今は二十四節気で云うと啓蟄。毎朝ジョギングをしていると、沈丁花の香りが至る所から漂ってきて鼻をつき、いくつかの種類の椿が咲いていて、そして名の分からない様々な花が咲き始めています。そして雨上がりに走ると、道路の上にはみみずがいます。

 

 一気に春がやって来ました。Spring has come. 春は常に完了形で来ます、即ち気が付いた時にはもう来ているのです。

 

 花は、素敵な色と可愛らしい形を備えていて、季節の巡りに極めて従順に咲いて、そして短期間で散っていきます。古から、多くの人の心を掴んできたのは当たり前です。季節の花を飾り、旬のネタのお鮨や旬の食材の料理を食べる。最大の幸せですが、忘れがちです。もっと意識的に実現していきたいと思います。

 

 さて明日は「お客様感謝Day 2025」です。多くのお客様にお会いして日頃のお礼を申し上げることを楽しみにしております!

 

 3月31日で、マネックスグループの代表執行役から降りることになりました。マネックスグループの取締役会議長や、コインチェックグループの代表者(エグゼクティブチェアマン)、マネックス・アクティビスト・ファンド(MAF)の運用助言などは引き続きしていきますし、お客様感謝Dayなどでマーケットや投資のこともお客さまに直接お話していきますし、東証のフォローアップ会議や東大の応用資本市場研究センターを通しての私のライフワークである日本の資本市場改革も引き続き取り組んでいきます。

 なので、日々の生活はほとんど変わらないのですが、さはさりながら、1999年4月5日にマネックスを創業して以来、26年間、マネックスの代表者(直近2年弱は、代表権者のひとり)だったのがそうでなくなるので、大きな節目ではあります。

 上に書いたように、これからもマネックスグループのガバナンスに関与し、コインチェックグループを成長させて大株主であるマネックスグループ、延いてはその株主の皆さまのために貢献し、MAFを、今までもかなり運用成績がいいのですが、更に成績を良くし、そのエンゲージメント活動を通して日本の企業セクターの生産性を上げ、そして資本市場改革を更に推進し日本の生産性と競争力を高めることに邁進しますが、グループ経営は完全に次世代に移行します。プレイングマネジャーから、プレイヤーに復帰という感じでしょうか?

 社員と株主の皆さまと、何よりもお客さまに感謝いたします。

 今日は本当は、・ゼレンスキーは何しにトランプに会いに行ったのか?、・トランプは関税を本当は掛けないなんて思ったのか?、・円高だと日本株は安くなるのか?、などについて書きたいと、先週末からずっと思っていたのですが、それよりも自分のことを書きなさいと周りからも云われ、このようなつぶやきにしました。

 Life goes on. これからもよろしくお願いします!

マーケットが弱いです。典型的なリスクオフ相場のように見えます。経済活動は相手が期待した動きをするだろうという信頼の上に構築されているので、信頼感が落ちると経済は停滞します。株価は様々な方法で説明することが可能ですが、そのひとつは利益の何年分かを時価総額として、それを株数で割ったものが株価であるという考え方で、この「何年分か」が即ちPERになります。企業や経済活動に対する信頼が落ちると、何年分の利益を企業の価値とするかという年数が減り、即ちPERが落ちて、株価は下がります。或いは、ここまで書いてきたことに対する連想から、信頼感が下がると株価が下がります。これが即ち、リスクオフ、と呼ばれるものです。

 

 トランプ新政権が次から次に打つ手は、或る意味で合理的な面も多々あるのですが、世界にとっては予測できない面が多く、予見可能性が下がり始めたと感じるのかも知れません。それは即ち信頼の低下を招きます。海外の暗号資産関連で起きた或る事象が、トランプ新政権の順回転にブレーキを掛けるかも知れないという連想が、信頼感を下げているかも知れません。経済やマーケットにとって、「気持ち」はとても大切なのです。

 

