EDマンブログ

EDマンブログ

我EDマンなり。ED(勃起不全)撲滅にむけ、我はブログを始めた。
初めての方は「EDマン、ここに降りたったり 第一話」の投稿を読んで欲しい。

 

 

 

 2010年にアメリカのイェール大学によって出版された研究で、カモのペニスが爆発的な勃起を起こすことが確認された。
 
 どれくらい爆発的かというと、20cmのペニスが完全に勃起し終えるのに平均で0.36秒しかかからないのだ。そのスピードは秒速1.6mにも達したという。人間のペニスが完全に勃起するまでには少なくとも数秒はかかる。この数秒の間にカモは論理上5m程のペニスをパオーンさせることができる訳だ🤯
 
 カモのペニスはらせん状になっており、それがほどけることで勃起する。実際に勃起の瞬間を研究で捉えているので興味がある方は下の動画を見てほしい↓↓ (10分の1のスロー再生)

 

 

 オスのらせん状のペニスに対してメスの性器は逆巻きのらせん状構造をしていて、それが収縮するとオスの勃起が阻害されることから、オスからの強制的な性行為から身を守り妊娠を回避する役割を果たしていると考えられている。

 

 そしてなにも早いのは勃起だけではない。動画でも気づいたかと思われるが、射精までの速度もめちゃくちゃ早い。早漏とか言うレベルではない。ここまでくればペニス爆発も大げさではないだろう。

 

 

参考文献

Brennan PL, Clark CJ, Prum RO. Explosive eversion and functional morphology of the duck penis supports sexual conflict in waterfowl genitalia. Proc Biol Sci. 2010;277(1686):1309-1314. doi:10.1098/rspb.2009.2139

 

 

日本で認可済みのEDの治療って??

 

 

 今記事では、日本でのED治療ガイドラインに沿って説明していく。

 

目次

 

キーポイント

 

 □ 生活習慣や食生活の見直しが実は根本的な解決に直結している

 □ 禁忌の場合を除きPDE5阻害薬が第一選択の治療薬となる

 □ PDE5阻害薬にはシルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)、タダラフィル(シアリス)の3つが日本で認可を受けている。

 □ PDE5阻害薬の中でも薬によって少し性質が違う

 □ バイアグラは世界で最も偽物が出回っている薬の1つで、正規の薬を病院から処方してもらうのが一番。

 □ 薬には併用禁忌・服用禁忌が存在し、これらの場合にはその薬を服用してはいけない。

 □ PDE5阻害薬以外で認可されているのが陰圧式勃起補助具である。

 □ 日本で認可されていない治療法には陰茎海綿体注射陰茎プロステーシス移植などがある。

 

 

 

生活習慣……やっぱこれがメチャクチャ大事なんだ……

 

 


 薬などの治療はやっぱりその場限りの症状の緩和にしか過ぎないことがほとんどだ。もちろん幹細胞注射やプロステーシスなど根本的な治療や半永久的な効果を目的としたものもあるが、リスクもお金も掛かるのが現実だ。

 EDは特に血管に原因があることが多い。勃起の仕組み的に血管がもの凄く重要な役割を果たすからだ。血管をより若く、性欲を健全な状態に保つことが重要なのはお分かりいただけると思う。

 適度な運動、栄養がしっかり摂れる食事、適当な睡眠など、生活習慣の改善を少しずつでもすることが長期的にはEDの根本解決に繋がったりするのだ。薬による治療を既に始めていても、同時進行で行なっていってほしいものだ。EDマン的にはメチャクチャこれを推したい。

 また、EDは他の病気の一つの症状として発症することが多いのでそれにも注意だ↓↓
 『EDマンが説明する!EDの定義と原因のおおまかな枠組み!』勃起できないのは心のせい!?   我、EDマンなり。 目次☆キーポイントEDの定義EDの原因の主なカテゴリー 心因性について 器質性について 混合性について …リンクameblo.jp

 

 

 

禁忌以外は先ずはPDE5阻害薬

 

 

 

 禁忌と呼ばれるPDE5阻害薬を絶対に服用してはいけない場合を除いて、先ずはPDE5阻害薬が処方される。

 

