必要のない手術を受けた人の後遺症 | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

うちの診療所は自由診療です。

保険が効きません。

だから

他の肛門科で治療したけどうまくいかない涙

とか

手術と言われたけど意見を聞きたい

というセカンドオピニオンの人が多いです。

そこで

まだ手術を受けてない人はいいのですが

既に受けてしまった人の治療は大変です・・・。

だって元に戻せませんから・・・

それに手術する前の肛門がどんな状態だったのかも見えませんから・・・

いくら私たちが頑張っても、どうしようも出来ないケースだってあります。

悲しいですが・・・。

それは

必要の無い手術を受けてしまい後遺症が残ってしまったケースです。

内痔核の手術後に起こることが多いです。

脱出症状もない
自覚症状もない


内痔核を切除したケースです。

もしかして内痔核ではなく「正常なふくらみ」だったのかもしれません。

そうなると内痔核ではなく「無い痔核」になっちゃいますが・・・。

どこからを内痔核と診断するのか
どこからを病気と捉えるのか


は医師によって違います。

大腸カメラでイボ痔(痔核)って言われてる人も多いですが

何でもかんでも、ふくらんでいたら痔核ではないんです。

そして小さな痔核正常なふくらみ無理矢理切除すると、肛門が狭くなったり、つっぱって開きにくい肛門になったり、そしてなぜだか理由は分かりませんが、痛みが残ることが多いんです>□<

手術の傷は治ってるし、腫れもたるみも何もないのに、なぜか痛みだけは残っている。

排便の時には痛みが無くて

座っていたり、立っていたりすると肛門が腫れているような感覚になり

うっ血しているような痛みがある

チクチク痛い

と表現される患者さんもいれば

重いような鈍い痛み

と表現する患者さんもいる。

中には

夜中に肛門が痛くなって目が覚める

という患者さんもいる。


腫れた感じがする・・・と言われて診察するけど全然腫れもない

見た目には何もなくて正常な肛門

あえて言うと

つっぱって肛門の伸びが悪いかな・・・

という印象くらい。

肛門も狭くないので手術も要らない。

よく見たら確かに正常なふくらみはあるけれど、それは痔核組織ではないし、誰にでもあるもの。


手術して治せるなら手術したい

と希望される患者さんが多いのですが、手術して「切除するもの」もなければ、広げなければいけないほど狭くもない。

だから手術はお断りしています。

どんなに頼まれても・・・

だってどこを切ったらいいのか分からないオシリです。

切除するモノも何もない肛門なんです。

手術でどうすることも出来ません>w<


便通を直したら痛みがましになる患者さんが多いですが、それでも完全には痛みが消失しません泣き3

どうすればいいのか
どうすれば救えるのか


私たちにも分かりませんし、今後の課題でもあります。

特に最近は手術だけでなくジオン注射を受けられている患者さんが多いです。

ジオン注射を併用した手術を受けておられる方に起こりやすい印象です。

注射と関係があるのか
手術自体の問題なのか


それは私には分かりません。

ですがハッキリ言えることは

必要の無い手術は受けるべきでない

ということです。

何も無ければまだいいですが

手術を受けたせいで痛みが出現してしまうかもしれないんです。

小さな痔核を予防的に切除するために手術を受けている患者さんも時々見かけますが、思わぬ後遺症で悩むことになっては、オシリのせいで人生まで暗くなってしまいます。

痔は良性疾患です。

だから焦って手術を受けなくても大丈夫です。

それにね

手術が必要なケースは少ないです。

うちの診療所の手術率は5%以下です。

またこのブログで何度も繰り返し書いていますが

痔になった原因である便通を治さずに手術だけ受けても、また何度でも痔を繰り返します。

手術しても便通は直りません。

だから痔の根本治療は手術ではなく便通を直すことなんです。

便通を直してから手術を検討しても手遅れになりません。

どうか安易な気持ちで手術を受けないで下さい。

後遺症が残ったら手の施しようが無くなることだってあります。

手術が必要かどうか

ちゃんと専門の先生に診てもらって下さいね。

良心的にやっている先生を探して下さい。

きっとあなたの近くにもいるはずです。

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