人生ってなんだろう?
裕也は、日々それを考え続けている。
宇宙の果てを想像するのと同じで、人生について考えだすと、果てしもなくて気が狂いそうになる。
なにが幸せで、なにが不幸なのか?
人によって、価値観は様々だ。
その価値観の違いゆえに、人間関係に悩まされる。
人間以外の動物は簡単だ。
ただ生きる。そのために餌を食う。たったそれだけだ。
俺も、いっそ動物に生まれりゃよかった。
ただ生きて、ただ死んでゆくだけ。
これほど単純で、これほど理屈に叶っていることがあろうか。
万物の霊長なんていいながら、結局、人間なんてものはちっぽけなものだ。
万物の霊長ではなく物欲の塊だとうと、裕也は思う。
だから、他人と比べて、勝った負けただの、幸せだ不幸だなどというのだろう。
動物のように、ただ生きる。
そんなことを思っていては、人の世では生きていけない。
そんなことを考えると、裕也は時々死にたい気分になる。
いっそ、動物に生まれてくればよかった。
裕也は、いつもそう結論づけて、自分を慰めていた。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
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無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
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果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?