<第三章 プレゼンテーション 3>
スマート電気とマナナ化粧品のように異なる業界に属する企業が、発売前の商品同士を組み合わせたキャンペーンを行うということは、異例中の異例であるが、これは、異なる業界のトップ同士が集まる『Shall Weプロジェクト』の成果だった。『Shall Weプロジェクト』は、事業が重ならない異業種の執行役員以上が、秘密保持契約を取り交わした上で交流を行い、シナジー効果が得られる事業をタイアップした企画開発や販売促進を行うというものである。
次に説明に立ったのは、鈴木であった。
「 『ウェーブウォッシュ』は、洗濯槽の内側に設けられたシリコーンゴム製のフラップによる揉み洗い効果、絞り効果、整流効果で、洗い、脱水、乾燥の時間を当社従来比で10%削減し、電気代に至っては、20%の省エネを実現しています。また、操作パネルは、スマートフォンのように直観的に操作できる双方向インターフェイスで、シンプルな洗浄モードから、デリケートな衣料を傷めずに洗えるカスタマイズモードまで使えます。この特長で、結婚準備用品としての洗濯機として売りだしたいと考えています。
マナナ化粧品の加藤課長がうなづいた。
「中々思いきった戦略ですね、市場に与えるインパクトは、技術的なアドバンテージや、コンセプトなど、従来の洗濯機とは比べ物にならないでしょう。私たちも『ウェーブウォッシュ』の先進性に勝るとも劣らない柔軟剤を開発しますので、何卒よろしくお願い申し上げます。実は、この柔軟剤のネーミングは既に決まっておりまして、『ウェーブフレグランス』になりました。
鈴木は思わず叫んだ「『ウェーブフレグランス』?やったー」スマート天使の中村課長がたしなめる「おいおい鈴木、社内の打合せじゃないんだぞ」
マナナ化粧品の吉田は「鈴木さんに気に行ってもらってよかった。私たちは、『ウェーブウォッシュ』というネーミングがとっても気に入ったんですよ。シリコーンゴム製のフラップが水を拡販し、波をつくり、その波が優しく衣料を洗いあげる。私たちの『ウェーブフレグランス』がその衣料に優しい香りを添えるというネーミングなんです。