今年、中国とドイツの国債長期金利が、日本のそれを下回りました。あまり大勢の人は気が付いてもいないかも知れませんが、これは凄いことです。中国とヨーロッパは、あたかも日本の1990年代のバランスシート調整による不況が、今、始まっているような感じさえします。

 

 片や日本では、長期金利が上がり始め、活気が一部では戻って来ています。日本は昔から、先進国中の先進国、先進国が抱える様々な問題を最初に経験する、先進問題国などと揶揄もされましたが、今、日本は、そこから抜け出す機会を見つけつつあると思います。もちろん日本には日本独自の問題も山積しています。然しながら、悪いところばかりでなく、いいところを見て、前向きに進むべきだと思います。

 

 Japan will be back!

 今日は三の酉。二の酉が日曜日だったので、そこで酉の市に行くつもりだったのですが、突発状況で行けなくなり、今日の三の酉に行くことにしました。然しながら日中も夜も用事が詰まってて行けないため、昨日の深夜に行くことにしました。浅草の鷲(おおとり)神社の酉の市は、酉の日の0時から24時までの開催なので、今日未明、午前1時半頃に行ったのです。

 私達は毎年酉の市に行きますが、いつも大混雑で大変です。しかし今日はあまりにも時間が早くて(というか深夜のため)、大勢の人は居るものの、混雑という状況ではなく、普通に歩けて、お詣りも出来て、ゴキゲンでした。

 鷲神社の酉の市は、各店の熊手がモリモリとボルダリングの壁のように、碁盤の目に作られている歩く径の両脇にそびえています。特に夜はそれらが本当に煌めいていて、神社本殿前の提灯も大量にあり、異世界かアニメの世界に迷い込んだようで、とても幻想的で素敵です。そして各お店では、酉の市独特の拍子の手締めと掛け声が鳴り響き、まさにワンダーランドです。今回は午前2時頃に居たので、飲み屋さんが終わった後に酉の市に来たお客さんやお店の人も多く、雰囲気が更に幅というか拡がりがありました。

 去年も買ったお店で、マネックスグループと松本家用の熊手をそれぞれ買い、両親の分も買い、お店の人と一緒に手締めをしました。江戸の風物詩、我が家の年間行事です。今朝、場が開く前にオフィスに熊手を飾って、私のささやかな、何年もずっと続けている、大切な仕事を終えました。清々しい気持ちです!

 当社にとっての恩人、出井伸之さんが私たちの前からいなくなって約二年半になります。昨晩は出井さんに近しかった四人で集まり、出井さんをおかず(?)にした飲み会をしました。何故なら今日11月22日は出井さんの誕生日で、昔良くその前後に、サプライズの小パーティを企画したからです。

 

 出井さんの好きなフレンチビストロの店に集まりました。昨日はボジョレーヌーヴォーの解禁日でもあったので、先ずはそれを飲み、それから白、赤と進みました。出井さんは全てを曝け出すことはしない方だったので、四人四様に知っている出井さんがあり、それはそれなりにかなりの深度なのですが、四人はお互いに他の人が知っている出井さんを知らず、四人の話を総合するとようやく出井さんの全体像がちょっと浮かんでくるという感じでした。時折出井さんに謝りながら、暴露ではありませんが、思い出話に花を咲かせました。

 

 その後カラオケにて二次会。また飲んで、歌い、最後は出井さんの好きな歌をみんなで歌ってお開きにしました。出井さんの話は中々尽きません。いっぱい報告したいこともあるし、いやもっと報告することの中身が大きくなるように、これからも頑張っていきたいと思います。

 コインチェックの親会社として設立したコインチェックグループを、アメリカのNASDAQに上場しているSPACと合併させ、結果コインチェックグループをNASDAQに上場させるプロジェクト。このプロジェクトにおよそ3年間、ほぼ毎日、私は力を注いできました。私も仕事人生が長いですが、同じディールに3年間取り組むのは、明らかに私史上最長です。

 それは何故か?それは強い目的があるからです。web3、ブロックチェーン、暗号資産というグローバルなビジネスに於いて成長させるために、それらのビジネスや人材を買収・獲得するための世界共通の買収通貨・世界共通言語を得るために、このプロジェクトをずっと遂行してきました。

