先日、NHKで「四国羅針盤」と呼ばれる番組が放送されており、「農地法改正」についての特集がされていた。その中で日本の耕作放棄地には、手を加えれば田畑にもどすことができる状態(=青)と、投資をすれば元の戻せる状態(=黄)、そして耕作地にもどすことはほぼ不可能な状態(=赤)の3段階にわけられるそうで、四国の耕作放棄地のおよそ半数が実は赤の状態になっており、とりわけ蛙のすむ愛媛県が全国でもワースト5位に入るほどの耕作放棄地を誇ることがわかった。

 その現状をうけて農地法の改正、つまるところ農家の息子でしか農業ができないという問題を解消するために企業が農業に参入しやすくするような法律改正を行おうと国会で審議されており、実際に四国の企業で農業に参入しようとしている企業の実態を追っていた。

 そんな状況の中で、「日本の農業をREFARMする」を合言葉に、農家のこせがれネットワークや愛媛サポーターズが主催して耕作放棄地キャンペーン事業が間もなく始まろうとしている。

 この事業で耕して採ろうとする作物は「大豆」。しかもオナー制度を敷く。種大豆オーナーとして登録すると、種まきから収穫、そして味噌などの加工品づくりまで体験できるそうで、農業からの食育活動にもなっており、都市と農村の交流を図ることも期待されている。

 この事業については、5月31日(日)松山大学にて、実施発表会・事業計画作成会議が開催される。耕作放棄地再生までのシステム構築、再生後の収穫物の加工・販路対策などの事業計画作成のワークショップを行う模様である。興味のある方は、愛媛サポーターズのホームページを参照のこと。

T型集落点検で知られ、道の駅の命名者でもある熊本大学の徳野先生の著書。NHK出版から出ている。先日、愛媛大学で行われた講演会の場所で購入してみた。本を読んだ内容については、講演会のしゃべった内容のそれとほぼ同じであるから、講演を聴いたあとに本を読むとある意味復習になった。


徳野先生の毒舌?は業界内ではかなり有名であるが、農家のセガレであるからこその思いやりと言ってよいだろう。しかし、先生の唱える中山間地域活性化に対するアプローチは古くからある地域コミュニティの良さを再構築しなおす、ある意味において地域コミュニティ論であったりする。


現在、中山間地域は人手不足による耕作放棄地が増加し、なおかつ集落の維持ができなくなっているというが、実際に調べてみると、子どもが近くに住んでいたりして意外とまだたくましくしなやかに集落を継続できる可能性があるところもあるそうだ。


つまり、集落維持という場所を中心に考えた場合、集落外に住んでいる人間はすべて他人というべき存在に考えが陥ってしまうが、家族という人を中心に再度その地域を見直した場合、世帯=家族という常識というか思いこみを考え直す必要があること、そして、世帯をはみだしてきた時代にあわせた集落維持が求められているようだ。


そして、米の値段のことに触れ、米1俵は60キロだが、それが現在12,000円。そして飯一杯が12円。それがコンビニのおにぎりになると105円となり、ファミレスのライスになると250円くらいとなる。原価で考えるといかに農家の手取りが少ないことがわかる。


ゆえに生まれたのが「産直」という農家が自信をもって値段を決められる仕組みだ。農協はそれで打撃をうけることになる。それにより「農協」という、これまでの農業の集荷組織の存在意義が問われるようになって、農業流通が変化してきたが、それでも農家の所得は未だに向上しない。消費者側にも考えるところがあるようだ。蛙もまたよくジャンクフードを買うので自戒しなければならない。

物事には流行というモノがあるが、それはご多分に漏れずまちづくりの世界でも同様だ。しかも、これまでのまちづくりのブームは国主導で金太郎飴のように全国各地でハコモノをつくって、東京を目指そうとした志向であろう。そして生まれたのが膨大な維持管理がかかる金食い虫であり、そして非効率の象徴としての財団や第3セクターだったりする。ちなみに、蛙はハード設備については決して否定派ではなく、そして第3セクターについても戦略さえあれば黒字になるし、一定の雇用確保には役に立つモノだと思っている。


現在では、それに反省してハコモノではなく、地域資源に目を向けてまちおこしをしようとしており、その中から生まれたのがたとえば文化的景観や重伝建などの景観であったり、農産物などの分野で言えば産直市であったり、生涯学習の面ではいえば「ご当地検定」など、いわゆる「ご当地モノ」だったりする。つまり自分たちのアイデンティティをつくりあげようとしているということだ。


その中でも飲食業界でのご当地モノはすごい。「食」というモノは人間が滅びない限り確実に未来永劫滅びない産業であるから、当たり前といえば当たり前だ。最近にはご当地バーガーやB級グルメなどが百花繚乱している印象を受ける。こんなことを言っては失礼かも知れないが、正直言ってどの地域にも名物は存在し、名物にマズイモノ無しといわれており、どれも実はおいしいのだ。たいした差はない。


