「目覚めよ、勇者よ。勇者よ、目覚めるのじゃ」
頭の中から聞こえてくるその声で、僕は眠りから醒めた。
上半身を起こして周りを見回してみたが、僕の居るところは、まぎれもない僕の部屋だった。なにかとてつもないものと闘っている夢を見ていたようで、僕のパジャマは汗でびっしょりと濡れている。
あまり覚えていないが、怪物にやられそうになったとき、あの声が頭で響いたのだ。
僕はシャワーを浴びようと思い、一階へ降りていった。
いつも漂ってくる、朝食のお味噌汁の匂いがしない。台所を覗くと、そこには誰もいなかった。ご飯を作っているお母さんも、テーブルに新聞を広げているお父さんも、牛乳を飲んでいる妹もいない。家中を探してみたが、誰もいなかった。
なにかが変だ。
外へ出てみた。いつもと変わりのない景色。だが、誰も歩いてはいない。
急いで着替えを済ませると、僕は学校へと行った。
行く道すがら、誰とも出会わなかったし、学校にも誰もいない。
途方に暮れている僕の前に、一人の老人が忽然と現れた。
「勇者よ、よく来た。今、人類は滅亡の危機に瀕している。それを救えるのは、おまえだけじゃ」
老人の声は、頭の中で聞こえた声とそっくりだった。
「夢なら醒めてくれ」
老人の声は耳に入らず、僕はただそれのみを願っていた。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?