 グローバルに戦う、という文脈で常に思いを馳せるのは、日本の野球です。日本の野球はアメリカの大リーグと同じルールです。(一塁、二塁、三塁、ホームという)四角ベースで、同じ球で、同じ球場のサイズで、同じカウントで、野球をやっています。だから野茂選手が出現し、イチロー選手が活躍し、そして今大谷翔平選手が大リーグで一番の大活躍をしています。三角ベースだったら、球の仕様が大きく違っていたら、サイズやカウントが違っていたら、このようには永遠にならなかったでしょう。

 世界の舞台で世界共通の言語と手段を使うことで、初めて世界で戦うための入場券を得られる。そんな気持ちです。グローバルに成長することは、常に私の夢です。まだまだこれからやり遂げなければいけないことが一杯あります。頑張ります!

※松本大インタビュー記事もよろしければ参考にお読み下さい(CoinDeskJAPANのウェブサイトに遷移します)。
⇒コインチェック、米ナスダック上場の目的・グローバル戦略 メジャーで戦うために『世界共通買収通貨』を手に入れる

 果たしてアメリカ大統領選はトランプ前大統領(以下、敬称略)が勝ちました。一部マスメディアは大接戦になると直前まで報道していましたが、アメリカの選挙に特化したメディアではトランプ優勢が報告されていましたし、賭けマーケットでは圧倒的にトランプが優勢でしたから、トランプが勝つことは容易に予想出来ました。ところが、いざ開票が始まり、トランプの優勢が伝えられると、日本株は大きく上昇しました。アメリカの長期金利が上昇し、円安にもなりました。これらは皆、トランプが勝てばそうなると予想されていたことです。これは興味深い反応です。

 

 そして更に興味深いのは、大統領選翌日のアメリカ市場でも、米株式がとても大きく上昇したことです。これらの現象は何を表しているでしょうか?客観的に誰が優勢かを予め観察し、それに合ったポジションにしておけばこのような大きな動きは出なかった筈です。自らの政治的ポジションや信条、候補者に対する好き嫌いから、客観的な情勢判断に対して自らのバイアスを掛け、自らの思いや願いを優先したポジションになっていたので、そしてそういう投資家・トレーダーが多かったので、実際の選挙結果が出て来て、ポジションの解消やショートカバーが発生し、あのような大きな動きになったのでしょう。

 

 まさに行動心理学=ノーベル経済学賞を取ったプロスペクト理論の示唆する通りです。世の中で最も経済客観的な行動を取ると思われているトレーダーさえも、7~8割は感情によって行動が大きく影響を受ける。そしてこのことは、「政治」という最も個人従属的で、あたかも甘党か辛党かとか、酒飲みかそうじゃないかとかに似た相容れないテーマに於いて、特に強くその現象が発生したのだと思います。いやー、マーケットは面白いなぁ。そして感情をなくす、或いはコントロールすることが出来ると、大きなトクが得られることが分かりますね!

 先週末は日本で総選挙、そして来週はアメリカで大統領選並びに議会選挙です。どちらも選挙後に与野党拮抗したり、或いは選挙前から与野党拮抗の中での選挙です。そうするとどうしても、世間に迎合した政策に寄りがちになります。どの国でも世間の関心事項で一番高いのは経済ですから、何かしらの意味でお金をばら撒いて経済を刺激したり、或いはより直接的に懐を温かくする政策が採られがちになります。それらのコストはもちろんいつか誰かが返さなければいけないのですが、二日酔いのことを考えながらお酒を飲む人はいないし、皆、今に酔うのです。日本でもアメリカでも、結果どのような政治体制になろうとも、この方向は当面は変わらないでしょう。

 

 そうするとどうなるか?お金、即ち流動性が増えれば、あたかもダムに入る水が増えれば湖面が全般に上昇するように、株式や不動産などのインフレ資産の値段が上がります。お金が増えて単位当たりのお金の価値が減るので、資産の名目価格が大きくなるとも云えます。だから、今日のようなブレは当然ありますが、日米の株価は当面は上がりやすいでしょう。何故日米か?それはヨーロッパや中国の今の状況を考えると、色々な意味で不安定で、それらには中々投資しにくいからです。

 

 そして増えすぎるお金を背景に、通貨に対する不安もありますから、金(ゴールド)やビットコイン等の或る意味通貨から離れた存在にも一定のお金が流れ込んでいくでしょう。そんな状況でしょうか、今は。でもそれってなんか不安です。しかし不安な気持ちがある間は、バブルは弾けないものです。今日のように時にビビりながら、それでも尚マーケットに入っていくのかな。

 

 さて来週はアメリカの選挙です。大注目しましょう!