では、なぜ売れている物と売れていない物が存在するのか? それはつまるところ「感動」の差なのだ。つまり、味にプラス「感動」というスパイスがあるから、売れている物が存在する。ではどうやって感動を演出するのか?ということになる。


感動というモノを演出するためにはさまざまなアプローチがある。たとえば希少性という感動。少ないものであるのに出会えたというものである。そして苦労という感動。自分が苦労して手に入れたモノには感動がある。その他、さまざまな感動を演出する力が必要なのだ。そうなると売れる物をつくるためには、最低限として「おいしいもの」であることのほかに、それをうまく演出する能力をもった人間が必要なのである。


そして、その演出家は絶えず新しいモノを生み出していかなければならない。今のまちづくりの隆盛も実はブームのようなところがある。したがって新しいステージにすすむためには新しい価値を創造し、デザインする力が求められているのではないだろうか。いずれご当地バーガーもB級グルメも、そしてご当地検定もブームがすぎていってしまうだろう。次はいったいどんなモノが日本国中を席巻するのだろうか?

 地産地消の取り組みといえば、多いのが学校給食での取り組み。特に四国では今治市という日本でも有数の先進地を抱えています。そんな中で愛媛大学農学部では学校給食の現場における食育についてのセミナーが開催されます。以下、案内文です。


 食育基本法が制定され,国を挙げて食育を推進し,学校現場でも,食育の授業がかなり行われています。しかし,未だにどう授業をしたらいいかよく分からない方もたくさんいらっしゃいます。
 第3回は,小中学校の先生方から要望の高かった「給食」について取り上げます。「地産地消給食」を取り組み始めた地域の事例紹介と分析,大学生による食農実践報告,そして学校給食における具体的な食の授業の進め方について模擬授業を通して話して頂きます。最後に参加者と小学校教諭と大学教員,学生によるパネルディスカッションを行い,情報交換を行います。

日 時 平成21年5月31日(日)
    12時30分受付,13時開会,15時30分終了予定。
主 催 愛媛大学農学部
場 所 愛媛大学農学部大講義室(松山市樽味3-5-7)駐車場あります。
定 員 200名(定員になり次第,締め切らせて頂きます。)
参加費 無料

申込み先等,詳しくは以下のPDFファイルを御覧ください。


第3回食農教育セミナー (PDFファイル 142KB)

5月19日に放送されるNHK総合のプロフェッショナル~仕事の流儀~は、とても興味深い。

以下、紹介文を見てみよう。まちおこしは「よそもの」「わかもの」「ばかもの」の3要素が必要だといわれており、この人は地方を回ることにより「ヨソモノの視点」と「バカモノの視点」である。蛙もこの人は全く知らなかった。まだまだ知らない人が多い。この世界の奥深さを知ることができる。その中で職人さんたちが実演販売をする企画があったが、そこにビルゲイツを呼ぼうとした逸話がちょっとおもしろかった。若松進一さんにもつながるアイディアだ。公務員必見の番組といえるだろう。


今、「地方」の疲弊が止まらない。人口流出に、高齢化。全国の市町村の4割以上が「過疎地域」に指定されている。そんな中、地域再生の知恵袋として全国から引っ張りだこの公務員がいる。内閣府などで地域活性化を担当してきた、企画官の木村俊昭(48)だ。
木村はもともと国家公務員ではない。北海道・小樽市役所の職員として、さまざまな街おこしの取り組みを成功させた手腕を買われ、中央官庁に引き抜かれた。
木村は、港湾業が廃れ、「斜陽の街」と呼ばれていた小樽を、北の観光都市として復活させるため奔走した。仲間たちと歴史的建造物のライトアップを行い、話題となった。さらに東京から老舗(しにせ)ガラス工房を誘致して、「ガラスの街・小樽」の売り出しに一役買った。
最初は、上司や市民から相手にされないこともあった。それでも、あふれるほどの情熱と行動力で突き進む木村の「ばかもの」ぶりが、人の心を動かし、地域に活動の輪を広げた。
今、木村は毎週のように疲弊に悩む全国の市町村を訪れ、地域再生の相談に乗る。その中で最も大事にしていることは、地元の人たちを「その気にさせる」ことだ。地域再生はあくまで、地元の人が主役。地元から「ばかもの」が生まれなければ、街おこしのうねりは生まれない。
しかし多くの地域の人たちが、「何を売りにして。どう動けばいいのか」が分からず、立ち往生している。果たして木村は、その人たちのやる気の火をともすことが出来るのか?
地域再生に生涯をささげ、「ばかもの」といわれるほどの情熱で突き進む、熱血公務員・木村俊昭の流儀に迫る。

