ガイ・リッチー監督、ジェイソン・ステイサム、オーブリー・プラザ、バグジー・マローン、ケイリー・エルウィス、ジョシュ・ハートネット、ヒュー・グラント、ピーター・フェルディナンド(マイク)、ロールデス・ファブレス(エミリア)、マックス・ビーズリー(ベン・ハリス)、エディ・マーサンほか出演の『オペレーション・フォーチュン』。

 

英国諜報局MI6御用達の敏腕エージェント、オーソン・フォーチュン(ジェイソン・ステイサム)は、100億ドルで闇取引されている「ハンドル」と呼ばれる危険な兵器を追跡・回収するミッションを遂行することに。MI6のコーディネーターであるネイサン(ケイリー・エルウィス)、毒舌の天才ハッカーのサラ(オーブリー・プラザ)、新米スナイパーのJJ(バグジー・マローン)とチームを組んで行動をスタートさせたフォーチュンは、能天気なハリウッドスターのダニー・フランチェスコ(ジョシュ・ハートネット)を無理矢理任務に巻き込み、億万長者の武器商人グレッグ(ヒュー・グラント)に接近する。しかし、次第に闇取引の裏に隠された巨大な陰謀が明らかになっていく。(映画.comより転載)

 

2021年の『キャッシュトラック』に続くガイ・リッチー監督の最新作(ってゆーか、すでに次回作もアメリカでは公開済みだが、それ以外の国ではAmazon Primeでの配信)。

※追記:『コヴェナント/約束の救出』は2024年2月23日に日本で劇場公開。

 

2019年の『アラジン』、2020年(日本公開2021年)の『ジェントルメン』と、ここのところ好調なガイ・リッチー作品、しかも前作に続いて髪よりも髭の方が濃い「できるハゲ」ジェイソン・ステイサム主演ということで迷わず鑑賞。

 

 

 

それにしても、ステイサムはどんだけ映画に出演してるんだか^_^; 来年1月に日本公開の「エクスペンダブルズ」最新作の予告篇もやってたし、日本では公開されるのかどうか知らないけど、さらなる新作も控えている。トバしてるなぁ(^o^)

 

で、観てみたんですが、デンゼル・ワシントン主演の『イコライザー3』に続いて、面白かったです。

 

MI6のエージェント、といえば007だし、そして「チーム物」で世界中を飛びまわる、というところはジェイソン・ステイサムも出ている「ワイルド・スピード」シリーズ、あるいはトム・クルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」シリーズと、さまざまなタイプの作品があるわけだけど、派手なVFXや超人的な力技で強引に展開していく「ワイスピ」や、今やほんとのスタントアクションが売りの「ミッション:インポッシブル」とは違って、しっかり「スパイ映画」として、どう敵を欺くか、主人公たちの難関突破の模様を楽しむ映画になってました。

 

 

 

確かにステイサムは相変わらず大人数を相手に闘っても負けないような無敵ぶりを発揮しているんだけど、「ワイスピ」や「エクスペ」ほどムチャクチャにド派手なアクションをキメるわけではなくて、要所要所で格闘や銃撃の腕を披露する。メンバーは4人、そのうちの一人はただ命令してるだけなので(ほんと、あいつ=ネイサン、他に何かやってたっけ)実質3名でミッションを遂行する。

 

無駄な人員はおらず、全員有能なのでお笑い要員もいない。

 

まさに現代版007って感じなんだけど、セクシュアルな描写は一切なくて、「ワイスピ」みたいにおねえちゃんのケツのアップが映ったりもしない。

 

紅一点で活躍するサラも、彼女が劇中で演じる役柄上、色っぽさをほのめかしはしていても、性的な魅力を利用することはなくて、ハッキングが得意で銃も的確に使いこなすプロフェッショナルとして描かれる。

 

サラ役のオーブリー・プラザはちょっとレディー・ガガを思わせる顔つきで、貫禄ある演技が素敵。いわゆる「綺麗どころ」みたいな扱いじゃなくて、頼れるメンバーの一人というポジション。彼女がいなければミッションは完遂できない。

 

 

 

 

JJ役のバグジー・マローンも同様。新人、という設定ながら「ワイスピ」のお笑い担当みたいなジョークを飛ばしまくったりマヌケ役をやらされたりはせず、主人公・オーソンを常にバックアップする。

 

プロたちが仕事してる、って感覚が伝わってくるので、観ていて小気味よくて、単身で敵と闘うイコライザー/デンゼル・ワシントンとはまた異なる面白さがあった。

 

