人は過ちを犯す。組織も過ちを犯す。過去に犯した過ちは、もちろん取り返しの付かないこともあるけれど、それ以上に、未来に向けてそのような過ちが起きないようにしていけるかどうかの能力・認識や決意が、とても重要なのだと、昨今のフジテレビ周辺のスキャンダルを伝え聞いていて感じました。問題が明らかになっても、フジテレビでの企業CMの放映は継続していました。しかし社長会見の後、これでは未来に向けて直らない、と考えた企業が、企業CMの放映をACジャパンのものへ差し替えることで、フジテレビに対して意見を表明したのでしょう。当事者の方も、謝罪声明文を出すまではここまで事態は大きくなっていませんでしたが、その内容が、あぁこれでは認識が甘くて、未来に向けて直していくことが期待できない、と思われて、そして引退まで追い詰められることになったのではないでしょうか。

 過去の問題以上に、未来に向けての解決能力があるかが、問われているのだと思います。

 もうひとつ感じたのは、同様の価値観だけに囲まれていると、取り返しの付かない所まで、価値観がずれていってしまうことがあると云うこと。だからこそ、違う価値観の、外部の声や目を取り入れることが、とっても重要であると云うこと。世の中の価値観も常識も変わっていきます。それをちゃんとアップデートしていかないと、或る日、完全にずれた価値観になってしまう。そうならないためには、外部に開かれた耳を持っていなければならない。これは組織に限らず、個人でも同様です。

 仲間だけと付き合わず、知らない人、違う業界の人、違う年代の人、特に若い人に意見を云ってもらい、それにちゃんと耳を傾けないと、社会からずれた存在になってしまうでしょう。以って他山の石となすべし。私も気を付けます!

 来週月曜日に、アメリカではトランプ政権が始動します。モンロー主義と云いながら、自国の都合で色々と他国に干渉するアメリカ(或いは都合によって関与しないアメリカ)。ICC(国際刑事裁判所)などに加盟していないアメリカ。時に強いドルを、時に弱いドルを強く堂々と要求するアメリカ。そんなジャイアンみたいなアメリカ。トランプ政権に変わることで、世の中は戦々恐々ですが、これは新しいアメリカではなく、本来の暴れん坊のアメリカにトランプが戻すだけだと、私は観察しています。

 

 一方で、本来アメリカはテクノロジーでは常に世界一を確固たるものとした上で、それは他国に追随させないようにあの手この手も使いながら、その上で自国内に行き過ぎた弊害があれば抑制の規制などを後から手当てしていたところ、最近のアメリカは予め自制するところがあり、それが他国にテクノロジーの優位性で詰め寄られる結果にもなって来たと感じるのですが(暗号資産関連分野もそのひとつです)、それをトランプは一気に元に戻そうとするのでしょう。

 

 当たり前ですが、世界中が文句を云うでしょう、あの手この手で。折角おとなしくしていてくれたジャイアンがまた暴れ始めるので、様々な難癖を付けてそれを抑えようとするのは当たり前です。色々見ものですね。

 

 ところで、私たちマネックスグループにとっては大きな追い風だと考えています。トランプがやろうとしていることで明らかなのは少なくとも二つあります。規制緩和と、AIと暗号資産技術の振興です。規制緩和の影響は、ここ数年多くの規制を受けてきた金融業界に大きく出るでしょう。アメリカの中央心臓であるいわゆるウォールストリートビジネスに、トランプは再点火するでしょうから、これは当社グループにとってプラスです。

 

 そしてもう一つ。トランプは、デイビッド・サックスを大統領科学技術諮問委員会のトップに据え、政権のAI・暗号資産分野の政策を主導させ、「この二つの分野は今後の米国の競争力にとって極めて重要だ。彼は米国が両分野で明らかに世界のトップに立てるようにする」とSNSに書いています。世界一の大国の大統領がここまで明瞭に「力を入れる」と云っている暗号資産分野で、我々は先月、コインチェックグループを米国NASDAQに上場させることに成功しました。Way to go!

