これは私がバリバリのROCK少女だった時に起こった信じられない出来事です。
中学校の時同級生だったY子は私と同じく洋楽ロックのファン。
今から40年以上前、私の周りで洋楽のロックを聴いている女の子はほとんどいなかったため
私にとってY子は貴重な友達の中の一人で、ロックバンドのライブにもよく一緒に行ったものでした。
まだ東京ドームすらなかったこの当時、
来日したバンドのライブと言うともっぱら武道館。
その日も武道館のライブが終わった後、
興奮冷めやらない私とY子はいつものロック喫茶に直行し、今見て来たばかりのライブの話で盛り上がっていたんですが
そんな私とY子に話しかけてきた二人組の若い男性。
同じバンドのファンだったこともあって話が盛り上がり、お互いの電話番号を交換しました。
そしてどういう成り行きだったのかはよく覚えていないのですが
私がJ君と、Y子がA君とデートをすることになったのです。
初めてのデートの日、J君に指定された駅まで行くと、そこに現れたのは白いスポーツカーに乗ったJ君。
「え?まだ若いのに何でこんな車乗ってるんだろう?」と思いつつも、さほど気にすることもなく車に乗り込んだ私。
「きっとドライブデートでもするつもりなんだろうな」と思っていたら連れて行かれたのは何とJ君の家。
しかもびっくりするような豪邸でした。
「え?初デートなのにいきなり家?ど、どうして?」と思ったもののさすがに「帰ります」とは言い出せずJ君に促されるまま家の中に入ったのですが・・・・
J君に「階段上がって」と言われ2階へ。
そしてJ君が襖をパーンと開けた時、
私の目に入ってきたのは信じられない光景でした。
8畳8畳の部屋を2つ繋げた広い和室には座卓がズラッっと並べられていて
その座卓の上にビッシリ置かれていたのは明らかな祝い膳。
そしてその座卓に、J君の両親・兄弟・祖父母・親戚の叔父さん叔母さんが全員正装してニコニコ笑って座っていたんです。
は!?
何これ!?
何なの!?
どういうこと!?
と激しく動揺しつつも
(とにかく挨拶しないと)と思った私が
「初めまして・・・〇〇と申します」と言った途端、
J君の家族親族が代わる代わる私の手を握りしめながらこう言いました。
よく来て下さいました!
ありがとう!
嬉しいわ~!
この日が来るのを心待ちにしてました!
でもまさかこんないいお嬢さんがウチに来てくれるなんて!
もう一度言いますが、これ初めてのデートです。
初めてのデートでいきなり結納状態。
もはや『世にも奇妙な物語』です。
こんなに意味不明な怖い経験をした人って他にいるんでしょうか。
この後、自分がどうしたのか
何をしゃべって何を食べて
どうやって家に帰ってきたのか全く記憶がありません。
私にとってそれぐらいショックだったということです。
ただこの数日後、J君に
「お付き合いはできません」という事をハッキリ伝えて
もうそれっきりになりました。
その後、J君と会うことも話すこともなく
それで一件落着したんですが・・・・・
私よりもっと恐ろしい事が
Y子とA君の間で起こってしまうことになるのです。
つづく。