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EDマンブログ

我EDマンなり。ED(勃起不全)撲滅にむけ、我はブログを始めた。
初めての方は「EDマン、ここに降りたったり 第一話」の投稿を読んで欲しい。

ボッキに関する基本的知識を解説!

 

 我、EDマンなり。

 

目次

 

キーポイント

 

 □ ペニスには海綿体と呼ばれるスポンジ状の構造がある。

 □ 陰茎海綿体(いんけいかいめんたい)に血が大量に流れ込むことによって勃起が起こる。

 □ 勃起は副交感神経が優位な時に起こる。

 □ サイクリックGMPが動脈を囲む平滑筋内で生成されることで動脈が拡張し陰茎海綿体への血流が増加する。

 □ 静脈が勃起で生じた圧で押しつぶされることで勃起が維持できる。

 

 

 

ペニスの構造(解剖)を学ぼう!

 

 

 勃起のメカニズムを説明する前に、まずはペニスがどんな構造をしているのか押さえておきたい。

 

 想像してほしい。

 

 男性の身体を正面から見たときに、勃起しているペニスの皮をべリベリっとはがして、ペニスを真っ二つにスパッと切ってくれ。

 

 その断面図が下のイラストだ。(自分の身体では想像しないことをお勧めする。我は背骨に悪寒が走るのと同時に、本来ないはずの切断の痛みを味わった)

*

 

 沢山の血管と、なにやら赤いスポンジの様な構造が三つ見れる。これこそが、ペニスの正体である。

 

 このスポンジの様な構造は海綿体(かいめんたい)。そして海綿体それぞれが白膜という(その名の通り白い膜)で覆われている。

 

 この三つの海綿体は、二つの陰茎(いんけい)海綿体一つの尿道海綿体に分けられる。

 

 上の図で赤い管動脈青い管静脈黄色い線神経を指す。

 

 動脈とは心臓から臓器に酸素と栄養たっぷりの血液を送る血管で、解剖図ではよく赤色の管で示されるのに転じて静脈は青い管で描かれて、酸素や栄養分を臓器が使った後の血液を再び心臓へと送り返す役割を担う。

 

 ペニスの切断面の部分を拡大すると↓↓

 **

 

 黄緑色の点線で示されている陰茎海綿体の中心部には動脈(陰茎深動脈)が通っていて、そこから蜘蛛の巣の様に細かい血管(ラセン動脈)が張り巡らされているのがわかると思う。この動脈に血液が大量に流れ込むことによって勃起が起こるのだ!

 

 つまりペニスを硬くし勃たせるのは、陰茎海綿体の役割なのだ。

 

 余談なのだが、静香くんの家のWi-Fiの名前は「corpus-cavernosum」。これは陰茎海綿体を世界の医学界隈で良く使われるラテン語で言ったもので、我は静香をセンスが良いと褒めてやりたい。極上でエレガントな下ネタであると言えよう。

 

 黄色の点線で示された尿道海綿体には尿道が通っていて比較的陰茎海綿体より小さい。これは勃起中に尿道が完全に押し潰されないほどの丁度いい圧をかけることによって、勢いの良い射精を可能にしているのだ。

 流れ入る血液によって陰茎海綿体にかかる圧は尿道海綿体にかかる圧の3倍。もし同じくらいの圧が尿道海綿体にもかかっていたら、勃起時におしっこがしかくても圧で逆流😱……なんてことが起こる。勃起中でもおしっこさせてくれる尿道海綿体に感謝である。

 

 因みに陰茎海綿体は亀頭までしか続いておらず、亀頭自体は尿道海綿体からなる。
 

 

 

パオーンにはリラックス……が重要なのだよ

 

 

 EDの原因を解説する記事でも触れたが、勃起は自律神経の副交感神経が活性化することで起こる

 

 つまりは心と身体がリラックスしていると勃起が出来るわけだ。

 

 自律神経には交感神経と副交感神経があるのだが、それぞれイメージしてもらうと↓↓

 