 

 エキサイティングなトランプ2になりそうです。

 遅くなりましたが、皆さま、あけましておめでとうございます。今年は2025年。45の二乗です。実に89年ぶりの二乗の年です。だからどうこうという訳ではありませんが、なんかちょっと特別な感じがします。

 新年は初詣に行き、その他お世話になっている神社とお寺さんに参詣して奉納をし、大きな災害等もなかったので、穏やかな新年を迎えました。コインチェックグループが米NASDAQに上場して、アメリカではビジネスは年末年始は元日のみお休みなので、大晦日も正月二日もアメリカの関係者と仕事していたのですが、そういう新しい正月の過ごし方に、これからはなるのでしょう。仕事始めの日には、朝に社内で発会を行い、そのあと創業以来当社ではもう25年以上続いている毎年の恒例行事として、新春祈祷をするために神社に参詣しました。

 私も当社も、とにかく新しいことを追究し、未知のリスクを積極的に取ります。だからこそ、我が国の伝統的なお祓いや祈祷等は、ここに書いたこと以外にも、とにかく丁寧に行うのが私のやり方です。2025年は、激動の年になると思います。前傾姿勢で、リスクを正確に凝視し、そしてリスクを果敢に取っていきたいと思います。本年もよろしくお願いします!

 気が付けば、本当に年の瀬です。

 

 今年は12月の初旬からニューヨークに行き、コインチェックグループのNASDAQ上場に向けた最後の追い込み、上場、その後対応と続き、更に翌週はマスターカードの取締役会その他もあり、約2週間バリバリの仕事を異国の地でしていたため、帰国すると既に年末だったのですが、ワープしてしまったようで全く年末感が身に付かず、加えて2週間東京を空けたために今週もミーティングが鮨詰め状態で、クリスマス感も全くないまま、今日に至ってしまいました。

 

 もしかしたら、社会人生活で一番季節感のない、仕事だらけの12月だったかも知れません。

 

 2024年は私にとってどんな年だったでしょうか。アクティビストファンドの運用を深化(&進化)し、良好な運用成績も上げ、東証や東大に於ける活動で日本の資本市場改革にそれなりに貢献した自負があり、プライベートには茶名をいただき、そして何と云ってもコインチェックグループのNASDAQ上場をやり切りました。超手前味噌の、自画自賛状態で、書いていても恥ずかしい次第ですが、それでも尚、今年はそれなりに充実した年だったように思うので、ご容赦下さい。相も変わらず、前進し続けた一年でした。

 

 今年は辰年でしたが来年は巳年。龍のように活動的に前進した一年の後に、充実した実りのある年を迎えたいです。皆さまに於かれましても、今年が良い年であったことを祈りつつ、巳年に相応しい、ふくよかな年を迎えられることを祈念いたします。

 

 今年の私のつぶやきは今日が最後です。本年も一年間、マネックス証券をご愛用いただき、或いはまたこのつぶやきをご愛読いただき、誠にありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎え下さい!!

 

 今日、ニューヨークを発ちます。今回は久し振りに長くいました。先週は主にコインチェックグループのNASDAQ上場のため、今週は主にマスターカードの取締役会のため、二週間近くニューヨークにいました。ずっと仕事をしていたので、美術館も行けず、ジャズを聴きにも行けず、限られた場所を行ったり来たりすることが多かったのですが、それでもやはり、ニューヨークをじわじわと感じました。満喫とまでは云えないけれども、ニューヨークに包まれた感じです。

 どこに何があるか、どうすればどこに行けるか、が分かるからではなく、やはり知り合いに会うから、身近に、包まれたように感じるのだと思います。仕事関係で知り合いが大勢いる、友達が住んでいる、行きつけのレストランやホテルに知り合いがいる、そういう人間ネットワークがあるので、ニューヨークは私にとって居心地の良い、第二の故郷的な、特別な地なんだと思います。

