除夜の鐘を聞くと、子供の頃を思い出す。
あの頃はよかった。
いつもは早く寝かされるのだが、大晦日だけは、遅くまで起きていても怒られない。
除夜の鐘が鳴る頃に、近くのお寺に行くと、住職さんからお菓子の詰め合わせとみかんを貰えた。みかんは一つで、お菓子は、駄菓子がいくつか入っているだけだが、それでも、子供にとっては嬉しいものだ。
友達も、それを目当てに集まってくるので、除夜の鐘が鳴り終わるまで、お菓子を食べながらお喋りをして過ごしたものだ。
私は、その時間が、なんともいえぬ好きだった。
しんしんと雪が降っていようものなら、尚更だ。
それに比べて、今の子供は可哀そうだ。
大晦日に鉢巻をして勉強をしている。
人が遊んでいる時間に頑張る。そうやって人と差をつけ、いい大学を目指す。
その果てに、幸せな人生が訪れると信じて。
まったく、馬鹿げたことだ。
いい大学、大きな会社。それが人生の幸せ。
そんなことを、誰が決めたのか。
私は、小さな町工場で社会人生活を過ごしたが、不幸だと思ったことなど一度もない。
贅沢はできなかったが、良き妻と優しい子供に恵まれ、いつも幸せだった。
今、その妻が横にいて、一緒に除夜の鐘を聞いている。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
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無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
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そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?