Cisco,Actonaを買収
2004年6月、Cisco社はファイル・キャッシュ・アプライアンス製品を開発・販売するActona社を$82Mで買収した。
Cisco社はActona社のWide Area File Services製品を自社のBranch Office向けルータ製品にポーティングすることを計画している。
---
IPネットワーク大手のCisco社によるActone社を買収は,これまでスタートアップしかいなかったWAFS市場拡大の追い風になりました。
WAFS製品の啓蒙や宣伝はCisco社がやってくれるので,スタートアップはCisco社よりも安くて高性能,高機能な製品を開発し,販売することに注力できます。
尚,Cisco社は2004年12月にブランチ・オフィス向けソリューションとしてWAFS製品をリリースしました。
続く2005年1月にはCisco社はEMCのNAS製品をOEMすることを発表しました。WAFSでファイルをコンソリする先にEMCのNASを使うという位置づけです。
Cisco社はActona社のWide Area File Services製品を自社のBranch Office向けルータ製品にポーティングすることを計画している。
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IPネットワーク大手のCisco社によるActone社を買収は,これまでスタートアップしかいなかったWAFS市場拡大の追い風になりました。
WAFS製品の啓蒙や宣伝はCisco社がやってくれるので,スタートアップはCisco社よりも安くて高性能,高機能な製品を開発し,販売することに注力できます。
尚,Cisco社は2004年12月にブランチ・オフィス向けソリューションとしてWAFS製品をリリースしました。
続く2005年1月にはCisco社はEMCのNAS製品をOEMすることを発表しました。WAFSでファイルをコンソリする先にEMCのNASを使うという位置づけです。
製品の機能拡張と追加投資
製品発表を行ったTacit Networkは、その後、製品の機能拡張を継続し、顧客を獲得していった。$16.9Mの追加投資 (Series B) を受けた2004年5月には21顧客に増加した。
キャッシュ対象はNASだけでなく、Emailの付属ファイルをキャッシングするなど製品フォーカスも広がった。本機能拡張に当たっては、AttachSoft社のIntellectual Propertyを買い取った。
キャッシュ対象はNASだけでなく、Emailの付属ファイルをキャッシングするなど製品フォーカスも広がった。本機能拡張に当たっては、AttachSoft社のIntellectual Propertyを買い取った。
JR
旅費って高いよね。
新幹線で実家に帰る場合、家族3人で往復6万円かかっちゃう。年に二回帰るのがやっとだ。
鉄道サービスというのはコモディティ化しないのだろうか。本質的なところで付加価値をこれ以上付けられそうもないよね。
価格が下がらないのは競合がいないからだろうか。
だったら競合をつくれないかな?JRの駅と線路を解放し、他の鉄道会社も乗り入れできるようにしてはどうだろうか。
それとも新幹線事業は赤字なのかな?
運賃を2/3にすれば客はJRから離れると思うな。
どこかのインターネット系ベンチャーがJRを買収してくれないかな?
新幹線で実家に帰る場合、家族3人で往復6万円かかっちゃう。年に二回帰るのがやっとだ。
鉄道サービスというのはコモディティ化しないのだろうか。本質的なところで付加価値をこれ以上付けられそうもないよね。
価格が下がらないのは競合がいないからだろうか。
だったら競合をつくれないかな?JRの駅と線路を解放し、他の鉄道会社も乗り入れできるようにしてはどうだろうか。
それとも新幹線事業は赤字なのかな?
運賃を2/3にすれば客はJRから離れると思うな。
どこかのインターネット系ベンチャーがJRを買収してくれないかな?
