ドルフ・ラングレン2連発(でも主役じゃないよ)。

 

2本ともにネタバレがありますので、これからご覧になるかたは鑑賞後にお読みください。

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  エクスペンダブルズ ニューブラッド

 

 

スコット・ウォー監督、ジェイソン・ステイサム、シルヴェスター・スタローン、ミーガン・フォックス、イコ・ウワイス、ランディ・クートゥア、カーティス・“50セント”・ジャクソン、ドルフ・ラングレン、ジェイコブ・スキピオ、レヴィ・トラン、トニー・ジャー、アンディ・ガルシアほか出演。2023年作品。R15+。

 

自らを「消耗品」と名乗り、CIAから依頼される数々の難関ミッションを乗り越えてきた最強の傭兵軍団「エクスペンダブルズ」を率いるバーニー・ロス(シルヴェスター・スタローン)は、CIAからの新たな依頼にこたえるため、かつての相棒であるリー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)を訪ねる。バーニーと再び組むことを決意したリーがエクスペンダブルズのアジトに足を運ぶと、そこにはかつての仲間たちに加え、新たなメンバーも顔をそろえていた。新戦力を迎えたエクスペンダブルズが挑む今回のミッションは、テロリストが所有する核兵器を奪還すること。もし失敗すれば第3次世界大戦が勃発しかねないという危険なものだった。(映画.comより転載)

 

「エクスペ」シリーズ第4弾。2010年公開の1作目からほぼ2年おきに続篇が作られていたのが、前作『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』から、なんとほぼ9年ぶり。ずいぶんかかったなぁ。

 

第1作からもう13年経ってるんだよなぁ。

 

しかも、その満を持しての第4作目はそんなに評判もよろしくないような…。

 

まぁ、これまでずっと観てきたんだし、久々の新作だからせっかくなので観てきましたよ。

 

…うーん、まぁ、ちまたでの評価が微妙な理由もわからなくはないし、つまり観客が「エクスペ」シリーズに求めてるのは80年代以降のアクションスターたちが勢揃いする賑やかさなのだろうから、そこんとこで不満が出てしまった、ということなんでしょうね。

 

 

 

だって、これ「ステイサム映画」じゃん、と^_^;

 

一応、チーム物の体裁は取ってるけど、主人公はジェイソン・ステイサムだし、スタローンも途中から出てこなくなるし。

 

 

 

調子コイたインフルエンサーをボッコボコにするくだりとか愉快だったし、ステイサムは大活躍だったけど、去年観た彼主演の『オペレーション・フォーチュン』との違いは、やっぱりチーム物としての面白さの有無なんだよなぁ。

 

 

 

『マッハ!!!!!!!!』のトニー・ジャーや『ザ・レイド』のイコ・ウワイスの出演は嬉しかったけど(でも、この二人のバトルはないんだよなー。見せてくれよー)、まぁ、若干、出演者の派手派手しさには欠けていたかも。もはやシュワちゃんもジェットも出ませんし。そろそろニコラス・ケイジが出てきてもいい頃だと思ったんだけどなぁ。残念ながら彼の出演もなかった。

 

アンディ・ガルシアに殺されてしまう彼の部下を演じてたのが『七人のマッハ!!!!!!!』などのダン・チューポンだったことにも気づかなかった。…なぜ彼に闘わせない!?

 

ワイルド・スピード SKY MISSION』では悪役だったトニー・ジャー。

 

 

めっちゃ強かったのに、最後はなんかあっけなくやられるイコ・ウワイス。

 

映画の後半は大型船内での闘い、というと、スタローンとシュワが共演した『大脱出』を思い出しますが、全体的な雰囲気として、あの映画に似てるところはあったかな(50セントも出てたし)。良い意味でも悪い意味でも。

 

おなじみのドンパチはやってるし、結論から言えば僕はそこまでつまんないとは思わなかったけれど、でも、たとえばどんどん大作化していってる「ワイルド・スピード」シリーズと比べると、だいぶ規模はちっちゃくなってる気はする。ドルフ・ラングレン、あまり動かないし(ドルフのスタローンへの愛は感じる演出だったが)。

 

 

 