 PDE5はホスホジエステラーゼ、英語でPhosphodiesterase 5 の略称で、細胞内に存在し、cGMPという勃起に重要な物質の分解を担っている。
 

 cGMPは血管を覆う平滑筋をリラックスさせる役割を担っており、本来一酸化炭素(NO)が副交感神経抹消で放出されることで細胞内で生成される。
 

 つまり、PDE5阻害薬はその名の通りPDE5を阻害することでcGMPの分解を阻止し、結果的にcGMPの濃度を上昇させて平滑筋を緩ませているのだ。

 これが陰茎海綿体で起こることで、ペニスに流れ込む血の量が増えて勃起が起こるという訳だ。

 血流を促して勃起し易くはなるが、性欲を増加させる訳ではないので実際に勃起するには服用後に性的に興奮する必要がある。

 

 勃起の仕組みに関する基本的な知識はこれを読んでほしい↓↓
 

 

 

 

 日本では厚生労働省によってシルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)、タダラフィル(シリアス)の3つが処方可能とされている。順番に見ていこう。
 

 

 

シルデナフィル(バイアグラ)

 

 

 

 世界で一番最初に開発されたPDE5阻害薬がシルデナフィルだ。バイアグラという販売名で知っている人が多いと思う。
 

 日本でも1999年3月からはじめてのED治療薬として発売された。
 

 飲むタイプの薬で、服用後30〜60分で効果を発揮する。因みによく「噛み砕いて飲み込めば早く効く」と勘違いされることがあるが、そんなことは全くない。ただ苦くなるだけなので注意してほしい。他の薬についても同様だ。

 副作用は主に頭痛、ほてり、視覚異常などが確認されている。

 

 処方量は25〜50mgで、日本では100mgは認可されていない。(日本以外の大体の国では100mgも認可を受けている。とは言え、人種などによっても薬の効きは違うもので日本には日本人の身体に合ったものが考慮されている)

 シルデナフィルは肺動脈性肺高血圧にも使われており販売名はレバチオ。成分は一緒なので、レバチオを服用している人はバイアグラとその他PDE5阻害薬を服用してはいけない。単純に薬の濃度が高まる分副作用もより強くなるからだ。

 そして何を隠そう、バイアグラは世界で最も偽物が流通している薬の一つなのだ。2021年アメリカ一カ国だけで約25億円相当の偽物が税関で発見され没収されている。実際に発見されなかった分、アメリカ以外の世界全体を考えると相当な量になると考えられるだろう。

 これで普通に効く薬であればまだマシだが、様々な不純物が混ざっていたり、製造工場の衛生環境が劣悪だったりとEDへの効果以前に普通に危ないものが多い。実際に死亡例も少なくない。

 「時間がない」「お金をセーブしたい」「EDで病院に行くのは恥ずかしい」などの気持ちも分かるが、本物に良く似た偽物をオンラインで安く買って安全を祈るよりかは、病院に足を運んで正規の薬を処方してもらってほしい。ペニスをパオーンさせるために偽物の薬で死ぬほどほど虚しいことはない。命は大事よ……🥺

 

 

 

バルデナフィル(レビトラ)

 

 


 2004年6月から日本で発売されたバルデナフィル(レビトラ)は内服後30分で効果を発揮する。
 

 シルデナフィルと同様、常用量の10mgでは重篤な副作用は稀だ。
 

 

 

タダラフィル(シアリス)

 

 

 

 

 3つの薬の中では一番最近の2007年9月に発売されたタダラフィルだが、他の2つの薬とは少し違う。
 

 というのも、内服後30分後からその効果が36時間も持続するのだ。そのため、毎回性行為の度に服用する必要がない。
 

 効果が持続するといってももちろんずっと勃起している訳ではない。逆に4時間以上勃起する場合はペニスが壊死する可能性があるのですぐに病院で治療しなければならない。
 

 タダラフィルはPDE5だけでなく、PDE11を阻害することも分かっていて、薬の性質上も他の2つとは毛色が違う。ただPDE11は主に前立腺、精巣、骨格筋に存在していることは分かっているものの、それを阻害することの効果は未だに解明されていないのが現状だ。
 

 前立腺肥大症の治療薬としても2014年から認可されている。またシルデナフィルと同じく、肺動脈性肺高血圧にも処方されている。もちろん、これらの薬を既に服用している場合はPDE5阻害薬を服用してはいけない。
 

 主な副作用は頭痛、ほてり、消化不良で、重篤なものは稀だ。
 

 

 

禁忌って?