チーム物だからメンバー同士の情報のやりとりで話が進んでいくし、思わぬアクシデントにハラハラしたりもする。

 

でも、時折軽口を叩きながらも、全員が“プロ”だから誰もアホみたいなヘマはしないし、観ていてイライラすることはない。

 

『ジェントルメン』や『キャッシュトラック』がそうだったように、荒唐無稽、とまではいかないさじ加減が絶妙で、けっして「なんでもあり」じゃないところがいいんですよね。

 

ギリ登場人物たちが生身の人間に見える。

 

だからこそ、もしも失敗したら、というサスペンスがちゃんとあって、ストーリーと出演者たちの演技の応酬で見せてくれるから、この手の映画でありがちな観ている途中でだんだんどうでもよくなってきたりすることもない。

 

盗まれたものがなんなのかすらわからない、などという人を食ったようなミッションが現実にあるのかどうかはともかく、最初からあからさまに「マクガフィン」だと宣言しているようなもので、そんないい加減な代物の争奪戦を楽しく見せきってしまうところが頼もしい。

 

まぁ、ガイ・リッチーってそもそも『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や『スナッチ』など、悪党とかチンピラたちがワチャワチャやってる映画を撮ってきた人で、別にド派手なアクションのつるべ打ちみたいな作品専門の人じゃないので(でも、必要なところにはしっかり見映えのする場面も入れる)、お話の筋の面白さを追求しているんだな。そこはとても心強いところ。

 

来週公開予定のロバート・ロドリゲス監督、ベン・アフレック主演の『ドミノ』にも期待しているんだけど、どうなんでしょうね。

 

「どんなに報酬を積まれても、ぜってぇ休暇を取る」と言い張るオーソンはいかにもステイサムっぽいキャラだし、高級ワインをガンガン飲み干しちゃったりカンヌに行ったり、なんか地味におフランス(この映画の英題“Operation Fortune: Ruse de guerre”のRuse de guerre(ルセ・ド・ゲール)とはフランス語で“軍略”という意味)をイジってたり。

 

結局、オーソンたちが追っていたのは超高性能のAIだったことが判明して、なんだ、トムさんの映画と一緒じゃーん、と(;^_^A

 

「ワイスピ」でもAIは出てましたが。

 

そういえば、ネイサン役のケイリー・エルウィスは『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』にも出てましたね。ちょい癖のある人物を演じることが多い俳優さんだけど、僕にとってはいつまでも『ツイスター』で車ごと吹っ飛んでた人。

 

 

 

ハリウッド映画は“AI”という便利なオモチャを手に入れて、悪役やお宝役に使いまくってますねぇ。特定の国を敵として描かなくても全部AIにしちゃえばいいんだから。現実の世界ではそれどころじゃないと思うんだけど。

 

ジョシュ・ハートネットは前作ではほんとにチョイ役だったけど、今回はもっとお話の本筋に絡ませてもらえてよかったね(笑)

 

 

 

今回も微妙にバカにされてるような役だけど、裏社会の人間たちにまで人気のある“ハリウッドスター”役をかつてはハリウッドの大作映画で主演も務めていた彼が演じる、というのもセルフパロディめいていて可笑しいし、実際にはジェイソン・ステイサム自身だって大人気のハリウッドスターなんだから、メタフィクショナルな面白さも感じる。

 

中国系の扱いが雑なのは相変わらずだけど。

 

ヒュー・グラントが『ジェントルメン』に続いて食えない奴を演じていて、今回は悪役かと思ったら、最後はやっぱり退治されることなくしぶとく生き残ってました。こういうポジションに活路を見出したのかな。

 

 

 

ヒュー・グラントもケイリー・エルウィスももともとは“美形”で売り出した人たちだけど、二人とも今ではいかにも何か企んでそうなイケオジを飄々と演じてますね。

 

そーいえば、エディ・マーサンはいろんな映画でヒドい目に遭わされてますが(『ジェントルメン』では豚と大変なことになってたよーだしw)、今回はMI6のお偉いさんの役だったので無事でした。

 

前作、前々作同様、観客であるこちらにはなんのかかわりもない犯罪物、スパイ物なので、観終わって即行で内容を忘れるし、それで全然構わない映画ですが、こういう作品は必要だ、ってつくづく思いますね。上映時間も114分で2時間以内だし。

 

マーティン・スコセッシの3時間半の映画みたいなのしか世の中になかったら、それはそれでしんどい(いや、ディカプリオ主演のあの映画は観るつもりですけどね)。

 

大傑作だとか映画史に残る名作とかではないでしょうが、なかなか楽しい快作でしたよ。

 

 

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