 でも暗い気持ちは、長くは続かないことをヒトは知っています。ヒトは明るい気持ちを欲するし、最終的に明るい気持ちになれるように努力を重ねます。落ちた信頼を取り戻すためには、一にも二にも話し合う、即ちコミュニケーションが肝要です。リスクオフが起きた時は、どこかでリスクを取りに行き、信頼感が上がるべくコミュニケーションを取る。それしかないと思うのです。何をすべきかをしっかり考えていきたいと思います。

 美意識とは、とても大切な概念です。人の美意識はどのように涵養されるのか?美意識はどうあるべきか?それはもちろん千差万別だと思いますが、美意識を持つこと、美意識を持ち、その重要性を認識することが、先ずは大切ではないでしょうか。

 美意識は多分に個性や趣味の要素も大きいと思うのですが、人間社会を生きていくための知恵、或いは自らの感情をうまく管理するための技だとも考えられます。視点を自分の頭ではなく心に置く、或いは視点を自ら離脱させて空に置き、自分と相手を俯瞰する。そうする中で、どう行動すべきかの「美」が見えてきて、それに合わせることが美意識ではないでしょうか。

 芸術は、美意識を涵養することに優れています。色々な芸術に触れながら、丁寧に生きていきたいと思います。

 今日はバレンタインデーですね。11年前のバレンタインデーは(正確には前日は)、ニューヨークで歴史的な大雪でしたが、果たして今回は予報を裏切って、いい天気ではありませんが大した大雪にはなりませんでした。仕事しに来てるので、良かったです。

 

 さて、今回のニューヨークでの観察は、こちらの人々がトランプ政権に驚いてない、或いは感情的になってないことです。そもそもこっちの人は、選挙戦中などまだ変えられる間は色々云うけれど、決まるとあまり云わなくなる傾向が強いです。これは例えば企業内に於ける決定などについても同じです。しかし大統領になった後も、8年前の第一次政権の時はもっと色々な意見や感情があったと記憶するのですが、今回は皆無に近いです。

 

 考えられる理由の可能性は3つくらいでしょうか?1.政権が強すぎて、反対意見を口にするのが憚られるから、2.8年前に比べて政権の体制が遙かに充実しているから、3.実はトランプのやっていることは、そもそもアメリカ人にとって本当はそうだと思っていた人が過半もしくは半分くらいいるから。私は、1より2、2より3、の要素が強いのではないかと感じます。

 

 因みにトランプ政権がしていることは、日本で報道されている関税などの外交関係のことだけでなく、国家公務員や様々な国の機関に対する国からの支払い権限を取り上げて、更にいったん全て止めてその内容を精査するなど、国内に於いてもかなり強烈なことをしています。それでも尚、こちらの人々は冷静で感情的になっていません。政権反対のデモなども、目立ったものは見当たりません。もうひとつ理由の可能性がありました。4.まだ政権発足から一ヶ月も経っていないのでもう少し見てみようと構えている。この可能性も高いです。

 

 そしてトランプのしていることは、かつてアメリカの大統領がしてきたことも多く、本質は変わっていない、それは即ち上記の「3」の部分も多いです。例えばトルーマン大統領も、第二次大戦直後にグリーンランドを買おうとしています。第二次トランプ政権は、一般に報道されるよりも、良く考えていてかつ安定した政権だと思います。ビジネスの観点からも日々の暮らしの観点からも、そして世界の状態に関する観点からも、トランプ政権から目が離せません!

 明日から一週間ニューヨークに行きます。来週のニューヨークは毎日氷点下、そしてほぼ連日雪のようです。2月のアメリカ北東部、雪が降る時は色々と大変です。

 思い起こせば11年前の2月、東京では45年ぶりの大雪が降り、ニューヨークに行くために成田に向かう時、多くの交通が麻痺し、そんな中で私は奇跡的に電車の接続や改札口をうまく選び、なんとかぎりぎり成田についてニューヨークに飛んだのでした。するとアメリカでも記録的な大雪に見舞われて、国内便が数千便運休になるなどあり、これまた奇跡的に飛ぶ便を選ぶなどで、とにかく大変な道中であったけれども、多くのことが起きた・出来たことも思い出します。

