もっと「夢」を、「熱い想い」を。「想い」があるから言葉は生きたメッセージ。 -2ページ目

もっと「夢」を、「熱い想い」を。「想い」があるから言葉は生きたメッセージ。

未来への「希望」を見せて!「想い」発信しよう!人を繋ぐのは「言葉」です。「言葉」には、人を動かす力がある。人は幸せになるために生きている。

<第四章 効果的な食べ物 2>


 ホーム食品販促Gの山田課長は、「私どもとしては、加工食品や飲料、調味料だけの販売だけでなく、当社のファームで収穫した野菜や果物を直販していきたいという意向を持っています。しかしながら、普通の野菜や果物と異なり、栄養価は高いものの価格も高いので、健康への問題意識の高い層、美貌に関心かある方、生活習慣病を改善したい方などに特化したマーケティング活動を実施したいと思っています。その第一弾として、スマート電気さんとタイアップで、知名度を挙げたいと考えています。」と言った。


 スマート電気の中村課長は、「当社の『サイクロンミキサー』とのシナジー効果を最大限に発揮していただくためには、『サイクロンミキサー』をご購入くださったお客様に対するインセンティブが必要だと考えているんです。具体的には、御社の野菜を特別価格で宅配していただけるサービスなどです。」


 ホーム食品の佐々木は応えた。「なるほど、私たちとしても、大手スーパーなどで、安定した販売数が稼げるとは考えていないんですよ。ですから、ファームや加工工場などの倉庫や物流システムを活用して、直販したいと思っていたのです。それに、『サイクロンミキサー』を購入されたお客様に対するインセンティブを与えるというのは、良いアイデアですね。逆に、私どもの野菜を契約購入してくださったお客様に、『サイクロンミキサー』を無償でリースするというアイデアをたった今思いついたのですがいかがでしょう?

 

<第四章 効果的な食べ物 1>


  『ウェーブウォッシュ』のプロジェクトを成功させたチームは、『ウェーブウォッシュ』の展開を通常の開発部隊に引き継いだ。プロジェクトチーム自体は、目的をプロジェクト創出としてその後も、そのまま存続していた。これは、スマート電気の伊藤本部長の意向によるもので、由美子と誠のパフォーマンスを製品のフィニッシュまで担当させるのではなく、新しい需要の創出に特化させた方が良いという判断からだった。


 この日、佐藤と由美子は、『Shall We Project』第二弾として、ホーム食品を訪れた。

 ホーム食品は、食品や飲料、調味料の製造販売メーカーでありながら、自らファームを持ち、品種改良の研究を追求し、栄養素が豊富な野菜や果物を作っていた。


 スマート電気は、昨今の健康食品ブームに注目し、フレッシュな野菜や果物を美味しいジュースにするジューサーやミキサーの次世代商品を開発しようという狙いだ。その素材として、栄養素が豊富な野菜を作っているホーム食品とのタイアップを企画したのだ。


 ジューサーやミキサーは、お世辞にも普及しているとは言えない。しかし、フレッシュな野菜や果物を殺菌せずにジュースにするというメリットは、栄養素を余すところなく摂取できる意味では、計り知れない価値があるのだが、ジューサーやミキサーが普及しない理由は、その価格もあるが、使っている時も、収納している時も場所を取る。ということが欠点であった。


 この課題に対して、スマート電気の技術陣は、サイクロン掃除機の技術を応用して回答を出した。モーターの回転数を栄養素を壊しにくい低速回転としながら、空気の圧力で、絞りかすとジュースを分離し、絞りかすを圧縮してメンテナンスしやすいという画期的な製品だ。


 スマート電気では、健康食品でイメージの良いホーム食品とタイアップすることによって、このジューサーミキサーのイメージを良いものにしたいというねらいであった。

<第三章 プレゼンテーション 6>


 スマート電気とマナナ化粧品の『Shall We Project』第一弾、次世代洗濯機『ウェーブウォッシュ』とナノ技術を活用した『ウェーブフレグランス』のタイアップ広告が始まったのは、開発が始まってから丸2年が経過した春だった。

 異業種が開発段階からコラボレーションしたということで、業界はもちろん、マスコミも注目し、プレス発表の日は、マスコミが殺到し、会場に入りきらない程であった。

 両社は、話題性を増すために、通常であれば、女優を採用する所に、25歳という若さでプロジェクトリーダーを務めあげた由美子を起用した。決して滑らかだとは言えないが、熱く語る由美子のプレゼンテーションは、ニュースでも取り上げられ、一躍有名人になった。