 

 


 薬には同時に他の薬と服用してはいけない併用禁忌その他の理由で服用してはいけない服用禁忌というものが存在する。

 これらの場合薬の影響によって、身体が危険な状態に陥ることがあるのだ。

 

 PDE5阻害薬の禁忌には硝酸薬可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬(リオシグアト)などがあるが、他にも様々な薬が存在する。既に他の薬を服用しているならそれが併用禁忌薬でないか医者に確認を取ってほしい(自分で調べてもいいが、医師に聞くのが確実なのでそれを強くオススメする)。
 

 例えば硝酸薬はNOドナーと呼ばれ窒化酸素を体内で放出することで心臓の血管を拡張しより心臓へ酸素を送り込めることから、心臓病によく使われている。これに更にPDE5阻害薬を服用したならば全身の血管が拡張することで血圧が危険なレベルまで低下して、重要な臓器に血が送れなくなり死亡する可能性があるのだ。
 

 肺動脈性肺高血圧に使われるグアニル酸シクラーゼ刺激薬(リオシグアト)もcGMP濃度を上昇させるためPDE5阻害薬と悪い方向に相乗効果を発揮してしまい、低血圧を引き起こしてしまう。

 

 実はグレープフルーツやグレープフルーツジュースも併用してはいけないとされている。というのも、グレープフルーツに存在するフラノクマリン類(furanocoumarins) がPDE5阻害薬を分解する酵素、CYP3A4の働きを弱くしてしまうので、PDE5阻害薬の副作用がより強く出てしまうのである。よって、PDE5阻害薬を服用する前後数日はグレープフルーツを避けた方がいい。

 服用禁忌は例えば、
 ・PDE5阻害薬に対してアレルギーがある場合
 ・脳梗塞や脳出血、心筋梗塞6ヶ月以内に患っている場合
 ・低血圧、または薬によって血圧のコントロールがされていない高血圧の場合
 ・心血管疾患などで性行為自体が身体に負担で危険な場合

 など、他にも数多く挙げられる。病院でPDE5阻害薬を処方してもらう際に確認を受けると思うが、自分で知っておくことも重要だ。

 

 

PDE5阻害薬が効かなかったら?

 

 


 PDE5阻害薬が効かなかったり副作用が酷い場合、他の治療を考慮する訳だが……

 PDE5阻害薬以外で今のところ日本で認可を受けているものは陰圧式勃起補助具だけである。

 更には実際に認可されているもので日本への輸入が可能なのは一つ(ビガー2020)しかない現状らしい。

 陰圧式勃起補助具はその名の通り器具で吸引することによって陰圧を作り出し、ペニスに血流を物理的に促すもので、更に陰茎を締め付ける陰茎リングをペニスに着けることによって勃起を維持できるのだ。

 このリングは長時間着けると逆にペニスに充分な血がいかないことで壊死する可能性があるので、30分以内に留めておくことが好ましい。

 EDの治療には日本で認可されていないものが他にも陰茎海綿体注射プロステーシス移植などあるが、認可されていないからと言って絶対に日本でこれらの治療を受けることができない訳でもない。今後の記事で紹介していきたいと思う。
 

 

 以上、日本で認可されているED治療について解説した。

 

 次回もまたよろしくお願い申し上げる。

 

 

 我、EDマンなり。我の活動にご興味ある方は、是非我の初めのブログを読んでほしい。↓↓

 

 

参考文献

日本性機能学会・日本泌尿器科学会 ED診療ガイドライン 第三版

Smith BP, Babos M. Sildenafil. In: StatPearls. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; February 14, 2023.

Leslie SW, Sooriyamoorthy T. Erectile Dysfunction. In: StatPearls. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; January 9, 2024.

Gianmarco Troiano at el, The potential toxic combination of grapefruit juice and sildenafil Gianmarco Troiano, 2019

 

 

 

 

 結論から申し上げると、寝ている間に3から5回程勃起していることが分かっている。これは年齢を問わず起こる現象で、赤ちゃんから老人まで全員が経験しえる。これを夜間勃起(NPT; Nocturnal Penile Tumescence)という。

 

 別にエッチな夢を見ている訳ではない……夢がどんな内容であっても起こると研究で確認されているのだ! 