 今回はどうなることやら。ニューヨークの人は大雪には慣れてはいますが、インフラはとても弱いです。日本とは全然違うので、常にその先を考えて行動しないと、路上、空港、様々な所で何時間もスタックすることが簡単に起こり得ます。ニューヨークではやらねばならないことが多くあり、そのために行くのですが、久し振りの大雪のニューヨークを、楽しむことはきっと出来ないけれども、正しく取り組んで、色々と成就してきたいと思います。

 一昨日、ブルーノート東京でスティーブ・ガッド・バンドを聴きました。私が小学生の高学年の頃、ラジオで歌謡曲ばかり聴いていた私は、或る時からオリビア・ニュートン・ジョンのようなポップスもラジオで聴くようになったのですが、不満で、様々な音楽を漁るようになったのでした。AMラジオからFMに移り、知らないジャンル、知らない音楽をむさぼり聴きました。そんな時、ふと出逢ったのが、「スタッフ」でした。かっこええ~~~!上手い~~~!全てが新鮮で、私は当時クロスオーバーと呼ばれていたフュージョンにのめり込み、そしてジャズへと傾倒していったのです。ですから スティーブ ・ガッドを聴き始めたのは、もう50年前くらいになります。

 

 大学生になるまで本州を出たこともなかった私は、1985年にジャズを聴くために生まれて初めての外国・ニューヨークに行き、ウエストヴィレッジの様々なジャズ屋さんに行ったのですが、一軒、5番街の13丁目というジャズ地帯から離れた静かな所にあったローン・スター・カフェと云う所で、 スティーブ ・ガッドの生演奏を目の前で聴きました。もう40年前になります。確かスタッフのメンバーの誰かとウィル・リーが共演者にいたと思います。

 

 ドスドス!と強いビートの スティーブ ・ガッドは、必ずしも私の最大のお気に入りだった訳ではありませんが、あの頃のフュージョン・シーンでは欠かすことの出来ない、時代を具現化したようなドラマーでした。あれから50年、もしくは40年。果たして一昨日聴いた スティーブ ・ガッドは、ドスドス!でなくて、ギタリストが作曲したメロディアスな曲を好んで演奏していました。昔とは少し違う芸風です。しかし最後から1曲前の曲では、往年の演奏を充分に思い出させる力強い演奏を聴かせてくれ、会場も私も大ノリになりました。

 

 スティーブ・ガッドは、1945年4月9日生まれ。ほぼ80歳です。カッコいい人生だな。楽しい友人達と良く食べ、良く飲み、良く笑い、そして懐かしい人の今の音楽に酔いしれた一夜でした。

 人は過ちを犯す。組織も過ちを犯す。過去に犯した過ちは、もちろん取り返しの付かないこともあるけれど、それ以上に、未来に向けてそのような過ちが起きないようにしていけるかどうかの能力・認識や決意が、とても重要なのだと、昨今のフジテレビ周辺のスキャンダルを伝え聞いていて感じました。問題が明らかになっても、フジテレビでの企業CMの放映は継続していました。しかし社長会見の後、これでは未来に向けて直らない、と考えた企業が、企業CMの放映をACジャパンのものへ差し替えることで、フジテレビに対して意見を表明したのでしょう。当事者の方も、謝罪声明文を出すまではここまで事態は大きくなっていませんでしたが、その内容が、あぁこれでは認識が甘くて、未来に向けて直していくことが期待できない、と思われて、そして引退まで追い詰められることになったのではないでしょうか。

 過去の問題以上に、未来に向けての解決能力があるかが、問われているのだと思います。

 もうひとつ感じたのは、同様の価値観だけに囲まれていると、取り返しの付かない所まで、価値観がずれていってしまうことがあると云うこと。だからこそ、違う価値観の、外部の声や目を取り入れることが、とっても重要であると云うこと。世の中の価値観も常識も変わっていきます。それをちゃんとアップデートしていかないと、或る日、完全にずれた価値観になってしまう。そうならないためには、外部に開かれた耳を持っていなければならない。これは組織に限らず、個人でも同様です。

 仲間だけと付き合わず、知らない人、違う業界の人、違う年代の人、特に若い人に意見を云ってもらい、それにちゃんと耳を傾けないと、社会からずれた存在になってしまうでしょう。以って他山の石となすべし。私も気を付けます!

