久しぶりにパールロードの鳥羽展望台に来ました。展望台はリニューアルされて食堂と土産物店が新しくなりました。肝心の展望台は老朽化のため閉鎖されています。展望台は諦めて東屋のある広場にやって来ました。ここからは志摩半島が一望です。安乗崎や波切崎も見えます。「喜びも悲しみも幾年月」のロケ地として有名です。ここからは三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった神島も見えます。伊勢湾を隔ててセントレアや渥美半島まで見渡せました。秋から冬にかけてはパールロード沿いには牡蠣小屋が建ち、牡蠣を焼く煙がもくもく立っています。フランス料理でも唯一生食が許されているのは的矢の牡蠣です。展望台近くには鳥羽一郎の「兄弟船」の歌碑があります。
ここに来るといつもの昼食は黒潮ダイニングの海鮮丼になってしまいます。弐千円でおつりが来るのがこの一膳。厚切りの鯛やマグロやその日に採れたお刺身がてんこ盛り。車エビは生きていてお醤油を掛けると飛び跳ねます。アオサたっぷりのお味噌汁は美味しい。岩のりの佃煮も美味です。三重は古来から美し国と呼ばれていましたが、海の幸山の幸は多彩。伊勢神宮が五十鈴川の河岸段丘に鎮座されているのは、自然が美しく、山水の幸が豊富だったからだそうで、ここに来るとうなづけます。
今、テレビドラマで「下剋上球児」が放映されていますが、牡蠣の養殖を手伝っているシーンはこの地です。一人の球児は神島から越山高校に通学しています。モデルになったのは津市白山町にある白山高校です。実際に神島から白山高校に通学するのは無理な話。撮影地は熊野市紀和町の丸山千枚田から松阪市飯南町の深野の棚田、粥見の茶畑まで三重県下様々なロケ地が設定されています。モデルのなった高校は、ドラマではかなり荒れているようですが、やんちゃな生徒はいるものの落ち着いた高校です。パールロードから少し降りれば、牡蠣の養殖場がありドラマのロケ地の聖地巡礼の人たちが結構来ています。最近は地域の風景やグルメをさりげなくシーンに入れている作品が多くなりましたが、このドラマもその一つなのでしょう。TVerのお気に入り登録数は65万を超えているので、人気の程はかなりのものです。
主演の鈴木亮平さんと黒木華さんのこのシーンは松阪市飯南町の深野の沈下橋で撮られた物です。全国的には沈下橋は四国の四万十川流域を除いて珍しい物となってしまいました。流れているのは櫛田川ですが、いつもは清流なのですが、撮影日の前にかなりの雨が降って地元では笹濁りと言われる笹の葉の色をしたような濁りになっています。地元の人でもあまり知らない沈下橋なので、制作者の余程のこだわりがあるようにも見受けられます。物語の伏線を左右する重要なシーンの一つなのでしょう。ここから二人は深野の棚田でもう一本を撮られたようで、ここだけで半日かかっています。どこからか聞きつけたのか、ロケ地の聖地巡礼の人たちが動画を撮ったり写真に収めて喜んでいるのは、面白い現象です。