 両社は、なんとコマーシャルにも由美子を使った、由美子は、結婚しても仕事を続けるという設定のキャリアウーマン、彼女を支える夫役は、何と佐藤だった。家事を分担する佐藤が、早朝に眠い目をこすり、歯を磨きながら、『ウェーブウォッシュ』のスイッチを入れる。『ウェーブウォッシュ』の操作パネルは小さな宇宙のように光るが、音や振動は発生しない。スマート電子のダイレクトドライブモーターによる振動制御技術のたまものだ。

 場面は、変わって、新聞を読みながらコーヒーを飲む誠の脇を、春物のスーツを着た由美子が通り過ぎる。由美子が脇をしめて、スーツをこするようなしぐさをすると、良い香りが流れて、誠が鼻から大きく息を吸い込むというシーンだ。マナナ化粧品のナノ技術を活かした『ウェーブフレグランス』の特長を印象付ける。二人の素人くさい大げさな演技が笑いを誘い、見る人の気持ちを明るく包むコマーシャルである。

 このコミカルなコマーシャルは放送された回数が少なかったたが、ユーチューブアップした画像の再生回数が1週間で100万回を超えた。


 こうして、製作費を抑えながらも、開発に携わるプロジェクトリーダーが自らキャンペーンに出演するという話題性で、『ウェーブウォッシュ』と『ウェーブフレグランス』は、好評を博し、出荷時は想定を上回る受注数で、品薄になるほどであった。これからのプロモーションは、自ら広告宣伝費をかけるよりも、いかにパブリシティにのせるかという戦略が重要である。

<第三章 プレゼンテーション 5>


 マナナ化粧品との2回目の打合せは、表参道にあるエレメントデザインのミーティングルームで行われた。

 マナナ化粧品の加藤課長は言った。「いやあ、良いところですね。8月の強い日差しを浴びても、こうして植物の日よけがあると涼しいものですね。

 エレメントデザインのディレクター山本が応えた「表参道は緑が多いですからね、ミーティングルームは北側にあるので、夏はエアコンをかけなくても窓を開けていれば涼しいんですよ。」と


 「それでは、お時間になりましたので、2回目の打合せを始めます。」と佐藤は、言った。今日は、スマート電気の鈴木さんの方から質問があるそうです。

 「『ウェーブウォッシュ』のコンセプトは、新婚の夫婦をターゲットにした結婚準備用品という位置づけですので、奥さまは、20代の主婦ですが、ご主人の衣類も洗うわけです。女性と男性では香りの嗜好も違いますし、相手によっても良い香りというのは異なると思うんですよね。ですから、洗いたての爽やかな香りが、長続きすることが、大切だと思うのですが…」


 吉田がにこにこして応えた。「鈴木さんのことだから、そうおっしゃると思いました。どのような香りにするかは、今後の課題ですが、どのようにして香りを長持ちさせるか、ということについては、最新のコロンに使われている技術を使います。具体的には、ナノサイズのカプセルに香りを封じ込め、カプセルが少しずつ壊れることによって、香りも少しずつ香るという技術です。もちろんカプセルと言っても、薬のカプセルのようなものではなく、分かりやすく言えば、香料の表面にコーティングを施したようなものだとお考えください。


 由美子は言った。「そうでしたら、前日の打合せの時に教えてくださればよかったのに・・・」

 吉田が応えた。「いえいえ、この技術を使った香料は、当然のことながらコストアップになるんですよ。『今回のキャンペーンに載せることによって、パブリシティが得られるから、テレビCMにかかる広告宣伝費が大幅に削減できる。』とプレゼンテーションして、先日、役員会の決裁が下りたばかりなんです。」


 どうやら由美子の周りには、ポジティブな人が集まり大きな『ウェーブ』を巻き起こしているようだ。

<第三章 プレゼンテーション 4>


 マナナ化粧品の加藤課長が続けた。「鈴木さんは、ターゲットよりも若いけど、ターゲット予備軍として是非、香りのモニター評価に参加してください。マナナ化粧品の企画開発部門にも鈴木さんのような関係者をぐいぐい引っ張っていくアクティブなエネルギーが必要だ。