交感神経

 

 

 緊張していたり、運動をしたりする時に交感神経が優位になる。英語ではファイト・オア・フライト反応(fight or flight reaction) なんて言ったりするが、要するに「戦うか逃げるか」という選択肢を本能的に迫られるような状況下で交感神経が有利になるのだ。

 

 交感神経が優位になると、心拍数があがって汗をかき、戦ったり逃げたりするのに一番使うであろう筋肉により血を送ろうとする。ペニスに血流を促してる余裕はないのだ。

 テスト前に「俺よゆ~、全然緊張してないから」とかかましてるやつの股間を見てほしい。万が一、億が一にそいつが勃起しているのであれば……君に勝ち目はない。彼は本物だ。

 因みに、射精は交感神経が優位になって起こる。

 イった後に「賢者タイム」になるなんて俗語があるが、一般的には射精後に分泌されるセロトニンやプロラクチンによって起きると言われている。だが静香くんは副交感神経が優位な状態(勃起、性行為)から急激に交感神経が優位(射精)になって、その後リラックスすることで起こっていることを考えると、サウナ(初めは副交感神経、徐々に交感神経)後に水風呂に入って(交感神経)休む(副交感神経)ことで「整う」ことと似たような現象が起きているのでは? ーーなんて考えているらしい。

 

副交感神経

 

 

 副交感神経はリラックスしている時に優位になる。

 

 別にエッチなことを考えてないのに、ふと気づいたら勃起していたなんて経験をしたことがあるかもしれない。これは副交感神経が優位な状態であるからこそ起こり得るのだ。

 

 ここで重要なのが、交感神経は簡単に副交感神経が優位な状態から乗っ取ることができるということ。リラックスしている時に仕事のことが頭を過ぎって急に不安に駆られた……なんて状況が正にそうだ。

 

 逆に緊張している時に急に心が穏やかになってリラックスすることしかできなくなったなんてことはまずないだろう。リラックスするには緊張が切れるまで待つしかない。つまりは交感神経が自律神経のどちらが優位になるかを決めているのだ。

 

 EDに悩む人は、何らかの理由で交感神経を優位にしてしまっている場合が多い。

 

 

 

どうやって血流が増えるの?

 

 

 

 

 ペニスの解剖を説明した時にも言ったが、白膜に囲まれたスポンジ状の陰茎海綿体に血液が大量に流れ込むことでそれがパンパンに膨れ上がり固くなるのだ。風船にスポンジを詰めて、そこに水を入れて膨らませるようなイメージだ。

 

 この風船メカニズムが陰茎海綿体の中心部にある陰茎動脈が拡張することで起こる。動脈は血液を心臓から運ぶ役割を担っているので、拡張して運ばれてくる血液量が増えれば白膜という風船が膨らむ……って訳だ。勃起時には普段の20から40倍もの血液が流れ込む。

 

 動脈の拡張は動脈を覆う平滑筋という筋肉が緩むことによって起こる。

 

 副交感神経が優位になることで一酸化窒素(NO)が血管の細胞や神経で生成され、それが平滑筋内でサイクリックGMP(cGMPまたは環状グアノシン一リン酸)という物質を生産させることによって最終的に平滑筋が緩むのだ。

 

 バイアグラなどの薬はサイクリックGMPの分解を妨げることでその量を増やし、平滑筋を緩ませることで勃起を促しているのだ。

 

 もっと詳しく知りたい方は、今後のブログで説明するので是非読んで欲しい。今は膨大な情報量になってしまうのでここでとどめておく。

 

 勃起が維持できるのは、静脈が薄膜と陰茎海綿体の間で生じる圧である程度潰されて血が抜け出すのを制限しているから。更には、坐骨海綿体筋球海綿体筋などの筋肉の収縮も勃起の維持に一役買っている(筋肉についてもまた今度詳しく説明する😉)。

 

 下の図に今までの解説をまとめてみた。我の字が汚いのは……許してくれたまえ諸君🥺🥺🥺

 