 

  言い訳じゃないよ🥺

 

 「レム睡眠」を聞いたことがある人は多いと思う。REM睡眠、英語でRapid Eye Movement の頭文字を取った言葉で、その通り目が素早く動いている時間が睡眠中にある。この間は他にも筋肉の活動の低下(完全にぐったりとした状態)や自律神経が乱れることが確認されていて、その一環として勃起が起こると考えられている。

 

 いわゆる「朝勃ち」もレム睡眠によるものなのだが、それに加えてテストステロンという男性ホルモンが朝に高まることで勃ちやすくなっているのだ。

 

 諸君、我らは無罪だ。

 

 

参考文献

Schmidt MH, Schmidt HS. Sleep-related erections: neural mechanisms and clinical significance. Curr Neurol Neurosci Rep. 2004;4(2):170-178. doi:10.1007/s11910-004-0033-5

ボッキはボッキでも色んな種類がある?!

 我、EDマンなり。

 

目次

 

キーポイント

 

 □ 勃起は3種類ある;反射性勃起心因性勃起そして夜間勃起

 □ 勃起中枢は視床下部と仙髄にある。

 □ 反射性勃起はペニスへの触覚的刺激による脊髄反射でおこる。

 □ 心因性勃起は視覚、聴覚、嗅覚的刺激、または想像により視床下部が働くことでおこる。

 □ 夜間勃起はREM睡眠中自律神経が乱れることでおこる。

 

 

 

勃起の種類と勃起中枢の話

 

 
 まず初めに忘れないで欲しいのは、勃起は副交感神経が優位な時に起こるものであるということ。詳しくは「勃起の仕組みを学ぶ前に知っておきたい基本的知識!」で解説しているので読んで欲しい。

 結論から言うとボッキの種類は三つある。それぞれ、

 反射性勃起……ペニスへの物理的な感触が脊髄反射を起動させて勃起。

 心因性勃起……視覚や聴覚、想像などが脳を刺激し起こる勃起。

 夜間勃起……レム睡眠中に起こる勃起。

 となっている。ここで、簡単に神経のことについて説明する。

 神経には中枢神経と末梢神経がある。

 神経の塊である脳と背骨の中に通っている脊髄を合わせて中枢神経、それ以外の神経を末梢神経と呼び、末梢神経と中枢神経は常に信号を送りあっている。

 中枢神経の中でも、勃起を司っているところを勃起中枢(Erection center)といって、それぞれ

 脳……視床下部((特に内側視索前野(ないそく しさく ぜんや)と室旁核(しつぼうかく)))

 脊髄……仙髄(せんずい)

  にあるとされている。

 絵で見ると↓↓
 

 

*

 

 これは脳を前から後ろにかけて真っ二つに割った時の絵。視床(赤)の下にあるので視床下部(水色)。
 

 

**

 仙髄は腰の辺りに位置する。


 勃起に関連する神経の話はまた他のブログで詳しく説明する。

 上に説明した基本的な情報を元に勃起の種類について詳しく説明していこう!
 

 

 

反射性勃起 (reflexogenic erection)

 

 


 反射、脊髄反射という現象をご存知だろうか。ここで言う反射は光が水面に反射するものではなくて、人間の身体が何らかの刺激に対して脳を介すことなく反応する現象のことだ。脳を介していないと言うことはつまり無意識に勝手に起こってしまうもので、コントロールできない。

 もう少し詳しく説明しよう。例えば、熱いものを間違って触った時、「熱い」という情報は手の末梢神経(まっしょうしんけい)から脊髄へ、そして脊髄から脳へと伝達される。脳が脊髄から入ってきた情報を読み込むことで初めて「熱い!!」と意識的に感じることができるわけだ。

 しかし、この情報を脳に伝達している間にも手は焼かれて火傷していることになる。脳に伝達を送る時間分のラグがあるのだ。そこで、脊髄反射というヒーローが現れる。手の末梢神経が「熱い」という情報を脊髄に伝達した時点で脳を介すことなく、「手を引っ込める」という信号を脊髄レベルで手に送り返すことができるのだ。これによって熱いものから最速で手を守ることができる。

 この「手を引っ込める」という信号は意識的なものではなく、脊髄レベルで出されたものなので、脊髄損傷などで脊髄が機能していない場合を除いて確実に起こるものなのだ。手を引っ込めないようにコントロールできるものではない。

 さて、反射性勃起についてある程度想像がついただろうか。

 ペニスが何かに触れると、ペニスの末梢神経が「触られた」という信号を脊髄そして脳に送るわけだが、同時に脊髄反射として脊髄レベルで「勃起する」という信号がペニスへと送り出される。

 脊髄レベルで完結するということは、別にエッチなことを考えていたりムラムラしたりしていなくても起こる現象なのだ。副交感神経が優位な状態であれば、車に乗っている時の振動だけでも勃起できたりする訳だ。修学旅行中のバスで勃起してしまい少し気まずい思いをした少年たち、君たちの無実は今ここで証明されよう!!

