大人になったな。
遠くから、武の顔を見ながら、寺井は感慨に耽っている。
高校2年になる、我が子。
しかし、顔を合わせるわけにはいかない。
寺井は、武が幼い頃、女を作って家庭を捨てた。
その後、寺井の許奥さんは再婚し、今では武は寺井のことなど覚えてはなく、再婚相手の男性を、本当の父親だと思っている。
寺井は家族を捨てて一年もせず、浮気相手に振られてしまった。
それからはやることなすことうまくいかず、十五年経った今では、派遣社員として、日々の生活をするのがやっとで、女性ともあれっきり縁がない。
辛い生活の日々で、唯一の慰めといえば、たとえ遠くからでも、武の顔を拝むことだった。
寺井は、自分が本当の父親だと名乗り出たかった。が、裁判所から半径300メートル以内に近づくなというお達しも受けている。
たった一度の過ちが、寺井の人生を狂わせてしまった。
悔やんでも、過去は元には戻せない。なかったことになんて出来ないのだ。
この苦しみを、一生胸に抱いて生きていかなくてはいけないのかと、武の顔を見る度に、寺井は思う。
だが、武の顔を遠くから拝むことは止められなかった。
もう十年も、寺井はそうやって生きていた。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?