮断することができる場合における当該容器の蒸気出口又は二個以上の容器若しくはボイラーが一体となって蒸気を発生しこれを他に供給する場合における当該容器間の蒸気出口にあってはこの限りでない。
2 ガス化炉設備に属する容器の給水の入口は、給水の流路を速やかに自動で、かつ、確実に遮断できる構造でなければならない。ただし、容器ごとに給水装置を設ける場合において、容器に最も近い給水加熱器の出口又は給水装置の出口が、給水の流路を速やかに自動で、かつ、確実に遮断できる構造である場合における当該容器の給水の入口又は二個以上の容器若しくはボイラーが一体となって蒸気を発生しこれを他に供給する場合における当該容器間の給水の入口にあってはこの限りでない。
(ガス化炉設備の水抜き装置)
第六十二条 ガス化炉設備に属する容器には、水の濃縮を防止し、及び水位を調整するために、水を抜くことができる装置を設けなければならない。
(ガスの漏洩対策)
第六十三条 ガス化炉設備には、当該設備からのガスが漏洩した場合の危害を防止するため適切な措置を講じなければならない。
(静電気除去)
第六十四条 可燃性ガスを通ずるガス化炉設備であって、当該設備に生ずる静電気により引火するおそれがある場合にあっては、当該静電気を除去する措置を講じなければならない。
(防消火設備)
第六十五条 ガス化炉設備(可燃性ガス、毒性ガス又は酸素を通ずるものに限る。)には、その規模に応じて適切な防消火設備を適切な箇所に設けなければならない。
(計測装置)
第六十六条 ガス化炉設備には、設備の損傷を防止するため運転状態を計測する装置を設けなければならない。
(警報及び非常装置)
第六十七条 ガス化炉設備には、運転に支障を及ぼすおそれのあるガスの状態を検知し警報する装置を設けなければならない。
2 ガス化炉設備には、運転中に生じた異常による危害の発生を防止するため、その異常が発生した場合にガスの流出及び流入を速やかに遮断する装置を適切な箇所に設けなければならない。
(ガスの置換)
第六十八条 ガス化炉設備のガスを通ずる部分は、不活性ガス等でガスを安全に置換できる構造でなければならない。
第九章 可燃性の廃棄物を主な原材料として固形化した燃料の貯蔵設備
(湿度測定装置)(気体濃度測定装置)(燃焼防止装置)(消火装置)
第九章の二 スターリングエンジン及びその附属設備
主任技術者選任義務・主任技術者職務誠実義務(第43条)
"電気に起因する災害及び障害の防止の観点から、事業用電気工作物の設置者には、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督を行う主任技術者の選任義務を課しています。
また、選任された主任技術者には、適切な職務遂行を行っていただく必要があることから、誠実義務を課しています。"