 

 矢印の太さが血流の量を表している。通常時は風船がしぼんだまま、入ってきた分だけ出ていくので変化はない。勃起始めは入ってくる量が多くなり風船が膨らみ始め、その圧によって出ていく量が少なくなり膨らんだ状態を維持することができる訳だ。

 

 

 以上、ペニスの構造と勃起の仕組みを簡単に説明した。詳しくは今後のブログを読んで欲しい。

 

 次回もまたよろしくお願い申し上げる。

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 我、EDマンなり。我の活動にご興味ある方は、是非我の初めのブログを読んで欲しい。↓↓

 

参考文献、引用

*"Cross-sectional view of the penis with its layered structure and skin removed - no labels" by Ron Slagter, LUMC and Marco DeRuiter, LUMC, license: CC BY-NC-SA

**"Cross-sectional view of the penis with its layered structure and skin removed - no labels" by Ron Slagter, LUMC and Marco DeRuiter, LUMC, license: CC BY-NC-SA, modified (cropped, marked and labelled)

 



 2020年にObstetrics and Gynecology Science にて掲載されたレビュー論文*では、胎児のペニスの大きさをエコー検査(超音波検査)によって測定したデータを集めている。もともとは先天異常などの早期発見の為に行われたものだったが、偶然にも胎児がお腹の中で勃起していることが分かったのだ。


 特に妊娠後期(28〜40周目)の胎児に見られ、1時間に1〜3回は勃起しているのが確認されている。理由としては血流の変化や骨盤筋の収縮などが挙げられているが、あまり詳しくはまだ分かっていないのが現状だ。もしかしたら胎児の時からエッチなことを考えているのかもしれない……。信じるか信じないかはあなた次第だ。




参考文献

Soto ÁL, González JLM, López-Perez R, Fernández ML, Martínez-Uriarte J, Izquierdo OG. Sonographic measure techniques of fetal penile length. Obstet Gynecol Sci. 2020;63(5):555-564. doi:10.5468/ogs.20087


勃起できないのは心のせい!?

 

 

 我、EDマンなり。

 

目次

 

キーポイント

 

 □ ED=勃起不全とは満足な性行為を行うほどの勃起ができなかったり維持できなかったりする状態。

 □ EDには身体、両方に原因がありえる。

 □ EDはほとんどのケースで治療可能

 □ 心がリラックスした状態でないと、勃起はできない。

 □ 他の病気がEDを症状の一つとして発症することがある。

 □ EDについての正しい知識を身につけることで不安を軽減しよう!

 

 

 

そもそもEDって何?

 


 

 

 2015年に開催された4th International Consultation on Sexual Medicine (ICSM)で決定されたEDの定義は満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか,または(and/or) 維持できない状態が持続または(or) 再発することである。

 

 「または」の後に英語がかっこで続くのは、「または」の意味合いが少し違うからで、意味の違いは英語そのままだ。

 

 初めの「または」は十分な勃起が「得られない」と「維持できない」この二つ共、または片方が起こるという意味に対して、二つ目の「または」は「持続する」か「再発する」かのどっちかという意味になる。

 

 因みに第五回の国際会議は2024年の6月にスペインで開催される予定だ!

 

 昔は英語の「Impotence」からインポなんて呼ばれてもいたが、今ではあまり使われていない。


 EDと勃起不全は全く同じことを指す。勃起不全を英語で言うと、Erectile Dysfunction = EDとなるのだ。

 

 このEDの定義だが、これがさす事象は結構広い。

 

 例えば……

 

 性欲もあるしめちゃくちゃ興奮してるのに、全然勃たない……ぴえんーーだったり、

 

 途中までは平気なのに、急に萎えて最後まで持続できん……ぴえんーーだったり、

 

 アダルト動画みて自分でやる分には問題ないのに、本物の人間が相手になった瞬間にぴえんーーなんてことも。

 