 先日、或るレセプションに着物で参加しました。場所はハーグ。国際刑事裁判所や国際司法裁判所がある、国連に似た雰囲気のある場所です。場所は某国大使公邸。人権擁護NGO(Human Rights Watch=HRW)のレセプションでした。ハーグもHRWも、極めて国際的で、各国・各民族、延いては各人の多様性を尊重する基盤がとても強い場所や団体です

 

 以前からレセプションに着物で出てみたいと考えていたのですが、悪目立ちしないかとか、中々躊躇して踏み切れなかったのですが、ハーグ+HRWとは、これ以上に相応しい機会はないと思い、実施してみました。着物は二次元の物なので、折り畳んでパッキング出来るのでかさばらず、タキシードやスーツよりも荷物としてラクです。ブルー系の長着に、紺の羽織、黒系の帯をしていきました。

 

 果たして、大袈裟な反応は一切なく、普通にすんなりと受け入れられ、そして多くの人に「いいですね」と云われ、案ずるより産むが易しと云うか、大成功でした。これからは日本でも海外でも、タキシードを着るような機会に、いつでも着物で出掛ける自信が付きました。紺のスーツの中にも溶け込みやすい色合いも良かったかも知れません。

 

 今回のことで一番強く心に残ったのは、多様性が受け入れられることの大切さです。異なるものが、優しさと一定の敬意・理解をもって受け入れられると、受け入れられた者はきちんと立って前を向くことが出来る。私にとってそのような「受け入れ場所」は、いくつかあります。ベースとかドックと云うべき場所。友達が一番のベースでしょうか。自分もそのような役割を、友達に限らず様々な人に対して、ちゃんと果たしていきたいと思ったのでした。

 アメリカ大統領選まであと20日を切りました。さてどちらが勝つやら。選挙の行方を知る方法として、比較的信頼されているのが世論調査以上に、アメリカでは「賭け」のマーケットです。どちらが勝つかの賭けマーケットが開かれているので、そこでのオッズから選挙の行方を占う訳です。実際のお金が掛かっているので、個人的な主義主張よりも客観的になりやすく、かつ世論調査による支持率ではほんのちょっとしか差がなくても、賭けのマーケットでは「片方が僅差でも勝ちそうだ」となると一気にそっちにオッズが傾きますから、とても分かりやすいです。候補によるディベートの生放送中にも、番組がこの賭けマーケットの動きを参照して、今の発言でこう傾いた、などの分析をするくらいです。

 

 さてこの賭けマーケットですが、大手の Polymarket では、しばらくトランプとハリスと完全に拮抗していたのですが、2週間ほど前から一気にトランプが優勢になってきて、現時点ではトランプの勝率61%に対してハリスのそれは39%となり、その差が巨大になってきています。これは驚くべきことです。ただよく見ると、賭け金がトランプに約600MMドル、ハリスに約400MMドル掛けられているようでその差は200MMドル、即ち約300億円です。勝率の差が付き始めた時は、この差は数十億円でした。

 

 ここでふと思ったことがあります。賭けマーケットは、客観的な指標のようで、逆にそれを逆手に取って、例えばトランプに勝たせようと思い大きな額をトランプに掛け、それによって勝率が変わり始めたと世間に思い込ませ、それが更にトランプへの賭け金を呼び込み、いずれウソから出たマコトで、実際に世の中がトランプ優勢と思い込み、更にはトランプに優位になっていく、というように意図的に賭けている人が居るのではないかと。reflexivity ですね。reflexivity とは、例えばあのジョージ・ソロスが提唱した「反射性理論」が有名です。ソロスの反射性理論では、市場参加者の認識や期待が市場価格に影響を与え、その結果が再び市場参加者の認識や行動にフィードバックされるというものです。この結果、認識と現実が相互に作用し、自己強化的なサイクルが形成されるというものです。

