猫っていいもんだ。
俺は、生まれてからずっと、猫が嫌いだった。
特に、黒猫は縁起が悪いと思って、見るのもいやだった。
それがどうだ。
道端で死にかけている仔猫を見つけてしまった時、このまま死なすのは可哀そうだと思った俺は、思わず家に連れて帰り、夜も寝ないで介抱した。
その仔猫は、俺が最も忌み嫌っていた黒猫だった。
その時は、なぜそんな気持ちになったのかわからない。
が、今となっては、どうでもいいことだ。
あんなに嫌いだった猫も、飼ってみると可愛いものだった。
今では、黒猫だろうと気にしない。
調べてみると、黒猫は、国によっては縁起がいいとされているのがわかった。
本当に縁起が悪いのだったら、どの国でも縁起が悪いと思われているはずだ。
結局、縁起がいい悪いなどは、人間が勝手に生み出したものなのだ。
馬鹿らしい。
人間って、偏見でしか物事をみない生き物なんだと、俺は思った。
生きろという思いを込めて、生(セイ)と名付けた黒猫は、今では、俺の立派なパートナーになっている。
だから、諸君。
世間の常識というやつに、惑わされるんじゃないぞ。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
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そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
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