話題作り
そして入社15年を経過し、営業のグループリーダーを任されてからは部下に、新聞や雑誌は何でも良いから読むようアドバイスしました。
何故日経や建設新聞にこだわらなかったかと言うと、営業先の話ではそれらの媒体に書かれたことは話に出ないことと、一般の新聞や雑誌に書かれたネタの方がまとまっていて、興味深い記事も多いからです。
すなわち、自分の情報や知識として経済紙や専門新聞を読むことはためになりますが、営業としての交渉術や話題作りにはほとんど効果はないのです。
「昨日はタイガースがサヨナラ勝ちしましたね」から始まる会話はありますが、「昨日は日経平均が8円50銭上がりましたね」では話にならないのです。
日経平均株価がいくら上がり、いくら下がろうとも、実際の営業には何の効果もありません。知識として知っていることは構いませんけど。
経済のことだから知っておくべきと言う考えは、営業術と違うのです。
追加工事
施工会社の不手際で発生したものは自己責任ですが、予測できない工事の発生による費用負担は施工会社の責任ではありません。しかし、施主側も何故そんな追加工事が発生したか、元々予見可能で見積りには反映済みなのではないか、施工会社の調査不足の末の追加ではないかとか、とにかく追加工事の発生と言うのは、施主と施工会社の関係を悪化させる要因の一つになることがあります。
僕の例では、ある本社新築工事を施工中、大きな地中埋設物が発見されました。見積り提出時に、「工事の障害になる地中埋設物があった時は、別途費用が掛かるのでご了承ください」と伝え、その後契約したのですが、実際に大きな障害物が出てきて報告すると、「そんな話は聞いてない」とか「それぐらいの工事は工事会社が負担すべきだ」と完全に支払う意思がなく、何度も営業と現場の担当で負担のお願いに行きましたが、結局は支払いはされませんでした。
地中埋設物が出た時直ぐに現物を確認してもらい、現認しておけば良かったのに、埋設物を先に撤去した後で請求したため、施主の理解が得られなかったのです。現場も当然の追加請求可能な工事と判断し、現認 をせず追加見積りの作成が遅れたことが問題でした。
悪い話こそ早く連絡や報告をし、対応を早めることが必要です。
休日
ゼネコンは日祝日は休日として休めるのは当たり前になっています。現場は工事の進捗状況により日祝も仕事をしていることがよくありますが、近隣から日祝の工事を控えるよう依頼がある現場は休みます。
土曜日は隔週だとか、交代での出勤は多いと思いますが、休みについては常識的な範囲で取得できます。
それはお客様の会社が通常日祝休みなので、こちらも休みとなるのです。地主さんと打ち合わせや営業訪問がある場合は日祝も関係ないですけどね。
しかし、建設業界の中でも住宅系は土日祝日の休みは関係なしというところは少なくありません。
住宅の販売系なら世間の休日は絶好の営業日ですし、リフォーム業界も休み関係なく営業マンは走りまわるでしょう。
今から2年ほど前、12月24日のクリスマスイブの夜8時頃のインターホンがなりました。
「こんばんわ。夜分恐れ入ります、***社の者です。」から始まり、設備の取り替えによる光熱費の削減プランをとうとうと話し出しました。
「会社から受注して来いと夜まで営業に回っているのは解りますが、何ぼ何でもクリスマスイブのこんな時間に訪問するのは常識的におかしいと思いませんか?」と追い返そうとしました。
「そうですね。申し訳ないです。今日でこの地区の営業が最後なので、廻りきるまで帰れないんです。」と疲れた声で言いました。
「こんな時間にまで営業に回らせている会社の経営者の資質が解りますが、同時にこんな時間に回るのは強引な勧誘の会社としか見られないですよ。ですから、生憎ですがお引き取り下さい。」と言って、帰ってもらいました。
悪徳リフォーム会社や設備会社にありがちな営業手法で、この時の社名も悪評高いところでした。
営業マンに足を使って絨毯爆撃のような営業を無理強させる会社があります。ゼネコンではほとんどないですが、リフォーム系や土地活用をうたう建築企画会社にはよくあります。
こう言う会社に安くて良い仕事ができるはずありません。高くて過剰な仕事をするのみです。
地主さんへ訪問した時、よくこういうたぐいの営業マンがよく来るとよく聞きます。
「そういう誘いには絶対に乗らないでくださいね。」
何度そんなセリフを伝えたことか数限りありません。
営業の使命
それは、取引いただいたお客様のフォローを誠実に行なうことです。
建築や不動産の場合、建物の管理やメンテナンスは長期に渡ります。一旦工事が竣工したら、後は知らん顔ではお客様から信頼を失います。建物のメンテナンスや改装も継続的に発生するのですから、工事完成後もそれらのフォローをしていかないといけません。
半年や一年に一回は様子伺いの営業も必要なのです。
以前、担当したマンションのフォローを全くしていない営業マンがいました。ある日、その営業マンの訪問先の設計事務所から見積り依頼があり、図渡しを受けに行き概要を聞くと、その放ったらかしにしていたお客様が施主だったのです。慌ててそのお客様に発注のお願いに行こうと連絡すると、「建物ができたら後は知らん顔するような会社には発注しない」と、見積り参加は認めてくれたものの、特命にもならず競争業者の一つとしてしか扱われなかったのです。結局叩き合いの末、他の会社に持っていかれました。
本来なら、きちんとフォローしておけば、設計段階から計画に参加できてたかも知れませんし、見積りも特命になったかもしれません。価格交渉も優先的にできたかもしれないのですから、受注チャンスを逃したと言えます。
建築は営業マンの信頼を得なければ、発注はいただけません。「あの営業マンはこまめに誠実に対応してくれる」と思われなければいけないのです。
得意種目を持とう
ゼネコン営業マンも、昔のようにただ設計事務所回りをしたり、ルートセールスに回ってるだけでは仕事はありません。
そうです、仕事は「取れません」ではなく「ありません」なのです。
工事情報を作り出す営業をしないといけないのです。
例えば、ディベロッパーに土地情報を持って行って工事を受注するとか、店舗に土地情報を持って行って工事をもらうとか言うように、建物を建てる切っ掛け作りをしなければいけないわけです。
そのために自分の得意分野をコアにして営業することが大事です。
マンションディベとはよく情報交換していると言うのなら、そこをコアにした営業手法を考えれば良いですし、店舗を知ってるなら店舗開発との情報交換を 元に物件情報を提案すればいいでしょう。
建築情報は建築業界より、それ以外の所に眠っている訳ですから、いろんな所に顔が広くなる営業を心掛けなければいけません。