蛙が毎月購読している雑誌に、地方自治をテーマにした雑誌である月刊「ガバナンス」がある。おそらく行政職員がもっとも読んでいる「ぎょうせい」の雑誌でもある。毎回ユニークなテーマが並ぶのだが、最新号の2009年3月号は、地域の自立と連携という非常に読み応えのある重厚なテーマであった。
今回の特集に寄稿した方のうち、農山村地域を専門としている明治大学の小田切先生は、一度講演を聴いてみたい先生のおひとりだ。実は講演を聴く機会があったのだが私的な用事があったため、聴講することができなかった。非常に残念であったが、とうとう聴く機会を得た。それが財団法人地域活性化センターで行われる「地域再生実践セミナー」である。今から非常に楽しみにしている。
さて、その地域の自立と連携というテーマの中で、ガバナンスの誌上に紹介されている先進地事例は以下の5本であるが、さすがのところばかりを選んでいると言ってよい内容だ。
①新潟県上越市のNPO法人「かみえちご山里ファン倶楽部」
ここでは、移住交流をテーマにした事例である。特に都市部の若者との交流に力を入れている。基本的に「限界集落」となる集落で最も困ることは「集落の維持機能」である。つまり若者がいないと集落機能を維持することができないのだ。
②宮城県大崎市の「鳴子の米プロジェクト」
農家、農業を守るという立場からの事例である。耕作放棄地の解消、農家所得の向上による耕作意欲の回復を図りつつ、地域の自立を図るという取り組み。特に、買い手と売り手が決まっている地産地消ビジネスモデルは注目に値する。
③広島県安芸高田市の住民自治組織(特に川根自治振興組織)
新たな公ということをテーマにした事例である。住民自治組織ということであるが、基本的には鹿児島県鹿屋市の「やねだん」のような自治公民館活動とは異なる。しかし、活動自体はよくにており、特に川根地域の住民自治組織はガソリンスタンドまで経営するまでになっている。行政機能の村請というよりはあくまで対等な役割を求めている活動をしているのが素晴らしい。
④定住自立権の先行実施団体である長野県飯田市
総務省が行おうとしている定住自立権構想の先行自治体である。未だにわかりにくい制度でありながらも(私がアホなだけであるが)、模索している状況のレポートはたいへん参考になる。特に大学がない地域の若者の流出は深刻であり、若者をふたたび回帰させる人材サイクルの仕組みを確立しなければならないという市長のコメントは的を得ているように思う。
⑤合併しない宣言をした福島県矢祭町
究極の低コストにして住民サービスを手厚くする方式を採用している福島県矢祭町。通常は「役場でやってきた仕事」を住民に担ってもらうことでコスト減を図るという手法を想定するが、矢祭町の場合はそうしていない。徹底的に役場がコストカットをする方式をとっている。いわば地域分権というスタイルをとっていないのである。ただ、これは「役場がここまでやっているのだから」という覚悟を見せて、住民も協力をせざるを得ないような、いわば外堀を埋めている作業をしているとも言える。
総務省は限界集落対策に配置する「集落支援員」に対して交付税措置を行うことを決めたが、これによりどういった変化がおこるかわからないが、集落を元気にするための風興しになってくれることを願ってやまない。