『これから食えなくなる魚』という本を読んでいる。著者は政策研究大学院大学教授の小松正之氏だ。氏は国際捕鯨委員会の日本代表を務め、調査捕鯨のデータをもとに日本の主張を世界に対し示した方でもある。

そんな氏の著書を読むと、日本の水産業や水産行政の実態がよく分かる。その中でも日本の水産予算のグラフは衝撃的だ。日本の水産業の三分の二は漁港整備などの公共事業なのである。昨年の一時期、原油高騰で漁師が補償金支給を追加支援で要望していたが、むしろ漁港整備のハードを削ってソフトにいかしたほうがよいということがわかる。

日本に比べてEUでは予算のうち、港湾整備などの公共事業に使う割合はたったの6%であり、残りは造船に関する費用が約三割、漁船関係以外のソフト事業にも6割を費やすから、日本との差は歴然である。

日本の水産行政が、いかに漁村や漁業従事者の生活を守るための施策を打てていないことが課題となっているのだ。ただそのことに気が付かず安易に公共事業に流れてしまって似つかわしくない港があちこちにうまれている現実に氏は警鐘をならしている。

また水産業の将来に対しても警鐘をならしておられ、建設会社の転農については進められているのに対し、漁業への参入は漁業権の問題があり厚い壁があるという。

よく考えると農業に関するセミナーは多いが、水産業に関するセミナーは農業に比べてかなり少ないことからも言える。

いずれにしても水産業の将来のあり方に一石を投じる本といえるだろう。まだ読みこなしていないがじっくりと読んでおきたいし、水産行政に関わる職員はぜひ御一読いただきたい一冊である。