なんていうか、過大な期待をしちゃうとがっかりかもだけど、別に普通のアクション映画のつもりで観ればそこそこ楽しめるんではないかと。そこそこ、ってのがもったいないんですが。

 

核爆弾とその起爆装置をめぐって、第三次世界大戦の危機を回避するアクション物、というもう手垢つきまくりのなんの捻りも斬新さもない内容で、こういう映画は90年代頃にもいっぱいあったわけだから今さらどうこう言うのもなんだけど、でも去年の「バーベンハイマー」の一件でハリウッドは一線を越えた感があったし(なんと実際にあのタイトルの映画を制作する予定だということで、マジであいつらクズだと思う)、さすがにもういい加減にしとけよ、と思うんですよね、映画の中で核兵器を弄ぶのは。

 

 

 

最近はAIを悪役やマクガフィンとして使うことが多いけど、今頃まだ核兵器がどうとか言ってんのって、ほんとに化石かよ、と。

 

真面目に腹を立てるのもバカバカしいんで年明けの祭り気分で観てましたが、劇中で悪の黒幕の正体を隠してるんだけど、いや、どうせアイツだろ、と思ってた人物がそのまんま正体を現わした時にはさすがに失笑した。頭悪い脚本だなー。

 

ちょっと前に「午前十時の映画祭」で『ブラック・レイン』を観たばかりなので、急に30年分年を取ったように見えるアンディ・ガルシア。

 

「トランスフォーマー」シリーズのミーガン・フォックスがステイサムの恋人役で冒頭からヒステリックにキレ散らかしてて、彼女の描かれ方、ステイサムの彼女のあしらい方など、ほんとにこれは2023年の映画か?と目と耳を疑うような代物だった。

 

ミーガン・フォックス演じるジーナは、そのあとでエクスペンダブルズ(消耗品軍団)の一員として闘うので、ただわめいてるだけのキャラではなかったけど、スタローン演じるバーニーがステイサム演じるリーに「家族やカノジョより仲間だろ」的なことを言うように、そのホモソーシャルな価値観はほんとに変わってない。変える気もない。

 

 

 

今回は女性のメンバーが2人いるので、そこんとこで「女性を立ててる」と言えなくもないんだけど、ジーナは結局のところリーを立てまくりだし、もう一人の女性キャラ、レヴィ・トラン演じるラッシュは途中で何度もランディ・クートゥア演じるトール・ロードと下ネタで絡んで、最後には彼となんかイイ感じになってる。

 

…なんだろう、やっぱり時代錯誤があまりに過ぎる。「時代遅れ」ぶりが笑いにすらなっていない。女性の登場人物を、ただ「闘う女体」「男性キャラの“つがい相手”」みたいに描くだけではもうダメなんじゃないだろうか。彼女たち一人ひとりにちゃんと「自我」がないと。

 

鎖で闘うレヴィ・トラン姐さん (左) はステキでしたが。

 

前作のアントニオ・バンデラスの息子という設定のハイテンション下ネタ野郎(ジェイコブ・スキピオ)が出てきたりもするけど、全体的にキャラクター同士のジョークも面白くないし、「ワイスピ」みたいな感じでやろうとしてスベってる。

 

 

 

なんかもうね、ほんとに代り映えのしない人物設定、会話ばかりで(クートゥアのカリフラワー耳の話の繰り返しとか、超退屈だった)。いくらドンパチ映画だって、あるレヴェル以上の出来のシナリオじゃないと面白くはならないんだってことがよくわかる。ものには限度があるよ。

 

リーに「チビ」呼ばわりされるジャンボ・シュリンプ(マイク・メラー)って、賭けでバーニーの指輪を手に入れたのに無理やり奪い返されて挙げ句の果てに焼死体にされてしまうわけで、それはあんまりじゃないの?