 

 う~ん。イーロン・マスクとかだったらやるかも知れない。あくまでも勝手な憶測ですが。なべてマーケットとは常に奥深いと共に、ロジックもあり、興味深いものです。私はマーケットの人間なので、様々なマーケットを通して、大統領選も観察していきたいと思います。

 東京大学にエンダウメント型で作られた東京大学応用資本市場研究センター(略称:UTCMR)は、5月にその政策提言第1号として「上場企業の配当を損金算入するべき - 株高効果も」を発表しましたが、本日、政策提言第2号として「東証グロース市場のIPO企業の低成長問題-ハンズオン投資家主導によるM&A活用を軸としたスタートアップ成長支援-」を発表しました。

 

 イノベーションは、各国の経済成長の重要な一部を担います。そしてイノベーションの作り手に占めるスタートアップ企業・ベンチャー企業の存在はとても重要です。アメリカに於いては、20年前のスタートアップ企業が、全上場企業の時価総額の数十パーセントを占めており、スタートアップ企業なくしてアメリカ経済なし、と云っても何ら過言ではありません。これらアメリカのスタートアップ企業は、起業してからずっと成長を続けます。だからこそ、国の経済や社会のイノベーションを推進出来るのです。

 

 翻って日本ではどうでしょう?東証グロース市場に上場した多くのスタートアップ企業は、上場時の規模がアメリカのそれに比べて桁違いに小さい上に、上場後の成長が殆どのケースで全く見られない状況になっています。これは我が国のイノベーションの担い手の観点、経済成長の観点、そして昨今スタートアップ企業へ就職する大学生も多い中で、我が国唯一最大のリソースである人材の効用をどう大きくしていくかという観点からも、極めて重要な問題です。

 

 この問題について、東京大学応用資本市場研究センター(UTCMR)では、多くのそして多様な市場参加者へのヒアリングと議論を重ね、M&A(合併や買収)が、特に投資家主導によるM&Aが、解法になるのではないかとの考えに辿り着きました。この問題は、広く知られている問題であると同時に、主体や個性によって解答がクリアに大きく違う問題でもあります。我が国資本市場、延いては我が国全体の生産性向上のために、今後も様々な関係者との議論を深めて参ります。

 

⇒東京大学応用資本市場研究センター(略称:UTCMR)はこちら

 政治とは、住みやすい社会を作るために施策を行うことと辞書にありますが、私には中々分からない対象です。多くの人は政治や政治家のことは好きではないけれどとても大きな興味をもって見ています。まるでアンチ巨人が実は巨人の選手のことに詳しいのに似ています(因みに私は年季の入ったアンチ巨人です)。特定の政治家の好き嫌いは、人によって大きく違い、かつ滅多に変わることがありません。例えばアメリカでも、トランプとハリスのどちらが大統領選に勝つかは完全に拮抗していますが、あのテイラー・スウィフトとレディー・ガガとビリー・アイリッシュがトランプを非難しても、選挙戦には影響がほとんど出ていません。少なくとも勝敗の賭けのマーケットで見ると、完全に全く影響がありません。

 

 そう、まるでアンチ巨人は何があってもその主義は変わらないのに似ています。しかし政治は、どのチームのファンか、のような軽いものではなく、自分が住んでいる社会の住みやすさに直接大きな力をもって作用してくるものです。それにも関わらず、まるでファンのようなノリで政治・政治家を見る傾向が強いように思います。いつもは冷静に客観的な意見を聞かせてくれる友人も、ひとたび政治のことになると、バイアスがあります。

 

 そんな時に頼りにしているのが、マーケットです。マーケットの参加者ひとりひとりにはバイアスがあっても、マーケットはそれら全ての集合体ですから、自ずと客観的な意見を聞かせてくれます。マーケットは社会の鏡であると同時に、このようにバイアスを取り除いてくれるので、少なくとも私にとってはこの上ない、信頼出来る、話を聞ける相手です。日本も世界も動きが激しい中、きちんとマーケットに耳を傾けたいと思います。