10月9日時点のCME日経平均先物ポジション動向… 投機筋による売り越し枚数は高水準!
10月12日(金)東部時間午後3時30分(日本時間では、10月13日の早朝)に、10月9日時点でのCOTレポートが発表されました。
CMEに上場されている日経平均先物取引ついて、コマーシャルズ(実需筋)やノン・コマーシャルズ(CTAやヘッジファンドなどの投機筋)のポジション状況をみてみましょう。
コマーシャルズについては、10月2日時点では22,258枚の買い越しとなりました。前週に比べて買い越し枚数は705枚減少しています(3週間連続の減少)。
コマーシャルズは日本株に対して「強気」スタンスを維持しています。コマーシャルズの行動は中期的には相場に影響します。3カ月から半年先を見据えれば、株式相場は上昇する公算が強いといえます。
ノン・コマーシャルズについては10月9日時点では19,103枚の売り越しとなりました。前週に比べて売り越し枚数は367枚減少しています(3週間連続の減少)。ただし、売り越し枚数は143枚増加しており、ヘッジファンドやCTAなどの投機筋は、日本株に対する「弱気」スタンスを維持しています。
株価の上昇でショートカバーが入っていると思われましたが、少なくとも10月9日までは損切りの買戻しは入っていません。次回の発表数値がどうなっているか注目したいところです。
次に、COTレポートのデータを使って、ラリー・ウィリアムズが考案したCOTインデックスと、それを応用して筆者が考案したNCOTインデックスをみてみましょう。
10月9日時点での日経平均先物取引のCOTインデックスのチャートは下記の通りです。
COTインデックスは84.57%となりました(3週間連続の低下)。
一方で、下記はNCOTインデックス(ノン・コマーシャルズ指数)のチャートです。これは、ノン・コマーシャルズの行動をみるためにCOTインデックスと同様の計算式で、筆者が計算したものです。
10月9日時点のNCOTインデックスは14.40%となりました(3週間連続の上昇)。
下記は、財務省が発表している対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)のうち、非居住者による株式の取得・処分をまとめたチャートです。
直近のデータは10月5日に終わる週まで発表されています。外国人による株式取得は2,742億円の買い越しとなりました。2週間連続の買い越しです。
外国人投資家の日本株に対するスタンスは「中立」から「強気」に変わりつつあります。
下記は非居住者による債券(中長期債および短期債券)の取得・処分をまとめたチャートです。10月5日に終わる週は7,236億円の売り越しに変わりました。2週間振りの売り越しです。
下記は、東京証券取引所が発表している三市場の投資部門別売買状況のデータです(10月5日に終わる週まで)。三市場の投資部門別売買金額をみると、2,813億円の買い越しとなりました。2週間連続の買い越しです。
一方で、下記はジャスダック市場における外国人投資家の差引きの売買金額を示したチャートです。10月5日に終わる週は22億円の買い越しとなりました。4週間連続の買い越しです。
下記は日経ジャスダック平均のチャートです。大底をつけたようです。
東証マザーズ市場については、93億円の買い越しとなりました。2週間連続の買い越しです。
下記は東証マザーズ指数のチャートです。
下記は、寄り付きの外資系証券の売買状況です。10月5日~11日は売り越しましたが、12日は560万株の買い越しに転じています。
下記は日経平均の週ベースの一目均衡表です。10月12日の終値は、上値抵抗帯である雲の上に突き抜けています。極めて強い相場といえます。
下記は日ベースの一目均衡表です。短期での上昇トレンドが継続しています。
なお、10月12日のシカゴ日経平均先物(12月限)の終値は17,510円です(大証の終値は17,340円)。
--------------------------------------------------------------
*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
--------------------------------------------------------------
- ラリー・ウィリアムズ, 長尾 慎太郎, 増沢 和美, 吉田 真一, 山中 和彦
- ラリー・ウィリアムズの株式必勝法~正しい時期に正しい株を買う (ウィザードブックシリーズ)
- ラリー ウィリアムズ, Larry Williams, 清水 昭男, 長尾 慎太郎, 柳谷 雅之
- ラリー・ウィリアムズの短期売買法―投資で生き残るための普遍の真理 (ウィザードブックシリーズ)
米国株式のバリュエーション指標は?