 正にこの三つ目の例がEDマンが産まれる根源なのだが、それについては「EDマンここに降りたったり」のブログで説明しているので、興味がある方は是非読んで欲しい。あと、過度のぴえんの使用でいら立たせてしまったら、ここで謝る🙇🏻‍♂️🥹🙇🏻‍♂️🥹

 症状がどのくらい続けばEDと診断できるのか、定義には明確になっていないが、少なくとも6ヶ月間同じ症状であればEDと診断できると言われている*。

 発生率としては40代以上の男性に多く、年齢と合併症の有無に伴って右肩上がりになっている**。(合併症とは、EDと関係する別の病気が存在することを指す)

 そして……ED患者の数がこれから爆増するかもという危機感から生まれたEDマンだが、実は、EDはほとんどのケースで治療が可能なのだ!!*** だから男性諸君、あまり落ち込む必要はない!

 

 

 

原因のカテゴリー

 

 
 EDの原因は大きく三つのカテゴリーに分けられている。

 1.心因性

 2.器質性

 3.上の二つが合わさった、混合性

 

 大きなカテゴリーには属さないものの、薬剤性なんていうのもある。

 順番に見ていこう。
 

 

 

心からくるの……??(心因性について)

 

 
 結論から言うと、その通りなのだ。


 2023年の研究ではED患者全体の38%が不安神経症、65%がうつ病を患っているという****(EDを他の原因で患うことによって、精神的に病む場合ももちろんある。これが、正に混合性のパターンだ)

 

 勃起をつかさどっているのは副交感神経。つまり、心がリラックスした状態でないと勃起はできない

 そしてもちろん、メンタルと言うからには「これが原因!!」などと断定できるようなケースはまずない。

 日々の仕事からの疲れ、性行為に対する不安やイメージ、パートナーとの関係性など、可能性をあげれば滝のように溢れてくる。

 それまでは性欲、リビドーがあったのに、仕事のことを考えた瞬間に萎えた。そんな気分ではなくなってしまった……。なんてことを経験したことがある方はいるかもしれない。

 それが、無意識のうちに意識外で同じようなことが起こればどうだろう。

 原因を自覚をすることなく、なぜか勃起できない、勃起を持続できない……なんて症状が現れる。

 意識外でなくても、ストレスが頭を離れなかったり常に不安感に襲われている人もいる。

 勃起ができないことが原因で焦り、その焦燥感がますますEDの症状を悪化するーー負の連鎖に陥るのだ。これをビシャスサークル(vicious circle)と呼ぶ。

 

負の連鎖

 そして実を言うと、心因性のEDはあまり研究が進んでいない分野なのだ。

 

 

影に病気が潜んでいる?!(器質性について)

 


 器質性というのは、体内の臓器や神経や血管そのものに問題があってEDを発症させる場合のこと。

 簡単に言うと、EDは他の病気
症状の中の一つとして発症することも少なくないのだ。

 器質性の中でも更に、

 血管性、神経性、内分泌性(ホルモン)、陰茎性

 のグループに分けることができる。

 特に多いのが、血管性のものだ。

 

血管の異常(画像)

 例えば、高血圧糖尿病などの病気は血管を傷つけるため血の流れが悪くなることでEDを発症する。

 他のグループを簡単に説明すると、

 神経性:勃起するのに必要な神経が傷ついたり、上手く機能しないことで起こる。

 内分泌性:精巣や甲状腺などに問題が起こり、ホルモン分泌が上手く機能しないことで起こる。

 陰茎性:陰茎の解剖学的(構造的な)問題で起こる。

 通常の勃起の仕組みが分かると、これらが最終的にどうEDを引き起こすか理解しやすい。是非興味がある方は読んでみてくれ↓↓

https://ameblo.jp/dr-ed/entry-12823755667.html

 

 

 

 

 

心と体はやっぱり繋がっているのだ……(混合性について)

 

 
 もともとは器質性だけであったEDも、それが原因でパートナーとの関係に不安を覚えたり、ストレスを感じたりして心因性をも兼ね合わせたものに進化してしまうことがある。

 全てのEDのケースにおいて心は関わってくるもので、心のケアは重要なのだ。

 

