海は広い、果てしなく広い。
波打ち際に佇みながら、俺は遥か彼方の水平線に目を凝らしていた。
あれを真っ直ぐ行けば、俺の生まれ故郷に辿り着く。
不思議なものだ。
生まれ育った国が嫌でここに流れてきたのに、20年も経つと、故郷が懐かしく感じられるなんて。
俺は、ここでの生活に満足している。
故郷に居た時よりも、比べものにならないくらい快適だ。
なのに、ふと故郷を懐かしく思う時がある。
人間なんて、ないものねだりをする生き物なのだろうか。
そんな気になった時は、いつもそう思いながら、心に押し込めてしまうのだが、なぜか今日の俺は、それが出来なかった。
別に、なにがあったわけでもない。
いつもと変わらぬ日常だった。
どうしても封印できないと知った俺は、車を飛ばして、この海岸へとやってきた。
もう、何時間水平線に目を向けていただろうか。
強烈に俺の顔を照らしていた太陽も、今では傾いて、俺の目を凝らしている方角に沈み込もうとしている。
沈む瞬間の、輝くような赤は見事としか言い様がなかった。俺の心は震えた。
太陽が沈んだ時、俺の心には、もう故郷への念など一片も残っていなかった
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?