 

スタローンやステイサムの方が悪者に思えてしまう。

 

 

 

そもそも、相手の背の高さをイジること自体、ほんとに呆れるほど古い。スタローンやステイサムだって人の身長のこと笑えるほどタッパないだろ。

 

映画の序盤での店内でのジャンボ・シュリンプたちとの殴り合いは、ただスタローンやステイサムの暴れっぷりを見せたいだけの「茶番」で、でも愉快な気分にはちっともならないので、あー、この映画はこういう感じで進むんだな、と。

 

ジャンボ・シュリンプ役のマイク・メラーさんってアクション映画の監督でもあるんですね。自身で主演してたりもするようで。でも、この映画じゃまったく活躍させてもらえていない。もったいなさ過ぎ。

 

 

 

そこそこ、とか言っときながらめっちゃ酷評してますが。

 

いや、この映画のいいところは上映時間が103分しかないことで、やたらと長い「ワイスピ」などに比べればさっさと終わってくれるので、鑑賞後もそんなにぐったりとはしない。最近のあちらのアクション物ってほんと長過ぎるから、ちゃんと90分から100分ちょっとぐらいに収めてくれているのはいいなと思いましたよ。

 

TVでも放送しやすいだろうし。何も考えずに観ていられる、というのは間違いないんで。

 

観終わったあとに見事なぐらい何も残らない。そういう映画も必要だよね。

 

 

第44回ゴールデンラズベリー賞、最低助演男優賞(シルヴェスター・スタローン)、最低助演女優賞(ミーガン・フォックス)受賞。

 

 

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『エクスペンダブルズ2』

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  アクアマン/失われた王国

 

 

ジェームズ・ワン監督、ジェイソン・モモア、パトリック・ウィルソン、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ニコール・キッドマン、ジャニ・ザオ(スティングレイ)、ランドール・パーク、テムエラ・モリソン、アンバー・ハード、インディラ・ムーア(カーション)、ドルフ・ラングレン、ジョン・リス=デイヴィス(甲殻類の王・ブライン)ほか出演。2023年作品。

 

はるか昔、南極の氷河の奥深くに封印された「失われた王国」。そこには、世界を滅亡させるほどの力を持つ伝説の古代兵器ブラック・トライデントがあった。ある日、アーサー・カリー/アクアマン(ジェイソン・モモア)への復讐を誓うデヴィッド・ケイン/ブラックマンタ(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)がブラック・トライデントを見つけ出し、邪悪な力が解き放たれてしまう。5億もの海の生物を操ることのできる海底アトランティスの王アクアマンは、かつてない脅威から海と地上の世界を守るため、仲間たちとともに立ち上がる。(映画.comより転載)

 

日本では2019年に公開された『アクアマン』の続篇。

 

また、2013年の『マン・オブ・スティール』から続いた「DCエクステンデッド・ユニヴァース (DCEU)」最終作。

 

DCEU作品は去年『ザ・フラッシュ』を観て、あの映画でも“スーパー人魚”アクアマンことアーサー・カリーが最後にカメオ出演してましたが、これでついにおしまいなんですね。

 

正直なところ、僕はザック・スナイダーが撮ってた頃の「ジャスティス・リーグ」関連作品は好きじゃなくて、むしろ各作品で独立した物語が描かれるようになった『アクアマン』以降の作品群の方が入り込めたんですよね。

 

『ザ・フラッシュ』は昨年観た映画の中でお気に入りの10本の中に入るほどだったし。

 

今後はジェームズ・ガンが新しいユニヴァースを始めるそうで、ヘンリー・カヴィルのスーパーマンやロック様のブラックアダムはリストラされちゃったっぽいし、アクアマンもこれが最後みたいに言われてる。

 

マーヴェル映画もそうだけど、アメコミ映画に食傷気味で(…と、ここ何年も言い続けながら観続けてきたわけだが)、まぁ、これを機にそろそろ鑑賞する作品を整理してもいいかなぁ、と。

 

今後もホアキン・フェニックスとレディー・ガガが共演する『ジョーカー』の続篇やロバート・パティンソン主演の『ザ・バットマン』の続篇など、観たい作品はまだあるから、アメコミ映画から全面撤退、ということにはならないだろうと思いますが。

 

なので、アメリカでは評価はあまり…とかいろいろ言われてはいたけれど、一つの区切りとなる作品ではあるから、まぁ、楽しもうと。

 

『エクスペンダブルズ4』もこの『アクアマン2』も、ある一つのシリーズの最後を飾る作品ということかな(「エクスペ」の方は別に最後とは明言していないが)。

 

前作は上映時間が140分以上あったのが今回は124分ということで、変に長ったらしくもなく、2時間ちょっとにまとめてくれたのはよかった。

 