Tacit Networksの設立
Tacit Networksは2000年7月にShirish Phatak氏 (VP of Engineering & CTO) とTrevor Hughes氏 (VP of Product and Program Management) の個人資金によって設立された。
Web Archiveによると、遅くとも2001年11月時点ではNASキャッシュ・アプライアンス製品の開発を始めていたようである。
Tacit Networksは,Venture Capitalsから$7.3Mの投資 (Series A) を受けたのち、製品発表を行った2002年12月まではステルス・モードで活動していた。
新CEO
Williams氏は一時的なCEOであったようで、2003年6月には新CEOとしてGreg Grodhaus氏をTacit Networksに招き入れた。
Grodhaus氏はFibre Channelスイッチ・ベンダであったINRANGEのCEOやIPL SystemsのCEOなどを歴任した人物である。
---
ファイル・キャッシュ製品はWAFS (Wide Area File Services) と呼ばれています。
WAFSはPCサーバ2台あれば,あとはOSとその上で動くプログラムで機能は完成します。時間さえあれば,個人でも開発を始められる点が魅力的です。
ベンチャー企業ではCEOが変わることは珍しくありません。CEOという職業があるので,企業としては出来るだけ優秀なCEOを雇いたいわけです。
と言っても,この場合はWilliams氏が有能でなかったということではありません。
彼の本業は投資家であり,リターンが返ってくる確率を上げるために,この会社が軌道に乗るまでお手伝いしたということだと思います。
Web Archiveによると、遅くとも2001年11月時点ではNASキャッシュ・アプライアンス製品の開発を始めていたようである。
Tacit Networksは,Venture Capitalsから$7.3Mの投資 (Series A) を受けたのち、製品発表を行った2002年12月まではステルス・モードで活動していた。
新CEO
Williams氏は一時的なCEOであったようで、2003年6月には新CEOとしてGreg Grodhaus氏をTacit Networksに招き入れた。
Grodhaus氏はFibre Channelスイッチ・ベンダであったINRANGEのCEOやIPL SystemsのCEOなどを歴任した人物である。
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ファイル・キャッシュ製品はWAFS (Wide Area File Services) と呼ばれています。
WAFSはPCサーバ2台あれば,あとはOSとその上で動くプログラムで機能は完成します。時間さえあれば,個人でも開発を始められる点が魅力的です。
ベンチャー企業ではCEOが変わることは珍しくありません。CEOという職業があるので,企業としては出来るだけ優秀なCEOを雇いたいわけです。
と言っても,この場合はWilliams氏が有能でなかったということではありません。
彼の本業は投資家であり,リターンが返ってくる確率を上げるために,この会社が軌道に乗るまでお手伝いしたということだと思います。
Tacit Networksのマネージメント・チーム
Tacit Networksのマネージメント・チームには,Chairman & CEOとしてTim Williams氏、Chairman of Advisory BoardとしてGordon Harris氏、そしてVP of Sales & MarketingとしてJeff Helthall氏が名前を連ねていた。
彼らはCrosStor社時代のマネージメント・チームと同じ (CFOであったHenander氏は除く) であった。
Table 3 : Tacit Networks社のマネージメント・チーム (2002年8月当時)
Tim Williams* --- チェアマン 兼 CEO
Gordon Harris* --- Chairman of Advisory Board
Jeff Helthall* --- VP of Sales & Marketing
Shirish Phatak --- VP of Engineering 兼 CTO,創立者
Trevor Hughes --- VP of Product and Program Management,創立者
* CrosStor社のマネージメント・チームのメンバー
---
この会社は旧CrosStorのメンバーがオリジネータというより,Phatak氏とHughes氏がアイデアを持っていたと推測されいます。
このアイデアに旧CrosStorメンバーが乗ったのでしょう。
会社をマネージメントできて資産を持っているWilliams氏,技術に強いHarris氏,営業・販売に強いHelthall氏と,良くバランスが取れています。
彼らはCrosStor社時代のマネージメント・チームと同じ (CFOであったHenander氏は除く) であった。
Table 3 : Tacit Networks社のマネージメント・チーム (2002年8月当時)
Tim Williams* --- チェアマン 兼 CEO
Gordon Harris* --- Chairman of Advisory Board
Jeff Helthall* --- VP of Sales & Marketing
Shirish Phatak --- VP of Engineering 兼 CTO,創立者
Trevor Hughes --- VP of Product and Program Management,創立者
* CrosStor社のマネージメント・チームのメンバー
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この会社は旧CrosStorのメンバーがオリジネータというより,Phatak氏とHughes氏がアイデアを持っていたと推測されいます。
このアイデアに旧CrosStorメンバーが乗ったのでしょう。
会社をマネージメントできて資産を持っているWilliams氏,技術に強いHarris氏,営業・販売に強いHelthall氏と,良くバランスが取れています。
ファイル・キャッシュ・アプライアンスの登場
2002年8月、Storage Networking分野を専門に扱うWeb情報サイトByte and Switch (http://www.byteandswitch.com) に、ブランチ・オフィス向けファイル・キャッシュ・アプライアンス製品に関する記事が出た。
本製品を開発しているベンチャー企業として、Tacit Networks、VersEdge (現Actona)、そしてDiskSitesが紹介された。
