インセンティブ
ゼネコン営業マンの給与のシステムに、インセンティブを導入している企業がよくあります。
受注金額に対して幾%かの報奨金を支払いますよと言うシステムです。歩合給や出来高給みたいなものです。
現在所属の会社では、僕も基本給にプラス出来高給なのですが、前の会社では固定給でした。と言うのは前の会社は新卒して長年勤めた会社でしたが、インセンティブや歩合と言う制度がありませんでした。入社して徐々に仕事を覚えていって一人前になっていく、そんな会社でしたので固定で良かったのです。
インセンティブ制なら、たくさん仕事を取ってきたら給与が増えることになります。人材の受注効率を上げるなら、インセンティブ制にして、受注意欲を各人に持たせることができます。そういう意味で僕はインセンティブ制に不満なしです。
自分自身で心理的に追い込まないとなかなか動きも敏感になりませんし、前向きな営業姿勢も保てません。
仕事を取っても取らなくても給料はくれるんだと思ってはいけません。誰かがやってくれるだろうではなく、私がやってみせますと言う意識改革が必要です。
ただあまりに歩合だけで管理すると、給料を上げるために強引な営業もしかねません。こういう営業手法を取っている企業もありますが、人が育ちませんし、いわゆるブラック会社とみなされてしまいます。
ごまかしの収支計画で建築を誘ったり、到底継続しえない家賃保証を謳ったりして、施主を誤魔化すような営業だけはしないと言うのが、ゼネコン営業マンを始めてからのモットーの1つにしているのです。
設計事務所との付き合い
ゼネコン営業マンにとっては、設計事務所は大きな得意先の1つです。
でも、僕はあまり設計事務所との付き合いはありません。
何故か?
それは、設計事務所物件は競争案件がほとんどだからです。競争が多い=儲からないと言うことになります。
例えば見積合わせの場合。
設計事務所は数社のゼネコンの見積をチェックして、どこに発注すべきか施主にアドバイスしたりします。
当然価格の安い会社が最優先ですが、もし安い会社が2,3社あったならどこを選ぶかは設計事務所の意向がかなり左右されるでしょう。この時に設計事務所とどれぐらい付き合いがあるかで有利不利が出ます。
ある日こんなことがありました。
ある新築建物の見積もりをして設計事務所に提出しました。確か5社程度の競争見積だったと記憶します。
提出後4,5日ほどして施主から呼ばれました。要件は先般出した見積書の件です。
施主の担当者が言いました。
「おたくの見積金額は1番安いんだけど、設計事務所から見積を見て質疑がきているんです。それは、金額が安過ぎて施工内容に不安があるけど大丈夫なのか?と言うことです。本当にこの金額で工事を任せて大丈夫なの?」と聞かれました。
「我が社は工事実績からも得意としている工事ですし、この仕事を必ず受注するために見積金額の大幅な絞り込みをしました。我が社の価格が安過ぎて工事の精度に手抜きがあるはずありません。確かに利益は出ない工事ですが、是非とも着手したい工事なんです。設計事務所の論評は、価格が安いと言う所は当たってますが、施工不安については問題ありません。」と答えた末、工事を受注することが決まりました。
この設計事務所とは付き合いが無くて、施主の専属の管理設計事務所でした。価格が安いことで施工能力に不安を持たれましたが設計事務所の査定が甘いと言った方が正解だったかもしれません。
よく知った設計事務所なら、「あの会社は安いので見積金額に問題はありませんよ。」と言ってもらえるのですが、如何せん初めてだったのでちょっと警戒されたのかもしれません。」
それ以後はその取引先との見積で金額的なことを言われなくなりました。
請負業
建築会社の人は、建築業は負けを請ける業界だからしんどいのだと言います。
正確には、だれかに依頼されたことを仕上げると言うことなのですが・・・。
ただ、確かに建築業界は頭を下げてまわる業務が多いのです。
