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1999年~2000年,FC SANの普及

1999年から2000年に掛けて、Fibre Channel (FC) をベースとしたSAN (Storage Area Networking) の普及が進んだ。

Gartner調査によると、FCスイッチの市場規模は1999年の$176Mから2000年の$646Mへと急拡大した。さらに同調査会社は2006年にはFC市場が$4.3B (但し、この数値はHBA含む) になると予想した。

事例3:Cisco社Andiamo

後発でFC SAN市場に参入するCisco社の動き

FCスイッチ市場で後発のCisco社は,高い報酬とリスクのバランスを上手く取ることで,ベンチャー企業特有のスピードとフォーカスで他社を先行する次世代のFCスイッチを開発することができた。


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最後の事例です。Let's Go!

得られた知見

(1)技術と製品は異なる

FilePool社が開発したRAIN技術とEMC社が開発したCentera Compliance Edition製品は同じではない。

Centera製品はRAIN技術を使っているが,データのWORM保護にRAIN技術が必須ということでもない。

いくら素晴らしい技術を生み出しても,その技術の適用先を見つけられなかったり,上手く製品を定義できなかったりするとビジネスとしては成功しない。

またベンチャー企業の技術を買ってきただけでは製品にはならない。買収した会社が製品に仕立て上げる為に追加機能の開発を行う必要がある。

(2)ベンチャー企業と既存企業のコラボレーション

ベンチャー企業がRAIN技術やCAN技術を開発する。顧客ニーズを掴んでいる既存企業がその技術を応用して製品を開発する。

EMC社Centeraの事例は,ベンチャー企業と既存企業がどう共同し,新市場や新製品を開拓できるかの良い例である。

(3)マーケティングの重要性

FilePool社の技術適用先がいくつも変遷していったのは,市場動向やニーズを良く見ていたからであると思う。結果,規制準拠という新ニーズを発掘するに至った。

新技術をどういう用途に適用するか粘り強いマーケティング努力が成功の鍵だと思う。マーケティングが得意な人と技術者がタッグを組めると良いと思う。

大学を使ってマーケティングの為の基礎データを収集した活動も興味深い。

(4)ユーザ・コミュニティを作って市場参入障壁を下げる

新しい技術や製品にはリファレンス情報が少ないし,ユーザ数も少ない。情報が不足しているとCentera普及の妨げになる。

EMC社は2つのユーザ・コミュニティを自ら作り,CenteraやCASの普及活動を行っている。

さらに製品の市場参入障壁を下げる為に,EMC社はジョイント・ソリューション開発のためにISV20社とパートナーシップを結んだ。

(5)大手ベンダが未開拓市場に参入する勇気

未開拓市場は市場規模も不明でユーザ・デマンドの大きさも不明なので,大手ベンダが参入するにはリスクが大きい。それでもEMC社はCenteraのビジネス・プランにGoを出した。


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Centera事業の企画書を見てみたいものですね。

How Much Information

University of California at Berkeleyは”How much information”とタイトルの調査結果を2000年に発行した。

本調査は、1999年度に世の中でどのくらいの情報が生成されたかを推定した調査結果である。

紙やフィルムなど媒体毎の情報量や、世界中のEmailデータ量、ラジオやテレビ、電話などで交換される通信の情報量などを推測している。

調査の結果、一年間に生成された情報量は1~2Exabytesであったと結論付けた。またこれら情報量は年率50%で増加しているとも予測した。

この調査結果は、Unstructured DataのDigital化ニーズを裏付ける根拠の一つになった。

尚、EMC社が本調査を資金面で支援した。


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How Much InformationはUpdate版があります。

http://sims.berkeley.edu/research/projects/how-much-info-2003/

なぜ既存企業が新市場を開拓できたのか

CAS製品が誕生して2年半経過したが,CAS製品が成功したかどうかの判断はまだ早すぎる。

しかし大手ストレージ・ベンダであるEMC社自身が新市場を開拓し,ベンチャー企業よりも早く製品を投入できたことは事実である。

以下に考えられる理由を述べる。

1) FilePool社やEMC社は,FilePool社の技術的用先について常に試行錯誤していた。そして最終的に規制準拠ニーズに辿り着いた。

2) 技術自体には変化が無くても,適用先に合わせて製品の定義を変えていった。

3) EMC社内に,FilePool社など有望なベンチャー企業を発見しビジネス提案できる人物がいた。

4) CANやCASという新コンセプトを打ち出せる人物がFilePool社やEMC社の中にいた。

5) 未開拓市場に参入する決断力とスピードがEMC社にあった。

6) 近い将来,大きくなりそうな課題やデマンドにEMC社は素直に取り組んだ。具体的には増え続ける情報量をどう保存すれば良いかという課題。カリフォルニア大学バークレー校の調査結果 (後述) を根拠になっている。


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3)が特に重要だと私は思います。

昔,歌手の売り出しで一時流行った「プロデュース」という仕事や「プロデューサ」という役目が既存企業に必要なのではないでしょうか。

プロデュースとは,どこかにある金の卵を発掘し,それを売れるようにお膳立てするという意味です。

作ることに生きがいを持つことは製造会社として欠かせないマインドですが,それだけでは企業として儲けることは難しいように思います。

技術をプロデュースするなんて,かっこいい仕事だと思いませんか?

