これだけイベントがあふれている世の中だから、イベントを研究対象とする学問が当然あるだろう、と多くの人が思っているに違いありません。ところが、イベントを研究対象とする学問が、世界で初めてEventologyと名付けられて誕生したのはわずか10年前の日本なのです。
以上の文章は現在、私が読んでいる「イベント学のすすめ。」と呼ばれる本の冒頭であり、この冒頭文に惹かれてこの本を購入した。そうなのだ、世の中にイベントなるモノがたくさんあふれかえっているが、イベントそのものをよく考えてみるという行為をしたことがないのだ。
よく「思ったよりも人が集まった」とか、「天候が悪くてあんまり集まらなかった」という声をイベント主催者からよく聴く。ところが、成功するためのノウハウや諸条件や傾向というものはあるはずで、それの蓄積というものはないものか?と思っていたからである。そんなときに出会ったのがこの本である。
以前、「行列のできる講座のつくり方」という本を読んでいて、著者の「定員に満たない講座を行政サイドがつくったらそれは税金の無駄遣いにすぎない」という言葉が強烈であったが、その呼びかけに対する視点、チラシの告知の仕方などは、経験則にもとづいた、まさしくこの「イベント学」にあてはまるものだろう。
しかし、それはあくまで「テクニック論」であり、イベント学のすすめ。にはその理論や哲学も含まれている。人はなぜイベントを行うのかというまさしく本質的な議論である。ぜひご一読いただきたい。かくいう私も読んでいる最中であるのだが(笑)
そんな中で、この「イベント学のすすめ。」の中に、2004年に愛媛県西南部である「南予地方」を中心に開催された「えひめ町並博2004」のイベントプロデューサーである宮本倫明氏のレポートが掲載されていたのだが、私がこの蛙日記で掲載した「体験型ツーリズムの手法」 でレポートした内容とよく似たことを書いていたので、やはりそういうものなのだと妙に納得した。以下、一部を引用する。
2002年から2年間の準備期間中に最優先で取り組んだのが、住民グループの発掘、育成でした。観光振興が目的だったので、住民グループに来訪者をもてなす様々な企画を考えてもらい、実際に実行してもらいました。いわば、地域づくりの活動を観光資源化するということだったのですが、83のグループがそれぞれの総意で来訪者を楽しませ、イベント終了後も8割の66グループが活動の継続を意思表明してくれました。翌年、着型旅行業を民間で組織し、現在は3つの着型旅行業者が町並博を契機に開業したこともあり、地域資源を活用した各種体験やもてなしのプログラムを優勝で提供する登録グループは115グループに上っています。
この文章を読んで、まさしく私と同じ考えを持っている人がいるんだと思って、たいへん嬉しかったのだが、それをすでに実際に5年前以上に戦略をもって実施されていたプロデューサーがおられたということに対して、自分が地域づくりに関して門前の小僧だなと思った次第である。まだまだ蛙の井戸は狭いということか(笑)
四国の中で農業関係の地域づくり活動の先進地といえば、何といっても内子町だ。先日、内子町の広報誌を読む機会があったが、そこに先日退任された河内町政の内子のまちづくりについての話が掲載されており、とても興味深く拝見した。
特に知的農村塾の話は面白かった。これからは農業も賢くなければならないということで、農業は脳業であるとのコンセプトのもと、毎年4~5回のペースで講演会を行い、農家自らが学習をすすめ、そして先進地にも視察に行っている。
