先週は月曜からフル回転。早くも進行をコントロールしながら新たなコンペの話も続々で痺れるような毎日。以前と変わらず期待されるのは嬉しいのだが、2年のブランクでシステムにも四苦八苦で仕事が思うように進まないのも情けないところで。そんなこんなで金曜はとうとう入社10日目にして事務所の戸締りをして帰る羽目に。いやはや・・・(苦笑)
オフィシャル歓迎会があった水曜を除き、毎日何かを温めたりの簡単調理か、コンビニ総菜で軽く自炊の夕飯を作り、毎回「男飯写真」も撮っていたのだが、運営事務局から「料理・グルメ投稿キャンペーンのお知らせ」なども届いてしまい(笑)、「いや、俺のブログは確かに日記も兼ねているが、本来は映画ブログなのだ!」と焦ってしまったのだった(笑)
そんなわけで未だ動かぬ持参したDVDデッキをあきらめ、部屋のテレビで映るGYAO!で再見したこれを久々の映画レビューのネタとしようではないか!
悪魔の沼(1976)DEATH TRAP/別題:EATEN ALIVE/STARLIGHT SLAUGHTER/LEGEND OF THE BAYOU/MURDER ON THE BAYOU/HORROR HOTE(っていくつあるんだw)
監督・脚本・音楽:トビー・フーパー 製作:マーディ・ラスタム 脚本:アルヴィン・L・ファスト、キム・ヘンケル 撮影:ロバート・カラミコ 音楽:ウェイン・ベル
出演:ネヴィル・ブランド、メル・ファーラー、スチュアート・ホイットマン、マリリン・バーンズ、クリスティン・シンクレア、ウィリアム・フィンレイ、カイル・リチャーズ。キャロリン・ジョーンズ、ロバート・イングランド、ロバータ・コリンズ、ジャナス・ブライス
「おまえ、書くなら「シン・ウルトラマン」を書けよ!」って声が聞こえてきそうだが(自分もそう思う(笑))、まあ、このブログタイトルらしく久々の映画レビューはこれでいかせて欲しい(笑)。
「悪魔のいけにえ」でセンセーショナルなデビューをし、注目されたトビー・フーパーがハリウッドに招かれて撮った1作目。「いけにえ」同様1930年代にテキサス州で起こったジョー・ボール事件をモチーフに作られているという点でも当時は注目作だったのだ。
何より上のポスター!当時買っていた「ロードショー」での紹介スチール写真はもう少し大人しかったが、配給会社日本ヘラルドが「はらわた」「いけにえ」「墓場」に続いて公開した「悪魔シリーズ」第4弾としても合格!のインパクトは絶大だったのだ。
当時小学生~中学生だった自分は我が街で上映された「はらわた」「いけにえ」「墓場」は公開時にはどれも見送ったが(正直ビビってた)、本作だけは回ってこなくて、これまた未見だったのだ。これ、公開日を見ると1976年12月25日。つまり77年の正月映画だったのだなあ(笑)。ってことはギラーミン版「キングコング」や地方では2本立てだった「カサンドラクロス」と「ラストコンサート」及び「ダーティハリー3」と「エンテベの勝利」と同時期だったわけで、以上は俺は映画館で観ていたから、回ってきたとしても財政的に厳しくて見送っていたかもしれないな(笑)。
そんな訳で大学時代に「悪魔のはらわた」はホラ-映画のオールナイト上映で池袋文芸地下で観れたのだが、残りの3本はついにスクリーンでは鑑賞できず、80年代のビデオブームのかなり初期に立て続けに見た記憶がある。
ちなみにDVDでも所有しているのは「はらわた」と「いけにえ」のみだし、密かに所有したいのは「墓場」だったりするので、正直、本作はビデオで観た時も「んん?これ「いけにえ」のトビー・フーパー作品だよね?」とちょっと肩透かしだったのを覚えているのだ。
テキサスの片田舎の安ホテル。ここの主人ジャッドが「マッド・ボンバー」でも狂っていたネヴィル・ブランド。そう、ポスターで大鎌を悪鬼の形相で振るっている彼だ。「マッド・ボンバー」と本作で自分の中ではすっかり「狂ったオヤジと言えばこいつ!」が確定してしまったのだが、本作でも独り言をブツブツ言っているかと思えば、客には媚びへつらい、傍若無人な若者バック(エルム街のロバート・イングランドだ!)には激高するなど情緒不安定も甚だしい。
売春宿で働こうとするも前述のバックの心無い扱いにすっかり心が折れて、宿を首になったクララがホテルにたどり着くが、ジャッドは自分を気味悪がったその売春宿が大嫌い。クララがそこから来たということに気づくといきなり激高。大鎌振るって刺し殺すと池に突き落とす。そこには巨大なワニが飼われている池があるのだ。
こうしてクララを殺したかと思うと、次に現れたのが子連れの夫婦。これが奥さんのフェイは前作「いけにえ」で酷い目にあったマリリン・チェンバース。旦那ロイは「ファントム・オブ・パラダイス」のウィリアム・フィンレイ!