工事を受注するために、発注者にぺこぺこ頭を下げてまわらなくてはいけませんし、工事をする際には近隣に頭を下げてお願いに行かなくてはいけません。役所に行ってもぺこぺこはしなくとも、頭を下げなくてはいけません。もし設計事務所が絡んでいれば、設計しにも頭を下げないといけませんし、下請け会社に無理を頼むのも頭を下げなくてはいけません。結局、ほとんどどこかで頭を下げていることが多い業種です。建築は一旦契約すると謝ってなんぼの仕事になるのです。
そういう意味では負けを請け負うと言うのは当たってると言えますね。
特に今は建築業界の競争が激しく、頭を下げてお願いしなければいけないことがたくさんあります。価格を下げて、さらに頭を下げてやっと受注に結び付くのですから、立場的に弱いものです。
また工事が始まったら何かとクレームが出ます。近隣から騒音や日照のクレームが出たり、ダンプの往来にクレームが出たり、粉じんや振動などどうしても回避できないことにまでクレームを聞きつつなんとか工事を完成させます。
なかには柄の悪い建築屋もいますが、昔のようにごり押しではなかなか工事はできません。最近は強面系の団体より、近隣住民の方が手に負えなかったり、怖いことも多いのです。要は近隣説明に理屈が通用しないのです。感情で反対されてしまっては解決のしようがないのです。
実行予算
入札したり見積書を出したりしてめでたく受注できたら、次は実行予算を作らなくてはいけません。
見積と実行予算は似て非なるもので、見積とは工事をするために我が社ならいくらでできますと言う価格を、明細をつけて意思表示したものと言う感じです。
実行予算は受注した工事を実際現場レベルでいくらでできるかを算出した予算と考えれば良いでしょう。
建築業界をしらない人には、見積した金額こそ建築コストじゃないの?と思うでしょう。実際、見積書を出して最終的に決定した金額が請負契約金額になります。
しかし、請負金額は決っても、実際原価としていくら掛かるかは最終決定ではありません。請負金額の内いくらが利益になるかを詰めていかなくてはいけないのです。すなわちこれがゼネコンにとって儲かるかどうかの分かれ目であり、いかに実行予算を少なく済ませるかが肝心なのです。
実行予算では、協力業者への発注金額の詰めを行い、最終的にいくらで発注できるかの調整をします。全ての工種に値交を仕掛け、工事価格と工事内容を取り決めます。そして初めて工事の原価が決まり着工段階での原価となります。
そして、工事を進めていく上で、設計変更があったり、工法の変更があったり、仕様の変更があったりして、工事の価格に少なからず影響が出てきます。原価が上がったり下がったりすることで当初の実行予算に修正が加えなくてはいけないこともありますが、最終的に工事の精算をすることで最終原価と利益が確定することになります。
工事経歴
マンションばかり施工していれば、いざ店舗の新築となると施主は不安でしょう。その逆も言えます。
内装ばかりやってるところに大型の新築は心配ですし、木造が得意なところにRC造やSRC造はどうかなと不安になるかもしれません。
自社がどんな工事を得意とし、また施工の範疇がどれぐらいあるかを知ってもらうには工事経歴書は必須のツールです。発注側が建築会社の能力を知るには一番工事経歴書が解り易いのです。
どんな用途の建物に施工実績があり、どれぐらいの規模に対応でき、どんな施主から発注を受けているかを知ることで、会社の信用度、施工能力が解ります。
セールストークで会社の方針とか姿勢はほぼ要りません。必要なのは「我が社はこういう工事をこういう提案でさせていただきました。」とか、「この工事のためにこういうプロジェクトを組んでやりました。」、「我が社はこの用途の建物については特に実績豊富で、様々な提案もさせていただきます。」等、施工の例をあげて手法をアピールするようなトークが相手に印象を与えます。
相手にアピールする施工実績は、相手方の要求する建物用途に合わせてピックアップすれば良いのです。もし相手方の用途に合致する実績が少ないなら、施工にいたる手法が似た実績をピックアップすれば良いでしょう。
はじめて訪問先で、相手に一回見積り依頼してみるかと思わせるには、自社の実績と手法に重点をおいたセールスが必要です。