愛媛県宇和島市の宇和島市生涯学習センターと宇和島市生活文化若者塾「拓己塾」の共催によるまちづくり公開講座が開催されます。講師は以前このブログで記事にも投稿したこともある大野圭司さん。「島おこしを仕事にする」というタイトルで、島おこしに燃える大野さんの島おこし術を学びます。


日時 平成21年6月23日(火)19時00分~20時30分


会場 宇和島市生涯学習センター研修室


問い合わせは、宇和島市生涯学習センターまで


以下、チラシの大野圭司氏のプロフィール引用文です。


中学3年のころ、周防大島の旧東和町は、高齢化率41.5%で日本一の高齢化した町であることを知り、衝撃を受けた。偶然読んだ「世界の村おこし・町づくり」という新書の中で、退職後の第二の人生を提供する「リタイアメントコミュニティ」という町づくりの手法に影響されて、島おこしプロデューサーになることを志す。


大学卒業後、公園設計を行う会社、インターネットベンチャーへの営業マン、ホームページ制作会社などに勤務した後、自宅でホームページデザイナーとして独立して、島おこしプランを磨くために、社会起業家育成ビジネスプランコンペにて学ぶ。


現在は、大野工業(株)島スタイル事業部にて、フリーペーパー発行の他、周防大島の地域再生のための起業家を養成する学校づくりプロジェクトを、大島商船高専にて推進中。合い言葉は「30年後の周防大島のどの集落にも、子どもたちの笑い声が聞こえるために!」をモットーにしている。

先日、このブログで地域SNSのことを取り上げたことがあるが、現在インターネットをつかった新たな地域コミュニティの構築をしているところが増えている。企業内のLANに管理職をはずしたSNSがあるところもあるという新聞記事も最近目にしたことがあるくらいだから、新しい流れなのだろう。


そんな中で自治体も地域SNSを構築して利用しているところも多く、総務省もオープンソースを提供してSNSを自治体も構築しやすくするような施策を行っている。自治体のもともとのはしりは熊本県八代市の「ごろっとやつしろ」が走りであるが、このSNSが構築されてもうまく動くにはかなり時間がかかる。


というのも登録人数がおよそ1000人を超えないとうまくコミュニティが一人歩きしてくれないのだ。たとえば日本最大のSNSであるMIXIは登録者数が2340万人を超えているが、そのコミュニティのうちかなり盛り上がりを見せているコミュニティ(話題が提供されて議論が活発なところ)は人数がだいたい1000人を超えているコミュニティが多いというのが現状のようで、実際、地方SNSを開設している自治体においてもあまり活発化していないSNSもあるようで、うまく有効に使われていない現状もあるようだ。


そして、そのミクシィの登録者数は2340万人といいながら、その実は都市部住民が加入しているのがほとんどでありブロードバンド環境が整えられていない田舎ではそうはいかないという問題点もある。したがって、基盤整備の部分で後れを取っており、母体人口が少ない地方ではミクシィですら苦戦しているところもある。


だからといってSNSの可能性がないということではなく、これから運用次第ではうまくいく可能性は秘めている。特に若い世代層の地域参画をうながすことができるからだ。なぜなら若い世代層の情報収集の基本はネットが中心となっているからであり、自治体の広報などを見る頻度は年配層に比べて著しく低い。したがって、情報発信ツールとして使える可能性があり、若い人たちから広がる地域情報発信と地域活動につながっていく可能性がある。

特区、地域再生、規制改革集中受付に係る説明会(あじさいキャラバン)の実施について


内閣官房 地域活性化統合事務局

内閣府 規制改革推進室


政府では、本年6月の1か月間を「特区、地域再生、規制改革集中受付月間」とし、特区における規制の特例措置の提案、地域再生に関する支援措置の提案及び全国で実施すべき規制改革の要望を同時に受付けることを予定しています。これに先立ち、職員が各地に出向き、各制度の内容や提案方法等の説明を行うとともに、各地の地方公共団体、民間企業等からの具体的な提案・要望に係る個別の相談会を行う「あじさいキャラバン」を実施します。本キャラバンには、地方公共団体、民間企業、各種団体、個人等、どなたでも参加できますのでふるってご参加下さい。


1.説明会の内容


原則として、以下の内容での実施を予定しておりますが、開催地によっては内容が異なる場合がございますので、詳細は、別添の連絡先までお問い合わせ下さい。


(1)制度説明会(質疑応答含む)

(2)提案・要望の個別相談会(個別にブースを設け、1件あたり20~30分程度で実施)


2.開催地・日時・会場

愛媛会場 今治地域地場産業振興センター(今治市)

       平成21年5月25日(月)13:30~17:00

高知会場 高知共済会館(高知市)