 

 

 

心因性勃起 (psychotic erection)

 


 

 

 心因性はその名の通り、心が性的に興奮することで勃起が起こること。あまり説明は要らないだろう。

 エロ漫画や一糸纏わぬ女性の姿などの視覚的な刺激や、声や息遣いなどの聴覚的刺激、好きな子とエッチをする想像(fantasy) なんかも刺激となりうる。

 これらの刺激によって脳の視床下部から脊髄の勃起中枢へと「勃て〜」という信号が送られるわけだ。

 

 かといって必ずしも意識下で起こる訳ではない。まだ思春期の時代、授業中にエッチなことを考えていたわけでもないのに勝手にゾウさんがパオーンした経験はないだろうか? これは視床下部が意識外で刺激され勃起を起こしていると言われている。つまりは意識外でエッチなことを考えているかもしれないのだ。

 

 反射性勃起であると考えられないこのような状況下では残念ながら「別に、いらやしいことを考えていたわけじゃないんだ! 男の生理現象なんだ!」と自分はあくまでも無垢であり無実なんだと言い訳はできない。なぜなら意識外でもエロイことを考えているという次元が違うレベルでエッチなのだから。青年諸君、君は黒だ。

 因みに、EDマンはこの心因性勃起こそがAIによって難しくなるのではと危惧する。F*ck AI porn!! 我は叫ぶ。
 

 

 

夜間勃起 (nocturnal penile tumescence)

 

 


 夜間勃起は寝ている間に起こるもので、特にレム睡眠中に起こるとされている。

 人間の睡眠の状態にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、レム睡眠は夢をみやすい状態だとして聞いたことがある方が多いと思う。

 レムは英語でREM(Rapid Eye Movement)で訳すと「目が素早く動いている」状態で、文字通り寝てる間に目が高速で動いている時間があるのだ。

 この時間は健康な思春期の男性で睡眠に3〜5回(160分ほど)あるとされていて、急速眼球運動に加えて骨格筋の活動の低下(身体が完全にグッタリとなってる状態) と起きているときに近く鋸歯状波(きょしじょう は) というのこぎりの様にギザギザした脳波が計測できることが特徴的だ。

 夜間勃起の詳しいメカニズムはまだ解明されていないが、自律神経が乱れることから起こると推測されている。

 

 事象としてはしっかりと確認されていて、昔はEDの診断で原因が心因性か器質性かを確かめるのに活用されていた。これをnocturnal penile tumescence (NPT) test といい、夜間勃起が健在であればペニス自体は勃つことができるという証明になるので器質性の可能性を省くことができるとされていた。しかし、器質性の神経性と内分泌性の場合でも夜間勃起が認められる場合があることが分かり、かつ測定に少なくとも二日は要することから今ではあまり使われていない。

 因みに「朝勃ち」はまさにこのレム睡眠時に起こる夜間勃起のことで、厳密にいえば寝ている間に何回も朝勃ちしているわけだ。朝だからといって勃つ訳ではない。もちろんエロいことを考えている訳でもないのだ。これでラブコメ漫画の少女キャラクターからビンタをくらった可哀想な青年キャラたちをEDマンは慰めてあげたい。静香は「は? そんな状況が起こりうる時点で爆発しろ」とかよく分からないことを言っていたが。
 

 

 以上、3つの勃起の種類について説明した。

 

 次回もよろしくお願い申し上げる。

 

 

 

我、EDマンなり。我の活動にご興味ある方は、是非我の初めのブログを読んで欲しい。↓↓

 

参考文献、引用

"Servier - Drawing Brain sagittal section - no labels" by Servier Medical Art, license: CC BYmarked and labelled

** "Human Biology fig. 1.30 - Large nerves of the body - English labels" by User:The Emirr/Wikimedia Commons, license: CC BY. Source: book ‘Human Biology’, https://textbookequity.org/Textbooks/HumanBiologyCK12.pdf. marked and labelled

1. Dean RC, Lue TF. Physiology of penile erection and pathophysiology of erectile dysfunction. Urol Clin North Am. 2005 Nov;32(4):379-95, v. doi: 10.1016/j.ucl.2005.08.007. PMID: 16291031; PMCID: PMC1351051. 