 

 EDを初めて発症した時には焦燥感がすごいだろう。

 

「なんで勃たないの? この間まで平気だったのに!」と、謎に勃たなくなってしまった自分に焦り、これから同じことが起こるかもしれないと不安を抱き、そしてパートナーが自分に愛想をつきていなくなってしまうのでは……なんて恐怖を感じるかもしれない。 

 

 しかし、EDについて正しい知識を学べば、学んでいれば、それは謎めいた治療できるかも分からない問題ではなくなる。

 

 もう一度言うが、EDはほとんどのケースにおいて治療が可能なのだ。

 

 知識によって軽減される心の重荷もあるだろう。そして他者からの理解も得られやすい。

 何を隠そう、我ーーEDマンが人類の危機に立ち上がったのは、一つに心身のケアの助けになりたいがためである!
 

 

 

薬の副作用として起こる?!(薬剤性について)

 

 

 そして最後に薬剤性なのだが、その名の通り薬の副作用で起こる。

 

 

 例えば、血圧を下げる薬やホルモン療法があげられるが、上に記述したEDの原因になり得るものに薬がなんらかの影響を与えることで起こる。

 

 対処法としてその薬の服用を止めればいいのだが、もちろんそれなりの理由があって今の薬を飲んでいるわけで、まずは医師に相談しなければならない。

 

 

 以上、EDの定義と原因の主なカテゴリーについて説明した。

 

 次回もまた、よろしくお願い申し上げる。

 

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 我、EDマンなり。我の活動にご興味ある方は、是非我の初めのブログを読んで欲しい。↓↓『EDマンここに降りたったり #1』EDマンここに降りたったり   AIの発展に伴って人類滅亡の危機が訪れた。      ED(Erectile Dysfuntion)またの名を勃起不全。EDと…リンクameblo.jp

 

参考文献、引用

*American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. 5th ed. Washington, 2013

**Francesco P. at el, Relationship Between Age, Comorbidity, and the Prevalence of Erectile Dysfunction, 2022, 

 

EDマンここに降りたったり

 

 

   AIの発展に伴って人類滅亡の危機が訪れた

 

 

    

 ED(Erectile Dysfuntion)またの名を勃起不全。EDとは、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発することを言う。

 

目次

 

EDセンサー急上昇

 

 
 時は令和。2022年11月30日、米
OpenAi社がChatGTPをリリースした。そして同刻、宇宙の何もない空間から赤ちゃんが産まれた。


「うぎゃ、あやうぎゃぎゃ (EDマン参上!)」ーー我の産声だった。

 赤ちゃんであったが、既に自我はあった。自分がEDマンであることも自然と認識していた。

 

 EDセンサー🤖……0%

 

 突然頭の中で流れた、機械的な音声のアナウンス。

 

 (どういうことだ……?)

 

 その時、膨大な情報が頭に流れ込んできた。

 主に地球に存在するニンゲンという生物について。そしてニンゲンが直面している、種族存続の危機。

 

 「おぎゃあ"ぁぁーー」

 

 あまりの情報量に我は頭を抱えて悶えた。

 そしてその短時間で我はみるみる老化していった。

 幼児、少年、青年とカラダが変化して、顔には皺ができ髪は白髪が混じって、髭は伸びていった。そして、頭に流れ込む情報が止まった時にはおじさんになってしまった。

 髪の毛も前頭部からは消え失せていた……。ストレスによるものだ。我の心は深く傷ついていた。

 だが、自分の存在意義は理解した。なぜ我という存在が生み出されたのか。どんな使命を持っているのか。

 

 現在、地球ではChat GPTリリースからまだ半年ちょっと。人工知能の進化のスピードは凄まじく、世界はAIの持つ可能性に沸きだっている。

 

 実際に使ったことある方はその性能に目を見開いたことだろう。コード言語を使う必要はなく、まるで人と会話するかのようにコマンドを与え、文章の要約から翻訳、自らコードや論文を書くことさえできる。

