新卒一括大量採用をやめたい、その原因であるメンバーシップ型雇用も緩くして、職能型雇用にかえたいと思うようになりました。


メンバーシップ型雇用とは、企業の中の労働を職務ごとに切り出さず、一括して雇用契約を結ぶことです。

一方、職能型雇用とは、職種別に契約を結ぶことです。


メンバーシップ型雇用の良い点は、ジョブローテーションを前提として長期に人を育成していくことができる、育成前提なので入社時に初心者OK、です。


悪い点は・・・


1.メンバーシップ契約なので、大学や大学院で学んだことは重視されない。

職業に直結した教育がそもそも役立ちません。職業教育と学術教育との長い分断の歴史もメンバーシップ型雇用に端を発している気がします。せっかく何年もかけて学んできたことがすぐには役立たない、というのは大きな損失だと思うようになりました。


2.会社に入る前のOff-JTが機能しない。

何の職につくかわからないから、準備が職業直結の形ではできません。結果として、会社側リードでOff-JTをすることになります。本来の


各自Off-JT → 会社Off-JT → OJT →


の繰り返しが


会社Off-JT → OJT → 会社Off-JT →


になってしまい、本人が会社に入ってから社外で自ら学ぶこともなくなったような気がします。


3.うなだれる新人、泣く新人が出る。

会社にはいろんな職務があります。メンバーシップ契約では、どんな職務につくかわかりませんから、希望とは全く違う職務になることだって、たくさんあります。

配属が決まったときの悲喜こもごも。こんなはずじゃ・・・を減らすことが、離職率低下にもつながると思います。


4.雇用の流動性が低くなる。

休みたいときに休めない。

→ メンバーシップを一度破棄してしまったら、次に入れるところがなかなか見つからない。


柔軟にメンバーを入れ替えられない。

→ 一度解雇してしまったら、次がなかなか見つからない。解雇できない。


5.新卒一括採用で、何で不採用なのか理由をはっきり示せない。
組織文化に合う合わない、コミュニティのメンバーとしてふさわしいか重視が悪いとはいいません。

でも、そればっかり重視だったら、何で採用なのか、何で不採用なのかはっきり示すことはできませんよね。


職能型雇用だったら、あなたはこの職務をするのに、○○の知識や資格が足りません、あなたよりも知識や経験豊富な人がいた、のように不採用の理由がある程度いえる、と考えました。

自分に不足しているところがわかれば、学生側も準備の糸口がつかめるので、不毛な就職活動が少しは減るのではないでしょうか。


●メンバーシップ型雇用(日本型雇用)が新卒一括採用、退職定年制(終身雇用)、人事部局中央集権採用の原因になっていることは、労働学を専攻した人に、「当たり前だ。昔からわかっていることだ」といわれました。


昔からわかっていることなのに、時代が変化してもなかなか変わらないのは、第一歩をどこから踏み出していいのか、わからないからなんでしょう。


第一歩を踏み出したい、新卒一括採用をやめたい、雇用契約を見直したい、と思うこの頃でした。