店舗建設営業
土地の契約さえ決まれば優先的に工事はさせてもらえるでしょうが、反面テナントのコストに合わせることができるかどうかの問題もあります。
テナントはたくさんの店舗を出店してきて、いくらぐらいなら建築できるかの目安は知っています。ですからいくら土地情報を持って行ったからといって、予算を膨らませてくれるわけにはいきません。
よく、土地を紹介したのに建築費が合わずにトラブった話を聞きます。土地情報が必ずしも建築につながると考えてはいけませんが、ゼネコンが土地情報を持ってくるのは工事がしたいからだと理解も必要です。
不動産会社にテナントを見つけてもらったら、工事は競争見積りになりますと言うので、工事が取れないなら話を取り止めて他のテナントで話を進めますと交渉を止めたことがあります。不動産屋には、工事が取れないテナントは紹介するなと文句を言ったこともあります。
手数料をもらえば良いのではと言われたのですが、建築屋は建築で儲けるのが当たり前で、受注高の計画や完工高の計画も あるので、手数料だけもらって善しとはならないのです。
競争見積案件のヒント
見積を数社で競う案件について、話を優位に進めるやり方があります。
その一つは、競争見積もりの場合、安い建築会社2,3社と最終的な金額調整をすることがよくあります。
例えば、5社の見積合わせで、9千5百万円、1億円、1億1千万円、1億4千万円、1億6千万円の見積もりが各社から出たとします。
発注者は安い建築会社3社の金額が接近しているので、この3社と後日価格協議をします。
発注者は、「見積価格が何社かと接戦なので、最終的にもう少し頑張ってもらっていくらでいけますか?最終的な数字を*月*日までにまとめてもらって、1度打ち合わせさせていただきたいのですが宜しいですか?」と3社と後日に協議をするのです。
大事なのは、この最終価格協議の順番で最後で呼ばれることです。
最後なら他の2社の金額は既に発注側は判っており、「いくらにすれば1番有利ですか?」と聞けるわけです。
ここでもう一つ肝心なのは、協議する担当者と仲良くなっているかと言うことです。単に担当者であると言うぐらいの知識で接していては、いくら最後の交渉だとしても、いくらなら1番有利かなんて答えは教えてくれません。
担当者と懇意に話ができ、心安くいろんな質問に答えてくれる人間関係が必要です。営業においてはこのコネクション作りが大事なわけです。
一緒にゴルフに行ったり、飲みに行ったりできるぐらいの関係なら、あからさまに教えてくれなくても、大体のヒントぐらいは言ってくれるものです。仲が良いと相手先も同じ仕事を発注するなら、懇意にしている会社に取ってもらいたいと思うものです。
すなわち、営業が日頃しておくべきヒントはここにあるわけです。
最後の交渉なら、1番安い価格を提示すれば内定の可能性はかなり高くなるでしょう。その価格を知る術が日頃の営業のやり方に掛かってくるわけです。きっと最初に交渉した会社は、「再見積価格は了解しました。他の会社の金額と見比べて後日返事させて頂きます。」と発注者から言われて終わってしまうでしょう。
不動産営業
ゼネコンの営業のやり方には極当たり前の営業をしている人と、何かの特化したり、特殊な業種にコネクションを作ったりする営業をしている方がいます。
当たり前の営業とは、設計事務所廻りや取引先へのルートセールス、デイベや不動産会社へのセールスです。いわゆる訪問営業で、「何か見積案件がありましたらお願いいたします。」と言うやり方です。
何かに特化する営業とは、例えば老人ホームや病院のような特殊な業界への営業で、受注にはコネクションが必要になります。
それと、不動産情報を元に仕事に結び付けていく営業も特化した営業と言えるでしょう。
昔から、建築と不動産は切っても切れないと言われてきました。
・不動産の有効利用案件があれば、そこにマンションの計画をし、収支計画を作って、資金繰りや公的融資の提案をしてオーナーに事業企画して工事を受注する。
・マンションデイベに売土地物件を持って行き、条件が合って購入してもらったら工事をさせてもらう。
・流通センターや倉庫用地を企業に持ち込み、借りたり買ったりしてもらって建築をさせてもらう。
・店舗の展開企業に土地情報を持って行き、借りてもらえたら工事をさせてもらう。
大体以上のような営業が典型的パターンで、不動産の提案が上手くいけば受注確率は相当高くなるので、昔から建築営業の王道のように言われてきました。
しかし実際、不動産を持ちこむ顧客や不動産情報の入手先が乏しいので、あまりこれを活用できていない営業マンは多いものです。土地情報をもらっても、それをどこに提案すれば良いか解らない、土地情報を求められてもどこへ情報を集めに行けばいいか解らないものです。