ファイル・キャッシュ・アプライアンス
中央のファイル・サーバにあるファイルをブランチ・オフィスに設置したアプライアンスにキャッシュすることで、ファイルへの読み書きを高速化する製品である。
ブランチ・オフィスにあるパソコンやサーバからWAN経由で中央データ・センターのNASにアクセスする場合、ネットワークの遅延時間が大きいため性能が出ないという問題を解決する。
多数のブランチ・オフィスを持つような会社、例えば小売店や銀行などに向けた製品である。
各ブランチ・オフィスにITシステムを構築したり、ITスキルを持つ人材を置いたりすることはコスト増になる。
ファイル・キャッシュ・アプライアンスを使えば各拠点にファイル・サーバやNASを設置する必要が無い為,メンテナンス・コストを下げることが出来る。
---
言葉だけでは説明が難しいので,詳細は下記ページをご覧ください。DiskSites社が技術内容を説明しています。
http://www.disksites.com/solution-overview.htm
現在のこの手のソリューションは,ファイルのキャッシュだけでなく,インターネット接続やファイア・ウォール,メールのキャッシュなど多機能化しています。
ブランチ・オフィスに必要なIT機能を集約化するアプライアンスですね。
本製品を開発しているベンチャー企業として、Tacit Networks、VersEdge (現Actona)、そしてDiskSitesが紹介された。
ファイル・キャッシュ・アプライアンス
中央のファイル・サーバにあるファイルをブランチ・オフィスに設置したアプライアンスにキャッシュすることで、ファイルへの読み書きを高速化する製品である。
ブランチ・オフィスにあるパソコンやサーバからWAN経由で中央データ・センターのNASにアクセスする場合、ネットワークの遅延時間が大きいため性能が出ないという問題を解決する。
多数のブランチ・オフィスを持つような会社、例えば小売店や銀行などに向けた製品である。
各ブランチ・オフィスにITシステムを構築したり、ITスキルを持つ人材を置いたりすることはコスト増になる。
ファイル・キャッシュ・アプライアンスを使えば各拠点にファイル・サーバやNASを設置する必要が無い為,メンテナンス・コストを下げることが出来る。
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言葉だけでは説明が難しいので,詳細は下記ページをご覧ください。DiskSites社が技術内容を説明しています。
http://www.disksites.com/solution-overview.htm
現在のこの手のソリューションは,ファイルのキャッシュだけでなく,インターネット接続やファイア・ウォール,メールのキャッシュなど多機能化しています。
ブランチ・オフィスに必要なIT機能を集約化するアプライアンスですね。
EMC,ミッドレンジ向けNASの戦略展開
その2年後、2002年12月にEMC社はミッドレンジ向けNAS製品としてNS600を発表した。
NS600はCelerraで開発したDART OSをミッドレンジ向けに手直しした製品であり、それまで販売していたIP4700を完全に置き換える製品であった。
Enterprise Storage Groupのアナリストによると、EMCの狙いはNAS用ソフトを一本化することによる開発コスト削減であった、と分析している。
ただGartnerやIDCの調査結果を見ても,EMC社のミッドレンジ向けNAS製品の売上はNetApp社に遠く及ばなかった。
この時点で,EMCにとってCrosStor買収が失敗であったかどうかは判断ができない。
---
買収後にCrosStorのエンジニアがEMCから流出していない限り,NASの開発力を強化するという点で,この買収は成功だったのでしょう。NASと言えばNetAppという状況でも,EMCはNASビジネスを現在でも継続できています。
それに加え,EMCは2005年1月にCisco社からNSシリーズのOEM契約を獲得しました。ネットワーク・ベンダがストレージを売るということです。ここに来てEMCのNASビジネスは拡大しつつあります。
『ブランチ・オフィス向け』とターゲット市場は限定的ですが,ストレージ・ベンダにとってネットワーク・ベンダをOEM先に獲得できたことは大きな一歩だと思います。
これまでSANストレージ製品は直販か,DellやIBM,HPのようにサーバ・ベンダ経由で売られてきました。例えば以下のようなOEM供給関係があります。
- EMCはDellにCXシリーズをOEM供給しています。
- Engenio (LSI Logicのストレージ部門) はIBMに製品をOEM供給しています。
- 日立はHPとSunに製品をOEM供給しています。
しかし,サーバ・ベンダからのOEM契約獲得による販路拡大は限界に近づきつつあります。
■ Dell
Dellは仕入先を常に二つ持つ戦略なのでEMC以外にもう一社OEM契約を結ぶ可能性はあります。
ただストレージは部品ではないので仕入先を二つにするとコストがかなりかかりそうです。
それに加えDellのストレージ製品の売り上げが順調に増えていることからも,EMCとDellの関係は良好です。
そのため他ベンダがDellのOEMを獲得する可能性は非常に低いと思います。
■ IBM
IBMは自社製品開発に力をいれており,今後ストレージ・ベンダが入り込む余地は少なそうです。
■ HP
HPは折角買収したCompaqのEVAを生かせず,ストレージ事業の不振が続いています。EVAの後継として,他ベンダとOEM契約を結ぶ可能性はあります。このクラスのストレージは価格競争が激しく,自社開発しても十分な利益が出なくなりつつあるからです。
■ Sun
Sunは自社開発のストレージ製品は持っていなかったと思います。T3はDot Hillに取って替わられたという認識です。OEM元が失敗しない限り,他ベンダが新しくOEM契約を獲得することは難しそうです。
ネットワーク・ベンダによるストレージ販売
一方,IPネットワークとストレージの融合という状況がストレージ・ベンダにとって新しいOEM先として魅力的になりつつあります。
最近流行りで数年後は死語になるだろうILM (Information Lifecycle Management) ではIPを使うNASやCAS (Content Addressed Storage) が注目されています。またiSCSIと10Gbit Ethernetの普及も進みます。
いずれネットワーク製品とストレージ製品はセットで買うようになるかも知れません。
製品としても,ネットワーク機器とストレージ機器が一つになる可能性もあります。現にSOHO市場ではルータ機能とファイア・ウォール機能とNAS機能を併せ持った製品があります。
EMCがCiscoのOEMを獲得したことはストレージ業界にとってエポック・メーキングに近い出来事かも知れません。大げさすぎますでしょうか・・・?