2. Giuliano F, Rampin O. Central neural regulation of penile erection. Neurosci Biobehav Rev. 2000 Jul;24(5):517-33. doi: 10.1016/s0149-7634(00)00020-8. PMID: 10880818.

3. Ronald F. Pfeiffer, CHAPTER 29 - BLADDER AND SEXUAL FUNCTION AND DYSFUNCTION, Neurology and Clinical Neuroscience 2007, ISBN 9780323033541, https://doi.org/10.1016/B978-0-323-03354-1.50033-X. 

4. Benjamin D. Sachs, Placing erection in context: The reflexogenic-psychogenic dichotomy reconsidered, Neuroscience & Biobehavioral Reviews Volume 19, Issue 2, Summer 1995, Pages 211-224, 

https://doi.org/10.1016/0149-7634(94)00063-7 

 

 

 

我、地道な活動するなり

 

 

    

日本では男性の約三人に一人がEDに悩んでいると言われている。

 

目次

 

 

 

静香の提案なり

 

 

 ガスコンロの火がつく音がして熱されたごま油の心地のいい香りが微風にのって鼻をくすぐる。しばらくしてシャーーという音と共に匂いが複雑に変わっていった。

 

「これは……エビにニラ、それにネギ……チャーハンか!」

 

「その通り、よく匂いだけで分かったな。おはよう、EDマン」

 

 布団から上半身だけ起こしキッチンの方を見ると、そこでは静香が中華鍋を巧みに動かしてチャーハンを炒めていた。

 

 何か粉を振り入れたと思うと、五香粉スパイスの香りが部屋中に充満した。腹の虫がグ~となく。

 

「静香はなんでもできるのであるな」

 

「そんなことないさ、ただ一人暮らしをしていたらいつの間にか料理にハマってしまっただけ。ただの男料理だ。ほら、朝ごはん……いや、この時間だとブランチかな。よく眠ってたからな」

 

 そう言って、静香は器に盛られたチャーハンをテーブルの上に置いた。立ち上った湯気が静香のメガネを曇らせる。

 

 時計をみたら確かに時刻は11時を過ぎていた。昨夜は夜更かしをしたわけではないので、ただたんに長く寝てしまったみたいだ。

 

「まぁ仕方ないさ。EDマンの身体はまだ回復が必要。睡眠が長いのもその副作用だね」

 

「うむ……我としては一分でも惜しんでED撲滅のために働きたい訳だが」

 

「まぁ気楽にいこうぜ。ブログ活動もまだ始まったばっか。しかも第一話を投稿してから随分と間あいたし」

 

「それはそうなのだが……」

 

 去年の夏、EDが起こす人類滅亡回避のために東京に降り立った我だが、地球上での活動を始める前になんとEDマン存亡の危機が早々に訪れてしまった。

 

 我の身体は特殊な構造ゆえ呼吸の必要はないのだが、周りの人間に影響されて我も真似して肺を動かしてしまったのだ。結果、大量の活性化酸素が生成されて我の身体を蝕み始めたのだ。これぞEDマンデータベースにあった、同調圧力というものなのだろう。恐ろしや人間である。

 

 そのせいで、今ではEDマンセンサー🤖は反応しているものの、我の万能EDマンパワー💪は生み出されたそばから身体を回復するのに消費されて、まともに使えない現状にある。

 

 まずはEDマンとしての活動第一歩としてブログを始めたわけだが、これが一個書くのに結構な時間がかかる。なにしろインターネットというものを産まれて初めて使うーーというか我は産まれたばかりなのだ、色々と慣れるまで時間がかかった。

 

 EDマンブログ第一話が投稿できたのはいいものの、続きのブログを書くのに結構な時間を費やしてしまった。もう年も変わって2024年。諸君、あけおめことよろである。

 

「うーん、そんなにEDに悩む人を助けたいんだったらいっそ個人レベルで始めたらどう?」

 

 突然、静香が言う。

 

「というと?」

 

「最初っから世界を救うってのはEDマンパワーが使えない今、現実的じゃない。だから、まずは個人レベルで解消していくんだ。例えば……」と静香がペラペラと続ける。

 

「な、なぬ……」

 

 唾を飲み込んで、我は静香の提案に耳を傾けた。

 

 

 

 

 カオス

 

 

「ピンポーン」

 

