三人は追い詰められていた。
いくら助さん格さんが強いといっても、五十人を越える人数が相手とあっては、とても敵うことはない。弥七は、既に倒されている。
「ええい、控え、控えおろう」
ついに、助さんが伝家の宝刀を抜いた。
「ここにおわすお方を、どなたと心得る。恐れ多くも、前の副将軍、水戸光圀公におわせられるぞ。みなの者、頭が高い。控えおろう」
三つ葉葵の紋所が入った印籠を前に突き出し、高々と言い放つ。
が、周りを取り囲む侍たちは動じない。
「な、なにをしておる。ここにおわすお方は、前の副将軍、水戸光圀公におわせられるぞ。頭が高い」
助さんの声は上ずり、当のご隠居さんは当惑した顔をし、格さんの頬がぴくぴくと引き攣っている。
取り囲む侍を掻き分けて、ずいと悪代官が前に出てきた。
「いつまで、時代錯誤なことをやっておる。そんな紋所ひとつで、みなが頭を下げる時代はもう終わったのじゃ。今はのう、これが重宝される時代なのじゃ」
そう言って、悪代官は懐からスマホを取り出した。
三人の顔に、驚愕の色が浮かぶ。
「遠慮することはない。やってしまえ」
悪代官の言葉にみなが一斉に動き、三人はボコボコにされてしまった。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?