勃起できないのは心のせい!?
我、EDマンなり。
キーポイント
□ ED=勃起不全とは満足な性行為を行うほどの勃起ができなかったり維持できなかったりする状態。
□ EDには心と身体、両方に原因がありえる。
□ EDはほとんどのケースで治療可能。
□ 心がリラックスした状態でないと、勃起はできない。
□ 他の病気がEDを症状の一つとして発症することがある。
□ EDについての正しい知識を身につけることで不安を軽減しよう!
そもそもEDって何?
2015年に開催された4th International Consultation on Sexual Medicine (ICSM)で決定されたEDの定義は満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか,または(and/or) 維持できない状態が持続または(or) 再発することである。
「または」の後に英語がかっこで続くのは、「または」の意味合いが少し違うからで、意味の違いは英語そのままだ。
初めの「または」は十分な勃起が「得られない」と「維持できない」この二つ共、または片方が起こるという意味に対して、二つ目の「または」は「持続する」か「再発する」かのどっちかという意味になる。
因みに第五回の国際会議は2024年の6月にスペインで開催される予定だ!
昔は英語の「Impotence」からインポなんて呼ばれてもいたが、今ではあまり使われていない。
EDと勃起不全は全く同じことを指す。勃起不全を英語で言うと、Erectile Dysfunction = EDとなるのだ。
このEDの定義だが、これがさす事象は結構広い。
例えば……
性欲もあるしめちゃくちゃ興奮してるのに、全然勃たない……ぴえんーーだったり、
途中までは平気なのに、急に萎えて最後まで持続できん……ぴえんーーだったり、
アダルト動画みて自分でやる分には問題ないのに、本物の人間が相手になった瞬間にぴえんーーなんてことも。
正にこの三つ目の例がEDマンが産まれる根源なのだが、それについては「EDマンここに降りたったり」のブログで説明しているので、興味がある方は是非読んで欲しい。あと、過度のぴえんの使用でいら立たせてしまったら、ここで謝る🙇🏻♂️🥹🙇🏻♂️🥹
症状がどのくらい続けばEDと診断できるのか、定義には明確になっていないが、少なくとも6ヶ月間同じ症状であればEDと診断できると言われている*。
発生率としては40代以上の男性に多く、年齢と合併症の有無に伴って右肩上がりになっている**。(合併症とは、EDと関係する別の病気が存在することを指す)
そして……ED患者の数がこれから爆増するかもという危機感から生まれたEDマンだが、実は、EDはほとんどのケースで治療が可能なのだ!!*** だから男性諸君、あまり落ち込む必要はない!
原因のカテゴリー
EDの原因は大きく三つのカテゴリーに分けられている。
1.心因性
2.器質性
3.上の二つが合わさった、混合性
大きなカテゴリーには属さないものの、薬剤性なんていうのもある。
順番に見ていこう。
心からくるの……??(心因性について)
結論から言うと、その通りなのだ。
2023年の研究ではED患者全体の38%が不安神経症、65%がうつ病を患っているという****(EDを他の原因で患うことによって、精神的に病む場合ももちろんある。これが、正に混合性のパターンだ)
勃起をつかさどっているのは副交感神経。つまり、心がリラックスした状態でないと勃起はできない。
そしてもちろん、メンタルと言うからには「これが原因!!」などと断定できるようなケースはまずない。
日々の仕事からの疲れ、性行為に対する不安やイメージ、パートナーとの関係性など、可能性をあげれば滝のように溢れてくる。
それまでは性欲、リビドーがあったのに、仕事のことを考えた瞬間に萎えた。そんな気分ではなくなってしまった……。なんてことを経験したことがある方はいるかもしれない。
それが、無意識のうちに意識外で同じようなことが起こればどうだろう。
原因を自覚をすることなく、なぜか勃起できない、勃起を持続できない……なんて症状が現れる。
意識外でなくても、ストレスが頭を離れなかったり常に不安感に襲われている人もいる。
勃起ができないことが原因で焦り、その焦燥感がますますEDの症状を悪化するーー負の連鎖に陥るのだ。これをビシャスサークル(vicious circle)と呼ぶ。
そして実を言うと、心因性のEDはあまり研究が進んでいない分野なのだ。
影に病気が潜んでいる?!(器質性について)
器質性というのは、体内の臓器や神経や血管そのものに問題があってEDを発症させる場合のこと。
簡単に言うと、EDは他の病気の症状の中の一つとして発症することも少なくないのだ。
器質性の中でも更に、
血管性、神経性、内分泌性(ホルモン)、陰茎性
のグループに分けることができる。
特に多いのが、血管性のものだ。
例えば、高血圧や糖尿病などの病気は血管を傷つけるため血の流れが悪くなることでEDを発症する。
他のグループを簡単に説明すると、
神経性:勃起するのに必要な神経が傷ついたり、上手く機能しないことで起こる。
内分泌性:精巣や甲状腺などに問題が起こり、ホルモン分泌が上手く機能しないことで起こる。
陰茎性:陰茎の解剖学的(構造的な)問題で起こる。
通常の勃起の仕組みが分かると、これらが最終的にどうEDを引き起こすか理解しやすい。是非興味がある方は読んでみてくれ↓↓
https://ameblo.jp/dr-ed/entry-12823755667.html
心と体はやっぱり繋がっているのだ……(混合性について)
もともとは器質性だけであったEDも、それが原因でパートナーとの関係に不安を覚えたり、ストレスを感じたりして心因性をも兼ね合わせたものに進化してしまうことがある。
全てのEDのケースにおいて心は関わってくるもので、心のケアは重要なのだ。
EDを初めて発症した時には焦燥感がすごいだろう。
「なんで勃たないの? この間まで平気だったのに!」と、謎に勃たなくなってしまった自分に焦り、これから同じことが起こるかもしれないと不安を抱き、そしてパートナーが自分に愛想をつきていなくなってしまうのでは……なんて恐怖を感じるかもしれない。
しかし、EDについて正しい知識を学べば、学んでいれば、それは謎めいた治療できるかも分からない問題ではなくなる。
もう一度言うが、EDはほとんどのケースにおいて治療が可能なのだ。
知識によって軽減される心の重荷もあるだろう。そして他者からの理解も得られやすい。
何を隠そう、我ーーEDマンが人類の危機に立ち上がったのは、一つに心身のケアの助けになりたいがためである!
薬の副作用として起こる?!(薬剤性について)
以上、EDの定義と原因の主なカテゴリーについて説明した。
次回もまた、よろしくお願い申し上げる。
我、EDマンなり。我の活動にご興味ある方は、是非我の初めのブログを読んで欲しい。↓↓
参考文献、引用
*American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. 5th ed. Washington, 2013
**Francesco P. at el, Relationship Between Age, Comorbidity, and the Prevalence of Erectile Dysfunction, 2022,
https://doi.org/10.1016/j.euf.2022.08.006
***Yale Medicine, "Fact sheets" "Erectile Dysfunction" Accessed 2024/01/01,
****Xiao, Yang et al. “Factors associated with anxiety and depression in patients with erectile dysfunction: a cross-sectional study.” BMC psychology vol. 11,1 36. 4 Feb. 2023, doi:10.1186/s40359-023-01074-w