彼がまたジャッドに輪をかけた情緒不安定ぶりで、ある意味映画のバランスを崩すほどなんだが「俺が苦しめばいいと思っているんだろう」などとやたらとフェイにつっかかった挙句、娘の愛犬をワニに食われたのに立腹してライフルでワニを撃っているところをジャッドに襲われ、ワニに沼に引き摺り込まれお陀仏するのだ。
さらに家出した妹を探すリビーとその父ハーヴェイ(メル・ファーラー)。街の保安官(スチュアート・ホイットマン)に捜索を依頼するも、先にホテルに戻ったハーヴェイもまたジャッドの鎌の餌食に。メル・ファーラー、よく出演したよな(笑)
さらにロイの死を知らなかったフェイも襲われ、逃げ回る娘は床下に何とか逃げ込む。大鎌持ったネヴィル・ブランドに追いかけられるわ、ワニをけしかけられるわで確実にトラウマになるよな(汗)
フェイは何故かすぐに殺されず拘束されるが、マリリン・バーンズ、「いけにえ」に続きここでもほんと酷い目に遭っているのだ。
拘束したフェイを前に独り言を言いながら佇むジャッドが、かのレザーフェイスが一人考え事?をするシーンにも似て、狂った人間の怖さを引き立たせているのだなあ。
この後もR.イングランド演じるチンピラのバックが、ナンパした娘とよろしくしようという時に、おかしな気配に気づくも、ジャッドに沼に突き落とされワニの餌食に。ナンパした娘はジャッドに追い回されるもの辛くも逃げ延びる。
そこにホテルに戻ったリビーが拘束されたフェイを見つけ、助けたところにジャッドが登場で阿鼻叫喚のクライマックスへと突き進むのだ・・・
見よ!ジャッド=ネヴィル・ブランドの狂った姿を!(笑)
最初から狂っているわけではなかったオヤジがどんどん狂気にとらわれていくのが居心地悪く、最初のクララを殺した時点でタガが外れたかのように加速し、パワフルになる殺しの饗宴。もうジャッド=ネヴィル・ブランドの体力が心配になるくらいの殺戮具合だが、思えばたった一夜の物語なんだよな。
「いけにえ」の時のオールロケと正反対に本作はオールセット。これが赤を基調とした毒々しい照明に常に照らされ、スモークもたかれ、何ともジメっとした異様な空間の中、ラジオから呑気なカントリーが流れるのがまた暑苦しいのだ。
そんな中、ジャッドの咆哮と女たちの悲鳴が交錯するバックには、トビー・フーパーも作曲にクレジットされたシンセの不快な劇伴が響くのが神経に触る。
とにかく何もかも歪なのだ。
初見の時はいまいちだなあ・・・で終わっていたが、今回は「いけにえ」のわけのわからぬ圧倒的なパワーとは別物の、B級なのに王道ではない、何気に有名俳優が大挙して出演していることも含め、どれもこれもバランスの狂った、ある種の「変な力」を感じてしまった次第。
まあ、映画全体の力としては「いけにえ」には及ばないし、どちらかというとその後の「ファンハウス・惨劇の館」への橋渡し的な手触りではあるのだが、単純な失敗作には思えなかったのだ。
もしかしたら…怪演していたウィリアム・フィンレイのロイを後半まで引っ張って、ラストにジャッドと対決でもさせたら、「いけにえ」と並ぶカルトになった気もするのは俺だけだろうか(笑)
思えばネヴィル・ブランドもトビー・フーパーも鬼籍に入った今は望むべくもないのだが。
そんなわけで久々のこのレビューもまた、歪にパワフルに記してしまったことをお詫びし、筆を置くとします(笑)