2月25日付の日経新聞に連載されている記事「四国の底ぢから」の「第5部再生に挑むまち」②に、徳島県佐那河内村の取り組みが紹介されていた。この取組は、いわゆる「ゴミ分別」を住民主導で進められた事例紹介であるが、もともとは隣の上勝町で行われた「ゴミセロウェイスト運動」を、佐那河内村の住民が先進地視察で見て、自分たちもと倣ったのがきっかけである。
これだけをとらえると、所詮は二番煎じかと思われるかもしれないが、実際にこれを見習って取り組むということがどんなに大変かということを、この記事で教えてくれている。要するに、これは「言うは易しだが、行うのは難し」の典型例なのである。というのも、実際に佐那河内村がゴミの分別種類をリサイクルのために9種類に分別するように求めていたが住民の理解は進まないでいた。ところが、自治会の女性部が訪問した上勝町のごみゼロウェイストを見て、ゴミ分別の在り方を考えて行動にうつしたところから事態が変わっていったのである。
行政が進めてきたものについては何ら関心がなかったのに、自ら動きだした話し合いを始めた結果、はじめは1地区での取り組み(地区にある集会所にゴミを住民が持参する方式)がいつのまにか、3年の間に村内全域に広がったのである。そこに行政は、他地区の住民に対して情報提供を行うなどの側面による支援を行ったりし、結局分別しているごみの数は、行政が最初に提案した9種類ではなく、33種類になったのである。その種類分けも住民自らが話し合いで決めたものである。このあたりはコミュニティの力を感じてならない。
で、生まれた効果が行政コストの削減であり、その削減分を地域に還元して子どもの医療費を無料にしてしまったのである。つまり、住民の努力により行政コストが下がっている事例であり、ゴミを出さない市民はいないわけだから、これが市民がまちづくりに最も参加しやすい方法ともいえるのだ。自分がゴミを分別すれば子供たちの医療費がタダになる。得られるインセンティブもわかりやすい。
やはり、まちづくり活動を行う手法には、活動の成果に対して「インセンティブ」というものが必要である。それがなければおそらく持続することはできないだろう。自己達成感が得られるという心のインセンティブもあるかもしれないが、やはり何といっても経済的なインセンティブが一番てきめんである。
たとえば香川県善通寺市は資源ごみの販売収入を自治会に還元して住民の協力を得ているし、愛媛県西予市でもゴミ分別に取り組んで削減できたコストが二億円であり、そのうちの半分を住民活動の助成金に充てているという事例もある。まちづくりは環境美化からという言葉があるが、まさしくその通りの事例と言えるだろう。