       平成21年6月10日(水)10:30~16:30

※香川、徳島は秋に開催予定

3.地域活性化応援隊派遣相談会の同日開催について

キャラバンに併せ、地域活性化に関する豊かな経験や実績を有する民間の専門家や行政関係者が各地に出向き、地域のニーズや悩みを伺い、各地域の取組を後押しするための相談会(地域活性化応援隊派遣相談会)を同時に開催する場合もあります。

愛媛県宇和島市では、平成19年度より、「産業活性化の切り札=デザイン」というテーマの下、計8回「うわじまデザイン塾」を実施しています。今年度、初回となる「第9回 うわじまデザイン塾」の開催日が決定しました。 講演は入場無料(ミニパーティ参加の場合は有料です)で、どなたでも参加できますので、ぜひ、ご来場ください。


と き 平成21年6月13日(土)14:30~16:40

     講演会ののちミニパーティ(有料2,000円)もあり

ところ 宇和島市役所2階大ホール


お問い合わせ先

宇和島地域ブランド化推進事業実行委員会事務局
  宇和島市役所商工観光課内
    TEL 0895-24-1111(内線2737)


演題「文字とデザイン」

講師 浅葉克己(グラフィックデザイナー) 氏


講師プロフィール


浅葉克己

1940年神奈川県生まれ。 桑沢デザイン研究所、ライトパブリシティを経て、75年(株)浅葉克己デザイン室を設立。サントリー、西武百貨店、ミサワホーム等数々の広告を手がける。東京ADC賞グランプリ、紫綬褒章など受賞多数。東京ADC委員、東京TDC理事長、JAGDA理事、東京造形大学客員教授。卓球六段。08年7月に21_21DESIGN SIGHTで「祈りの痕跡」展を開催した。


さて、このデザイン塾は「産業活性化の切り札がデザインである」というコンセプトでさまざまなデザインにまつわる講師をお招きして講演会を行っているが、次回の講師は文字をひとつのアートとしてとらえて活動されている浅葉克己氏である。産業活性化に興味のある方というよりは、デザイン関係に興味のある方はぜひ参加してみて頂きたい。

井の中の蛙、大海を知りたい!-ぎんこい市場全景

 産直市についてこのブログでも何度か取り上げたが、四国最大都市である松山市の商店街に地元の新鮮な野菜や魚介類を販売する産直市が4月10日にオープンした。場内で農作業風景の映像を流したりして、工夫を凝らして地産地消の魅力をアピールしている。食の安心・安全が注目される中、関係者らは「地域ににぎわいを生み出す起爆剤に」と期待している。


 新しくできたのは、松山市湊町の銀天街商店街の空き店舗にお目見えした「ぎんこい市場」だ。この市場の運営方式は少々おもしろい。所有者はケーブルテレビに貸し出しをし、実際のテナントはケーブルテレビと契約した松山周辺の農家集団である。その名を「新鮮ぐみっ」。



井の中の蛙、大海を知りたい!-かんばん


 この商店街のきっかけは、この新鮮ぐみっの主要メンバーである砥部町の向井京子さんが、商店街の近くに住むお年寄りから「新鮮な野菜を買える場所が少ない」と聞いたのがきっかけで発案したそうで、向井さんの呼びかけにより集まった農家を中心としたメンバーが出店する市場の開設にこぎ着けた。



井の中の蛙、大海を知りたい!-ぎんこい市場店内


 営業は年中無休だそうで、松山近郊の農産物や魚介類のほか、会員手作りのお総菜が並べられているほか、花なども置かれていた。蛙が訪問した日も近所の刀のだろうか、お年寄りらでたいへんにぎわっていた。


 そして、何よりここの市場がおもしろいのは、経営者がケーブルテレビであり、広報活動はケーブルテレビがやってくれるということに尽きる。黙っていても勝手にPRしてくれるという仕組みができあがっている。蛙が訪問した際には大きなテレビの液晶画面に自主制作番組が随時放映され、「おすすめ野菜」や農家の作業風景が画面で紹介されていた。


 ここで注目して考えておきたいことは2つある。

 一つ目は、購入している層は近所の人たちということだ。つまり近所の人たちをターゲットにしているお店ということであり、商店街がどのような層が利用するかというと以外と近いからというのが多いと言うことを忘れては成らないわけである。


 二つ目は、産直市をイベントとして行っている商店街は多いが、そのときに人はやってきて賑わいがあっても必ずしもそれが商店街の商店の売り上げにつながるわけではないということである。はっきり言って産直市を見に来たお客が衣料品店で衣服を購入する行動はおろか、ヘタをしたら商店街のお店に入店する確率すらかなり低いと見るべきである。


 したがって、産直市は人を呼び込む効果はあるが、その人たちが別の消費行動を起こすかどうかはまた別の話であり、そのあたりをよく考えておく必要があるということなのである。