何が専門? | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

このブログでも肛門科を受診するなら

なるべく

肛門を専門にしている先生や

専業で肛門科をやっている所や

肛門科専門医や

専門性の高い先生を探して受診して下さい


って書いています。

だけど・・・

肛門の専門の先生ってどうやって探したらいいの?

専門かどうかって、どうやって見分けるの?


という質問をたくさんいただいています。

また、

色々調べて「専門だ!」と思って受診したところがそうじゃなかった・・・

という患者さんも結構多いですね^_^;

「肛門科」っていう看板が掲げられていたら「専門」って思ってしまうようです。

でも必ずしもそうじゃないんです(-_-;)

だってね

日本では「自由標榜制」と言って、医師が開業する時に何科を掲げてもいいことになってるんです。

つまり

医師免許さえ持っていれば誰でも肛門科を掲げることが出来る

ということなんです。

それは肛門科だけに限ったことではなくて、別に何科を掲げても自由なんですよ。

だから個人のクリニックの看板を見たら、い~っぱい書いてあるでしょう?

「内科・小児科・皮膚科・肛門科・整形外科・リハビリテーション科・美容皮膚科」

と書いてあっても、内科の先生がいて、小児科の先生がいて、皮膚科の先生がいて、肛門科の先生がいて、整形外科の先生がいて・・・というわけじゃなくて、医師は一人・・・ということが多いです。

そうです。

一人で全部の科を診てるんです。

でも専門は一つです。

この中のどれかが専門です。

でもそれは分からないことが多いです。

また「内科」でも消化器内科もあれば糖尿病を専門にする先生がいたり、呼吸器内科循環器内科腎臓内科血液内科・・・などなど、本当に多岐にわたります。

そして専門は一つです。

内科だからって全部専門ってワケじゃないんです。

特に肛門科皮膚科小児科などは「ついでに」掲げられることが多い科です。

それぞれ専門的な知識や技術が必要なのに・・・です。

命に関わらないからでしょうかね。
(実際は命に関わることもあるんですけどね・・・)

それとは逆に絶対についでに掲げられない科があります。

何科か分かりますか?

それは眼科耳鼻科です。

街のクリニックの看板をよ~く観察してみて下さい。

眼科は眼科だけ、耳鼻科は耳鼻科だけ・・・というところが多いでしょう?

ついでに眼科や耳鼻科を掲げる先生は皆無ですね。

時々、兄弟や夫婦で、医師二人で開業されてるケースはありますけどね。

旦那さんが内科で奥さんが皮膚科

とか

旦那さんが耳鼻科で奥さんが眼科

など、それぞれの科に医師が一人ずつちゃんといるケースはあります。

でも一人の医師が耳鼻科もやって眼科もやっている・・・というケースは見たことがないですね。

それは何故なんでしょう?

耳鼻科と眼科って医療機器が必要なんですよね。

それがなくちゃ診療が出来ません。

そしてその医療機器は高額です^_^;

設備投資が必要なんですよ。

そこまでの投資をしてまで「ついでに」看板を掲げて患者さんを集める経営上のメリットがない・・・ということも大いにあると思います^_^;

それに比べて肛門科は高価な医療機器も必要ありません。

オシリを診ずに痔疾薬だけ出している先生も多いですしね・・・^_^;

患者さんにしても「オシリを診せずに薬だけもらえる」というメリット?もあります^_^;

薬だけ欲しい人はそれでもいいのかもしれませんが^_^;

でもね・・・

大切なことは医療機器ではなく「診る見る技術」だと思います。

耳鼻科だってそうでしょう。

小さな鼻や耳の穴の中や奥をちゃんと診るには修練が必要です。

眼科だって同じです。

医療機器だって適切に使われて初めて意味をなします。

つまり医療機器を使う技術も必要なわけです。

いくら高価で有能な医療機器を持っていても、使いこなす側に技術がなければ「無用の長物」になってしまいます^_^;

餅は餅屋

という諺にあるように、

餅は餅屋のついたものが一番おいしいんです。

何事においてもそれぞれの専門家に任せるのが一番ということのたとえですが、

この言葉は、クリニックの診療領域をどこにおくかを端的に言い表していると思います。

自分でうまく出来ないことを何とか頑張ってやろうとするよりはアウトソースしてしまう、

つまり自分の専門外のことは得意な先生や専門の医師に任せる

そして自分は得意なことに集中して経験を蓄積させ、そこで勝負すればいい、とも考えられます。

自分は何屋なのか

お客様(患者さん)に求められていることは何か


をよく考えて開業することが必要な時代なのかもしれません。

もちろんね

医療過疎地や無医村では、そんなこと言ってられませんよ。

色々診れないとダメです^_^;

要するにどこで開業するかで、求められるモノも違ってくるでしょう。

でも、今は開業医過剰時代。

それぞれが専門性を活かして補い合いながら診療ができたら、患者さんにとっても医師にとっても幸せな医療が出来ると思うんですけどね(*^_^*)



今のクリニックの看板

何が専門か分からないですね。

一番確かなことは

先生に直接尋ねることでしょう。


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診療所のセラピードッグ「ラブ」
左側がラブです♥
今は犬にとって一番散歩がしやすい季節です
夏はアスファルトでやけどすることもあるため
夜間や早朝に散歩するのがいいです。