この取組を内子町は昭和60年度からやっており、内子町の広報を読んでいると、もともとは八日市の町並みを保存する運動から派生していったものであったが、これが原点となり、村並み運動へとシフトしていき、その中でフレッシュパークからりの原型となる産直市が生まれ、グリーンツーリズムや移住促進という人材誘致という、今の内子町のまちづくりへの流れがあるということがよくわかった。
やはり、まちづくりや地域づくりの原点は学ぶこと、つまり生涯学習なのだと思う。生涯学習の言葉に、知識から認識へ、認識から行動へという言葉があるが、まさしく学ぶ営みから活動がはじまり、そしてそこの行政の支援が入ってハード施設がたてられていくということである。
行政がかつてやってきた失敗は何といっても、ハードを先行させてソフトを後から…ということが多いことだ。ゆえにハコモノ行政と揶揄され失敗しているのだ。補助金の誘惑に乗ってハードをたてると痛い目にあうのは、のちのちの市民となることを考えておくべきだろう。
まちづくりはその地域地域で特色があって一概に他地域で成功したからマネしたらすぐに成功するとは限らないが、以前紹介したNPO法人シネマ尾道の事例と同様に、大枠としてのまちづくりの手法そのものの根幹部分は不変であるということがよくわかる。
農業に限らず、漁業も林業も、賢くないと生き残らないということに早く住民が気がつかないと、これから人口減社会につきすすむ日本の中で、第一次産業中心の自治体はこれから生き残ることはできないだろう。
このタイトルのソースは日本政策投資銀行の藻谷さんの言葉である。そんな藻谷浩介さんの著書が日経新聞出版社から発売されているが、それが「実測!ニッポンの地域力」という本である。
世間では地域間格差、都市と地方の差が声高に言われているが、そんなものは存在しておらず単なる時差にすぎないんだという氏の主張は膨大な統計資料に基づく考察である。
それ以外にも高速道路網が開通しても必ずしも地域が活性化するということはなく、その地域の消費が大都市に流れてしまうリスクの法が高いと言うことを示している。
確かに、消費動向にしても、大都市に90分以内の範囲の地方都市の住民は、確実に生活必需品(=日常生活に使う食料品など)以外のモノの購入は、郊外のSCか、都市部の店舗で購入するという行動をとる。地方都市の中心市街地で購入する行動をとらないのだ。
つまり高速交通網が整備されて大都市から90分以圏内になると確実に消費の流れが変わってしまうのである。それなのに、地方は道路をほしがる。確かに緊急時の道路確保として必要な部分もあるが、それよりも道路確保しなくてもいいような地域づくりを図ることはできないのか?そう思えて成らない。
そのほかにも「出生率を気にするより、出生数を気にしろ!」という言葉や、「出生率が低いのは女性が家庭に専念せずに社会進出したからだという理由は合理性に欠いており、むしろ欧米では女性の社会進出が多いほど出生率が高い」といった指摘は論理的である。
資料を読む力というものを教えてくれる一冊でもある。地域力とは何かを考える前提として読んでおきたい。
蛙が毎月購読している雑誌に、地方自治をテーマにした雑誌である月刊「ガバナンス」がある。おそらく行政職員がもっとも読んでいる「ぎょうせい」の雑誌でもある。毎回ユニークなテーマが並ぶのだが、最新号の2009年3月号は、地域の自立と連携という非常に読み応えのある重厚なテーマであった。
今回の特集に寄稿した方のうち、農山村地域を専門としている明治大学の小田切先生は、一度講演を聴いてみたい先生のおひとりだ。実は講演を聴く機会があったのだが私的な用事があったため、聴講することができなかった。非常に残念であったが、とうとう聴く機会を得た。それが財団法人地域活性化センターで行われる「地域再生実践セミナー」である。今から非常に楽しみにしている。