 実はこのつぶやきを書いているのは現地時間の木曜日の夕方で、あといくつかミーティングをするとニューヨークでの仕事が終わり、現地時間の明日にここを発ちます。だから今晩だけ、ようやくちょっと自由な時間が出来ます。どう過ごそうかな。ここまで体調も崩さず、何も事故も起こさず来たので、おとなしくしておくのもひとつの考え。最終日だから、ジャズでも聴きに行くのもひとつの考え。

 40年間、来続けた街、ニューヨーク。思い起こせば、成人になってからずっと来続けた街。コインチェックグループのNASDAQ上場があったから、今回は特別な感慨があります。だからこそ、丁寧に最終日の時間を過ごしたいと思います。

 コインチェックグループが、米ナスダック市場に上場しました。現地時間12月11日(水)の朝、私がスピーチをして、コインチェックとマネックスの仲間と一緒に、オープニングベルを押しました。タイムズスクエアの大きなナスダックタワーの円筒型の電光掲示板に、コインチェックグループのお披露目ビデオと、オープニングベルセレモニーの様子が、1時間流れ続けました。

 

 これからコインチェックグループは、ナスダック上場株式という世界最強の買収通貨を活用して、グローバルに暗号資産関連企業・web3企業を買収し、有能な人材を獲得し、大きく成長していきます。マネックスグループが現時点ではコインチェックグループの株式の8割以上を所有しているので、グループ全体の成長戦略を強く推進していきます。

 

 とここまでは会社としてのコメント。ここからは私の個人的な思いです。

 

 1984年、20歳の時、生まれて初めての海外旅行先がニューヨークでした。ジャズが大好きだった私の憧れの地だったのです。そこでジャズ以外にもとても大きな刺激を得て、すっかりニューヨークの虜になり、英語を話せるようになりたい、いつかニューヨークの摩天楼に住みたい、という思いから、ウォールストリートの投資銀行に就職しました。

 

 あれから40年。200回以上ニューヨークには来ました。私にとっては、様々な意味で、憧れと想い出の地であり、そして第2の故郷のようなものです。そのニューヨークのナスダックに、私が代表者である会社が上場して、タイムズスクエアに私の英語のスピーチも流れた。思えば遠くへ来たもんだ。ドキドキするような感覚はないのですが、そしてこれからのアメリカの上場企業としてのプレッシャーを強く感じるのですが、でもやはり、或る重要なチェックポイントを通過したような、何とも言葉で言い表せない感情があります。何か違うことも、これからじわじわ感じてくるのかな。

 

 ゆっくりとそれを丁寧に噛みしめながら、また前を向いて、進んでいきたいと思います。

 

 今年、中国とドイツの国債長期金利が、日本のそれを下回りました。あまり大勢の人は気が付いてもいないかも知れませんが、これは凄いことです。中国とヨーロッパは、あたかも日本の1990年代のバランスシート調整による不況が、今、始まっているような感じさえします。

 

 片や日本では、長期金利が上がり始め、活気が一部では戻って来ています。日本は昔から、先進国中の先進国、先進国が抱える様々な問題を最初に経験する、先進問題国などと揶揄もされましたが、今、日本は、そこから抜け出す機会を見つけつつあると思います。もちろん日本には日本独自の問題も山積しています。然しながら、悪いところばかりでなく、いいところを見て、前向きに進むべきだと思います。

 

 Japan will be back!

 今日は三の酉。二の酉が日曜日だったので、そこで酉の市に行くつもりだったのですが、突発状況で行けなくなり、今日の三の酉に行くことにしました。然しながら日中も夜も用事が詰まってて行けないため、昨日の深夜に行くことにしました。浅草の鷲(おおとり)神社の酉の市は、酉の日の0時から24時までの開催なので、今日未明、午前1時半頃に行ったのです。

 私達は毎年酉の市に行きますが、いつも大混雑で大変です。しかし今日はあまりにも時間が早くて(というか深夜のため)、大勢の人は居るものの、混雑という状況ではなく、普通に歩けて、お詣りも出来て、ゴキゲンでした。

