知の発信者 | コンサルサルのぶろぐ-思考、読書、雑感などを語る

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外資系IT企業で働くコンサルタント&プレイングマネージャーのブログです。日々の雑感や読書日記を紹介します。

今日の日経新聞の社説が素敵でした。優れた科学者は、壮大なストーリーメーカーであると。
しっかり調査、研究し、社会に良い知を発信していくことが大切ですね。
私も微力ながら発信していきたいと思います。


優れた科学者とは、例外なく優れた「物語」の作り手である(春秋)


 優れた科学者とは、例外なく優れた「物語」の作り手である。疾走する想像力で世界を読み解き、「仮説」というロマンを生む。例えばアインシュタイン。時間の進み方が場所によって異なるなんて、誰も考えたことがないようなアイデアを相対性理論から導き出した。
▼いまでは日常の言葉になった「ブラックホール」。博士がいなかったらその存在は予見できなかっただろう。重力が強すぎて光すら外に出られない天体の姿は、仮説から1世紀を経て画像に捉えられた。隣の星を訪ねるにも光速で数年かかる。宇宙は広くて暗くて寂しい。科学はそこに人が遊ぶ空想のオアシスを作り出す。
▼先月、月に着陸した無人探査機SLIM(スリム)が届けてくれた最大の贈り物も、そんな想像力をかき立てる力ではないだろうか。エンジンの不具合で逆さまに着陸。傾いた太陽電池に「西日」がさしこみ、うまく発電できた際には日本中が喝采を送った。今はマイナス170度の夜に孤独に耐えて踏ん張っている――。
▼こう書いているだけで、どんどん月世界の物語が膨らんでいく。資源開発競争だとか、安全保障だとか、宇宙を語る言葉は最近、めっきりいさましくなった。でも、心を揺さぶるドラマの方がずっと長く深く胸に残る。科学が夢を生み、そして夢が科学を推進する。このループを無限に繰り返してこそ知の営みは築かれる。