「待て」

 建物に踏む込もうとする甲賀を、片倉が止めた。

「中には、どんな罠が仕掛けられているかわかったもんじゃない。不用意に入るな」

「しかし、犯人を逮捕する絶好の機会ですよ。ここで躊躇っていて、犯人を逃がしてしまったんじゃ元も子もない」

 甲賀は片倉の制止を振り切って、建物の中へ入ってしまった。

「馬鹿が、功名に逸りやがって」

 舌打ちをしたものの、仕方なく片倉も続く。

 中は真っ暗だ。暫く耳を澄ましていたが、人の気配は感じられない。

 先に入った甲賀の気配すら感じられないのを不審に思いつつ、片倉は慎重に足を運んだ。そのつま先に、なにかが触れた。

 スマホのライトを照らしてみると、首筋から血を流した甲賀の死体だった。

「馬鹿な、なんの物音も聞こえなかったのに、こいつはどうして殺られたんだ」

 いくら暗闇だとはいえ、わずか数メートルの距離だ。それに、甲賀が入ってから片倉が続くまで三秒と間を置いていない。

 いったい、犯人はどうやって甲賀を殺したのか?

 片倉は電燈のスイッチを探し、意を決して明かりを点けた。

 明りで照らされた部屋で片倉の目に映ったものは、甲賀の隣に犯人も同じように首筋から血を流して倒れている姿だった。

 二人の遺体の側へ寄った片倉の喉を、一陣の鋭い風が襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

歪んだ復讐(現在連載中)

歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。

姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。

複数の歩きスマホの加害者と被害者。

歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。

それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。

 

 

心ほぐします

大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。

将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。 
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか? 
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。

 

 

真実の恋?

夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。

 

真実の恋?を面白く読んでいただくために

 

 

恋と夜景とお芝居と

ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?

 

絆・猫が変えてくれた人生

会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。

無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。

その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。

小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。

 

プリティドール 

奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。

旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。

そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。

ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。

世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。

果たして、勝者は誰か?

奪われた物は誰の手に?

   

短編小説(夢

 

短編小説(ある夏の日)

 

短編小説(因果)

 

中編小説(人生は一度きり)

 

20行ショート小説集

 

20行ショート小説集②

 

20行ショート小説集③

 

僕の好きな1作シリーズ

 

魔法の言葉集