NS600はCelerraで開発したDART OSをミッドレンジ向けに手直しした製品であり、それまで販売していたIP4700を完全に置き換える製品であった。
Enterprise Storage Groupのアナリストによると、EMCの狙いはNAS用ソフトを一本化することによる開発コスト削減であった、と分析している。
ただGartnerやIDCの調査結果を見ても,EMC社のミッドレンジ向けNAS製品の売上はNetApp社に遠く及ばなかった。
この時点で,EMCにとってCrosStor買収が失敗であったかどうかは判断ができない。
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買収後にCrosStorのエンジニアがEMCから流出していない限り,NASの開発力を強化するという点で,この買収は成功だったのでしょう。NASと言えばNetAppという状況でも,EMCはNASビジネスを現在でも継続できています。
それに加え,EMCは2005年1月にCisco社からNSシリーズのOEM契約を獲得しました。ネットワーク・ベンダがストレージを売るということです。ここに来てEMCのNASビジネスは拡大しつつあります。
『ブランチ・オフィス向け』とターゲット市場は限定的ですが,ストレージ・ベンダにとってネットワーク・ベンダをOEM先に獲得できたことは大きな一歩だと思います。
これまでSANストレージ製品は直販か,DellやIBM,HPのようにサーバ・ベンダ経由で売られてきました。例えば以下のようなOEM供給関係があります。
- EMCはDellにCXシリーズをOEM供給しています。
- Engenio (LSI Logicのストレージ部門) はIBMに製品をOEM供給しています。
- 日立はHPとSunに製品をOEM供給しています。
しかし,サーバ・ベンダからのOEM契約獲得による販路拡大は限界に近づきつつあります。
■ Dell
Dellは仕入先を常に二つ持つ戦略なのでEMC以外にもう一社OEM契約を結ぶ可能性はあります。
ただストレージは部品ではないので仕入先を二つにするとコストがかなりかかりそうです。
それに加えDellのストレージ製品の売り上げが順調に増えていることからも,EMCとDellの関係は良好です。
そのため他ベンダがDellのOEMを獲得する可能性は非常に低いと思います。
■ IBM
IBMは自社製品開発に力をいれており,今後ストレージ・ベンダが入り込む余地は少なそうです。
■ HP
HPは折角買収したCompaqのEVAを生かせず,ストレージ事業の不振が続いています。EVAの後継として,他ベンダとOEM契約を結ぶ可能性はあります。このクラスのストレージは価格競争が激しく,自社開発しても十分な利益が出なくなりつつあるからです。
■ Sun
Sunは自社開発のストレージ製品は持っていなかったと思います。T3はDot Hillに取って替わられたという認識です。OEM元が失敗しない限り,他ベンダが新しくOEM契約を獲得することは難しそうです。
ネットワーク・ベンダによるストレージ販売
一方,IPネットワークとストレージの融合という状況がストレージ・ベンダにとって新しいOEM先として魅力的になりつつあります。
最近流行りで数年後は死語になるだろうILM (Information Lifecycle Management) ではIPを使うNASやCAS (Content Addressed Storage) が注目されています。またiSCSIと10Gbit Ethernetの普及も進みます。
いずれネットワーク製品とストレージ製品はセットで買うようになるかも知れません。
製品としても,ネットワーク機器とストレージ機器が一つになる可能性もあります。現にSOHO市場ではルータ機能とファイア・ウォール機能とNAS機能を併せ持った製品があります。
EMCがCiscoのOEMを獲得したことはストレージ業界にとってエポック・メーキングに近い出来事かも知れません。大げさすぎますでしょうか・・・?