 EDセンサー🤖……5%

 

 再び頭の中で流れたアナウンス音。

 (やっぱり……)

 我が人類滅亡の危機を感知するとセンサーの数値が上がるみたいだ。そしてEDマンセンサー🤖に比例して私の中でチカラ(EDマンパワー💪)が増していくのも感じた。


 読者の方は強引な「人類滅亡」のワードに説明を求めていると思う。順序を追って説明しているので、できればこのブログを最後まで読んでほしい。
 

 我が読み込んだ情報の中にこんな画像がある↓↓

 

 

 

 人工知能を使えば、もう嫌な上司にどんな文面を書こうか悩むストレスも無く、なんなら自動送信で自尊心も救うことができてしまうのだ……。

 

 EDマンセンサー🤖…… 3%

 

 センサーの数値が減った。

 ストレスや傷ついた自尊心が減るのはいいことだ。

 必ずしもAIそのものがEDマンの危惧する人類滅亡に帰結する訳ではないのだ。

 

 ChatGPTオープンソースモデルとして作られた。つまり、他の会社や団体が人工知能のコードにアクセスでき、自らのサービス開発に利用できる。実際に、既に様々なサービスがChatGPTを使って運営されている。ChatGPTを顕著な例として挙げたが、もちろん他にも様々なAIが存在する。

 そしてその用途はアダルト界にも及んでいる。そこに、最大の問題があるのだ。

 我の頭に流れてきた情報の中。

 地球上の青年達が携帯やパソコンの画面を見つめていた。開かれた目は充血しており、必死に何かに集中している。

 腕は往復運動をひたすらに繰り返していた。


 私は彼らの画面を覗き込んだ。

「オーマイガー😱 It’s AI porn!!」


 EDマンセンサー🤖……20%


 EDマンセンサー🤖……30%


 EDマンセンサー🤖……45%

 
 EDマンセンサー🤖……65%

 

 刹那、EDマンセンサーは急上昇を始めた。それに伴いEDマンパワー💪も急上昇して、身体の奥底から溢れんばかりのチカラが湧き出した。

 

「パワーーーーー」

 カラダが爆ぜた。我は星や宇宙雲を蹂躙するかの如く加速し、周囲を塵とかして地球の大気圏へと突入した。

 向かうは地球上の日本という国の首都、東京。EDマンの拠点に相応しいと判断した。
 
 我の使命は人類の男性をEDから、不妊から救うため。

 東京都丸の内、アップルストア前。

 高速でバク宙しながら、我は降りたった。

「ボク、EDマン!!」

 

 

 

早々に訪れたEDマンの危機

 

「きゃーーー」

 

 我が地球に降り立って、ポーズを決めていると目の前の女性が酷く怯えだした。

 我はEDマンパワー💪を少し費やして、彼女の思考をスキャンした。

(胸元と股間だけを隠した布……、変態、キモッ! ハゲ、おっさん、警察、キモッ、警察、警察……)

 

 彼女の思考を支配している言葉。


 どうやら我の格好の問題だったらしい。

 我はEDマンパワー💪をもっと費やして服を作り出し纏うと、我の登場を目撃した全員のその部分の記憶を消した。

 EDマンパワー💪は万能である。

 EDマンセンサー🤖……15%

 

 だがしかし、EDマンセンサー🤖EDマンパワー💪は連動しているらしい。 EDマンパワーを大量に使ったため、センサーの数値も減った。


 我が新たなEDによる人類滅亡の危機を認識すれば、EDマンセンサー🤖は反応して回復する。我は人類滅亡の危機が存在する限り半永久的にパワーが使える。

 地球上での活動にインターネットへのアクセスが不可欠であると感じた我は、アップルストアへと足を踏み入れた。

「じゅ、十二万円……」


 iPadの値段を見て気が動転した。

 EDマンセンサー🤖の充電が急遽必要になってしまった……。

 人類滅亡の本題に入る。

 ディープフェイクという言葉をご存じだろうか。

 
 