 来週月曜日に、アメリカではトランプ政権が始動します。モンロー主義と云いながら、自国の都合で色々と他国に干渉するアメリカ(或いは都合によって関与しないアメリカ)。ICC(国際刑事裁判所)などに加盟していないアメリカ。時に強いドルを、時に弱いドルを強く堂々と要求するアメリカ。そんなジャイアンみたいなアメリカ。トランプ政権に変わることで、世の中は戦々恐々ですが、これは新しいアメリカではなく、本来の暴れん坊のアメリカにトランプが戻すだけだと、私は観察しています。

 

 一方で、本来アメリカはテクノロジーでは常に世界一を確固たるものとした上で、それは他国に追随させないようにあの手この手も使いながら、その上で自国内に行き過ぎた弊害があれば抑制の規制などを後から手当てしていたところ、最近のアメリカは予め自制するところがあり、それが他国にテクノロジーの優位性で詰め寄られる結果にもなって来たと感じるのですが(暗号資産関連分野もそのひとつです)、それをトランプは一気に元に戻そうとするのでしょう。

 

 当たり前ですが、世界中が文句を云うでしょう、あの手この手で。折角おとなしくしていてくれたジャイアンがまた暴れ始めるので、様々な難癖を付けてそれを抑えようとするのは当たり前です。色々見ものですね。

 

 ところで、私たちマネックスグループにとっては大きな追い風だと考えています。トランプがやろうとしていることで明らかなのは少なくとも二つあります。規制緩和と、AIと暗号資産技術の振興です。規制緩和の影響は、ここ数年多くの規制を受けてきた金融業界に大きく出るでしょう。アメリカの中央心臓であるいわゆるウォールストリートビジネスに、トランプは再点火するでしょうから、これは当社グループにとってプラスです。

 

 そしてもう一つ。トランプは、デイビッド・サックスを大統領科学技術諮問委員会のトップに据え、政権のAI・暗号資産分野の政策を主導させ、「この二つの分野は今後の米国の競争力にとって極めて重要だ。彼は米国が両分野で明らかに世界のトップに立てるようにする」とSNSに書いています。世界一の大国の大統領がここまで明瞭に「力を入れる」と云っている暗号資産分野で、我々は先月、コインチェックグループを米国NASDAQに上場させることに成功しました。Way to go!

 

 エキサイティングなトランプ2になりそうです。

 遅くなりましたが、皆さま、あけましておめでとうございます。今年は2025年。45の二乗です。実に89年ぶりの二乗の年です。だからどうこうという訳ではありませんが、なんかちょっと特別な感じがします。

 新年は初詣に行き、その他お世話になっている神社とお寺さんに参詣して奉納をし、大きな災害等もなかったので、穏やかな新年を迎えました。コインチェックグループが米NASDAQに上場して、アメリカではビジネスは年末年始は元日のみお休みなので、大晦日も正月二日もアメリカの関係者と仕事していたのですが、そういう新しい正月の過ごし方に、これからはなるのでしょう。仕事始めの日には、朝に社内で発会を行い、そのあと創業以来当社ではもう25年以上続いている毎年の恒例行事として、新春祈祷をするために神社に参詣しました。

 私も当社も、とにかく新しいことを追究し、未知のリスクを積極的に取ります。だからこそ、我が国の伝統的なお祓いや祈祷等は、ここに書いたこと以外にも、とにかく丁寧に行うのが私のやり方です。2025年は、激動の年になると思います。前傾姿勢で、リスクを正確に凝視し、そしてリスクを果敢に取っていきたいと思います。本年もよろしくお願いします!