EMC,ミッドレンジ向けNAS製品発表
CrosStor社買収の一ヵ月後,EMC社は2000年12月にミッドレンジ向けNAS製品であるIP4700 (コード名Chameleon) とハイエンド向けNAS製品であるCelerraの機能拡張としてHighRoad (いわゆるSAN File System) を発表した。
いずれもCrosStor買収の一ヵ月後の発表であるため、CrosStorの技術がどの程度これら製品に生かされたかは分からない。
いずれもCrosStor買収の一ヵ月後の発表であるため、CrosStorの技術がどの程度これら製品に生かされたかは分からない。
買収後の人の動き
Harris氏はEMC社のVP of NAS Advanced Developmentの席に就いた。Helthall氏もEMC社に席を移したが役職名は不明。
買収直後のWilliams氏の動向は不明であるが、2002年に設立したJumpStartと呼ぶNew JerseyをベースとするAngel Groupの一員になった。CrosStor社のFounderであったWilliams氏は本買収で多額の資産を得たので、その資産をVenture企業に還元したいと考えてAngelになったと思われる。
---
投資家はグローバルな視野で様々な企業に投資するというよりは,地元企業を応援するようですね。Williams氏の場合はニュージャージーなのでしょう。
買収直後のWilliams氏の動向は不明であるが、2002年に設立したJumpStartと呼ぶNew JerseyをベースとするAngel Groupの一員になった。CrosStor社のFounderであったWilliams氏は本買収で多額の資産を得たので、その資産をVenture企業に還元したいと考えてAngelになったと思われる。
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投資家はグローバルな視野で様々な企業に投資するというよりは,地元企業を応援するようですね。Williams氏の場合はニュージャージーなのでしょう。
◆◆◆ 五 ◆◆◆
第320セグメントは【ウッド・リバー・シティ】と呼ばれていた。森と川がセグメントの大部分を埋め尽くしているからだ。このセグメントは床が塔の外側に大きく迫り出しており、塔の中で外気に触れる面積が比較的大きい階の一つであった。
真青年党を解散したジェイ・ブラックはウッド・リバー・シティに移り住んだ。ここは前バベル暦の遺物が眠る場所として有名であった。これまで様々な考古学的な発見がなされた。
ジェイはこの街で自分と世界を見つめ直し、自分の行き方についてゆっくり考えたかった。
ジェイが入居したアパートには女性の管理人がいた。名前はフェイ・スーと言った。まだ23歳と若く、アパートの管理会社から派遣された新人社員であった。目も髪も衣服も黒く神秘的な女性だとジェイは初対面のときに感じた。
彼女のウッド・リバーに関する歴史や考古学の知識はジェイを魅了した。大学でこれら方面の勉強をしたそうだ。
社会人になってからも勉強は続けているということであった。既に知識では新しく学ぶことは少なくなり、今では自ら遺跡の発掘や探索を行なっていると言う。大学時代の教員や教授との情報交流も続いているという話だ。
ジェイは毎日朝の一時間フェイに会いに行って様々な話をした。
当初フェイにとってジェイは邪魔で迷惑な存在であった。業務時間中に仕事と関係の無い話をすることが嫌であったし、何でも根掘り葉掘り聞いてくる無知振りにも嫌気が差していた。
しかし会話を続けていくうちに、フェイはある事に気が付いた。そしてジェイに興味を持つようになった。
ジェイの魅力は、彼がが持っている際立った情報の吸収力であった。
ジェイはフェイが話したことを全て記憶し理解していた。フェイは二度と同じことを話す必要はなかったし、フェイの頭の中で整理されていない事柄や矛盾した事柄をジェイは細かく指摘した。
さらに一見独立事象であると思われる二つの事柄について、その相似性や関連性についてもジェイは素晴らしい洞察力を発揮した。
やがてフェイとジェイは同じ知識レベルで会話や議論をすることが出来るようになった。
ジェイは前バベル暦の話を特に好んで聞いた。