一般的にAIを用いて作られた偽造の映像や音声のことを指すのだが、これがもう既に相当高度なレベルで偽造できる。

 

 この動画を見てほしい。トム・クルーズとは似ても似つかない人が、ディープフェイクの技術を使うことで、見た目は本人にしか見えない。↓↓↓

 

 

 

 

 EDマンセンサー🤖……20%

 

 そして勿論これは映画界に限ったことではない。やろうと思えば悪用もできる。

 

 オレオレ詐欺で「声がちょっと似てるかも?」とかそんなレベルではない。テレビ電話で声や顔、喋り方の癖までも再現されたフェイスタイム詐欺”だって可能なのだ。そんな電話がきたら、いったい何人が詐欺だと見抜けるだろか。

 

 2021年時のオレオレ詐欺などを含めた詐欺の被害件数は年間約14,000件。被害額は282億円に及ぶ*。

 

 2021年度はまだ、人を欺けるような高度なAI技術が使用されていないことを考えると、詐欺による社会の損失、そして裏社会の犯罪者組織のポケットがこれからどれだけ潤うか恐ろしくなる。

 

 ここでEDマンアドバイス: 気休め程度だろうが、我は家族間で本人確認用の合言葉を作ることを推奨する。

 EDマンセンサー🤖……25%

 EDマンセンサー🤖は順調に貯まっている。

 だが十二万円を捻出するのにEDマンパワー💪はまだ足りない。お金をゼロから生み出すのはコスパが悪いようだ。

 

 まあともあれ、問題はアダルト業界の話だ。

 

 ディープフェイク自体はアダルト業界で既に使われている。動画内の顔を有名人に編集したり、音声を変えたり、用途は様々。もちろん悪用されている場合も多い。

 

 しかし、考えてもみてほしい。AIが可能にする、顔も体型も声も、性格すらも貴方のタイプそのものの人物モデルを売りにしたサービス。

 

 AIによって一人一人の指向、タイプを分析し、その人物の3Dモデルを作り出せば、文字通り性癖をそのまま具現化した商品を売ることができるのだ。ーーこれはアダルト業界に革命が起きる。

 

 そして、もう既に開発は進んでいる。

 

 EDマンセンサー🤖が急上昇を始めた。それだけ人類への影響は大きい。

 ーー人間は性欲を満たすのに人間が必要でなくなるのだ。

 

 AIによって脳にドーパミンを大量放出させることでより強い快感を経験すれば、人々はそれを繰り返し、習慣化していく。

 

 ドーパミンが大量放出されることに慣れ、日常で自然に作られる量では満足できなくなる。

 依存はどんどん進み、AIのない生活に幸せを感じられなくなるのだ。もはや人間相手には興奮できなくなってしまう可能性すらある。

 

 日本の少子高齢化問題でセックスレスが取り上げられることがあるが、それは悪化するばかり。

 

 日本に限ったことではない。世界規模でそんなことが起これば人類存亡の危機だ。今はまだ笑い話かもしれないが、実際に起こってしまえば後戻りは難しい。


 そして我の存在意義の根底……

 

 EDに悩む青年達が増えること間違いなし!!

 ーーEDマンセンサー🤖……100%

 

 アナウンスの音声が頭に響く。

「はっ」

 息を呑む音が背後からした。振り返ると、そこには青年が立っていた。

 深くキャップ帽を被っており顔はよく見えないが、黒縁のメガネが特徴的だ。

「あんた、もしかしてEDマンか?」

 別にEDマンであることを隠している訳ではないが、一見で正体を明かされた我は少し焦った。

 頭をフル回転させ、データベースから青年についての情報を探す。

 だが、おかしなことに青年の情報は一切見つからない。

 対応に困っていると、青年が再び口を開いた。

 

「僕が何者なのか、そんなのは後で時機に分かる。それよりも、あんた呼吸しただろ。活性化酸素があんたのカラダを蝕んでるよ」

 

