とてつもなく重い空気が淀んでいる。
いつもそうなのだが、今日の会議室の雰囲気は最悪だった。
「どうした? みんな意見はないのか」
社長が、苛立った声を出し、列席者を睨むように見回した。
ここでへたな意見を言おうものなら、すべての責任を押し付けられかねないと思っている重役連中は、何を言われても無言を貫いている。
これじゃ、会社が駄目になるわけだ。
経営コンサルタントの筒井が、内心呆れながら、それとなくみんなの様子を観察している。重役会議に出るのは、今日が初めてだ。
その初めての会議が、会社をどう立て直すかという、重要な議題だった。
彼は、いくつもの会社を立て直してきた敏腕なコンサルタントで、この会社に請われて立て直しを引き受けた。
中堅どころの工業機器製造メーカーで、少し前までは業績がよかったものの、ここ数年で急速に業績が悪化し、このままでは倒産というところまできていた。
筒井はこの会議に参加して、業績が悪化した訳がわかった。
ワンマン社長と、無責任で自己保身しか考えていない役員連中。
これでは、立て直しは無理だ。少なくとも、経営陣に骨のある者がいないと、いくら提案したって、それを受け入れ、実現するのはここにいる連中なのだ。
この会社は、沈みかけた船だ。
筒井は、社長と役員の総入替しかないと思った。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?