真青年党を設立するときに前バベル暦の歴史は調べたことがあるが、テレビや漫画が主な情報源であった。『ロイ神ビー』という名前も、神話の中に出てきたキーワードを自分勝手に解釈して造ったものだ。
一方、フェイの話には現実味と裏付けがあり、しかもテレビとは桁違いの驚きに満ちた世界であった。
ある休日の午後、ジェイとフェイは320セグメントの北にある【ピット・ヒル】という遺跡に出かけた。
ピット・ヒルは森の中にある小高い丘で前バベル暦に小さい集落があったとされる場所だ。二十年前にここで30基程度の家屋と墓地が見つかった。
二人は墓地の周りを歩きながら話していた。
「この集落は前バベル暦20年頃のものだね。彼らはどのくらいの期間ここに住んで居たんだろう。」
ジェイが墓地の方を見ながらフェイに訊ねた。
「そうね。あまり長くなかったと思うわ。十年か二十年くらいじゃないかしら。墓地に埋葬された人骨の数がとても少なかったのよ。」
フェイはピット・ヒルに詳しかった。大学の卒業論文を執筆した時に何度もここを訪れたことがあったからだ。
ジェイがまた別の質問をした。
「ところでさ、今日はどんな気まぐれだい?君の方からこの遺跡に僕を誘うなんてさ。いつも僕が食事に誘っても全く乗ってこなかった君が。
まぁ、一緒にこうして休日を過ごせるんなら、敢えて理由を聞く必要もないだけど。」
「さぁ、どうしてかしら。男の人にちょっと力仕事を頼みたかったっていうのはどう?」
「なんだ、仕事でここに来たのかい?」
「何度も言ってるけど、遺跡探索は仕事じゃないわ。趣味と好奇心よ。今日はどうしても確かめたいことがあったの。」
フェイはもったいぶって本題をすぐに話そうとはしなかった。
フェイが何の為にここに来たのか、なぜ自分を誘ったのか、ジェイには皆目見当が付かなかった。
ただフェイとこんな長い時間一緒に居られることが何より嬉しかった。だからジェイも性急に答えを聞き出そうとはしなかった。
「おいおい、本当に今日は君らしくないよ。いつもは答えをはぐらかしたりしないじゃないか。どうしたんだい、本当に。」
「そうね。私らしくないのかもね。私らしさなんて考えた事もないけど・・・。でもあなたがそう言うなら、今日の私は私らしくないのかも。
さて本題に入りましょう。いいかしら?」
フェイは立ち止まって、笑顔でジェイの方を向いた。ジェイも立ち止まり、フェイの方を見た。
静かな時間が流れた。遺跡には二人以外誰もいない。森の奥の方で鳥の鳴き声が聞こえる。二羽いるようだ。雲が太陽を遮り、二人の立っていた場所は暗くなった。雲が風で流されて、再び太陽の光が二人の場所を照らした。
フェイは改まってジェイの方を向き直した。
「ジェイ。あなた知っているかしら?ここの集落の人たちがどこから来たのか。どこで生まれ、どこで生活をし、どこで死んでいったのか。そして前バベル暦とはどんな世界だったのか。」
「・・・。それはこれまでずっと議論して来た事じゃないか。今更どうしたんだい?
人類の起源を示す遺跡は見つかってない。せいぜい前バベル暦百年くらいまで遡るのがやっとだ。
その前は何も分からない。神話や想像の世界だ。それこそ神でも創り出さないと答えが出ない宗教の領域さ。」
ジェイはフェイから目を逸らすことが出来なくなった。彼女の目は真剣で、吸い込まれるような黒い輝きを放っていた。
「そうね。私にも真実は分からないわ。
でもね。でも、もし私たち人類がこのバベルの塔を造ったのだとしたら・・・・。」
フェイの発言に驚いたジェイが咄嗟に口を挟んだ。
「おいおい待てよ。さっきから君らしくない発言だね。
バベルの塔を造るだって?そんなことは不可能だ。
確かに人類は科学を生み出し、技術も進歩したよ。地上階から最上階まで登るのに、高速モノレールで十時間を切ったよ。
でもな、前バベル暦の人間にバベルの塔を造る科学技術があったとは思えないし、今も無いよ。それこそ神の力を持ち出さない限り、説明は出来ないよ。」
ジェイは論理的に否定した。否定する自分が馬鹿馬鹿しくも思えた。この世界を自分達で作るなんて有り得ない。それこそ神がかりだ。そういう思いであった。
フェイは表情変えずに断言した。
「ジェイ、神はいたのよ。そして今もいるの。
良い?神はいる。神は私たちを見ているわ。
神はバベルの塔を造った人々。
神の末裔は今でもこのバベルの塔のどこかにいる。」
一息置いて、フェイは話続けた。
「ねぇ、あなた、神に会ってみたくない?