 その言葉を理解するのに少し時間を要したが、その時我は初めて、自分のカラダが黒ずみ崩壊し出していることに気づいた。

 

 思えば本来酸素呼吸など必要なかったのに、周りの人間がしているからと我も真似て呼吸をしていた。

 

(これが同調圧力か……)

 

 酸素は体内で活性化酸素へと化学変化し、カラダの細胞を殺していた。

 

 次第に動くのが難しくなって、息も浅くなってきた。

 

「今はとりあえず生存するためだけにEDマンパワーを使え!」

 

 視界が霞んでいく中、青年の声が頭に響いた。
 

*警視庁より

 

 

 

EDマン、居候する。そして……

 

 
 気がつくと、我はベッドの上で寝ていた。

 周りを見渡すと、見覚えのない部屋が広がっていた。服やゴミなどが散らかった部屋に教科書が山積みの机が置いてある。

「やっと目を覚ましたようだね、EDマン」

 山積みの教科書の奥から、あの青年の声がした。

「君はいったい何者なんだ?」

 質問という質問が我の頭で渦巻いていたが、まずは彼の正体が知りたくて仕方がなかった。

 我の膨大なデータベースにもなかった青年。

「俺は静香(しずか)。あんたのことを助ける存在さ。俺はあんたの使命を助けたい。それだけだ。因みに男だからな? 名前でよく間違えられるけど」

 青年は椅子から立ち上がり、我の方へ歩いてくる。水をいるかと聞かれたので、我は不要だと断った。

「そうか、静香。我の使命とは……ED撲滅のことかい?」

 我はベッドの脇に立つ彼を見上げて聞いた。

「ああ、それもあるけど。まぁ、今はまだいい。それよりも……あんた、暫くEDマンパワー使えないだろう?」

「そんなわけな……」

 馬鹿げた話だと否定しようとした時、我は確かにEDマンパワー💪を感じられないことに気づいた。

 EDマンセンサー🤖は反応している。EDマンパワー💪も比例して増えているはずだが、生み出された瞬間に消費されているような感覚がある。

「カラダを修復中なんだよ。あんたの特殊なカラダ、再生するのにかなりのEDマンパワーを消費するからね」

「なるほど……」

 確かに、そんな感覚はあった。

 だが、EDマンパワーを使えないのは困る。我は使命を達成しなければいけないのだ。

「だからさ」

 静香は続けた。

「EDマンは俺の家を拠点にすれば良い。カラダが治るまでは、ここで活動しなよ。iPadもパソコンも好きに使って良い」

 我にとっては好条件だったが、静香にそんなことをする義理はない。

 返答に悩んでいると、青年は再び口を開いた。

「俺はずっとあんたのファンだった。人々をEDから助けるっていう社会貢献に俺も手伝わせて欲しいだけなんだ! だからこの通り……」

 静香は我の目の前で正座をすると頭を床につけた。

「わ! や、やめてくれたまえ!」

 我は突然の土下座に少し慌てふためいた。

「分かった! 我は君を信じる! これから再びEDマンパワーが使えるようになるまでは、世話になる」

 我がそう言うと静香は心機一転、嬉しそうな顔で、

「そっか! じゃあ早速始めよう! まずは……ブログだな!」

 とiPadを差し出してきた。

 こうして、EDマンブログは開始されたのだった。

 

 

 

 

コンプラに怯えるEDマン

 

 

 静香によると、なんでも情報発信をするにはリスクが伴うらしい。

 特にコンプラと呼ばれるものが人々を恐怖に怯えさせているようだ。

 ということで、


 医療相談は病院に行ってほしい。

 

 そして、EDマンは読者がどんな考えを持っているのか興味がある。これはコメントで教えていただけると嬉しい。

 

 最後に、ブログの場所や、形態が今後変わる可能性がある。ご了承いただきたい。 

 以上!

 

  

 これから、よろしくお願い申し上げる。

 

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