大企業に追従するベンチャー企業


ベンチャー企業は既存企業よりも先行して新市場を開拓し新製品を投入する。既存企業はベンチャー企業の成功を見て追従する。これが今までのベンチャー企業と既存企業の関係であった。しかしEMC社のCentera製品のケースでは,両者の逆転現象が起きた。

Fixed ContentsやUnstructured Dataを保管するためのアーカイブ向けストレージ・ソリューションを開発するベンチャー企業には、Permabit社、Archivas社、ExaGrid社、Bycast社、Data Center Technologies社、Persist Technologies社などがある。

図に各ベンチャー企業の設立年と製品発表時期,及び製品概要をまとめた。

これらベンダの内でEMC社がFilePool社を買収する前に設立した会社はPermabit社、Bycast社、Data Center Technologies社の3社であった。また上記ベンダの内でEMC社がCenteraを発表する前に製品出荷を発表したベンダはいなかった。

以上から明らかなように、EMC社は大手ベンダでありながら、ベンチャー企業よりも先行して新市場を開拓し新製品を投入することが出来た。


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HPとStorageTekもCAS製品を出しましたね。HPはベンチャーを買収し,StorageTekはベンチャーの製品をOEMしています。EMCも技術はベンチャーを買収して手に入れています。

マーケティングと技術開発は独立事象で,一つの会社がやる必要はないことが良く分かる例です。

大手ベンダーの役割は,新規需要を見極め,技術を製品に仕立て,安定した品質でサービスをユーザに提供することかも知れません。

通勤メイク

朝、通勤中、バスの中で化粧している女性がいる。でもノーメイクで家を出るのはさすがにまずいだろうから,ファンデーションくらいは塗って出て来ているとは思う。バスの中でマスカラを付けている人は多い。

この前は歩きながら大きめの鏡持って髪型整えている女性がいた。ちゃんと整っていた。家を出るときにワックスかなにか塗って、乾き始めたときにセットしているのだろう。

男性でやっている人はあまり見ない。トイレで髭を剃っている人はいる。高校生だと、話ながら髪をいじっている人はいる。男性の場合はやれることが少ないのだろうか。

私は効率が良くなることが大好きだ。時間が節約できると嬉しくなる。

今日、手鏡を鞄に入れ、バスの中で髪型をセットしてみた。恥ずかしかった。

CASコミュニティ/パートナーシップの形成

Centera利用時の障壁

顧客がCenteraを使うにはいくつか障壁があった。

・Centeraにデータを保管するには,EMC社が提供する特殊なAPI (Application Programming Interface) を利用する。そのためアプリケーション・コードの書き換えが必要であった。

・APIを理解するためにアプリ開発者は勉強が必要であった。

ユーザ・コミュニティの形成

障壁が高いとCenteraやCASの普及の妨げになるため,EMC社はマーケティング活動の一環としてユーザ・コミュニティを自ら作った。

・Yahoo! GroupのCenteraTechGroup
・CAS Community

CenteraTechGroupは開発者からの質問にEMC社の技術者が回答したり,開発者間での情報交換の場になっている。

CAS CommunityはEMC社だけでなく,その他のCASベンダも参加し,ユーザ向けの情報提供サイトになっている。

多数ISVとのパートナーシップ

EMC社は,ISVとパートナーシップを結び,製品単体ではなくソリューションを提供することで参入障壁を低くした。

発表当時約20社のISVパートナーがいた。

ISVが自社製品とCentera製品を連携させるソリューションを開発することで,ユーザはソリューションを導入するだけでCenteraを使えるようになる。

例えばKVS社はEmailサーバとKVS社のアーカイブ・ソフト,及びCenteraを連携させたEmailアーカイブ・ソリューションを開発した。


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今でもYahoo!のCASTechGroupのメーリング・リストでは盛んにCentera APIの利用方法などについて意見が交換されています。

KVSは1999年に設立した新しい会社で,Emailのアーカイブを得意としていました。うまく時流に乗って成長できた会社だと思います。

Veritas社は2004年8月にKVSを買収しました。そのVeritas社も2004年12月にSymantec社に買収されました。

◆◆◆ 七 ◆◆◆

頭を割るほどの激痛でもがき苦しんでいたゼダは、また昔のことを思い出していた。

深夜、月夜の明りを頼りに、男と女は二人きりになれる場所で落ち合った。二人は会うなり強く抱きしめあい、唇と唇を重ね合った。女は男に会えた嬉しさで泣いていた。男は無言で女の頭と背中を撫でていた。

二人は湖のほとりを歩きながら話した。他愛のない会話であったが、二人はとても楽しく幸せであった。二人とも人を愛するという言葉を初めて実感していた。そして一生一緒に居たいと心の底から願っていた。それはほぼ実現しつつあった。二人は婚約したのだ。

