お茶漬けは、特別に美味しいと言うほどのものではなく普通のお茶漬けだと思いました。帰りの車の中でも「昼食をご案内しますと言ってお茶漬けとはね???」という事を誰もが何度も繰り返しながら東京の顧客の会社まで戻ったという思い出があります。
癖のある次長も開始早々の威勢の良さは段々と無くなって行くのがわかるほどでした、そうなると急に私のような第三者的な立場の人間に接近して、自分の窮地を救ってくれる知恵を貰いたいと思ったらしいのが分かってきました。
プロジェクトが開始する前後では忙しいにかこつけて全然電話にも出なかったのが、開発用サーバーの電気代発生事件後は以前よりも電話のつながりが良くなり愛想も幾分は気遣いがでたような雰囲気に変わり、こういう場当たり的な態度をとる人間とは個人的には相いれない性格ですが仕事上ではそういう自身の個性は心のうちにしまい込んで対応をせざるを得まいと思ったのでした。この顧客とはこういう嫌な思いが何度もあったので末永く付き合えるのかどうかと疑問に思ったのですが、そういう私自身の自制する態度がよかったのかどうか分かりませんでしたが、定年まで12年間もの間取引をすることになり売上も事業部に貢献できるような数字を残すことができたのでした。
新システム開発が始まってから1年も経過しない翌年8月頃から、夜8時過ぎに顧客の会社近くのファーストフードの店で待ち合わせては、ご指定の繁華街のソープランドの地下にあるスペイン料理屋に頻繁に出はいりするようになり、個性的な髪形の店主と顔なじみになると酒を飲まないで支払いだけする財布のような人間だと見られているのが分かるようでした。
このスペイン料理屋は繁華街だけに割合と繁盛しているのかしていないのか分からなかったのですが、料理は息子、会計は奥さんと言う風に役割分担が決まっている家族経営の店だと分かり、それで何とかやっていけているのかなと思いました。最初は癖のある次長と私だけの酒席だったのですが、「部下を呼んでもいいですか」と癖のある次長から言われると駄目とも言えないので段々と接待する人数が増えて行きました。そういうのが普通になると、癖のある次長を含めて4・5人の情報システム部メンバーを何時も接待するようなことになっているのでした。そして何時も食いきれない程の料理を食って最後に3・4人分のパエリアを癖のある次長が注文するので、癖のある次長だけは満足していましたが、私を含めたメンバーは食いきれなくて往生するのが常でした。個性的な髪形の店主が「ここのはサフランの量がちがいますから」と自慢げに満腹の客の前にパエリアヲ出してくるのでした.
最初はここで食事が終わると二次会のキャバクラに連れて行かれたのですが、段々と頻度が増えると流石に癖のある次長も「一次会だけでいいです」と言って深夜の繁華街の人混みの中に消えていくようになりましたが、当然ながら何時ものお気に入りのバニーガールのいるキャバクラに行っているのだろうというのは分かりました。
数万円の接待費もあまりに頻度が多いと会社の中でも申請しずらいので自然と自腹負担になるのでしたが、この新システム開発で私の勤務する会社が何とか被害をこうむらないようにしなくていけないという営業マン魂みたいなもので自身の金銭的な損失を納得させていましたが、それが2年以上も続いたのは少々痛手だったと今思い起せばバカであったと思えました。と同時に会社の中では誰も知ろうとしないし無関心であったのは会社の社風のなせる業でもあったのだろうと感じていました。
2稿ほど違う話題を挿入しましたが、何せ新聞記事なので読んだ旬の時に感想でも書いておかないといけないという義務感みたいなもので書きました。
世間では周知のことですが、外資系コンピュータ会社では期末の売上で給料が決まる歩合給なので、自然と期末にハードウエアやソフトウエアの押し売りを客先にするのが通例となっています。そこに裏金とかというものに代表される便宜供与が発生するわけです。癖のある次長は何時も当たり前の事として堂々と便宜供与を受けていたのでした。
しかし、この契約には不必要なソフトウエアも多々含まれており、後に新しい情報システム部長が着任して契約内容を調べて初めて露見したのでした。癖のある次長の失敗はシステムに詳しくもないのに自分で勝手に契約した事が後々会社に膨大な費用負担をさせる事につながっていったのでした。
私は直ぐに危険を感じて癖のある次長に電話して「サーバーを導入されるのはご勝手ですが、電気料金は直ぐに発生します。至急電気料金の見積書を送ります」という連絡をしました。
その話を聞いた癖のある次長は直ぐに外資系コンピュータ会社と私の勤務していた会社を呼び寄せて対策会議を始めたのでした。この時に薄々感じたのは、癖のある次長は稟議書を出すときに、数年間のシステム開発期間中はサーバーの電気料金は発生しないと勝手に想像して費用を上申していないという事でした。そういう不都合な事実が背景にあったので、癖のある次長はサーバーの導入を少しでも遅らせられないかと発言をしていました。