建築業者と不動産業者は似たような業界であっても、やっぱり違うものです。そういう意味で、建築営業マンは上手く不動産業者を利用すれば良いのです。幸い、建築業と不動産業とはお金を稼ぐ場所が違います。不動産は仲介手数料で建築には手を出しません。・・・一部建築に対してフイーを要求する不動産業者もありますが、最初に建築と不動産をハッキリ線引きしておけばよいのです。ゼネコン営業マンが不動産営業するからと言って何でもかんでもする必要はないのです。もっと不動産業者を活用すれば良いのです。
営業成績
今は建設業界にとって氷河期とも言える時代です。
工事の件数が少ない上に、建築コストが安く、競争が激しいので、会社の受注、売上、利益を確保することがかなり厳しいのです。
営業マン1人当たりの受注数値と言うのは、概ね3~8億円ぐらいの間です。
よく言われるのが「年収の100倍」ですが、これは年収500万円の人が年間5億円の工事を受注すべしと言うことです。年収500万は普通ですが、受注5億と言う数字はかなり大きいものです。
実際はこれの6,7掛けぐらいが精一杯ではないかと思います。年収500万円の人で3億円ぐらいがいいところでしょう。3億円の工事で4%利益が残ったとして1200万の利益ですから、これを下回るような受注ではいけません。
僕はある上場ゼネコンに勤務していて(今は転職して違うゼネコンです)、営業の管理職時代に与えられた数値が年間7億円でした。当時は3人のグループで年間受注予算が20億円でしたので、1人頭7億程度だったわけです。ただし、このグループでは僕のみ管理職だったので、実際は10億の予算と考えていなければいけないと思っていました。給料が多い者がより多くの仕事を取ってくるのは当たり前ですからね。
しかし、当時よく頑張った年で3人で年間17億でした。
1件1億に満たない工事を10件ほど取って、2~3億クラスを2件受注するパターンでした。
良い年はそれぐらいだったのですが、悪い年は10億ぐらいしかいきませんでしたので、営業会議では肩身の狭い思いをしたものです。
今は当時より明らかに建築業界の環境が悪くさらに難しい時代になりました。
ゼネコン営業の定番だった、設計事務所回りや取引先のルート営業では数字は上がりません。
仕事があるかないか判らない所に出掛ける営業ではなく、仕事があるところに営業しなければいけません。さらに、仕事を創り出す営業をしなければならないのです。これはもう30年前から言われ続けてることですけどね。
実際そういう営業を積極的にしている営業マンって少ないのです。
官庁工事営業
世間のみなさんは官公庁の工事はほぼ談合して業者間で落札業者を決めていると思っています。
あくまで僕の感覚ですが、世間の感覚は当たっています。
実は僕もあるゼネコンで官庁営業をしていたので、その辺の事情はよく知っています。
建築会社が談合の良い訳に言ってたのは、「談合がなくなれば入札に参加したゼネコン同士価格のダンピング競争になり、大手の会社や資金力のある会社がほとんど落札してしまい、小さなところは倒産してしまうことになる。」と言うことです。
談合は違法なので言い訳は困りますが、でも実際競争力の強いゼネコンが多くの仕事を持っていくでしょうね。
すなわちいい訳でなく、本当にそうなると思われます。
いろんな企業が合併やグループ化するのはその産業や商業分野においてシェアを上げたり、仕入れのスケールメリットを出すためです。
建築工事も同じで、大手のゼネコンが年間大きな数値でロット発注できれば、仕入れは安くなります。小さな会社は発注ロットが小さいので大手に比べ仕入れは下がりません。
しかし、小さな会社は大手に比べ経費が少なくて済みます。販管費や本部経費は大手は高くなります。大手はスケールメリットで安くなっても、経費が掛かるので結局は同じような価格になるかもしれません。
汗水たらして従業員の給料を安く抑えて仕事するか、給料もそこそこ高く、福利厚生も充実して仕事するかと言う2重の構造が出来上がってしまいます。
大手は仕事をとにかくたくさん落札して、材料の仕入れを下げ、協力業者への発注価格を下げていくと到底ちいさな会社では対抗できませんね。
結局全てガチンコの入札になるとこう言う事態が生まれる訳です。
大事な税金をゼネコンが吸い上げていると思うと、一般納税者は腹の立つところです。しかし、ガチンコで入札しても結局大手が落札することが多くなるのです。
大手が安く落札すると当然利益を出すために、協力業者への価格の叩きとなります。大手は一定の利益を確保しますが、そのしわ寄せは協力業者へと舞い込みます。