 墨田区の某マンション三階。黒く分厚い鉄板でできたドアの呼び鈴をならす。それにしても、なぜ静香は効果音を口でわざわざ言うのだろうか。

 

「はい……あの、どちら様でしょうか」

 

 ドアがゆっくりと開くと、中年くらいであろう男の顔が覗いた。無精ひげがだらしなく伸びていて、どこか悲壮感漂う男だ。

 

「ボク、EDマン!!」

 

 すかさずポーズを決めながら自己紹介をすると、なんと男は顔をしかめながら「うちは間に合ってますんで、大丈夫です……」とかいいながらドアを閉めようとするではないか。

 

 我はドアを止めようとしてーー静香がその前にドアとフレームの間に足を挟んだ。

 

「え?」

 

 男は腑抜けた声を出して、信じられないというような顔で静香の顔を見上げた。

 

「俺の自己紹介がまだだ」

 

 静香はそう言うと腕を大きく振り回して、「EDマンのじょしゅっっっ!! しずかーーーん、参上!!」とポーズを決めた。我もそれに合わせてポーズを決める。今回こそは決まっただろうと確信した。

 

 がしかし! 男はまさかのドアを勢いよく閉めると、ドアの向こうから「警察呼びますよ、早くどっか行って下さい!」なんて叫ぶではないか……

 

 我と静香は互いの顔を見合わせた。そこにあるのは困惑の表情だけだ。いったい何がいけなかったのか理解不能であった。

 

 EDマンパワー💪……18% 

 

 我はEDマンパワーの残量を確認して静香に無言で合図を送る。静香は頷くと、我の腕を掴んだ。「パワー!!」我は内に秘めし力を行使した。

 

「ーーこれは……ひどい、ひど過ぎる」

 

 先程の男のベッドルーム、部屋を見渡して我はうろたえる。

 

「何が、どうしたって言うんだ?」

 

 静香が食い気味に我に問うが、我はもはや指を差すことしかできない。

 

 濃い茶色のフローリング。おいてある家具はミニマリスティックで全体的に統一感がある中、一か所、床板の色が剥げているところがあった。

 

 とその時、ベッドルームの引き戸がガラリと開く。

 

「な、な、な……なんでさっきのあんた達が家の中にいるんだ!」

 

 そう困惑し叫ぶ男。うろたえ腰をつく我に、「いったい何が何なんだ!」とフローロングを観察する静香。これをカオスと呼ばずして、何と言おうか。

 

 

 

実は……おっしゃる通りなんです

 

 

 事情を説明すること一時間。警察沙汰にはならずに済みそうだった。

 

「つまり……僕がEDに苦しんでて、それから僕を救うためにあなた達が来たと」

 

「そうだとも金道(かなみち)。我はEDマンデータベースから君を見つけたのだ。我の力で君を救いたいのだ」

 

「な、なんで僕の名を……でも確かに人間業じゃないことをやってのけたし……っていうかなんで僕がEDに苦しんでるって?!」

 

 我がEDマンだと証明するためEDマンパワー💪を使い、彼の考えていることを当てたりなど、何個か能力を披露したのだが、未だに全てを信じた訳ではなさそうだった。

 

「それはだからさっきも言った通り、我のデータベースから金道を見つけたのだ。君のEDの原因を我は知っている。問題ない。我が今治してやる」

 

「でも一体どうやって……」

 

 金道は身を少し乗り出した。これはチャンスである。

 

「先ずは、金道がEDの原因に気づくことが第一歩だな。何か心当たりはないかい?」

 

「いや……僕には全く分からないんだ。今の彼女とも、付き合い始めの頃は全く問題なかったのに、半年の節目くらいから急に……」

 

「達する前にしぼんでしまうと」

 

「え?! そ、そんなことまで分かるのか……実はその通りなんだ」

 

 金道は一息おいて続ける。

 

「彼女が急に魅力的じゃなくなったとか、そんなことじゃないんだ。僕は一年経った今でも彼女のことは好きだし、むしろ付き合い始めた時よりも愛は深まってる……と思う。けど、上手くいかない夜が何回か続いてから、お互いにそのことについては触れないようになって今ではもう……」

 

「完全にセックスレスなんだな?」

 

 金道が頷く。

 

「きっと彼女は僕にもう愛想をつかしているんだ。男として勃たないやつなんて、魅力はもう感じないよな……」

 