アーサーとメラ(アンバー・ハード)との間にはベイビーができて、育児しながら海の悪い奴らを懲らしめる毎日を送るアーサー。

 

しかし、アクアマンに復讐を誓うブラックマンタが“ブラック・トライデント”を手に入れて、太古に氷の中に封じ込められた王国とその支配者、彼によって魔物と化した者たちの力で地球を急速に温暖化させ、おまけにアーサーの幼い一人息子、アーサー・ジュニアを狙う。

 

前作から因縁あるブラックマンタとの決着と、義弟・オーム(パトリック・ウィルソン)との真の和解、そして長らくその存在を秘密にされてきたアトランティスと地上人たちとの邂逅など、「アクアマン」の世界の物語がここで締めくくられる。

 

アーサーとオームのコンビの珍道中が見どころで、アーサーから「地上のエビ」と教えられてゴキブリを食べちゃうオーム(エンドロールのあとにも、もう一発ありますw)の天然ぶりが可愛い。

 

 

 

アーサーのお供になる青いタコのトポ、見た目はほんとにただの蛸なんだけど、これまた可愛いんだよね。めっちゃ有能だし。

 

馬代わりの巨大なタツノオトシゴちゃんも(笑)

 

辰年の今年に日本で公開したのは正解でしたね(^o^)

 

 

 

前作に続いて登場して、前作以上のパワーを手に入れたブラックマンタだけど、相変わらず頭でっかちのそのマスクのデザインは野暮ったくて、妙にユーモラスなんだよなぁ。シリアスなキャラクターなのに。

 

 

 

 

ネレウス王役のドルフ・ラングレンは『エクスペ4』よりはもうちょっと活躍するけど、オームとの微妙な関係からの──ってのが一応、ドラマの要素の一つになっている。イイ人の役が続いてるよね(^o^)

 

ネレウス王にたびたび茶々を入れるデカいカニみたいなブライン王の声を演じていたのは、去年『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』で久しぶりに顔を見たジョン・リス=デイヴィス。

 

これ、あんまり言うのもなんだけど、ニコール・キッドマンの顔が、時々「…おや?」って感じになっていて、年を取ることが許されない人はほんとにキツそうだな、って思った。

 

いや、ニコール・キッドマンさんは素晴らしい俳優だと思うんで、皺が出ようが顔の肉が垂れようが、そんなこと気にせずにこれからも心置きなく年齢を重ねていっていただきたい。

 

ジョニー・デップとの裁判でいろいろあったアンバー・ハードの出番は、予告篇の時点では「あの一瞬だけなのでは?」と笑ってる人もいたけど、意外と彼女の出演時間は長かったですね。まぁ、ほとんどは闘ってるだけで、アーサーとの絡みの芝居は少なかったけど。

 

ベイビーの母親がほとんど出てこなかったら不自然だから、物語としてはあれでよかったと思いますが。

 

環境破壊の問題をストーリーに組み込んでいる、といっても、結局のところは太古の悪の親玉だとか主人公への復讐に燃える海賊とか、観客である僕らにはなんら関係ない話なんで、あまり心に刺さるところはなかったし、やってることがマーヴェルの『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の後追いみたいなもんなので、観てる途中で飽きてきた、ってのはあった。2時間ちょっとなのに「長いなぁ」って思ってしまった。

 

何かといやぁビール飲んでるジェイソン・モモアのアニキっぷりは痛快だったし、尻切れトンボではなくてちゃんと物語を最後まで描き切ってくれたのはよかったです。

 

ジェイソン・モモアはあのキャラのまんまで今後も「ワイスピ」に出てくるだろうし(どーせ善玉になるんだろ?)、だからあまり寂しいという気持ちもないんですが、以上の2本、観終わったあとに満足感や感慨に浸るよりも、一種の虚しさや徒労感みたいなものを覚えてしまったので、シリーズ物ってのもお付き合いし続けるのはなかなか大変だな、と思ったりしました。観るのをやめるきっかけがなかなか掴めなくて^_^;

 

アクション映画やアメコミ映画に飽きたわけではないことはわかっているから、これからも「これぞ」と思う作品は劇場に駆けつけたいと思います。

 

 

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