 スマート電気の中村課長は、「加藤課長、あまり鈴木を持ちあげないでくださいよ。そうでなくてもアクティブすぎるんですから」と言った。

 会議室は、新製品のキャンペーンの打合せとは思えない和やかな空気に包まれた。


 打合せが終了して、由美子と誠は、いつものピザ店にいた。

 「ねえ、誠、柔軟剤の香りって、どんな香りが良いと思う、大きく分けて女性と男性では好みが違うと思うし、女性が女性自身の衣類に使う香りでも、その香りを感じる相手が女性なのか、男性なのかによって違うと思うんだ。『ウェーブウォッシュ』は、新婚世帯向けの結婚準備商品というコンセプトだから、ご主人の服と、奥さんの服は一緒に洗うでしょう?誰にでも心地よい香りって難しいと思うのよ。」


 佐藤は応えた。「そうだねぇ~女性から香ると良い香りでも、男性から香ると変な感じがしたり、その逆もあるかもしれないね。だとすると、ユニセックスな香りにするというか、洗いたての衣類から感じる爽やかな香りが求められるわけだね。」


 由美子は、「私、高校生の頃、男子から『鈴木は石鹸の香りがするな』と言われた時があったの、その時、あまり仲の良くない女子が聞いていて、『由美子の家は、すすぎが足らないんじゃない?』って嫌みを言われたことがある。洗いたての香りといってもあまり強すぎると、好き嫌いが別れてしまうと思うんだ。弱い香りが長続きする。一日持つことの方が大切で、どのような香りにするかは、二の次だと思うんだ。」


 佐藤は応えた。「なるほど、それは、良いことに気が付いたね。次の打合せの時に、吉田さんに相談してみよう!」


 由美子は思った、誠といると、問いやアイデアがドンドン湧いてくる。誠は聞いてくれているだけなのになぜだろうと・・・

<第三章 プレゼンテーション 3>


 スマート電気とマナナ化粧品のように異なる業界に属する企業が、発売前の商品同士を組み合わせたキャンペーンを行うということは、異例中の異例であるが、これは、異なる業界のトップ同士が集まる『Shall Weプロジェクト』の成果だった。『Shall Weプロジェクト』は、事業が重ならない異業種の執行役員以上が、秘密保持契約を取り交わした上で交流を行い、シナジー効果が得られる事業をタイアップした企画開発や販売促進を行うというものである。


 次に説明に立ったのは、鈴木であった。

 「 『ウェーブウォッシュ』は、洗濯槽の内側に設けられたシリコーンゴム製のフラップによる揉み洗い効果、絞り効果、整流効果で、洗い、脱水、乾燥の時間を当社従来比で10%削減し、電気代に至っては、20%の省エネを実現しています。また、操作パネルは、スマートフォンのように直観的に操作できる双方向インターフェイスで、シンプルな洗浄モードから、デリケートな衣料を傷めずに洗えるカスタマイズモードまで使えます。この特長で、結婚準備用品としての洗濯機として売りだしたいと考えています。


 マナナ化粧品の加藤課長がうなづいた。

 「中々思いきった戦略ですね、市場に与えるインパクトは、技術的なアドバンテージや、コンセプトなど、従来の洗濯機とは比べ物にならないでしょう。私たちも『ウェーブウォッシュ』の先進性に勝るとも劣らない柔軟剤を開発しますので、何卒よろしくお願い申し上げます。実は、この柔軟剤のネーミングは既に決まっておりまして、『ウェーブフレグランス』になりました。


 鈴木は思わず叫んだ「『ウェーブフレグランス』?やったー」スマート天使の中村課長がたしなめる「おいおい鈴木、社内の打合せじゃないんだぞ」


 マナナ化粧品の吉田は「鈴木さんに気に行ってもらってよかった。私たちは、『ウェーブウォッシュ』というネーミングがとっても気に入ったんですよ。シリコーンゴム製のフラップが水を拡販し、波をつくり、その波が優しく衣料を洗いあげる。私たちの『ウェーブフレグランス』がその衣料に優しい香りを添えるというネーミングなんです。

 