男はゼダ、女はシェリー。24歳同士の若者たちであった。二人の出逢いは約一年前の冬であった。雪がちらつく土曜日の午後、カレンダーを買いに店に入ったシェリーは、エプロン姿の店員に好みの絵柄を熱心に伝えていた。店員のバッヂにはゼダの名前が入っていた。

「だからー、私が欲しいのはかわいい犬のカレンダーなの!昨日ここで見たから絶対あるはずよ。あのウィンドウの近くに飾ってあったのよー。」

シェリーが紙に絵柄を書いてゼダに見せるが、ゼダには全く見覚えがなかった。
「申し訳御座いません。当店ではそのようなカレンダーは取り扱っておりません。」

この店で取り扱っているカレンダーは、600ページもあるカレンダー・カタログにすべて記載されている。しかし分類項目に犬がなく、1ページ1ページ絵を見比べて探すのは面倒であった。そこをシェリーはずばり指摘した。

「ちょっと待ちなさい。調べても無いのに取り扱ってないって何よ?そこにカタログがあるじゃない。何故調べないの?」

シェリーはカタログを指差した。ゼダは仕方なくカタログを机の上に広げると、気の遠くなるような作業を開始した。シェリーもゼダと一緒に探した。

カタログの4分の1を探したが、目的のカレンダーは見つからなかった。時間はすでに午後11時をまわっており、既に閉店の時間であった。客はシェリー一人となっていた。ゼダは申し訳無さそうにシェリーに言った。

「お客様。申し訳有りませんが、もう閉店の時間で御座います。もう一度明日いらして頂けませんか?それまでには探して置きます。」

「え?もうそんな時間なの?!電車なくなっちゃうじゃない!」

そういうとシェリーは店を飛び出して駅の方に走っていった。

ゼダは店のシャッターを下ろすと、カタログを鞄に詰めてシェリーと同じ駅に向かった。ゼダは午後11時半の最終電車をいつも利用していたので、十分間に合うことは知っていた。雪はずいぶん激しく降っており、道にも数十センチ積もっていた。

ゼダが駅に着くと、シェリーが駅員に食い付いていた。

「なになにーー!!雪で電車が走らないの?帰れないじゃん!!」

ゼダは遠くから二人のやり取りを伺っていた。

「すいませーん、お客さーん。何分この雪でしょ?ほら、事故が起こっちゃうからね。悪いけど、今夜はホテルに泊まるしかないんじゃないの?それとも俺の家に泊めてやろうか?へへへ。」

「エロおやじ!死ね!ふざけんなよー!」

シェリーは足元の雪を蹴り上げた。

ゼダは雪で転ばぬように慎重な足取りでシェリーに近づいた。

「どうも。電車、出ないのですか?」

シェリーはびっくりしてゼダの方を向いた。

「あーら、店員さん。あなたも電車だったの?
電車は雪で出ないんだって。あーあ、家に帰れないよー。」

駅のロータリーには車の迎えを待つ人々や、タクシーを待つ人々が列を作っていた。ゼダとシェリーはしばらく無言でロータリーにいる人々を見つめていた。話を切り出したのはゼダの方だった。

「良かったら、僕のお店で待ちます?外でタクシーを待つのは寒いし、あの人の列だと時間がかかりそうですよ。」

シェリーはコートで身を固く包んでいたが、寒さで足元の感覚が無くなりつつあった。真っ白い息を吐きながらシェリーはゼダの申し入れを受け入れた。

「そうね。行きましょう。すっごく寒いわ、ここ。私もうダメ。」

「じゃあ、そうしましょう。」

二人はまた元のカレンダー・ショップに戻っていた。

その晩二人は店で夜を明かした。お互い打ち解け合い、時を長くせず彼氏彼女として付き合いが始まった。シェリーは、ゼダの人生で最初で最後の恋人であった。

WORM保護へのニーズ

2002年に掛け、規制準拠を背景にデータの長期保管やデータのWORM (Write Once Read Many) 保護へのニーズが高まった。

例えば金融会社が送受信したEmailを数年間保管しなければならないというSEC規制がある。

Centera Compliance Edition発表

このニーズに呼応して、2003年5月、EMC社はCentera Compliance Editionを発表した。

EMC社はデータの保管期間の設定、シュレッディング機能によるデータの完全な消去 、アクセス・セキュリティ強化などの機能エンハンスを行った。

そしてCenteraがSEC Rule 17a-4、DoD Directive 5015.2、HIPAAなどの規制に準拠していることを宣伝した。

データ削除機能の追加

Centeraの初期バージョンでは,一度保存したデータは2度と削除できないという制限があった。

Fixed Contentの長期保管なら支障はない制限であるとEMC社は考えたようである。

しかしデータも時間と共に不要になるので削除したいというユーザからの要求もあり,Compliance Editionではこの制限が無くなった。


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CenteraのSweet Spotが見つかったと言う感じです。