 鷲神社の酉の市は、各店の熊手がモリモリとボルダリングの壁のように、碁盤の目に作られている歩く径の両脇にそびえています。特に夜はそれらが本当に煌めいていて、神社本殿前の提灯も大量にあり、異世界かアニメの世界に迷い込んだようで、とても幻想的で素敵です。そして各お店では、酉の市独特の拍子の手締めと掛け声が鳴り響き、まさにワンダーランドです。今回は午前2時頃に居たので、飲み屋さんが終わった後に酉の市に来たお客さんやお店の人も多く、雰囲気が更に幅というか拡がりがありました。

 去年も買ったお店で、マネックスグループと松本家用の熊手をそれぞれ買い、両親の分も買い、お店の人と一緒に手締めをしました。江戸の風物詩、我が家の年間行事です。今朝、場が開く前にオフィスに熊手を飾って、私のささやかな、何年もずっと続けている、大切な仕事を終えました。清々しい気持ちです!

 当社にとっての恩人、出井伸之さんが私たちの前からいなくなって約二年半になります。昨晩は出井さんに近しかった四人で集まり、出井さんをおかず(?)にした飲み会をしました。何故なら今日11月22日は出井さんの誕生日で、昔良くその前後に、サプライズの小パーティを企画したからです。

 

 出井さんの好きなフレンチビストロの店に集まりました。昨日はボジョレーヌーヴォーの解禁日でもあったので、先ずはそれを飲み、それから白、赤と進みました。出井さんは全てを曝け出すことはしない方だったので、四人四様に知っている出井さんがあり、それはそれなりにかなりの深度なのですが、四人はお互いに他の人が知っている出井さんを知らず、四人の話を総合するとようやく出井さんの全体像がちょっと浮かんでくるという感じでした。時折出井さんに謝りながら、暴露ではありませんが、思い出話に花を咲かせました。

 

 その後カラオケにて二次会。また飲んで、歌い、最後は出井さんの好きな歌をみんなで歌ってお開きにしました。出井さんの話は中々尽きません。いっぱい報告したいこともあるし、いやもっと報告することの中身が大きくなるように、これからも頑張っていきたいと思います。

 コインチェックの親会社として設立したコインチェックグループを、アメリカのNASDAQに上場しているSPACと合併させ、結果コインチェックグループをNASDAQに上場させるプロジェクト。このプロジェクトにおよそ3年間、ほぼ毎日、私は力を注いできました。私も仕事人生が長いですが、同じディールに3年間取り組むのは、明らかに私史上最長です。

 それは何故か?それは強い目的があるからです。web3、ブロックチェーン、暗号資産というグローバルなビジネスに於いて成長させるために、それらのビジネスや人材を買収・獲得するための世界共通の買収通貨・世界共通言語を得るために、このプロジェクトをずっと遂行してきました。

 グローバルに戦う、という文脈で常に思いを馳せるのは、日本の野球です。日本の野球はアメリカの大リーグと同じルールです。(一塁、二塁、三塁、ホームという)四角ベースで、同じ球で、同じ球場のサイズで、同じカウントで、野球をやっています。だから野茂選手が出現し、イチロー選手が活躍し、そして今大谷翔平選手が大リーグで一番の大活躍をしています。三角ベースだったら、球の仕様が大きく違っていたら、サイズやカウントが違っていたら、このようには永遠にならなかったでしょう。

 世界の舞台で世界共通の言語と手段を使うことで、初めて世界で戦うための入場券を得られる。そんな気持ちです。グローバルに成長することは、常に私の夢です。まだまだこれからやり遂げなければいけないことが一杯あります。頑張ります!

※松本大インタビュー記事もよろしければ参考にお読み下さい(CoinDeskJAPANのウェブサイトに遷移します)。
⇒コインチェック、米ナスダック上場の目的・グローバル戦略 メジャーで戦うために『世界共通買収通貨』を手に入れる