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ヘッジファンドの米国株式に対するスタンスに変化?


先週末(22日)のニューヨークダウ工業株30種は185.58ドルの下落となり、今年2月以来の下げとなりました。


ここでCME S&P500先物取引、CMEナスダック100先物取引、CBOTニューヨークダウ先物取引のCOTレポートから、ヘッジファンドやCTAなど投機筋(ノン・コマーシャルズ)の動きを探ってみましょう。


まず、CMEのS&P500先物取引の投機筋のポジション動向です。6月19日時点では、34,536枚の売り越しとなりました。前週比24,592枚の増加です(5週間連続の売り越し)。


投機筋が米国株式に対して「弱気」スタンスを強めていることを示しています。


 0625シカゴ先物(SP500)


 次はCBOT(シカゴ商品取引所)で取引されているニューヨークダウの先物取引・投機筋のポジション動向です。19日時点では1,418枚の売り越しとなりました。2005年11月15日以来、実に83週間振りに売り越しに転じました。


0625CBOT先物(ダウ30種)

 

 最後にCMEのナスダック100先物取引の投機筋のポジション動向です。9,557枚の売り越しで、前週に比べて918枚の増加となりました(14週間連続の売り越し)。


0625シカゴ先物(NASDAQ100)


 今回の株価下落は、米証券大手のベアー・スターンズ傘下のヘッジファンドがサブプライムに絡む運用に失敗したことがきっかけとなっています。同社は6月22日、ファンドに32億ドルの資金支援をすることを発表しましたが、他のヘッジファンドも同様の問題があるかもしれない、ということが市場では懸念されています。


 筆者は、上記は瑣末の問題であり、本質は米国の長期金利の上昇にあるとみています。米国の10年国債利回りは5.0%台が定着し、株価に影響を与える水準となっています。


0625米国株式と10年国債利回りの推移

0625米国の長短金利


 週明けの米国株式市場が反発するか、あるいは続落となるか、今晩のニューヨーク市場に要注目です。



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*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
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ジェームス・アルタッチャー, 長尾 慎太郎, 井田 京子, 西村 嘉洋
ヘッジファンドの売買技術-利益を勝ち取るための相関性のない20の戦略とテクニック


6月19日時点のCME日経平均先物ポジション動向

 6月22日(金)東部時間午後3時30分(日本時間では、6月23日の早朝)に、6月19日時点でのCOTレポートが発表されました。


 CMEに上場されている日経平均先物取引ついて、コマーシャルズ(実需筋)やノン・コマーシャルズ(CTAやヘッジファンドなどの投機筋)のポジション状況をみてみましょう。


0625シカゴ先物・コマーシャルズ


 コマーシャルズについては、6月19日時点では5,427枚の買い越しとなりました。前週に比べて買い越し枚数は94枚減少しています(3週間連続で減少)。コマーシャルズによる買い越しは減少基調が続いています。


0625シカゴ先物・ノンコマーシャルズ


 ノン・コマーシャルズについては6月19日時点では4,836枚の売り越しとなりました。前週に比べて売り越し枚数は815枚増加しています(売り越し枚数は2週間連続で増加)。


 ヘッジファンドやCTAなどの投機筋は、日本株に対して弱気スタンスを継続しています。


 次に、COTレポートのデータを使って、ラリー・ウィリアムズが考案したCOTインデックスと、それを応用して筆者が考案したNCOTインデックスをみてみましょう。


6月19日時点での日経平均先物取引のCOTインデックスのチャートは下記の通りです。

  COTインデックスは71.56%となりました。低下基調が続いています。


0625COTインデックス


 一方で、下記はNCOTインデックス(ノン・コマーシャルズ指数)のチャートです。これは、ノン・コマーシャルズの行動をみるためにCOTインデックスと同様の計算式で、筆者が計算したものです。


  6月19日時点のNCOTインデックスは23.94%で、やや低下しました。
 

0625NCOTインデックス


 下記は、財務省が発表している対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)のうち、非居住者による株式の取得・処分をまとめたチャートです。


  直近のデータは6月15日に終わる週まで発表されています。外国人による株式取得は5,482億円の買い越しとなっています。7週間連続で買い越しており、外国人投資家による買い越しが継続しています。


0625対内証券売買契約等の状況



 下記は、寄り付きの外資系証券の売買状況です。6月21日と22日は売り越しとなっています。


0625外国人動向


 下記は日経平均の週ベースの一目均衡表です。終値は転換線の上に位置しています。中期での上昇トレンドが続いています。
先週は上伸したものの2月26日につけたザラバ高値(18,300.39円)を上回ることができませんでした。


0625日経平均一目均衡表(週次)


0625日経平均一目均衡表


 なお、6月22日のシカゴ日経平均先物の終値は、18,045円と大証の終値(18,220円)より175円低くなっています。



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*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
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米ドルが復活?

 米ドルの上昇が続いています。米ドルはユーロや円に対して上昇トレンドが強まっています。筆者が注目しているドルインデックスをみると、先週末こそ反落したものの、一目均衡表の雲の上に出て、上昇トレンドが明確となっています。

0618ドルインデックスの一目均衡表  

 ここでIMM通貨先物取引・主要通貨の投機筋のポジション動向を確認しておきましょう。

 まず円先物取引です。6月12日時点では、127,562枚の円売り越しとなっています。円キャリー取引(円を売って高金利通貨を買う取引)が増えていることが推測されます。

0618シカゴ通貨先物(円)


 次はユーロ先物取引です。50,638枚のユーロ買い越しですが、ユーロの買い越し枚数が急減しています。ユーロは対米ドルでさらに売られる可能性があります。

0618シカゴ通貨先物(ユーロ)


 英ポンド先物取引です。6月12日時点では39,417枚の英ポンド買い越しとなっています。英ポンドの買い越し枚数は急減しています。英ポンドも対米ドルで売られる可能性があります。

0618シカゴ通貨先物(英ポンド)


 次はスイスフラン先物取引です。79,181枚のスイスフラン売り越しとなり、売り越し枚数は過去最高値を更新しました。なお、スイス中央銀行は、14日に政策金利を0.25%引き上げ、年2.5%にしましたが、今回の数値には利上げが反映されていません。

0618シカゴ通貨先物(スイスフラン)


 カナダドル先物取引です。6月12日時点では、62,005枚のカナダドル買い越しとなりました。買い越し枚数は過去最高値を更新しています。米ドルはカナダドルに対しては弱くなっています。

0618シカゴ通貨先物(カナダドル)


 次は豪ドル先物取引です。73,347枚の豪ドル買い越しで、高水準を維持しています。米ドルはカナダドルに対しても弱い状況が続いています。

0618シカゴ通貨先物(豪ドル)


 主要6通貨(ユーロ、円、英ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)の対米ドルでのポジションを合計したものが下記のグラフです(1単位当たりの金額を調整せずに合計していますので若干注意が必要です)。


 さて、6月12日時点の合計は、18,691枚の米ドル売り越しとなっています。売り越し枚数は減少基調となっており、ヘッジファンドなどの投機筋が、米ドルの売り越しから、買い越しへ、スタンスを変化させつつあることがわかります。

0618IMM通貨先物


 米ドルの上昇トレンドが続くということは、米国内への資金還流が続いている、ということを意味しています。米国株式の上昇は息が長いかもしれません。

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*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
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