「よくやった」
言葉とは反対に、俺は上司である村上に、銃を突き付けられた。
「おまえは、本当によくやってくれたよ。褒美といってはなんだが、死んでもらう。悪く思わんでくれ」
これだから、この世界は嫌なんだ。
秘密を守るためには、平気で部下を使い捨てにする。
それまで、どれだけ組織に貢献していようと、そんなのはおかまいなしだ。
国を守るという大義名分の下に、汚い工作をさせるだけさせておいて、これだ。
今、銃を突き付けている上司は、根っからの官僚だ。超難関の国立大を主席に近い順位で卒業し、キャリアの道をひた走っている。
そんな奴が、人を殺せるわけがない。俺は、注意を後ろに向けた。
かすかにドアが開く気配を感じた瞬間、俺は横に飛んだ。刹那、プスプスと鈍い音がして、俺に銃を突き付けていたエリート様が、呻き声を発して崩折れた。
それを瞬時に確認した俺は、素早く床を転がりながら、脇に吊っていたホルスターから銃を抜き、今しがたぶっぱなした野郎に向かって引金を引いた。
相手は銃を放り出し、バンザイをするような恰好で、後ろに吹っ飛んだ。
自分で撃つとみせかけておいて、後ろから撃たせる。どこまでも、卑怯なやり口だ。
だが、なんでもありの現場に長年身を置いている俺にそんな姑息な手は通用しないし、上司の出世ために殺されてやるつもりもない。
血の海に沈むエリート官僚様を、冷たい目で一瞥してから、俺は部屋を出ていった。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?