さて、その地域の自立と連携というテーマの中で、ガバナンスの誌上に紹介されている先進地事例は以下の5本であるが、さすがのところばかりを選んでいると言ってよい内容だ。
①新潟県上越市のNPO法人「かみえちご山里ファン倶楽部」
ここでは、移住交流をテーマにした事例である。特に都市部の若者との交流に力を入れている。基本的に「限界集落」となる集落で最も困ることは「集落の維持機能」である。つまり若者がいないと集落機能を維持することができないのだ。
②宮城県大崎市の「鳴子の米プロジェクト」
農家、農業を守るという立場からの事例である。耕作放棄地の解消、農家所得の向上による耕作意欲の回復を図りつつ、地域の自立を図るという取り組み。特に、買い手と売り手が決まっている地産地消ビジネスモデルは注目に値する。
③広島県安芸高田市の住民自治組織(特に川根自治振興組織)
新たな公ということをテーマにした事例である。住民自治組織ということであるが、基本的には鹿児島県鹿屋市の「やねだん」のような自治公民館活動とは異なる。しかし、活動自体はよくにており、特に川根地域の住民自治組織はガソリンスタンドまで経営するまでになっている。行政機能の村請というよりはあくまで対等な役割を求めている活動をしているのが素晴らしい。
④定住自立権の先行実施団体である長野県飯田市
総務省が行おうとしている定住自立権構想の先行自治体である。未だにわかりにくい制度でありながらも(私がアホなだけであるが)、模索している状況のレポートはたいへん参考になる。特に大学がない地域の若者の流出は深刻であり、若者をふたたび回帰させる人材サイクルの仕組みを確立しなければならないという市長のコメントは的を得ているように思う。
⑤合併しない宣言をした福島県矢祭町
究極の低コストにして住民サービスを手厚くする方式を採用している福島県矢祭町。通常は「役場でやってきた仕事」を住民に担ってもらうことでコスト減を図るという手法を想定するが、矢祭町の場合はそうしていない。徹底的に役場がコストカットをする方式をとっている。いわば地域分権というスタイルをとっていないのである。ただ、これは「役場がここまでやっているのだから」という覚悟を見せて、住民も協力をせざるを得ないような、いわば外堀を埋めている作業をしているとも言える。
総務省は限界集落対策に配置する「集落支援員」に対して交付税措置を行うことを決めたが、これによりどういった変化がおこるかわからないが、集落を元気にするための風興しになってくれることを願ってやまない。
「農商工連携」を意図したフォーラムが内子町で開催されます。
県内で活躍している多種多様な仲間と共に、稼げる農業を目指し、地域で農作物流通を変えるソーシャルキャピタルを構築するため、県内農業者および農業を支援したい人たちを集めて、内子町・内子座にて、第一回アグリフォーラムを開催します。 会場にお集り頂くのは、若手農業者、一般農業者のみならず、加工業者の方や、飲食・販売店の方など、多業種にわたる方々です。ここをスタート地点とし、目的を同じくした異業種の仲間を集め、今後、地元で地域産物の普及率をあげるべく、県内外で様々な仕掛けを行っていく所存です。愛媛の農業を盛り上げていきたい!何かしたい!とお考えの皆様、是非、お誘いあわせの上、ご参加下さい。
今回は、町民一体となって農村活性を展開している内子町を会場に、特別講師として市場に新しい野菜マーケットを創造した㈱イヌイ代表取締役・柿沢直紀氏をお招きし、今後の地域内連携のヒントに繋がるお話も伺えます。また、同町・道の駅内子フレッシュパークからりにて、県外の青年農業者も交えた懇親会を催すため、農業関係者・商工業関係者・行政関係者のみなさん、ぜひどうぞ!