<第三章 プレゼンテーション 2>


 新しい洗濯機『ウェーブウォッシュ』のプレゼンテーションを終えた、1カ月後、由美子と誠は、マナナ化粧品にいた。マナナ化粧品は、その名の通り、化粧品の製造販売を手掛けている会社だが、新しいドメインとして洗剤の製造販売を模索している。その第一弾として、マナナ化粧品が誇る香りの技術を活かした柔軟剤を開発しているのだ。その柔軟剤の登場感を際立たせるために、スマート電子の新製品『ウェーブウォッシュ』とのコラボレーションキャンペーンが企画されていた。


 キャンペーンの企画などは、本来プロダクトデザイナーの仕事ではないが、『ウェーブウォッシュ』のプレゼンテーションの評判が極めて良かったため、普通の開発プロセスではなく、少数精鋭によるプロジェクトチームに牽引役を任せ、関連部門はプロジェクトチームの目的を達成するため全面的に支援すると言う体制が築かれた。これは、すべて開発担当の執行役員である伊藤本部長の指示によるものであり、田中取締役にも快諾されていた。


 そしてそのプロジェクトリーダーに任命されたのは、なんと入社1年3ヵ月の鈴木由美子だった。由美子は経験こそ少ないが、顧客の声をまとめ、トレンドの変化を見据えながら、関連部門をねばり強く説得する行動力が評価された。もちろんその陰には、佐藤のデザイン力と問題解決能力が大きく貢献していた。


 マナナ化粧品の会議室で行われた打合せには、スマート電気から中村、鈴木。エレメントデザインから山本と佐藤。マナナ化粧品からは、柔軟剤プロジェクトに任命された事業戦略部の加藤課長と吉田が参加していた。先ず、吉田からの説明と受ける。


 「汗をかくシーズンを前に、各社から香り月の柔軟剤が競うように発売され、有名女優を起用した強烈なプロモーション構成がかけられていますが、中にはコストの安い科学物質を使用したためか、体調不良を訴えるお客様から複数件の申し出を受けている商品もあるようです。そこで私たちは、体調に影響が少ないという実績のある香料を使い、御社の『ウェーブウォッシュ』とのタイアップキャンペーンによって拡販を図って行きたいと考えているんです。]


<第三章 プレゼンテーション 1>


 由美子と誠がピザ屋で打合せした約2カ月後のある日、プレゼンテーションは、午後13時20分に始まった。

 演台に立った由美子は、明るいブラウンのスーツで身を包み、今までに見たことがないほど凛々しく見えた。

 「新しい洗濯機の愛称は『ウェーブウォッシュ』に決まりました。今までプラスチックやステンレス製だった洗濯槽の表面にシリコーンゴムで作ったフラップを設け、洗濯時は優しい揉み洗いのような効果を加え、脱水時には、絞るような効果を加えることで、洗浄力を上げながら洗浄時間、脱水時間をそれぞれ10%短縮することが実現できました。また、使用する水の量も節約することが出来、更に温風をフラップにて整流することで、乾燥時間も短縮することが出来、電気代に至っては、平均20%低くなりました。」

 最後列に座っていた山本と佐藤に対し、中村課長は、

 「なんだかデザイン担当のプレゼンテーションとは思えないね。もう、プロジェクトリーダーの風格だ。ここまで来れたのも、スタイリングだけではなく、フラップの形状までも健闘してくれた佐藤君のおかげだ」と言った。

 懸案事項であったターゲットについては、新婚夫婦にターゲットを絞り、彼らをオピニオンリーダーにすることで拡販をしていくことで落ち着いた。主力のチャネルは家電量販店、結婚準備時に、購入する電化製品という位置づけだ。容量に対しサイズはコンパクトにまとめられ、使用していない時は、災害時のための水がめとしても使えるポンプ排出機能を備えている。このポンプは、洗浄力を高めるための射出ポンプを兼ねており、コストアップは最小限にとどめられていた。

