韓国の朴槿恵大統領が、一連の政権私物化疑惑で、
検察から事実上の共謀を断定されたにもかかわらず、
相変わらず辞めるそぶりは見せない。
理由は明確だ。
辞めた途端、逮捕されるからだ。
以前の本欄で、この苦境を突破するには、
対北政策で、強硬路線に行くしかなく、
最悪の場合、朝鮮戦争の再開につながりかねない、
と指摘した。
少なくとも、苦境突破・指示回復の手を、
今週早速打ってきた。
日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA、ジーソミア)の締結だ。
あれだけ韓国国内の反対がある中、
当初は締結さえ難しいといわれていた中、
政権批判に目が向いている最中での締結だった。
本来このような協定は、担当大臣同士で行う。
時には首脳同士であってもおかしくない。
しかし、韓国で行われた署名式は、非公開だったどころか、
日本の稲田朋美防衛大臣でなく、長嶺安政駐韓日本大使だった、
つまり、政権反対の嵐のどさくさに、署名したのだ。
今回の韓国政界の混乱で、一番安心しているのは、
北朝鮮労働党の金正恩委員長だとされている。
朴大統領は、「そうはいかない。」という姿勢を、
北朝鮮に示したともいえる。
朴大統領は、これ以上支持が下がりようのないことを逆手に取り、
支持基盤回復、国民の目を外に向けるために、
外交的に強攻策をとるだろう。
日本の援助が欲しい中、いつもの半日はもう使えない。
となれば、ターゲットは金委員長に限られる。
対北政策で世論の支持を回復させ、
疑惑を一掃させようという狙いだろうが、
今回の国民の怒りは、相当なものだ。
しかも毎週のように開かれるデモは、
暴力を伴った激しいものではなく、落ち着いたものだ。
落ち着いていれば、エネルギーをセーブでき、運動も長く続く。
対北政策での名誉挽回か、世論の圧力か、
韓国国内は、しばらくこの綱引きが続くだろう。