私は会いたいわ。それが好奇心を満足させる唯一の方法。私の小さい頃からの夢なのよ。」
最後の言葉を発する時、フェイの唇が震えていたのをジェイは覚えている。
フェイの話を聞いたジェイの心の中は、絶対的、圧倒的な物を見た時のように恐怖感で一杯であった。
神はいる。そんな馬鹿な。
神がいる?神なんかいない。
バベルの塔を造った神。神話の世界だ。
今もいる神。どこに?
人間を監視する神。なぜ?
ジェイはゆっくり口を開いた。
「・・・君は何故、そんなことを僕に話したんだ。」
風が二人の間を吹き抜けた。フェイの黒髪が風に舞った。フェイは右手で髪を整えた。ジェイはフェイの答えを待っていた。フェイの唇の震えはまだ収まっていなかった。彼女は震えながらもジェイの質問に答えた。
「し・・・、真実を、見たのよ・・。
いい?真実、をよ。
誰に話しても信じてもらえない真実。でも、あなたなら理解できる。いいえ、あなたにも真実を見てもらいたい。そして考えて欲しい。私たちが何をすべきかを。」
ジェイは恐る恐る当然の事を聞いた。
「その真実って何?何を見たの?」
「・・・・・・・
・・地下のトンネルよ。」
---
一旦ここまで。
真青年党を解散したジェイ・ブラックはウッド・リバー・シティに移り住んだ。ここは前バベル暦の遺物が眠る場所として有名であった。これまで様々な考古学的な発見がなされた。
ジェイはこの街で自分と世界を見つめ直し、自分の行き方についてゆっくり考えたかった。
ジェイが入居したアパートには女性の管理人がいた。名前はフェイ・スーと言った。まだ23歳と若く、アパートの管理会社から派遣された新人社員であった。目も髪も衣服も黒く神秘的な女性だとジェイは初対面のときに感じた。
彼女のウッド・リバーに関する歴史や考古学の知識はジェイを魅了した。大学でこれら方面の勉強をしたそうだ。
社会人になってからも勉強は続けているということであった。既に知識では新しく学ぶことは少なくなり、今では自ら遺跡の発掘や探索を行なっていると言う。大学時代の教員や教授との情報交流も続いているという話だ。
ジェイは毎日朝の一時間フェイに会いに行って様々な話をした。
当初フェイにとってジェイは邪魔で迷惑な存在であった。業務時間中に仕事と関係の無い話をすることが嫌であったし、何でも根掘り葉掘り聞いてくる無知振りにも嫌気が差していた。
しかし会話を続けていくうちに、フェイはある事に気が付いた。そしてジェイに興味を持つようになった。
ジェイの魅力は、彼がが持っている際立った情報の吸収力であった。
ジェイはフェイが話したことを全て記憶し理解していた。フェイは二度と同じことを話す必要はなかったし、フェイの頭の中で整理されていない事柄や矛盾した事柄をジェイは細かく指摘した。
さらに一見独立事象であると思われる二つの事柄について、その相似性や関連性についてもジェイは素晴らしい洞察力を発揮した。
やがてフェイとジェイは同じ知識レベルで会話や議論をすることが出来るようになった。
ジェイは前バベル暦の話を特に好んで聞いた。
真青年党を設立するときに前バベル暦の歴史は調べたことがあるが、テレビや漫画が主な情報源であった。『ロイ神ビー』という名前も、神話の中に出てきたキーワードを自分勝手に解釈して造ったものだ。
一方、フェイの話には現実味と裏付けがあり、しかもテレビとは桁違いの驚きに満ちた世界であった。
ある休日の午後、ジェイとフェイは320セグメントの北にある【ピット・ヒル】という遺跡に出かけた。
ピット・ヒルは森の中にある小高い丘で前バベル暦に小さい集落があったとされる場所だ。二十年前にここで30基程度の家屋と墓地が見つかった。
二人は墓地の周りを歩きながら話していた。
「この集落は前バベル暦20年頃のものだね。彼らはどのくらいの期間ここに住んで居たんだろう。」
ジェイが墓地の方を見ながらフェイに訊ねた。
「そうね。あまり長くなかったと思うわ。十年か二十年くらいじゃないかしら。墓地に埋葬された人骨の数がとても少なかったのよ。」
フェイはピット・ヒルに詳しかった。大学の卒業論文を執筆した時に何度もここを訪れたことがあったからだ。
ジェイがまた別の質問をした。
「ところでさ、今日はどんな気まぐれだい?君の方からこの遺跡に僕を誘うなんてさ。いつも僕が食事に誘っても全く乗ってこなかった君が。
まぁ、一緒にこうして休日を過ごせるんなら、敢えて理由を聞く必要もないだけど。」