 「まさか、彼女が、デザインだけではなく、コンセプトから仕様設定までをここまでまとめ上げ、関連他部署を説得できるとは思わなかったよ。」と中村は目を細めた。

 「中村課長が、裏で随分根回しをしていたと聞いていますよ。」と山本がささやくと、

 「そんな情報、入手する経路がないだろう?」ととぼけた。

 マーケティング部は、由美子の立てた企画のコンセプト調査を報告するに留まり、影が薄かった。

 「よかったよ鈴木。」「鈴木。グッjob」と関係者たちから声がかかった。

 プレゼンの間なんどもうなずいていた伊藤本部長は、何も言わなかったが満足そうだった。

<第二章 努力を続ける 1-5>


 「ねえ、佐藤君。実は、マーケティング部は、変わるのが怖いのよ」と由美子は言った。

 「変わるのが怖い?どういうこと?」

 「それはね、スマート電気の洗濯機の売り上げが減っているといっても、前年比10%程度でだし、スマート電気の洗濯機は、ダイレクトドライブのモーターを使用しているので静かだし、タテ型の洗濯僧の機種でも乾燥機としての性能が良いから、『巨額の投資をして失敗したくない。容量は1種類でも、操作系をターゲット別に用意することによって、街の電気屋さんからネット販売まで広い販路を確保したいと考えているみたいなの。」

 「でも、韓国のベスト電子の追い上げも激しいんだろう?向こうは、機能を絞り込んたプリセット方式で操作性を簡略化するとともに、中国生産で納入価格を大幅に下げてくる可能性があるそうじゃないか。」

 「マーケティング部は、隣の芝生が青く見えるのよ、相手が価格で勝負してくると、低価格の商品を欲しがるわけ、でも、スマート電気の強みを生かそうと思ったら、高機能で洗濯の手間を省くことなの、洗濯機は、10年は使えるし、洗濯は毎日のことなので、1日辺りのコストはそれほど負担にならないはず、エンドユーザーは、きっと理解してくれるわ。」

 「そうか、複数の操作系を用意したいと言うのは、鈴木さんの考えではなく、マーケティング部の考え方ということだね。鈴木さんは、新婚世帯をオピニオンリーダーにして成功すれば、ベテラン主婦層や、独身層も取り込めると考えているんだね。」

 「ねえ、佐藤君、もう、その鈴木さんって呼び方止めてくれる。もう、1年かんも一緒に仕事しているんだから由美子でいいわよ、私も、誠って呼ぶからファーストネームで呼び合わない?」

 「鈴木さんは、帰国子女だから、違和感ないかもしれないけど、僕は日本男子だから、違和感があるんだよ。」

 「何言ってんの、ニューハーフみたいになよっとしているくせに、良いわけが下手ね、誠は。」

 「わかった、わかった、由美子は、押しが強いね、中村課長のまえで、由美子って呼ばないように気をつけないと。」

 「中村課長は、私に、『佐藤君と付き合っているんだろう?』って聞くのよ、『私たちは、恋人じゃなくて、同士だっ』って言っているんだけど。」

<第二章 努力を続ける 1-4>


 結局、ターゲットを新婚家庭に絞り込み、操作パネルをタッチパネルにすることで、洗濯機というよりも家具のようなスッキリしたデザインにまとめた案と、独身者向けのシンプルな操作パネル、信仰家庭向けのタッチパネル、ベテラン主婦向けの一般的な操作パネルを両立させられる案を並行して進めることになった。

 伊藤本部長を交えたテレビ会議は、1時間半にもおよび、その後、中村課長、鈴木由美子、山本、佐藤で行った詳細の詰めは、2時間半もかかったため、打合せが終わったのは、もう5時だった。

 「佐藤、今日は、疲れただろう、車は俺が乗って帰るから、たまには鈴木さんと飲んで、コミュニケーションを良くしておいてくれないか。飲み代は、経費でいいから。」と山本が言った。鈴木は、

 「やったーエレメントさんのおごりで、佐藤君とデートね。」と鈴木は気楽なもんだ。中村も、

 「そうだな、二人とも最近残業続きで疲れているだろうから、遅くなってお泊りなんてことにならないようにな」

 「もう、課長、そういう関係じゃないことを良く知っているでしょう。そういうのをセクハラって言うんですよ。」

 「鈴木君の場合は、どちらかと言うと、俺がパワーハラスメントを受けているような気がするけどね。」

 「もう、課長、いいかげんにしてくださいよ。そうでなくても、佐藤君には、おてんばだと思われているんですから。」と鈴木由美子は言った。佐藤は「もう、おてんばって歳じゃないだろう」思ったが口には出さなかった。


 二人はピザの専門店のチェーン店に入り、ビールを注文した。

 「カンパーイ!お疲れ様」 初対面の時から鈴木由美子が優勢の関係だが、

 こんな時は、息が合う、二人の乾杯は、まるでハーモニーのようだった。