米国株式市場は史上最高値を更新中ですが、ここで足元のバリュエーション指標を確認しておきましょう。
まず、S&P500指数の週足チャートです(指数は週央値)。
S&P500ベースのEPS(1株利益)とPER(株価収益率)のグラフです。EPSは増加基調が続いていますが、年末から来年前半にかけては増益率が鈍化する見通しが強いとみています。PERは10月3日時点で18.12倍となっています。
株式の配当利回り(S&P500ベース)は1.84%となっています。
イールドスプレッド(=10年国債利回り-株式の益回り)は徐々に上昇しています。10月3日時点ではマイナス0.96%です。
株価のバリュエーション指標をみる限り、米国の株価はまだ割高とはいえません。ただし、今後、長期金利が大きく上昇するか、EPSが低下すれば、状況は変わってきます(後者のリスクは常に頭に入れておくべきでしょう)。
-----------------------------------------------------------------------------------
*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
-----------------------------------------------------------------------------------
米国経済の現状は?
米国株式市場は史上最高値を更新中ですが、ここで景気先行指標(コンファレンスボード)やISM景気指標などをみながら、足元の米国経済の動きを確認しておきましょう。
まずは、米国の実質GDP統計から。4~6月期(確定値)については、前期比年率+3.8%となり、1~3月期に比べて伸び率が高くなっています。サブプライムローン問題が実態経済にどのように影響しているか、7~9月期の数値が注目されます。
米国の非金融部門の企業収益(税引利益)の推移をみると、4~6月期まで2期連続で増加していますが、前年同月比でみれば3四半期連続でマイナスとなっています。企業収益の増加基調に陰りがみられることがわかります。
次にコンファレンスボードが算出する景気先行指標をみてみましょう。
景気の動きに一致して変動する一致指数をみると、8月まで7カ月連続で上昇しており、足元の景気が拡大していることを示唆しています。一方で、景気の動きに先行して変動する先行指数をみると、このところ一進一退が続いており、先行きの景気については足踏みを示唆しています。
ちなみに、先行指数に先行して動くとして注目される一致・遅行指数をみると低下トレンドが続いています。景気の先行きについては、必ずしも楽観できないと思われます。
下記はISM(全米供給管理協会)の製造業および非製造業の総合指数の推移を示したチャートです。製造業・総合指数は9月まで3カ月連続で低下しており、非製造業の総合指数も9月は低下しています。
ISMの製造業・総合指数は、コンファレンスボードの景気一致指数に先行して動くことが知られています。ISM製造業指数の動きから判断すれば、米国経済はさらに減速することが示唆されます。
次に長短金利の動きをみてみましょう。長短金利格差の縮小が終了し、今後金利格差が拡大する可能性が高まっています。これは景気が天井をつけ、すでに景気後退局面に入った可能性を示唆しています。
米国経済の個別の経済指標をみてみましょう。
まず、鉱工業生産指数のチャートです。8月まで3カ月連続で上昇しており、生産活動は拡大局面が続いていることを示しています。
最後に住宅着工関連のチャートをみてみましょう。住宅投資関連の数値はいずれも低迷しています。サブプライムローン問題の影響が大きく、短期金利が低下しても、まだしばらくは減少局面が続くと思われます。
以上の概観からいえることは、米国経済の先行きについては必ずしも楽観できないということです。少なくとも、史上最高値を更新する米国株式市場を正当化するには、FRBによる金融緩和と世界的な金余りだけでは不十分だと筆者は感じています。
-----------------------------------------------------------------------------------
*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
-----------------------------------------------------------------------------------
- フィスコ
- 投資力がつく!まるごと経済指標140