「さぁ、どうしてかしら。男の人にちょっと力仕事を頼みたかったっていうのはどう?」
「なんだ、仕事でここに来たのかい?」
「何度も言ってるけど、遺跡探索は仕事じゃないわ。趣味と好奇心よ。今日はどうしても確かめたいことがあったの。」
フェイはもったいぶって本題をすぐに話そうとはしなかった。
フェイが何の為にここに来たのか、なぜ自分を誘ったのか、ジェイには皆目見当が付かなかった。
ただフェイとこんな長い時間一緒に居られることが何より嬉しかった。だからジェイも性急に答えを聞き出そうとはしなかった。
「おいおい、本当に今日は君らしくないよ。いつもは答えをはぐらかしたりしないじゃないか。どうしたんだい、本当に。」
「そうね。私らしくないのかもね。私らしさなんて考えた事もないけど・・・。でもあなたがそう言うなら、今日の私は私らしくないのかも。
さて本題に入りましょう。いいかしら?」
フェイは立ち止まって、笑顔でジェイの方を向いた。ジェイも立ち止まり、フェイの方を見た。
静かな時間が流れた。遺跡には二人以外誰もいない。森の奥の方で鳥の鳴き声が聞こえる。二羽いるようだ。雲が太陽を遮り、二人の立っていた場所は暗くなった。雲が風で流されて、再び太陽の光が二人の場所を照らした。
フェイは改まってジェイの方を向き直した。
「ジェイ。あなた知っているかしら?ここの集落の人たちがどこから来たのか。どこで生まれ、どこで生活をし、どこで死んでいったのか。そして前バベル暦とはどんな世界だったのか。」
「・・・。それはこれまでずっと議論して来た事じゃないか。今更どうしたんだい?
人類の起源を示す遺跡は見つかってない。せいぜい前バベル暦百年くらいまで遡るのがやっとだ。
その前は何も分からない。神話や想像の世界だ。それこそ神でも創り出さないと答えが出ない宗教の領域さ。」
ジェイはフェイから目を逸らすことが出来なくなった。彼女の目は真剣で、吸い込まれるような黒い輝きを放っていた。
「そうね。私にも真実は分からないわ。
でもね。でも、もし私たち人類がこのバベルの塔を造ったのだとしたら・・・・。」
フェイの発言に驚いたジェイが咄嗟に口を挟んだ。
「おいおい待てよ。さっきから君らしくない発言だね。
バベルの塔を造るだって?そんなことは不可能だ。
確かに人類は科学を生み出し、技術も進歩したよ。地上階から最上階まで登るのに、高速モノレールで十時間を切ったよ。
でもな、前バベル暦の人間にバベルの塔を造る科学技術があったとは思えないし、今も無いよ。それこそ神の力を持ち出さない限り、説明は出来ないよ。」
ジェイは論理的に否定した。否定する自分が馬鹿馬鹿しくも思えた。この世界を自分達で作るなんて有り得ない。それこそ神がかりだ。そういう思いであった。
フェイは表情変えずに断言した。
「ジェイ、神はいたのよ。そして今もいるの。
良い?神はいる。神は私たちを見ているわ。
神はバベルの塔を造った人々。
神の末裔は今でもこのバベルの塔のどこかにいる。」
一息置いて、フェイは話続けた。
「ねぇ、あなた、神に会ってみたくない?
私は会いたいわ。それが好奇心を満足させる唯一の方法。私の小さい頃からの夢なのよ。」
最後の言葉を発する時、フェイの唇が震えていたのをジェイは覚えている。
フェイの話を聞いたジェイの心の中は、絶対的、圧倒的な物を見た時のように恐怖感で一杯であった。
神はいる。そんな馬鹿な。
神がいる?神なんかいない。
バベルの塔を造った神。神話の世界だ。
今もいる神。どこに?
人間を監視する神。なぜ?
ジェイはゆっくり口を開いた。
「・・・君は何故、そんなことを僕に話したんだ。」
風が二人の間を吹き抜けた。フェイの黒髪が風に舞った。フェイは右手で髪を整えた。ジェイはフェイの答えを待っていた。フェイの唇の震えはまだ収まっていなかった。彼女は震えながらもジェイの質問に答えた。
「し・・・、真実を、見たのよ・・。
いい?真実、をよ。
誰に話しても信じてもらえない真実。でも、あなたなら理解できる。いいえ、あなたにも真実を見てもらいたい。そして考えて欲しい。私たちが何をすべきかを。」
ジェイは恐る恐る当然の事を聞いた。
「その真実って何?何を見たの?」
「・・・・・・・
・・地下のトンネルよ。」
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一旦ここまで。