 金道は悲しそうにうなだれる。悲壮感が部屋に充満した。

 

「……じゃあ例えば金道は、彼女が何かの病気を患って、しばらくセックスができないなんてことになったら、彼女のことを捨てるのかい? もう魅力を感じられないと」

 

 次第に金道の表情が変化する。最後には眉毛を釣り上げて、「そんなことある訳ないじゃないか!!」と勢いよく立ち上がった。

 

「彼女がどんな病気を患おうとも、どんな困難にぶち当たろうとも、僕は彼女のそばに居続ける! 彼女をサポートし続けるよ。僕は心まで男をやめたつもりはない!!」

 

 はぁはぁと息を切らしながら言い切った。

 

「その通りだ」

 

 我はゆっくりと立ち上がりながら言った。

 

「じゃあ彼女は同じような状況で金道を捨てるような薄情なヤツなのかい?」

 

 はっとしたように金道は顔をあげる。

 

「一回しっかりと二人で向き合いながら話せばいいさ。今思ってる気持ちをそのまま彼女に伝えればいいんだ!! EDをきっかけに気持ちが少しすれ違ってるだけ。EDそのもので崩れる程の愛じゃないだろ!! 君が今苦しんでいる問題は別に一人で抱え込まなくていいんだ。むしろ、一人で抱え込んでいることに彼女さんは怒ってるのかもしれないぞ。男としてのプライドもあるかもしれないが、信頼できる相手に打ち明けることで楽になることもある。いいか! くだらないプライドは捨てて、ビシャスサークルから抜け出せ!!」

 

「……ビシャスサークル?」

 

「ああ、それは我のブログ ”勃起の定義と原因” の心因性のセクションで説明している」

 

「はぁ」

 

「まあともあれ、金道がそんな顔をできるならもう大丈夫だ」

 

 金道の顔にもう薄暗さは感じられない。

 

 それもその筈、我は言葉にEDマンパワーをのせていた。説得力は壮大である。洗脳……では決してないよ?😀

 

「早速本題に入ろう。金道のEDの原因。さあ」

 

 我らはベッドルームへと移動した。

 

 

 

フローリングの謎

 

 

「静香はその様子だともう分かったようだね」

 

 ベッドルームでは静香が椅子に腰かけてくつろいでいた。

 

「ああ、金道さんのEDの原因はあれだ」

 

 そう静香が指差す先には少し色落ちしたフローリング。

 

 同時に金道が息を飲む。

 

「まさか床オナ……」

 

「そう、その通り。解説しよう(字が汚いのはいつも通りご勘弁)」

 

 

「つまり、金道はこの強い刺激に慣れ過ぎてしまって本当の性行為で得られる刺激では勃たなくなってしまったわけだ。床板の色がはげていたのは床オナのし過ぎだな」

 

「最近はセックスレスのことで自暴自棄になっていっぱい抜いたから……サオへのダメージは治らないとか?」

 金道が不安そうに尋ねる。

 

「そんなことはない。刺激を普段から弱めれば少しずつ回復していくさ。床オナはとりあえず止めた方がいい」

 

「そ、そうか」と安堵のため息をつく金道。

 

「手で自慰をする際にも強く握るのは厳禁。コンドームをつけてしたり、オナホールなんかを使って強い刺激を与えないようにすればいい。次第にその程度の刺激にも満足いくようになるさ」

 

「はっはっ……」

 

 金道は力が抜けたようにベッドに腰を下ろした。

 

「そっか、まさか床オナのせいだったなんて……そんなの恥ずかしくて病院に行ったとしても言えなかったよ」

 

 

 

感じてしまったのだよ

 

 

 我らは金道に感謝の言葉をかけられながら、その場を後にした。

 

 我初のミッション第一号、なんとか解決である。

 

 ピコーン

 

 その時我の元に届いた一通のメッセージ。

 

 ”EDマンによるEDの緩和が認められました。EDパワー💪……25%授与されます。”

 

 我は天を見上げた。地球に降り立ってから感じるようになった我を創った存在。我が宇宙に突然誕生し、産まれながらに使命を得ることとなった全ての現象の源。

 

「マスター」

 

 我は天を仰ぎながらつぶやく……

 

 静香は先を歩いていて、それに気づいていない様子だった。

 

 

 次回もよろしくお願い申し上げる。

 

 

 我、EDマンなり。我の活動にご興味ある方は、是非我の初めのブログを読んで欲しい。↓↓