EMC,ミッドレンジ向けNASの戦略展開 | Data Stone

EMC,ミッドレンジ向けNASの戦略展開

その2年後、2002年12月にEMC社はミッドレンジ向けNAS製品としてNS600を発表した。

NS600はCelerraで開発したDART OSをミッドレンジ向けに手直しした製品であり、それまで販売していたIP4700を完全に置き換える製品であった。

Enterprise Storage Groupのアナリストによると、EMCの狙いはNAS用ソフトを一本化することによる開発コスト削減であった、と分析している。

ただGartnerやIDCの調査結果を見ても,EMC社のミッドレンジ向けNAS製品の売上はNetApp社に遠く及ばなかった。

この時点で,EMCにとってCrosStor買収が失敗であったかどうかは判断ができない。


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買収後にCrosStorのエンジニアがEMCから流出していない限り,NASの開発力を強化するという点で,この買収は成功だったのでしょう。NASと言えばNetAppという状況でも,EMCはNASビジネスを現在でも継続できています。

それに加え,EMCは2005年1月にCisco社からNSシリーズのOEM契約を獲得しました。ネットワーク・ベンダがストレージを売るということです。ここに来てEMCのNASビジネスは拡大しつつあります。

『ブランチ・オフィス向け』とターゲット市場は限定的ですが,ストレージ・ベンダにとってネットワーク・ベンダをOEM先に獲得できたことは大きな一歩だと思います。

これまでSANストレージ製品は直販か,DellやIBM,HPのようにサーバ・ベンダ経由で売られてきました。例えば以下のようなOEM供給関係があります。

- EMCはDellにCXシリーズをOEM供給しています。
- Engenio (LSI Logicのストレージ部門) はIBMに製品をOEM供給しています。
- 日立はHPとSunに製品をOEM供給しています。

しかし,サーバ・ベンダからのOEM契約獲得による販路拡大は限界に近づきつつあります。

■ Dell
Dellは仕入先を常に二つ持つ戦略なのでEMC以外にもう一社OEM契約を結ぶ可能性はあります。

ただストレージは部品ではないので仕入先を二つにするとコストがかなりかかりそうです。

それに加えDellのストレージ製品の売り上げが順調に増えていることからも,EMCとDellの関係は良好です。

そのため他ベンダがDellのOEMを獲得する可能性は非常に低いと思います。

■ IBM
IBMは自社製品開発に力をいれており,今後ストレージ・ベンダが入り込む余地は少なそうです。

■ HP
HPは折角買収したCompaqのEVAを生かせず,ストレージ事業の不振が続いています。EVAの後継として,他ベンダとOEM契約を結ぶ可能性はあります。このクラスのストレージは価格競争が激しく,自社開発しても十分な利益が出なくなりつつあるからです。

■ Sun
Sunは自社開発のストレージ製品は持っていなかったと思います。T3はDot Hillに取って替わられたという認識です。OEM元が失敗しない限り,他ベンダが新しくOEM契約を獲得することは難しそうです。

ネットワーク・ベンダによるストレージ販売

一方,IPネットワークとストレージの融合という状況がストレージ・ベンダにとって新しいOEM先として魅力的になりつつあります。

最近流行りで数年後は死語になるだろうILM (Information Lifecycle Management) ではIPを使うNASやCAS (Content Addressed Storage) が注目されています。またiSCSIと10Gbit Ethernetの普及も進みます。

いずれネットワーク製品とストレージ製品はセットで買うようになるかも知れません。

製品としても,ネットワーク機器とストレージ機器が一つになる可能性もあります。現にSOHO市場ではルータ機能とファイア・ウォール機能とNAS機能を併せ持った製品があります。

EMCがCiscoのOEMを獲得したことはストレージ業界にとってエポック・メーキングに近い出来事かも知れません。大げさすぎますでしょうか・・・?