とき 平成21年3月15日(日)
スケジュール
13:00 主旨説明
13:15 連携事例紹介
■香川げんきねっとSEED代表・川西裕幸氏
■内子フレッシュパークからり代表・高本厚美氏
■ナモシプロジェクト代表・丸山武氏
14:55 特別講演
㈱イヌイ代表・柿沢直紀氏
「マーケットインの農業経営(仮)」
16:00 交流会(内子からりにて)
○参加者
農業者、加工業者、飲食・小売店関係者、行政関係者、学生ボランティア、野菜ソムリエ、愛媛の農業を応援している人など約100名
○参加費
フォーラム1,000円+交流会2,500円
○場所
愛媛県内子町・内子座
○主催
LDP1%UPプロジェクト
○後援
愛媛県、内子町、愛媛県農業法人協会、愛媛銀行、愛媛大学農学部、松山大学、㈱ナモシプロジェクト、㈲愛媛サポーターズ
○お問い合わせ
LDP1%UPプロジェクト代表 那須紗代子
http://www.e-supporters.co.jp/event/agl.htm
是非、農商工連携に興味のある方は、参加してみて下さい。
そんな氏の著書を読むと、日本の水産業や水産行政の実態がよく分かる。その中でも日本の水産予算のグラフは衝撃的だ。日本の水産業の三分の二は漁港整備などの公共事業なのである。昨年の一時期、原油高騰で漁師が補償金支給を追加支援で要望していたが、むしろ漁港整備のハードを削ってソフトにいかしたほうがよいということがわかる。
日本に比べてEUでは予算のうち、港湾整備などの公共事業に使う割合はたったの6%であり、残りは造船に関する費用が約三割、漁船関係以外のソフト事業にも6割を費やすから、日本との差は歴然である。
日本の水産行政が、いかに漁村や漁業従事者の生活を守るための施策を打てていないことが課題となっているのだ。ただそのことに気が付かず安易に公共事業に流れてしまって似つかわしくない港があちこちにうまれている現実に氏は警鐘をならしている。
また水産業の将来に対しても警鐘をならしておられ、建設会社の転農については進められているのに対し、漁業への参入は漁業権の問題があり厚い壁があるという。
よく考えると農業に関するセミナーは多いが、水産業に関するセミナーは農業に比べてかなり少ないことからも言える。
いずれにしても水産業の将来のあり方に一石を投じる本といえるだろう。まだ読みこなしていないがじっくりと読んでおきたいし、水産行政に関わる職員はぜひ御一読いただきたい一冊である。
2月25日付の日経新聞に連載されている記事「四国の底ぢから」の「第5部再生に挑むまち」②に、徳島県佐那河内村の取り組みが紹介されていた。この取組は、いわゆる「ゴミ分別」を住民主導で進められた事例紹介であるが、もともとは隣の上勝町で行われた「ゴミセロウェイスト運動」を、佐那河内村の住民が先進地視察で見て、自分たちもと倣ったのがきっかけである。
これだけをとらえると、所詮は二番煎じかと思われるかもしれないが、実際にこれを見習って取り組むということがどんなに大変かということを、この記事で教えてくれている。要するに、これは「言うは易しだが、行うのは難し」の典型例なのである。というのも、実際に佐那河内村がゴミの分別種類をリサイクルのために9種類に分別するように求めていたが住民の理解は進まないでいた。ところが、自治会の女性部が訪問した上勝町のごみゼロウェイストを見て、ゴミ分別の在り方を考えて行動にうつしたところから事態が変わっていったのである。
行政が進めてきたものについては何ら関心がなかったのに、自ら動きだした話し合いを始めた結果、はじめは1地区での取り組み(地区にある集会所にゴミを住民が持参する方式)がいつのまにか、3年の間に村内全域に広がったのである。そこに行政は、他地区の住民に対して情報提供を行うなどの側面による支援を行ったりし、結局分別しているごみの数は、行政が最初に提案した9種類ではなく、33種類になったのである。その種類分けも住民自らが話し合いで決めたものである。このあたりはコミュニティの力を感じてならない。
で、生まれた効果が行政コストの削減であり、その削減分を地域に還元して子どもの医療費を無料にしてしまったのである。つまり、住民の努力により行政コストが下がっている事例であり、ゴミを出さない市民はいないわけだから、これが市民がまちづくりに最も参加しやすい方法ともいえるのだ。自分がゴミを分別すれば子供たちの医療費がタダになる。得られるインセンティブもわかりやすい。
やはり、まちづくり活動を行う手法には、活動の成果に対して「インセンティブ」というものが必要である。それがなければおそらく持続することはできないだろう。自己達成感が得られるという心のインセンティブもあるかもしれないが、やはり何といっても経済的なインセンティブが一番てきめんである。
たとえば香川県善通寺市は資源ごみの販売収入を自治会に還元して住民の協力を得ているし、愛媛県西予市でもゴミ分別に取り組んで削減できたコストが二億円であり、そのうちの半分を住民活動の助成金に充てているという事例もある。まちづくりは環境美化からという言葉があるが、まさしくその通りの事例と言えるだろう。